幼馴染「おっはよー」タタタッ
オタク「……」スタスタ
幼馴染「ねえねえ、昨日のドラマみたー?」
「みたみたー」
幼馴染「よかったよねー?」
オタク「……」
オタク(昔はよく遊んだのにな……もう、3年以上会話してないなぁ……)
ガヤガヤ……
「食堂いこうぜー」
「おー」
「一緒にたべよー」
「ねえねえ、ちょっとパン買ってくるー」
幼馴染「一緒に食べない?」
オタク「……」ガタッ
「こっちおいでよー」
幼馴染「うんっ」
オタク(今日も図書室で時間潰そう……)スタスタ
オタク「……」ペラッ
オタク(はぁ……なんで友達がいないんだろうなぁ)
オタク(昔はそれなりに人気者だったのに)
オタク(小学生のときは女子からバレンタインにチョコだってもらったことあるのになぁ……)
オタク(別に容姿は普通だと思うんだけどなぁ)
オタク「……」チラッ
図書委員「……」
オタク(あの地味な子ぐらいなら僕でも口説けそうなんだけど)
「―――今日デートしようぜ」
図書委員「もう、ここでそんな話しないで」
オタク「……」
オタク(あんなデブと付き合ってるのか。見る目ないな)
オタク「……」ガタッ
幼馴染「あ、一緒に帰ろうよ!」
オタク「……」ピクッ
幼馴染「暇でしょ?」
「あーひどーい」
幼馴染「ふふっ、少し待っててね」
「うん」
オタク「……」
オタク「……帰ろう」
オタク「……」スタスタ
オタク「……」カタカタ
オタク「面白いスレは……」
オタク「あったあった」カタカタ
オタク「このアニメおもしろいよなー」カタカタ
オタク「DTはだまってろよっと」カタカタ
オタク「新参乙」カタカタ
オタク「あはは」
オタク「ワロタ……」カタカタ
オタク「あ、もう9時か……」
オタク「風呂でも入ろう」
オタク「……ここでダンバインを使って」ピコピコ
オタク「ふわぁ……ねむい……」
オタク「……」チラッ
オタク(携帯電話も全然鳴らなくなったな……)
オタク(中学まではそれなり弄ってたのに)
オタク「あ、マジンガー死んだ」
オタク「リセット……」
オタク「……」
オタク「もういいや、寝るか」
オタク「……」スタスタ
幼馴染「おはよう!!」タタタッ
オタク「……」
「おっはー」
幼馴染「今日、小テストあるよね」
「あるある、やばいよー」
幼馴染「私もー」
オタク「……」
オタク(可愛い幼馴染がいても漫画みたいにはいかないのな)
オタク「……」スタスタ
教師「じゃあ、今からサッカーのドリブルをやってもらうから」
教師「お前、部員だったな。ちょっと手本を」
「おーっす」
オタク(あー、つまんね)
オタク(体育とかなんの意味があるのかさっぱりだわ)
教師「―――よし、流石だな」
「ちっす」
教師「じゃあ、四人ずつやってもらうな」
オタク(マジで面倒だ……)
教師「出席番号順に呼んでいくぞー」
オタク「……」
オタク「……」スクッ
オタク(テキトーにやろっと)
教師「はじめ」ピッ
オタク「……」タタッ
オタク(よっ……ほっ……。あれ、意外と僕、うまいじゃん)
オタク「……」タタッ
クスクス……
オタク「……!?」
ケラケラ……
オタク(笑われてる……)
ゲラゲラ……
オタク(なんだよ、別に普通だろうが……ふざけんな……)
オタク(つーか、適当に流してるだけだし、こんなの真面目にやるほうがバカだろ)
オタク「……」
オタク(あー、疲れた。ちょっと寝とくか)
幼馴染「勉強した?」
オタク「……」ピクッ
「やってなーい」
幼馴染「じゃあ、予習しとかなきゃ」
「数学のテストだっけー?」
幼馴染「そうそう」
「やだー」
幼馴染「そう言ってもテストは来るからね」
「そうだけどー」
幼馴染「こことここをやればオッケーだって」
オタク「……」
オタク(帰ったらなんのゲームしよっかな……)
オタク「……」ペラッ
オタク「はぁ……」
オタク「……」チラッ
図書委員「……」
オタク(あんな子でも彼氏がいるんだよなぁ……)
クスクス……
オタク「……」ビクッ
「……ねー?」
「うんうん、マジ、キモイ」
「あはは」
オタク「……」
オタク(ビッチが……おまえらのほうが数倍キモイっつーの)
オタク(図書室で喋ってんじゃねーよ)
オタク「……」ペラッ
オタク「……」スタスタ
幼馴染「かえるの?」
オタク「……!?」クルッ
男「おう」
幼馴染「じゃあ、先に行ってて」
男「駅前でいいか?」
オタク(もしかして……)
幼馴染「うん。いいよ」
男「分かった。じゃあ、あとでな」
幼馴染「オッケー」
オタク(ま、そうだよな……あいつにも彼氏ぐらいいるか)
オタク(帰ろう帰ろう)
オタク(俺には関係ないし)
オタク「……」ピコピコ
テレビ『艦長、グラビティブラストいけます』
オタク「ルリはいいなぁ……」
オタク「……」
オタク(あいつも付き合ってんのかぁ……)
オタク(なんかショックだな……)
テレビ『てっー!!』
オタク「……あ、外れた」
オタク「リセットしよ」
オタク「……」
オタク(あー……なんかいきなり美少女でも降ってこないかなぁ……)
オタク(そしたら俺も即脱DTなのに……)
テレビ『ルリちゃん、スタンバって!』
テレビ『スタンバってます』
担任「では、早速だが各委員を決めたいと思う」
担任「委員長と副委員長に立候補するやつはいないか?」
オタク「……」
オタク『はい』
幼馴染『じゃあ、私も』
オタク『え?』
幼馴染『別に、アンタのためとかじゃないんだからね』
オタク『あっそ』
幼馴染『ホントだからね』
オタク『はいはい』
オタク(なんてな)
担任「いないか?これが決まらないと困るんだけどなぁ……」
幼馴染「あの……じゃあ、私が立候補します……」
担任「そうか。じゃあ、副委員長は」
幼馴染「……」チラッ
オタク「……!?」ドキッ
担任「推薦でもいいぞ」
オタク(もしかして……アイツ……俺を推薦する気か……?)
「俺がします」
担任「おー、そうか。悪いな」
オタク「……」
「がんばってね」
幼馴染「はいはい」
オタク(ま、こんな雑用係とかやりたくなかったしな)
オタク(どうでもいいか)
オタク(今日は帰ったら撮り溜めしてるアニメでも見るかな……)
オタク(あー、はやくかえろー)
幼馴染「これから委員会あるって」
副委員長「え?マジで?俺、部活あるんだけど」
幼馴染「えー?」
副委員長「わりぃ」
幼馴染「もぅ。一人でもいいけど、代役が欲しいなぁ」
オタク「……」
幼馴染「あ。おーい!!」タタタッ
オタク「あ……」
幼馴染「ちょっとだけでいいから付き合ってくれない?」
「いいよー」
幼馴染「ありがとー!!あとで何かおごるよー」
オタク「……」
オタク(帰ってアニメみなきゃ……)スタスタ
テレビ『キルミーベイベー!!』
オタク「どしたのわさわさwwwwwwwwww」
オタク「……」
オタク(小学校卒業するまでは普通に話してたのにな……)
オタク(家にもよく遊びにいったし……)
オタク(幼稚園のときなんて、風呂にだって……)
オタク「……」
オタク「やべ……思い出したら……」
オタク「……」モゾモゾ
テレビ『ソーニャちゃん!ソーニャちゃん!!』
テレビ『なんだよ、うるさいなぁ』
オタク「……うっ……ふぅ……」
テレビ『みてみてーあれだよー』
テレビ『うわっ。ひっでぇ』
オタク「よし、ここでF91を―――」ピコピコ
ピリリリ
オタク「!?」
オタク「……」バッ!!
オタク「メールか……誰からだ……?」
携帯『禁断の**撮り動画満載。すぐにヤレる出会いを貴方に』
オタク「……」
オタク「消去……」ピッ
オタク「さてと……次はEz-8で攻撃してっと……」
オタク「よっしゃ」
担任「おーい」
幼馴染「はーい?」
担任「これ、後ろの掲示板に貼っておいてくれ」
幼馴染「わかりました」
オタク「……」
幼馴染「ふんふーん」スタスタ
幼馴染「よっと……」
オタク「……」ジーッ
幼馴染「うーん……とどかない……」
オタク「……」
オタク(手伝ってやろうかな……)ガタッ
幼馴染「椅子使わせてー」
「いいよー」
オタク「……便所いくか」スタスタ
幼馴染「では、みなさん。後ろの掲示板にも貼ってありますが、文化祭まであと二ヶ月です」
幼馴染「今日はクラスでやる出し物を決めたいと思います」
幼馴染「何か意見のある人は?」
「無難に喫茶店とか」
「お化け屋敷?」
「なんかの展示でもいいんじゃねーの?」
オタク(くだらねー……マジ、なんでもいいー)
幼馴染「まとまらないかぁ……」
副委員長「やっぱり、あれで決めよう」
幼馴染「そうだね」
副委員長「じゃあ、えと、今から紙を配るからそれに出し物を書いてくれ」
副委員長「ちなみに多数決ってわけじゃなくて、みんなの案を聞きたいだけだからな」
幼馴染「面白い案があればたとえ一票だけでも採用するかもしれませんので」
オタク「……」
オタク(えっと……どうしようかな……)
オタク(性別逆転喫茶っと……)
オタク(男子は女装……女子は男装をして喫茶店をする……)カキカキ
オタク(絶対に採用されねーな)
幼馴染「では、後ろから紙を集めてくださーい」
副委員長「―――じゃあ、黒板に書いてくな」
幼馴染「お願い」
副委員長「えっと……喫茶店……メイド喫茶……射的……」
幼馴染「同じようなのばっかり……」
副委員長「性別逆転……喫茶……?」
幼馴染「え?」
オタク「……」ドキドキ
副委員長「変な案だけど、どうする?」
幼馴染「一応、書いてて」
シーン……
幼馴染「もう……」
副委員長「性別逆転喫茶にしちゃう?」
オタク「……」ドキッ
幼馴染「女装してくれる男子がいればね」
「おれ女装してもいいぜー」
「やだー、きもーい」
「あはははは」
副委員長「ほら」
幼馴染「じゃあ……」
オタク(まさか……俺の意見が……)
担任「女装する衣装とか作るのに時間かかるぞ?できるのか?」
幼馴染「うーん……」
オタク(やべ……これは俺ががんばらないといけない感じだな……。言いだしっぺだし……)
パチパチパチ
オタク(つまんね……)
幼馴染「展示するものはどうしますか?絵なのか研究発表なのか……」
「絵でいいんじゃないの?」
「そうそう。将来の夢とかそんな感じで」
幼馴染「それでいいんですか?」
副委員長「……」
幼馴染「はぁ……」
オタク(ま、こんなもんだよな……文化祭なんて……)
幼馴染「では、絵のテーマについては私と副委員長で決めてもいいですか?」
「大丈夫でーす」
幼馴染「わかりました」
担任「無難中の無難なものになったな。まぁ、がんばろう」
オタク「ふわぁぁ……」
オタク「かえろ……」
幼馴染「あ、ちょっと」
オタク「……」スタスタ
幼馴染「おーい」
オタク「……」スタスタ
幼馴染「こら」
オタク「……え?」
幼馴染「ちょっと待ってよ」
オタク「え?ぼ、僕……?」
幼馴染「こっち、こっち」
オタク「え?え?」オドオド
幼馴染「絵、上手かったよね」
オタク「……趣味で描いてるだけ、だけど……?」
幼馴染「じゃあ、手伝ってくれるとありがたいんだけど」
幼馴染「え?ダメなの?」
オタク(オタ絵しか描けないんだけど……)
幼馴染「ダメなら他の人に頼むけど」
オタク「……」
幼馴染「……」
オタク「い、いいけど……」
幼馴染「ありがとー!!たすかるよー」
オタク「……でも、俺よりも美術部の子とか誘ったほうが……」
幼馴染「やっぱり嫌?」
オタク「ううん……別に……」
幼馴染「なら、こっちにきて」
オタク「う、うん……」
幼馴染「副委員長も非協力的で、困っちゃうよ、ホント」
オタク「そ、そうなんだ……」
オタク「お祭りね……神輿とか描けばいいの?」
幼馴染「うんうん。もうどんな絵でも文句言わせないよー。みんなやる気なしだったし」
オタク「そう……だね……」
幼馴染「えっと……絵のサイズは―――」
オタク(こうやって話すのいついらいだ……?)
オタク(僕から話かけることは昔からなかった気がするなぁ……)
幼馴染「これぐらい……ってきいてるの?」
オタク「え?あ、うん」
幼馴染「ま、いっか。とりあえず下書きしよっか」
オタク「う、うん」
幼馴染「どんな神輿にするー?」
オタク「こ、こんな感じ……?」
幼馴染「おー!うまーい!昔から絵だけはよくかいてたもんねー」
オタク「ま、まあな……」
オタク「それだとバランスが……」
幼馴染「そうかなー?」
オタク「そうだって」
幼馴染「細かいなぁ……」
幼馴染「―――っと、ちょっとごめん。電話だ」
オタク「あ、ああ」
幼馴染「もしもし?え?ああ、うん。いいよ、またね」
オタク「……えっと、これでいいかな?」
幼馴染「ん?ええと……人の絵、可愛すぎない?」
オタク「だ、だめなら……他の人に……」
幼馴染「いっか!こういう絵、最近多いし。人目は惹くかも」
オタク「お、おう……」
幼馴染「あとは色をどうするか……」
オタク(彼氏かな……聞いても大丈夫なのか……?)
オタク「あ、うん……」
幼馴染「よっと」
オタク「あ、この下書きもって帰る」
幼馴染「どうするの?」
オタク「僕なりにちょっと描き加えてみる」
幼馴染「え?」
オタク「じゃ、じゃあ……」
幼馴染「ちょっと、ちょっと」
オタク「な、なに?」
幼馴染「昔馴染みだからって頼んだのはあるけど、流石にそこまでさせられないって」
オタク「いいって……僕も納得できないし」
幼馴染「あ、待って」
オタク「それじゃあ……」
幼馴染「家の方向、一緒でしょ。せっかくだし一緒にかえろーよ」
オタク(ど、どうして急に……)ソワソワ
幼馴染「そういえば、久しぶりだよねー。こうやって並んで帰るの」
オタク「あ、ああ……うん……」
幼馴染「中学は一回も同じクラスにならなかったし、部活もやってたし……」
オタク「そ、そうだね……」
幼馴染「そだ。お邪魔じゃなかったら今からアンタの家に行ってもいい?」
オタク「え……?」
幼馴染「書き加えるんでしょ?」
オタク「そ、そうだけど」
幼馴染「じゃあ、いくよ。おばさんの手料理も久々に食べたくなったし」
オタク「そ、そう……」
幼馴染「あれ?だめ?」
オタク「い、いや……いいけど……急だったから」
幼馴染「じゃ、行こう!いぇーい」
オタク「ど、どうぞ……」
幼馴染「お邪魔しまーす。アンタの部屋は変わってないの?」
オタク「え?あ、えと……」オロオロ
幼馴染「そっちも久しぶりだし、みたいなー」
オタク「あ、だめ……。ちらかってるから」
幼馴染「わかったぁ、Hな本とかあるんでしょー?」
オタク「な、ない!!」
幼馴染「またまたー、キョドッちゃってかわいいー」
オタク「リビングでも描けるだろ」
幼馴染「まーねー」
オタク「……」ドキドキ
オタク(もしかして……もしかして……俺のこと……)
幼馴染「アンタの家の匂い、なつかしー」
オタク「そう……」
オタク「僕的には……」
母「ただいまー」
オタク「おかえり」
幼馴染「おばさん、お久しぶりです」
母「あらー!!久しぶりねー!!今日はどうしたの?デート?」
オタク「な、なにいってんだよ!!」
幼馴染「おばさんの手料理が恋しくなって」
母「そうなの?わかったわ。すぐに準備するから待ってて」
幼馴染「はぁーい」
オタク「もう……」
幼馴染「おばさんは変わってないね」
オタク「3年で変わるほうが驚くだろ」
幼馴染「そっかー。私たちの3年は長いけど、大人にとっての3年は短いのかなー?」
オタク「ほら、早く描こうよ」
幼馴染「やっほー!!からあげだぁ!」
母「からあげ定食。おかわりもあるからね」
幼馴染「いただきまーす!!」
オタク「……いただきます」
母「そっか、文化祭の準備で」
幼馴染「そうなんですよ」
母「昔はよく遊びにきてたのに、中学に入った途端見なくなったから、息子が振られたのかと思ってたわ」
オタク「おい」
幼馴染「あはは」
母「この子、まだ彼女の一人もできたことなくてねー」
幼馴染「えー?マジー?」
オタク「うるさいな。どうでもいいだろ!」
母「この子、内気だから気の強い女の子がいいと思うのよね」
幼馴染「あ、それわかりますー」
幼馴染「私ですか?」
オタク「……」ピクッ
幼馴染「いやー、生憎といないんですよね」
オタク「え……」
母「あら、意外」
幼馴染「好きな人はいるんですけど、中々振り向いてくれなくって」
オタク(それって……前、廊下で……話していた……。それとも……僕……?)
母「きっと振り向いてくれるわよ。可愛いんですから」
幼馴染「ありがとうございます」
オタク「……」
幼馴染「ん?どうしたの?」
オタク「え?」
幼馴染「からあげもーらい」ヒョイ
オタク「あ、こら!」
母「いいのよ。まさか洗い物までしてくれるなんて、助かったわ」
オタク「……」
幼馴染「それじゃあ、明日も放課後残ってもらうけど、いい?」
オタク「う、うん……」
幼馴染「それじゃあね」
母「こら」
オタク「え?な、なんだよ?」
母「送っていきなさいよ」
オタク「え……いや……」
母「ほらほら」
オタク「あぁ、やめろよ!!」
幼馴染「なに?送ってくれるの?」
オタク「う、うん……仕方なく……」
幼馴染「ありがと。じゃあ、よろしくね」
幼馴染「ねえねえ」
オタク「え?」
幼馴染「彼女、ホントにいないの?」
オタク「……悪い?」
幼馴染「ふーん。好きな人は?」
オタク「今はいない……」
幼馴染「そっか……。というか、彼女欲しいって思ってる?」
オタク「ま、まぁ……」
幼馴染「あっそ……」
オタク「なんだよ?」
幼馴染「いや、なんでも。じゃ、ここでいいよ」
オタク「あ、ああ……気をつけて」
幼馴染「じゃね。今日は本当にありがとう!たすかったよー!!バイバーイ!!」
オタク「お、おう……じゃあ……バイバイ……」
オタク「あ、やる?」
幼馴染「もちろん。はよはよ」
オタク「う、うん……」
幼馴染「まぁ、大まかなデザインはできたし、あとは色かなぁ」
オタク「色かぁ……」
幼馴染「じゃーん。色鉛筆~」
オタク「用意いいな」
幼馴染「こっちが頼んだんだし、これくらいわね」
オタク「そっか……」
幼馴染「さて、背景は―――」
オタク(昔もこうしてよく二人でお絵かきとかしてたな……)
幼馴染「―――昔はよくこうして二人でお絵かきしてたね」
オタク「なっ?!」
幼馴染「え?なに?私、変なこといった?」
オタク(同じこと考えてたのか……)ドキドキ
幼馴染「でも、私はへたっぴだったから、いつもアンタにバカにされてたんだよねー」
オタク「そ、そうだっけ?」
幼馴染「そうそう。それでよく喧嘩もしたしさー」
オタク「全然、覚えてない……」
幼馴染「えー?ひどー」
オタク「ご、ごめん」
幼馴染「ふふ、別に気にしてないって。というか私も今思い出したし」
オタク「それって小学生ぐらいのとき?」
幼馴染「うんうん。幼稚園のときなんかもう毎日のように遊んでたよねー」
オタク「ああ。そうだったかも」
幼馴染「ホント、よくあきなかったよねー」
オタク「そうだね……楽しかった」
幼馴染「ここは何色にしよっか?」
幼馴染「いやぁー、今日は捗ったー」
オタク「おう」
幼馴染「ありがと。これであとは大きな台紙を用意して……」ブツブツ
オタク「……あ」
幼馴染「どしたの?」
オタク「いや、なんでもない」
幼馴染「ん?」
オタク「そ、それより、今日も家に寄ってく?」
幼馴染「いやいや。今日はお邪魔する理由がないし」
オタク「そ、そっか」
幼馴染「じゃ、またね」
オタク「う、うん」
幼馴染「バイバーイ」
オタク「バイバイ……」
テレビ『しゃららぎさん』
テレビ『僕はそんな輝きそうな名前じゃない』
テレビ『すいません、噛みました』
オタク「……」
オタク「明日はどんな話ができるかな……」
オタク「……昔……アイツ……」
幼馴染『おおきくなったらわたしを―――』
オタク「あ、いやいや。覚えてるわけないし……」
オタク「こんなこと言ってもキモイだけ……だな……」
オタク「アニメ、アニメ……」
テレビ『世の中はあららぎさんのように女児に興奮する人ばかりですね』
テレビ『僕がスタンダードみたいにいうな。あと、僕は女児に興奮はしない、と思う』
幼馴染「おーい」
オタク「お―――」
幼馴染「ちょっと買い物に付き合ってくれない?」
「いいけど、何買うの?」
幼馴染「文化祭でいるものー」
「はいはい」
幼馴染「あとでバイト代はらうからー」
「じゃあ、炭酸ね」
幼馴染「オッケー」
オタク「……」
オタク「そっか……昨日でだいぶ、進んだもんな」
オタク「……帰ろう」
オタク「……」スタスタ
オタク「今日は何しようかな……」
幼馴染「いたいたー」
オタク「……」
幼馴染「無視するなってば」
オタク「え?」
幼馴染「はい、携帯だして。持ってるでしょ?」
オタク「な、なんで?」
幼馴染「なんでって知らないと不便じゃない?お互いに知らなかったの思い出して」
オタク「あ、ああ……うん……」
幼馴染「―――よっし。それじゃあ、またメールするから」
オタク「う、うん……」
幼馴染「バイバーイ」
オタク「バイバイ……」
オタク(やった……)グッ
オタク「……」ポチポチ
オタク「よし……」ドキドキ
オタク「……」ピッ
オタク「はぁ……送っちゃった……」
オタク「試しに送っただけだし、別に……大丈夫だよな……」
オタク「……ゲームしよっと」
オタク「―――ダンガイオーを使うしかないな」ピコピコ
ピリリリ
オタク「きた……」バッ
オタク「……」ドキドキ
携帯『とてもいまHな気分なの。今すぐ、ここにアクセスしてね』
オタク「……消去」
オタク「……」ピコピコ
テレビ『サイキック・ざぁぁぁん!!』
オタク(結局、メールは返ってこなかったな)
オタク(やっぱり、キモかったのか……?)
幼馴染「おっはよ」
オタク「はぁ……」
幼馴染「おっはよぉ!!!!」
オタク「うわぁ!?」
幼馴染「どうしたの?」
オタク「あ、おはよう」
幼馴染「メール、ちゃんと届いたよ」
オタク「あ、そう」
幼馴染「私のメールは届いてない?」
オタク「いや、ない」
幼馴染「うっそ?―――あ、ごめんね。エラーになってた。はい、今送ったよ」
オタク「あ、うん。来た。ちゃんと届いたよ」
オタク(放課後、手伝ってね……か……)
オタク「……」ニヤニヤ
「だからさぁ」
図書委員「ここで話しかけないでって……」
オタク「……」チラッ
オタク(なんだ喧嘩か……?)
オタク(こんなところで恥ずかしいやつらだなぁ)
図書委員「ほら、他の人も見てるから」
「ちっ……」スタスタ
オタク「……」
オタク(リア充どもめ、爆発しろ……)
オタク「……」
オタク(でも、僕も放課後は……リア充……チョロ充ぐらいか……?)
オタク「……」ニヤニヤ
オタク「……よし」
幼馴染「ごめんね。また残ってもらって」
オタク「いや、全然」
幼馴染「このサイズの紙にあの絵を描くことになるけど、どれぐらいで完成するかな?」
オタク「丁寧にやっても文化祭までには十分間に合うと思う」
幼馴染「そっか。よーし」
オタク「とりあえず、鉛筆で下書きを―――」
副委員長「手伝いにきたぜー」
オタク「え……」
幼馴染「やっと会心したの?」
副委員長「先生に怒られた」
幼馴染「当たり前。私一人に任せるとかないって」
副委員長「何が一人で、だよ。二人でやってんじゃん」
幼馴染「そういう問題じゃないってば」
オタク「あ、えっと……このデザイン画を見ながら下書きを……」
副委員長「ふーん。なんだこれ。オタクっぽい絵だな」
オタク「……っ」
副委員長「ちょっとキモくね?」
オタク「……」
副委員長「もしかして、これお前が―――」
幼馴染「文句は私が許さないから」
副委員長「え?」
オタク「え……」
幼馴染「一生懸命、みんなの為に描いてくれたの。この絵でいく」
副委員長「でも……」
幼馴染「じゃあ、貴方がこのデザインを超える絵を描いてきて。それから決めるから」
副委員長「わかったよ。これでいいよ」
オタク「……」
幼馴染「ごめん。気は悪くしないでね」
オタク「う、うん……大丈夫」
幼馴染「よし、やろっか。どうせ今日は下書きも終わらないだろうし」
オタク「う、うん」
幼馴染「私、ここからー」
副委員長「こうか……?」
オタク「……」
オタク(俺のこと……気遣ってくれた……)
オタク(もしかして……いや……)
幼馴染「おいこら、手が止まってる」
オタク「あ、ごめん!!」
幼馴染「しっかりー、あはは」
オタク「あはは……」
幼馴染「あー、あんまり進まなかったね」
オタク「そ、そうだね」
幼馴染「まぁ、まだあと二ヶ月弱あるし大丈夫だよね」
オタク「うん。それに……」
幼馴染「それに?」
オタク「追い込みかけるなら……残ればいいだけ」
幼馴染「えー、きっついなぁ」
オタク「僕も残るし」
幼馴染「いいの?今でも結構、迷惑かけてると思うけど」
オタク「いや。僕のことは気にしないで」
幼馴染「そう?なら、めーいっぱいあまえちゃおっかなぁー?」
オタク「え?」
幼馴染「えへへ、よろしくね。せんせっ」
オタク「う、うん……まかせて」
オタク「アルフィミィ……かわゆす……」
ピリリリ
オタク「……!」バッ
携帯『今日もありがとー。これからは連日のように作業するからできるだけ手伝ってくれると嬉しいよー』
オタク(手伝うに決まってるじゃないか……)ポチポチ
ピリリリ
携帯『ありがとー!!文化祭が終わったらきちんとお礼するからね』
オタク「別にいいのに……」
オタク「……」ニヤニヤ
テレビ『ちょっと気持ち悪いですの……』
テレビ『なんだと?!』
オタク(あれからもう一ヶ月か……)
幼馴染「ふんふーん」ヌリヌリ
オタク(絵もかなり完成してきたな……)
副委員長「あ、そろそろ部活いってくる」
幼馴染「はーい」
副委員長「悪いな。また、明日」
オタク「うん……またね」
副委員長「おう!」
幼馴染「余裕だね。あと三週間もあるし」
オタク「そうだね……」
オタク(でも、この絵が完成したら……)
幼馴染「ここは赤だねー」ヌリヌリ
オタク(もう……)
幼馴染「この分だと、あと一週間ぐらいでどうにかなりそうだね」
オタク「……そっか、あと一週間か」
幼馴染「なに?嬉しくないの?」
オタク「え?」
幼馴染「もうこんな遅い時間に帰る必要なくなるにー」
オタク「そうだね……」
幼馴染「あ、それともー?私と話せなくなるのが嫌なのー?」ニヤニヤ
オタク「そ、そうじゃない!!」
幼馴染「あれ?違うんだ。がっかりー」
オタク「え……」
幼馴染「じゃ、またね」
オタク「う、うん……」
幼馴染「バイバーイ!!」
オタク「……」
幼馴染「じゃ、今日もやっちゃうかぁー」
副委員長「なあ、俺、いらなくね?」
幼馴染「なんで?あと一週間ぐらいで出来上がるし、いけるって」
副委員長「でもなぁ……俺も、試合近いから……」
幼馴染「30分だけじゃない。それに常勝の名門でもないのにー」
副委員長「てめぇ!!」
幼馴染「はいはい。口を動かさす、手をうごかしましょー」
副委員長「お前が動かせたんだろうが」
幼馴染「ふははー、お前は私の操り人形だー」
副委員長「やめろ、こら。糸はどこだ」
幼馴染「あはは」
オタク「……はは」
オタク(もう……完成しちゃうな……こうして放課後に話す機会はなくなる……)
副委員長「……」
幼馴染「んー」
オタク「……」ヌリヌリ
副委員長「なぁなぁ」
オタク「え?」
副委員長「トイレ、いきたくないか?」
オタク「え?べ、べつに―――」
副委員長「いいから」
オタク「あ……」
幼馴染「あ、せんせいまで連れていくのー?」
副委員長「まぁ、いいだろ?」
オタク「ご、ごめん」
副委員長「―――なんか最近、落ち込んでるよな?なんかあんの?」
オタク「え?」
副委員長「俺の勘違いならいいんだけど、色を塗るスピードが極端に落ちてないか?」
副委員長「そうか……気のせいか。完成に向けて慎重になってるだけ?」
オタク「そうそう」
副委員長「なーんだ。そっか、そっか」
オタク「うんうん……」
副委員長「アイツのこと気になってるだろ?」
オタク「な、なんで?!」
副委員長「わかりやすいなぁー。お前、ウチの部に入ってたら100%いじられてるぞ?」
オタク「うぅ……」
副委員長「なんか幼稚園からずっと一緒なんだって?」
オタク「中学では疎遠になってたけど……」
副委員長「告れよぉ」
オタク「いや、向こうには好きな人がいるみたいだし」
副委員長「へえ……。そうなのか」
オタク「そもそも、好きとかそういうんじゃないし……」
オタク「う、うん……」
副委員長「……」
オタク「……」トボトボ
幼馴染「あ、おかえりー」
オタク「ただいま」
幼馴染「さ、やっちゃおう」
オタク「うん」
幼馴染「ここは青~」ヌリヌリ
オタク「……」
オタク(今が一番楽しい)
オタク(それでいいじゃん……)
オタク(そうだ……。どうせ俺は……一生……彼女とか……)
オタク(できないだろうし……)
幼馴染「おかえり」
副委員長「……じゃあ、おれはここを……」スタスタ
オタク「……」ヌリヌリ
幼馴染「らんらーん」
副委員長「……」
オタク「ここ、黄色で」
副委員長「ここか」ヌリヌリ
オタク「あ、ちがうよ!!」
副委員長「え?マジ?」
幼馴染「あー!?なに失敗してるのー?!」
副委員長「悪い悪い」
幼馴染「あーあー……結構派手に塗っちゃったね……」
副委員長「修正、時間かかる?」
幼馴染「かかるよ。気をつけてよね」
幼馴染「ちょっと!?」
副委員長「わりぃ!」ダダダッ
幼馴染「もう……」
オタク「大丈夫だよ上から貼りなおせば」
幼馴染「今日はこの作業で終わりになりそう……」
オタク「そうだね……あはは」
幼馴染「笑い事じゃないよ」
オタク「うん……」
幼馴染「ごめんね」
オタク「いいよ」
幼馴染「じゃ、やっちゃうかぁ」
オタク「うん」
幼馴染「あー、全然すすまなかったぁ」
オタク「そうだね」
幼馴染「全く……副委員長、アンタならよかったのに」
オタク「え……?」
幼馴染「真剣に取り組んでくれるから」
オタク「それは……」
幼馴染「ね、三学期は一緒にやらない?」
オタク「それは……」
幼馴染「私、委員長をやるのはそんなに嫌いじゃないの。それに……」
オタク「なに?」
幼馴染「アンタが補佐をしてくれるなら、私は嬉しいなぁ」
オタク「……!!」ドキッ
幼馴染「じゃ、またね」
オタク「あ、うん……また……」
オタク(あれって……やっぱり……そうなのかな……)
オタク(でも……彼女には……)
オタク「……」
ピリリリリリ
オタク「電話……?」
オタク「はい?」
幼馴染『ごめん!!言い忘れてたの!!』
オタク「なに?」
幼馴染『私、明日残れないんだ。だから、明日は中止でいいよ』
オタク「でも……」
幼馴染『アンタに任せるのは気が退けるから……』
オタク「……うん」
幼馴染『ごめん、それだけ。おやすみ』
オタク「おやすみ……」
オタク「中止か……」
オタク「……」チラッ
図書委員「……」
オタク(そういえば最近、あの彼氏っぽいヤツ見かけないな)
オタク(別れたのか……?)
図書委員「……ん?」チラッ
オタク(あぶない……目が合った)バッ
オタク「……」
オタク(今日はどうしようかな……はぁ……)
オタク(本、戻してこよ)
ガチャ
図書委員「あ……どうしたの?」
幼馴染「今日、放課後駅前ね。あと、これ返却ー」
「かえろー」
幼馴染「うんっ」
オタク「……」ガタッ
男「おっし、いくか」
幼馴染「おー」
オタク「……」
オタク(やっぱりアイツのことが好きなんだろうな……)
オタク「はぁ……」
副委員長「今日、作業中止だって。聞いたか?」
オタク「……僕はやるよ」
副委員長「な、なんで?」
オタク「少しでも進んでたほうが喜ぶだろうし」
副委員長「いいのか?」
オタク「早く完成させたほうがいいし……」
副委員長「やめようぜ。急ぐわけじゃないのに」
オタク「いいんだ」
副委員長「でも……」
オタク「……」ヌリヌリ
副委員長「じゃあ、俺も30分だけー」
オタク「ありがとう」
副委員長「……」ヌリヌリ
オタク「……」ヌリヌリ
副委員長「今日はペース、早いな」
オタク「そうかな……?」
副委員長「はやい。3倍ぐらい違う」
オタク「……」ピッピッ
オタク「……」
テレビ『ソーニャちゃぁぁん!!!』
オタク「……」
ピリリリ
オタク「……」バッ
携帯『そんなにやってくれたの?ありがとう!!』
オタク「……」
テレビ『おまえ、うざい!!』
テレビ『なにか~おこまりのようですね~?』
幼馴染「おっはよ!」
オタク「あ、うん」
幼馴染「やらなくていいっていったのに」
オタク「でも、早く終わらせたほうがいいかなって」
幼馴染「それはそうだけど」
オタク「……」
幼馴染「あ、そうだ。まだ、好きな人とかいない?」
オタク「え、あ、うん……いない……」
幼馴染「じゃあ、ちょっと話、聞いてほしいんだけど」
オタク「え……?」ドキッ
幼馴染「彼女、欲しいんだよね?」
オタク「あ、ま、まぁ……」ドキドキ
幼馴染「じゃあ―――」
オタク(これって……まさか……!!)
オタク「……」
オタク「はぁ……」
幼馴染『最近、私の友達でフリーになった子がいるんだけど、会ってみてくれない?』
幼馴染『きっと話も合うと思うから』
オタク(僕は……やっぱり……)
オタク(終わった……)
オタク「……」
ジャー
オタク「……」トボトボ
男「ふわぁぁ」
オタク「あ……」
男「え?」
オタク「あ、なんでも……ありません……」
幼馴染「会わなかったの?」
オタク「うん」
幼馴染「そっか。まぁ、急な話だもんね。いいよいいよ」
オタク「ごめん……」
幼馴染「でも、会ってくれると嬉しいな」
オタク「う、うん……」
副委員長「……」ヌリヌリ
幼馴染「その子もマンガとかラノベ……だっけ?ああいう小説も好きだって言ってたし」
オタク「……」
副委員長「なー、ここは何色だよー?」
オタク「み、緑だよ……」
副委員長「サンキュー」
オタク(もう……ずっと文化祭の準備が終わらなければいいのに……)
幼馴染「できた……!!!」
副委員長「こうして出来上がると、結構いいな」
オタク「う、うん……」
幼馴染「いえーい!!」
副委員長「やったな」
オタク「……」
幼馴染「あれ?どうかした?」
副委員長「……感動で声もでないんだろ」
幼馴染「おおげさー」
オタク「あはは。で、もう残らなくていいのかな?」
幼馴染「うん。今まで、ありがとう。ホントに助かったよ!!」
副委員長「俺も邪魔ばっかりして悪かったな」
オタク「ううん……別に……」
幼馴染「あとは文化祭をまつだけだー!!」
オタク「おわった……もう……きっと……」
オタク「……」
オタク「楽しかったなぁ……」
オタク「もう1回……最初からやり直せたら……」
オタク「……」
オタク「最初から……やりなおす……」
オタク「あの絵を……壊す……」
オタク「……」
オタク「そんなことしたらもう近くにはいられない……」
オタク「……友達でいられない……」
オタク「寝よう……」
幼馴染「おーい」
オタク「……」チラッ
男「よう」
幼馴染「明日はどうする?」
男「俺はクラスのヤツと一緒にまわることにした」
幼馴染「やっぱ、それがいっか」
男「お前も、えっと……あの、ずっと手伝ってくれてたやつと一緒に文化祭まわれば?展示だけだから、一日中フリーなんだろ?」
幼馴染「まぁね」
男「じゃあな」
幼馴染「んー」
オタク「……」トボトボ
ピリリリリ
オタク「メール……?」
オタク「……」
オタク「……」
携帯『明日、いっしょに文化祭たのしもうよー!!』
オタク「……」ピコピコ
テレビ『エゴだよそれは!!』
オタク「……」
オタク「……でも……僕は……」
テレビ『分が悪い賭けは嫌いじゃない』
ピリリリリ
オタク「……」バッ
携帯『私の友達も一緒にまわりたいってさー』
オタク「……」ピコピコ
テレビ『銃身が焼きつくまで撃ち続けてやる!!』
オタク「……」キョロキョロ
オタク(思わず逃げちゃった……)
オタク「……」
ピリリリ
オタク「……」バッ
携帯『どこー?』
オタク「……」
オタク「もういい……」
オタク「僕は……」
男「あれ?お前……」
オタク「あ……」
男「なにやってんだ?アイツ、さがしてんじゃねーの?」
オタク「いや……関係ないから」
男「アイツ、お前にすごい感謝してたぞ?今頃、恩を返したくてウズウズしてんじゃないか?」
男「おお」
オタク「あ、貴方こそ……どうして一緒にまわってあげないんだ?」
男「え?」
オタク「か、彼女だろ……?」
男「違う違う。中学校の部活仲間ってだけだ」
オタク「……え?」
男「今でも月に2回ぐらい同じ面子で遊んでるだけの仲。そりゃあ、中にはアイツのことが好きなやつもいるかもだが」
オタク「それじゃあ……」
男「俺はもう別に彼女いるしな。……よかったな」
オタク「……」
男「んじゃな」
「おせーぞ」
男「悪い悪い」
オタク「……」
オタク(でも……彼女はあいつのことを好きかもしれない)
オタク(それに僕はもう完全に脈なし……だし……)
オタク(意味ない……)
図書委員「あれ?」
オタク「あ……」
図書委員「どうも……」
オタク「……」ペコッ
図書委員「いたよー」
オタク「……え?」
幼馴染「あー、やっとみつけたぁ」
オタク「あ……えと……」
幼馴染「ま、丁度よかった。紹介したかったのは、この子。アンタのこと何度か見かけたことあるって」
図書委員「いつも図書室を利用してますもんね」
オタク「う、うん……」
オタク「え?」
図書委員「私の好きな本を読んでいるので、もしかしたら気が合うかなーって、思ってたんですけど」
オタク「そ、そうなんだ……」
図書委員「……」モジモジ
幼馴染「折角だし、二人でゆっくり読書の話でもしてみたら?」
オタク「え……」
図書委員「いいの?」
幼馴染「私は体育館で吹奏楽の演奏でも聴いとくから、終わったら来て」
図書委員「うん」
オタク「あ……」
幼馴染「バイバイ」
図書委員「あの……座りませんか?それとも、学校を回りながら……」
オタク「じゃあ、まわりなが、ら……」
図書委員「はい」
図書委員「ああ。強引に付き合わされていただけでなんです。すごく迷惑でした」
オタク「そう……なんだ」
図書委員「ちょっとしたことで怒るし、別れられてよかったと思ってます」
オタク「……」
図書委員「あの……楽しくないですか?」
オタク「あ、ううん……」
図書委員「……」
オタク「……えっと……」
図書委員「あ、何か食べますか?」
オタク「う、うん……そうだね……そうしよう……」
図書委員「どれにしましょうか?」
オタク「……」
図書委員「……」
図書委員「え?」
オタク「ぼ、僕……他に好きな……人が……いて……それ、で……」
図書委員「……そうですか。残念です」
オタク「ごめん……」
図書委員「いえ。私のほうこそ無理につき合わせてしまって」
オタク「そ、それじゃあ」
図書委員「はい」
オタク「……」スタスタ
図書委員「気が合いそうだったのに……」
オタク(やっぱり……僕は……)
オタク(彼女が好きだ……)
オタク(脈がなくても……このままじゃ……)
オタク(一生DTでもいい……この気持ちは……伝えたい……)
オタク(ずっと……ずっと……好きだったから……)
~~~~♪
幼馴染「……」
オタク「あの……」
幼馴染「え?」
オタク「話があるんだけど……いいかな?」
幼馴染「う、うん……」
オタク「こっちにきて」
幼馴染「ここじゃいえない話?」
オタク「無理……」
幼馴染「じゃあ……私たちのクラスにいこっか」
オタク「クラスに?」
幼馴染「展示だけだし、絵の後ろに隠れたら見えないし」
オタク「うん……じゃあ、行こう」
幼馴染「いいよ」
幼馴染「で、なにかな?」
オタク「……あの、覚えてる?」
幼馴染「なにを?」
オタク「卒園した日、僕の家で遊んだこと」
幼馴染「なんとなく……」
オタク「……その日のこと……最近、思い出して……」
幼馴染「……」
オタク「そこで……君から言われたことがあるんだ」
幼馴染「……なに?」
オタク「……」
幼馴染「……」
幼馴染「ねーねー」
オタク「んー?」
幼馴染「わたし、きめたの」
オタク「なにをー?」
幼馴染「わたし、けっこんするー」
オタク「だれと?」
幼馴染「んー」
オタク「僕と?いいのー?」
幼馴染「うん」
オタク「わーい」
幼馴染「おおきくなったらわたしをおよめさんにしてくれる?」
オタク「もちろんだよ」
幼馴染「やくそく」
オタク「やくそく」
オタク「うん」
幼馴染「それで?」
オタク「その日から、きっと……その……」
幼馴染「うん……」
オタク「君のことが好きになってんだと思う……」
幼馴染「……」
オタク「……ずっと……好きだった……」
幼馴染「そっか」
オタク「……」
幼馴染「ありがとう」
オタク「……」
幼馴染「10年もずっと好きでいてくれて」
オタク「うん……」
幼馴染「―――でも、ごめんね。私はアンタと付き合えない」
幼馴染「嫌いとかじゃないし、むしろ好きだよ?」
オタク「……」
幼馴染「アンタとは一緒にいて楽しいって思う……」
幼馴染「だけど……好きな人がいるの」
オタク「……そっか」
幼馴染「ごめんね……」
オタク「ううん……分かってたから……」
オタク「僕なんかじゃ……君と付き合えないのは……」
幼馴染「そんなこと……」
オタク「僕には可愛い幼馴染がいる……」
オタク「それだけだから……」
幼馴染「……」
オタク「じゃあ、バイバイ」
幼馴染「うん……バイ……バイ……」
オタク「……」
副委員長「あ、一人か?」
オタク「……うん」
副委員長「部活の先輩がダンスするんだ。是非、見てってくれ」
オタク「うん」
副委員長「……」
オタク「……」
副委員長「……ハンカチとかティッシュ、もってないの?」
オタク「うん……」ポロポロ
副委員長「……はい。ポケットティッシュだけど」
オタク「ありがとう……」ポロポロ
副委員長「もっとレベルさげときゃよかったな」
オタク「そう……だね……」
副委員長「おつかれさん……」
オタク「……」
ピリリリ
オタク「……」バッ
携帯『激工口画像満載!!!!今すぐアクセス!!』
オタク「……」ピッ
オタク「……」
テレビ『キルミーベイベー!!どしたのわさわさ!!』
オタク「……つまんね」
オタク「あーあ……つまんね……」
オタク「……」
テレビ『なんでもなーみん!!』
担任「では、今期の委員長を決めたいと思う」
オタク「……はい」
ザワザワ……
担任「え……?やってくれるのか?」
オタク「はい」
担任「じゃあ……副委員長を……」
オタク「……」チラッ
幼馴染「……」
副委員長「あ、はい!!また俺でいいですか?」
担任「あ、ああ……いいぞ」
副委員長「どうも」
オタク「……」
担任「では、次の連絡事項だけど―――」
副委員長「おい」
オタク「ありがとう。君ならやりやすい」
副委員長「びっくりしたぞ」
オタク「なんか約束してたから……」
副委員長「約束?」
オタク「二人でやろうって。もしかしたら、手を挙げるかなって……」
副委員長「未練たらたらだなぁ!!」
オタク「だって10年も思ってきたんだから……簡単には……」
副委員長「ふーん……」
オタク「だけど、これですっきりできた。もう大丈夫」
副委員長「ならいいけど」
オタク「委員会あるって。いく?」
副委員長「勿論」
オタク「じゃ、いこっか……」
副委員長「これで最後な」
オタク「よっと……。全部、貼れた」
副委員長「おしまいか。んじゃ、帰るわ」
オタク「ありがとう」
副委員長「可愛い幼馴染がいるのって羨ましいとか思ってたけどそうでもないんだな」
オタク「僕には可愛い幼馴染がいる……いるだけで十分だったんだよ……きっと……」
副委員長「知り合いの女の子、紹介しようか?」
オタク「……いいよ」
副委員長「あ、そ。それじゃあな」
オタク「うん」
オタク「……さ、僕も帰ろう」
オタク「帰ったら撮り溜めたアニメと、ゲーム……しよっと」
―――バイバイ。
FIN
乙
楽しませてもらったよ
オタクが不憫すぎる