後輩「なんと言いますか、わたし焦っちゃって」
後輩「先輩と付き合ってるからごめんなさい、って言っちゃったので」
後輩「……ええ、他に思いつかなかったですし。仲のいい男性も」
後輩「飲み物奢りますから、なにか言われたらテキトーに受け流して下さいね!」
後輩「空きますよね、おやつの時間ですもんね」
後輩「なので先輩は、これからコンビニでお菓子を買ってくると思うのです」
後輩「そのときわたしのもお願いしますね!お金は後で渡しますので」
後輩「……なんですか、わたしが手作りのお菓子を持ってきたとでも思ったんですか?」
後輩「まぁ……そのうち食べさせてあげましょう」
後輩「思わずお金を払いたくなるクオリチーのお菓子を!」
後輩「わたしの教室四階ですし、窓際の席なんで、プール見えるんです」
後輩「そうやって制服着てるともやしみたいなのに、意外と筋肉あるんですね」
後輩「……いや、まさか裸眼では見えませんよ。双眼鏡です双眼鏡」
後輩「いえ、別に注意とかされませんでしたよ?ええ、本当に」
後輩「まさか映画館で、隣の席になるとは。あ、キャラメル味ですけど食べます?」
後輩「そっちは塩味ですか、少しいただきます……」
後輩「……で、先輩はお一人ですか?高校生が?恋愛映画を?」
後輩「え、がわたしですか?一人ですよ?いけませんか?」
後輩「人と来るより気楽ですしね」
後輩「……は?ない?持ってない。若い男子が一冊も?」
後輩「あ、もしや紙媒体ではなく映像の方ですか?あるいはゲーム」
後輩「……お金の無駄って、まぁ女子から見るとそうですけど」
後輩「あ、わかった!ネットで見てるんでしょう!」
後輩「……よく躊躇いなく、スマホを人に渡せますね」
後輩「確かに画像もブックマークも普通ですけど……あ、このプリクラなんですか先輩」
後輩「あっちょっ先輩!!逃げてもスマホ持ってるのわたしですし、意味ないかと!!」
後輩「あ、先輩あれでプリクラ撮りましょプリクラ」
後輩「古い機種なんで変な修正入らないんですよ。いえ、来る前に友達に教えてもらったんですけどね?」
後輩「……ちょっと、友達の存在を疑わないで下さいよ、まったく……」
後輩「次クレーンゲームしましょう!……そっちはアームの爪真っ直ぐですから駄目ですよ」
後輩「そっちは景品がゴムに引っかかるようになってるので、こっちのやりましょう」
後輩「……いえこれも、友達に聞いたことなんですけどね?わたし今日久し振りに来ましたし。小学生以来ですし」
後輩「ご覧の通り、わたしは皆さんよりか長めにしてるんですけど」
後輩「ただでさえ防御力が低いのに、短くしようだなんて正気とは思えません」
後輩「たとえ隣のクラスの女子に笑われようと、卒業まで短くする気はありません」
後輩「……なんですか、長い方がロマンがあるって」
後輩「あの、ちょっと、気持ち悪いのでこっち見ないで下さい」
後輩「……ええ、先輩が雨の中泳いでる姿は見たことありますけどね」
後輩「うちのクラスは、わたし以外の女子が文句を言ったため……」
後輩「わたしは好きですからね、水泳。得意ですし。やりたかったですけど」
後輩「制服の下に水着着てきたんですけどねー残念です……」
後輩「見ます?見たいですかわたしのスク水姿!?……あの、少しくらい興味を抱いてくれてもいいんじゃないですかね……」
後輩「いや、見たいと言われても見せるつもりは皆無でしたけれども。釈然としません」
後輩「用事があるならまずメールで教えてくれればよかったのに……」
後輩「クラスメイトの視線が痛かったですよ、先輩って中の上程度に人気ですし」
後輩「いや、来たことには怒ってませんよ、むしろ喜んでますよ、ええ」
後輩「ただほら、心の準備がですね……」
後輩「そんな高いところじゃないですよー。星が見たいんです、星が。登山がしたいわけではなく」
後輩「プラネタリウムくらいなら一人で行けるんですが、流石に本物の星空を一人で見ると死にたくなりそうで……」
後輩「あっいいんですか!?やったぁっ!ありがとうございます!!さっすが先輩優しいですね!」
後輩「ええ、ええ、では近いうちにメールで予定を合わせましょう」
後輩「……あー、楽しみだなー……」
後輩「……なにそれ、じゃないですよ!この間、ゲーセンで先輩が取ってくれたマスコットです!」
後輩「このうさぎのキャラクター好きなんですよわたし!可愛いですよね」
後輩「先輩も可愛いと思いますか!カバンに付けたいと思いますか!よね!思いますよね!!」
後輩「そうでしょうそうでしょう、意外と可愛いもの好きですものねぇ先輩って。わたしとかどうです?カバンにぶら下がりますよ?」
後輩「……まぁそりゃ、マスコットに比べたらそうですけど女子に対して重いとはなんですか!」
後輩「傷ついたので、この後ゲーセンに行きましょう。……何が『ので』なのかは気にしなくていいんです」
後輩「今度はわたしが色違いを取って差し上げましょう!先輩がカバンにつければお揃いですおーそーろーいー!」
後輩「大会で優勝だなんて、運動部やその他文化部でもなかったですよね」
後輩「つーわけでチェスしましょチェス。買ってきたので」
後輩「……いえ、わたしはルール知りませんよ?でも先輩は知ってそうです、なんとなく」
後輩「あ、やっぱり知ってるんですね、さすがです。じゃあ教えて下さいな」
後輩「……そんなめんどくさがらないでくださいよー割と高かったんですよー?ほらほらっ」
後輩「大して仲良くない人達と無理に食べてるような子よりは寂しくないですよ」
後輩「好きでもない人にどう思われようが気になりませんし。会話しないから分かりませんしねー」
後輩「……え、いや、先輩はいつも数人の友人と食べてますよね?女子二人と男子三人」
後輩「なんで知ってるかはいいんですよ。……別に気を遣わなくていいですって」
後輩「まぁ、そんなに言うのなら、わたしは全然構わないというかばっちこいって感じですけど……」
後輩「じゃあ、明日、中庭でい、一緒に食べましょうか……ええ……」
後輩「これはもしかしてチャンスなのではないだろうか」
後輩「割と筋肉質な身体をまさぐったり?恋人握りしてみたり?」
後輩「ひ、膝枕してもらったり?抱きついちゃったりしちゃったり?」
後輩「後はえーとえぇーっと……ひゃっ!」
後輩「せ、先輩起きたんですか起きるなら起きる前に起きると一言いただきたぁって寝てる……」
後輩「か、肩に頭を乗せてきおるぞこの先輩……ひょえぇぇ……」
後輩「キャーっていうよりひょえぇぇ……」
後輩「いえ、変なことは書いてませんよ?フツーに、『お嫁さん』なんですけど」
後輩「誰のっていうわけではないんですが、まぁ要するに若いうちに専業主婦になりたいということですよ」
後輩「ちなみに、三年生である先輩の希望進路はなんです?……ほぉ、地元の国立大ですか。堅実ですね」
後輩「じゃあ、わたしもそこを書いときます。……わたしは文系ですが、何故に?」
後輩「あ、理系学部ばかりなんですか。じゃあ、わたし明日から理系になります」
後輩「なんて顔してるんです。まだ十分間に合いますし大丈夫ですよ。え、そういうことじゃないならなんです?」
後輩「……なんですか、目ぇ逸らしちゃって。変な先輩ですね」
後輩「ふふふんふふふんふふふふ……先輩、いるならさっさと入ってくればいちじゃないですか何ドアの前に突っ立ってるんですか」
後輩「いつからいたんですかどこから聞いてたんですかわたしが気づかないからって黙ってるだなんて酷いです」
後輩「数学の宿題やってただけですよ、それで口元が寂しかったので聴き覚えのある歌を呟いてたんです」
後輩「良いじゃないですかわたしが少女漫画原作のアニメ観てたって……」
後輩「ご機嫌取りはいいのであっち行ってて下さい。……あー喉が渇いたなー」
後輩「あ、先輩、ビックルでお願いします」
後輩「わたしは、台風でテンション上がるかどうかだと思います。ひゃっほーい!」
後輩「お昼食べたら帰れますね!ところで先輩の家って、確かわたしが乗る駅の近くですよね」
後輩「あー、乗ってる途中で電車が止まったら怖いなー、困るなー」
後輩「……本当ですか!?わーいっじゃあ遠慮なくお邪魔させてもらいますね!あ、つまらないものですが手土産はありますので」
後輩「いえいえ、流石にお泊りするわけには行きませんから、風が弱まった頃に父に迎えに来てもらいますよ」
後輩「台風ばんざいですねっ!」
後輩「地理の先生は飛んでますよね、ネジが。断層について一時間弱、授業と関係のない熱弁をされていました」
後輩「……先輩が先生になったら、どうなるんでしょうね。生徒受けはよくても先生受けが悪い感じになりそうです」
後輩「そして先輩は職員室内のいじめにより鬱になり休みがちに。その事で生徒と接する機会も減り、生徒受けも悪くなって……」
後輩「……なんてことにはならないと思いますけどね。先輩、メンタルは弱くとも鈍いですから」
後輩「女の子を泣かせるタイプですね。うえーんっ!……ちょっと、引かないで下さいよ」
後輩「ちょっとした感動を覚えたんですが、すぐに解けちゃって残念でした」
後輩「疲れてるときになるんですよね、金縛りって。先輩はなったことあります?」
後輩「……あー、ストレス溜め込みそうですもんね、先輩って。ストレス源のわたしが言うことじゃないですが」
後輩「またまたぁ、いいんですよ正直に言っちゃっても。わたし泣きますけど。人が来ても何も言いませんけど」
後輩「いやいや先輩、いつもの冗談ですって。せーんぱーい!」
後輩「まぁ実際に人気なのは、メンダコとかダイオウグソクムシとか、魚じゃないのばっかですけど」
後輩「先輩はなんとなく、ホウライエソ好きそうです。……あ、好き?あら、あらあら」
後輩「わたしはヌタウナギが好みですねー。ぬめぬめした食べ物とか好きですし」
後輩「皮も丈夫で、黒柳徹子さんもヌタウナギの皮製品をお持ちだとか。わたしもいつかほしいです」
後輩「そのためにはちゃんと勉強しなきゃ、ですね」
後輩「いえ、第一志望の『お嫁さん』なら、甲斐性のある旦那様に誕生日に買ってもらっちゃったりできそうですけど」
後輩「……いえまあ、子供もつくれないほど貧困でなければ、愛があればいいって思ってますけどね」
後輩「いえほら、明日から連休じゃないですか。生八つ橋とか、期限早いですし今日渡せるなら渡そうかと」
後輩「そうですよぅ、バスから降りたところから駅近かったですけど、わざわざ学校まで来て上げたのです、感謝して下さい」
後輩「……先輩もよくまだいましたね。まさかわたしを待ってたなんてことはないと思いますが」
後輩「おかげで徒労にならずに済みました、感謝してあげましょう」
後輩「……も少しいるならここで食べていきます?お茶も入れますから、ちょっと修学旅行の愚痴聞いて下さいよー」
後輩「ほら、わたし友達いないので、よくあるぼっち班に入れられたんですけど…………」
後輩「夢にまで出しゃばってくるとは、意外に目立ちたがり屋さんなんですか?」
後輩「……なんか、無駄に爽やかですね。何でしょう、別にわたしの理想の先輩像というわけでもないんですけど」
後輩「そんな落ち込まないで下さいよ。理想ではなくとも、夢の中の先輩も先輩なので問題ないです」
後輩「どんな先輩でもわたしは、ほら、受け入れますからね」
後輩「……言いませんよ、しませんよ。夢で言ったって、覚めてから恥ずかしくなるだけですし」
後輩「いつか現実で言ってやるんですからね、首を洗って待ってて下さい」
後輩「」
後輩「……あら、意外に遊んでるんですね。受験大丈夫なんですか?まぁ以前見せてもらった成績的に、あまり心配なさそうですが」
後輩「友人が多いとお出掛けも多くなるんですねー。……ええ、わたしもよく出掛けますけど?」
後輩「なんですか、そんなに変ですか。前に会いましたけど映画を観に行ったり?科学館や水族館行ったり?してますけど?」
後輩「ええまあ一人でですけど?お一人様というやつですけど?何か?問題でも?」
後輩「……まー先輩がどうしてもって言うのなら、先輩の服を選ぶくらいお付き合いして差し上げましょう」
後輩「さ、じゃあ行きましょ。早く行きましょ。部室なんて閉めちゃいましょ。ささ!」
後輩「わたしは好きですよ。雨音を聴きながらする読書は最高です。今度何か、お貸ししましょう」
後輩「……あ、先輩。花壇にキノコが生えてますよ。美味しそうですね、取りましょうか」
後輩「大丈夫ですよ、あれはヒトヨタケっていって食べられるキノコなんです。食べてアルコールを飲むと悲惨なことになるらしいですけど」
後輩「わたし達はお酒飲めませんから、問題ないですね。……飲んだことなんてないですよ、わたし真面目ちゃんなので」
後輩「え、先輩はアルコール全然ダメなんですか、意外です。消毒用でも赤くなるって大変ですねぇ」
後輩「成人したら先輩と一緒に酔っ払いたかったですけど……美味しいジュースを飲むことにしましょうか」
後輩「はは、先輩、わたしとの予定がどんどん増えていきますねっ!忘れないで下さいね、ちゃーんと」
後輩「あるあるですよね、裸眼だと思ってた人がある日眼鏡で現れてビックリするのって」
後輩「それで先輩、どうです?眼鏡装着ヴァージョンのわたしは。似合います?」
後輩「ふふふ、お世辞でも嬉しいです。……先輩は、それ、裸眼ですよね?」
後輩「ちょっとわたしの眼鏡かけてみます?サイズは大丈夫なはずですし。ほら、動かないで……」
後輩「……よしっ!あ、まだ外しちゃダメですよ?カメラ起動するまで待ってくださ……あっちょっと!」
後輩「眼鏡したまま逃げないで下さい!わたしも先輩も視界不良じゃないですか!危ないですって!!」
後輩「高校生でもまだ子供、ふざけていて転落する危険もありますし」
後輩「わたし達は役得ですねー。部活で使うことができますから。下見や点検という名目で、こうしてお昼ご飯も食べられます」
後輩「にしてもやっぱ、高台にあるだけあって眺めがいいですね!双眼鏡でも設置したら展望台になりそうです」
後輩「あ、トンビが飛んでますよ先輩、ほらほら……ちょっ!ミートボール取らないで下さいよ好物なのに!」
後輩「……唐揚げですかぁ。いえ、好きですけどね、ミートボールと比べますとね……あーん」
後輩「あ、美味しい……。あーん補正もありますけど、まぁチャラにしてあげましょう」
後輩「……も一個食べます?先輩、ほら、口開けて、あーん」
後輩「あんなに防御力の低い短いスカートを履いて、風を受けるだなんて正気の沙汰とは思えません」
後輩「うちの学校の前の坂、朝歩いているとですね。男子はともかく女子までも、立ち漕ぎしていますよね」
後輩「自転車を漕ぐたびにお尻が上下して、スカートがひらひらひらひらしてる様はもう、えっㄘぃです」
後輩「それでピンクや水色、あるいは白色の布がその奥に見え隠れなんかしてたらもう恥ずかしいじゃないですか」
後輩「なんで見てる側が恥ずかしがらなきゃいけないんだと思いますけども」
後輩「奥の布が見えないなら見えないでモヤモヤして、ちょっと前屈みになっちゃったり、しませんか?」
後輩「……しませんか、そうですか。肯定されたら距離を置かなきゃいけないところでした、よかったよかった」
後輩「背が高くてスリムなわたしと違って、ちっちゃい割に出るとこ出てる方でしたね。ねぇ先輩」
後輩「……ほぅ、クラスメイトですか。そういえば、先輩がいつもお昼を一緒に食べてる女子の内の一人に似てた気がします」
後輩「にしても先輩、二人きりでお出かけとは随分仲がいいんですねー先輩。先輩もしかしてあの方とお付き合いしてるんですか?」
後輩「へぇ、してないんですか。付き合ってもない異性と一緒にケーキを食べに行くんですか、最近の高校生というものは」
後輩「いえいえ別にわたし、ケーキが食べたいわけじゃないですよ?勘違いしてもらっては困ります」
後輩「……ふぅーん、相手から誘ってきて断れなかったと。へぇー」
後輩「何を必死になってるんですか、別にわたし怒ってませんって。わたしはただ聞いただけじゃないですか」
後輩「別に先輩とお付き合いしてるわけでもないですから、先輩がどこのどなたとキャッキャウフフしてても気にしませんよ」
後輩「……あー、唐突ですいませんけどちょっと体調が優れないので今日はこの辺で帰らせてもらいますね」
後輩「一人で大丈夫ですよ、ご心配ありがとうございます。ではさようなら……」
後輩「……むぅ、大丈夫って言ってるのに……」
後輩「ええあの、体調が優れないというのはお昼ご飯を忘れたせいで空腹だったというだけでして、はい……」
後輩「……………………不ニ家は嫌です。いっぱい食べたいので、あの、スイパラの方が……」
後輩「ひとつはウチワサボテンでしてね、ええ、ほら、食用になるって聞いたので食べてみたいなぁと」
後輩「調理方法とかまだ調べてないんですけど、そのうちお弁当に入れて持ってくるので先輩にも食べさせてあげますねっ!」
後輩「後はですね、知ってますか?食虫植物。ええ、ムシトリソウとか有名ですよね」
後輩「違いますよ、うちのは。ほら、スマホで写真撮ってるんですけどね……ね!綺麗でしょっ?」
後輩「モウセンゴケって種類なんですけど、このキラキラしてるので虫を取って栄養にするんですよー」
後輩「うち、蚊がよく出るんですけどね。意外とモウセンゴケが働いてくれまして今年は数が少なかった気がします!」
後輩「先輩も興味湧いてきました?きましたよねっ!実は先輩にも育ててもらおうと思って持ってきたんですよっ!」
後輩「……あら、意外に喜んでますね。ふふふ、嫌がられて押し付けることになるだろうと思ってましたけど、この分ならちゃんと可愛がってもらえそうです」
後輩「わたしがわかりやすーく!育て方をまとめましたから。これ見て頑張って、下さいねっ!」
後輩「意味なんてないです!勢いさえあればそれでいいのですっ!」
後輩「海ですよ、ほらほら先輩!そこそこ青い海!パラソルがいっぱいの砂浜!そして水着の美少女ことわたし!!」
後輩「ほらほら先輩、今は陽射しキツイのでパーカー着てますけどぉ。水着パーカーってのもいいんじゃないでしょうか!」
後輩「……あのぉ、パラソル立てたりしてくれるのは嬉しいんですが、もう少しリアクションしてくれると嬉しいのですが」
後輩「……あれあれ?目ぇ逸らしちゃって、もしかして照れてるんですか?わたしが眩しくて直視できないんですー?あっるぇるぇー?」
後輩「せんっぱい、可愛いところあるじゃないですかーほれほれーうりうりー」
後輩「あっちょっとどこ行くんですかー?上着羽織ってるからって、日焼け止め塗らないと焼けるところは焼けちゃいますよー先輩ー!」
後輩「女は男より痛みに強いとか言いますけど、よく痛みを味わうというだけで痛いものは痛いですからね」
後輩「たとえば電車が混んでたとか、朝コーヒーを飲まなかったとか、そんなことで起きる上に薬もなかなか効きませぬ」
後輩「わたしの機嫌が悪いときは偏頭痛で苦しんでると思って労ってください、先輩」
後輩「……あ、あの先輩、今は痛くないので、その、はい……あ、でも別に嫌というわけでは……」
後輩「…………むふん、人に頭を撫でられるというのはなかなかよろしいですな」
後輩「先輩もなでなでしてあげましょうか、なでなで。あ、ほらほら逃げない逃げない!」
後輩「ゲームを少しやっただけで、大好きってほどでもないんですけど、たまたま近くを通ったので寄ってみたんですけどね」
後輩「いやはや驚きました。まさか、子供よりも大人の方が多いとは」
後輩「平日だったんですけどね、ええ、テストで午前中で終わった日です。彼等はお仕事が休みだったのでしょうか、そう思いたいですけど……」
後輩「……ええ、結局、座布団を買いましたよ。ほら、なんでしたっけ……そうそう、マッギョだ」
後輩「今度部室に持ってきましょう。わたしのお尻で潰れてきてますけど、可愛らしいですよ?」
後輩「曰く、『合法的に女子高生にセクハラができるから』だそうですけど」
後輩「生殖の辺りのことを言ってたんだと思いますけど、案外女子もノーリアクションですけどね」
後輩「わたしはむしろ遺伝のところに反応してしまいましたよ」
後輩「時たま何故だかBとLが使われたりしてましたよね。BとLがそれぞれホモ接合とか、字面がかなりアレですよね」
後輩「おっと失礼、今多分、わたしの面がアレでしたね。先輩に引かれてしまいます。……ちょっと、距離開けないで下さいよ」
後輩「違いますよ、違いますからね?わたしそういうの興味ないですし見たこともありませんし。……ほんとですって!」
後輩「そうですね、およそ二十分ほど待ちましたね。いえ、別に先輩は時間通りに来ましたからね、いいんですよ?」
後輩「ただほら、わたしみたいな、プリティーでキュアキュアな年下の女の子とですよ?水族館ですよ水族館」
後輩「するとですね、先輩みたいなムッツリな方はですよ?夜なんかもう、ドキがムネムネで眠れないはずじゃないですか」
後輩「そして朝も、寝つきが悪かったにもかかわらず、日も登らぬ内に、鼻息荒く目を覚ますはずなのですよ!」
後輩「そしてじっとしていられなくなり、予定の一時間前には待ち合わせ場所に着いて、後から来たわたしに『今来たとこだよ』って言うもんなんです!」
後輩「いや、今言われても知ってますよ!?先輩がのんびり歩いて来てたの、こっから見えてましたからね!」
後輩「はぁ……先輩、昨日何時に寝られましたか?……あら、受験生なのに日付変わる前に寝られるなんて流石ですね」
後輩「それて起床は?……はぁ、五時。散歩に行って?ラジオ体操したと。……老人かっ!」
後輩「あのあの、あの!そんなに早く起きたなら、予定より少しくらい早く来ようとか思わないんですか!?」
後輩「……むぅ、先輩ってば朝型なんですか。夜せずに朝勉強してるんですね……なら仕方ないですけどー……」
後輩「ですけどー、お誘いして来たの先輩ですしー、わたしウキウキだったんですけどー……はぁー……」
後輩「…………はぁあぁぁあぁー……チラッチラッ」
後輩「あっ先輩、急に動かれると追いつけませんー!ははは、腕組んでると実に動き辛いですねぇ。……いや、解きませんけど?」
後輩「……むう。そんなクールな反応されたらこっちがはずかしいじゃないですか」
後輩「あーもうだめです。傷付いちゃいました。私もう傷付いちゃいましたー」
後輩「んー、なんかあれですねー。甘いものが食べたいですねー! ケーキ的な?? 喫茶店的なところの??」
後輩「……えっ、連れてってくれるんですか? やったぁ!」
後輩「……ん? なんか言いましたか先輩?」
後輩「うわあ、そういう時はなんでもなーいってごまかすのが男でしょう?」
後輩「はい? やだなぁ先輩知らなかったんですか?」
後輩「女の子って、概ね理不尽なんですよっ♪」
後輩「さぁ、先輩、そうと決まればちゃっちゃか行きましょうちゃっちゃか!!」
後輩「そうですかそうですか、結構です。大変結構ですっ」
後輩「じゃっじゃじゃーん!!」
後輩「……なんですかその顔。お弁当ですよ、お弁当」
後輩「二つ作ったので、ご一緒にいかがですかー、と」
後輩「いやぁ、最近料理にハマっておりまして!!」
後輩「新作料理を詰め込んだこのお弁当の実験台になって頂きたくお持ちした次第です!!」
後輩「……ふぇっ? だ、大丈夫に決まってるじゃないですかっ!! 味見くらいしてますし!!」
後輩「もう、しょうがない先輩ですねー。……んー。どれがいいです?」
後輩「……お、お目が高いですね先輩っ。私の自信作であるから揚げを選ぶなんてっ!」
後輩「それではそれでは……あ~ん♡」
後輩「ちょ、先輩、照れないで下さいよ!! こっちも恥ずかしくなるじゃないですか……」
後輩「全くもう……それではあらためまして、あ~ん♪」
後輩「……こら、意外そうな顔しないで下さい。おいしいでしょう?」
後輩「うむ。素直でよろしいです。それでは、ご飯を食べに行きましょうかっ!」
後輩「寒いですっ!! ていうかなんで暖房ついてないんですかこの家!?」
後輩「こ、壊れてるぅ……!? うう、そんなぁ……」
後輩「せんぱぁ~い、勉強したくても手ぇかじかんで動きませんよぅ……」
後輩「……ところで先輩、私、ホットなココア的なものが……」
後輩「ぅひゃんっ!?」
後輩「……いっ、いきなり不意打ちでっ!! 手ぇ握らないで下さいよっ!! なんなんですかもぉ!!」
後輩「へっ!? い、いや、確かに暖かいですが……体温高いんですね、先輩」
後輩「……そうだ先輩、胡坐かいて、背筋伸ばしてください」
後輩「そうそう、それでいいです。それでは……よいしょ」
後輩「……おお、暖かいですね、いい座椅子です」
後輩「はい? いえ、手を握らせて一部分を温めてもらうくらいなら全体的に暖めてもらおうと思いまして」
後輩「あ~、すごいいい感じな温度ですよせんぱぁい……」
後輩「ところで先輩、ココアはまだなんです?」
後輩「なんでって……これですよ、ほら」
後輩「テーレッテレー! 耳かき~!!」
後輩「いえ、先程勉強に飽き…休憩してた時に発掘しました」
後輩「まあまあ、細かい事はお気になさらず♪」
後輩「まあとにかく、来てくださいほら」
後輩「おお、なんか征服感がありますね…」
後輩「へ? ……大丈夫に決まってるじゃないですか! やったことは無いですけど、適当にコリコリしてればいいんですよね?」
後輩「はいはい、今更逃げようとしても遅いですよ~。えへへ~」
後輩「それではそれでは。後輩、参りますっ」
後輩「あっ」
後輩「いや、ほんとに反省してますよ私。ほんとに。あぶそりゅーてぃーです」
後輩「まさか適当に耳かき突っ込んだら周りの皮膚抉るとは思わなかったんですってぇ」
後輩「あわわ、先輩、怒ると血が! 血がー!!」
後輩「……はい、先輩。大人しく私の膝に寝てください。血を拭いますから」
後輩「うわあ、真っ赤っかですね……先をほぐした綿棒を使ってと……」
後輩「…………はい、これで多分大丈夫ですよ多分」
後輩「えっと、あの……先輩、ほんとにごめんなさい……おわびになんでもしますから……」
後輩「う……わかりました……今度、心を込めてさせていただきます……うう……」
後輩「えっと、先輩…どうしてもやらなきゃ、駄目ですか?」
後輩「うぅ、わかってます……私のやったことですもん、責任は取りますよ……」
後輩「えっと、じゃあその、一回部屋を出てもらって……良いって言うまで中を見ちゃダメですからね!!」
後輩「フリじゃないですからね! ぜぇったいに、駄目ですよっ!?」
後輩「だぁっ、さっさと出てってくださいよ先輩!!」
後輩「ぉ、お、おおおお……」
後輩「お帰りなさいませ、ご主人様っ!!」
後輩「…………ちょちょちょ先輩っ!? 無言でカメラ構えないで下さい撮らないで下さいぃぃぃ!!」
後輩「うう……なんで私がメイド服を……ていうかなんで先輩持ってるんですかこんなもの……」
後輩「わ、わざわざ買ったんですか!? なにゆえ!? ほわーい!?」
後輩「ふぇっ? ……そ、そんなに楽しみだったんですか?」
後輩「……な、なら仕方ありませんね。期待されたら応えるのがワタクシ後輩でございます!!」
後輩「それではご主人様、お席にどうぞー♪」
後輩「駄目です駄目です、ここここっちにも心の準備というものがあるんです!!」
後輩「せ、せめてパンツの色を確認してから……ってあれ?」
後輩「ね、ねて……る?」
後輩「い、一体何が……はっ!!」
後輩「まさか……うわああ……」
後輩「やっぱこのチョコレート、ウィスキーボンボン……先輩、アルコールに弱いって本当だったんですか……」
後輩「……悪いのはこっちだけど、釈然としないです……」
後輩「そしてここは私の家……」
後輩「お、お母さんに見られたら、とんでもないことに……っ!!」
後輩「ちょっと先輩、失礼します……って重っ!!」
後輩「ふひゃあああああっ!!」
後輩「はぁ…はぁ……な、何とか抜け出せました……ってお母さん!?」
後輩「ま、待って!! 勘違いしちゃらめぇ!!!!」
後輩「お、襲ってなんかないよっ!! もう、お母さんのばかぁ!!!!」
後輩「あ、ほんとですか?よかったぁ……」
後輩「あの、良ければなんですけど、勉強教えていただけません?」
後輩「ちょっと今回の期末マジでやばいんですよ……具体的には英語と数学が……」
後輩「先輩、英数強いじゃないですか。だからご協力を仰げないかなぁと思いまして……」
後輩「……うう、耳が痛いです……え?」
後輩「ほ、ほんとですか!? ありがとうございます!!」
後輩「このご恩は期末が終わってから一時間くらいは忘れませんってジョークですジョークです帰ろうとしないでくださいすいませんでしたほんとすいません」
後輩「……それでは先輩、土曜日に私の家に来てくださいね!!」
後輩「うわああああああああああああああ!!!!!!」
後輩「さ、誘っちゃったよおおおおおおおおお!!!???」
後輩「だ、大丈夫大丈夫、勉強を教わるだけ……」
後輩「……そう考えるとちょっと凹むです…………」
後輩「…………よし」
後輩「目指せ、赤点回避ー!! 同時に先輩の心ゲットォォォ!!」
後輩「…………ハッ…………ここ、がっこー……」
後輩「あ、あははー……すいませーん……」
後輩「はぁ……」
後輩「いよいよだぁぁぁぁっ!!」
後輩「いや落ち着くのです後輩15歳……素数を数えて落ち着くのだ……」
後輩「アイン…ツヴァイ…ドライ……なんか強くなれた、そんな気がします」
後輩「もうすぐ、先輩がこの家の門戸を叩くのです。最後にもう一度確認セ・ネバ」
後輩「髪の毛よーし、服装よーし、お金を払いたくなるようなクオリチーの手作りお菓子よーし……ついでに勝負下着もよーし」
後輩「えーと、あとは……ピースフルッ!!??」
後輩「も、もう来たっ!!」
後輩「なにきょろきょろしてるんですかー……何度も来てるでしょう?」
後輩「……ふーん、そういうものなんですかー。どうぞ上がってください先輩っ」
後輩「どぞどぞ、今日明日って親は出張なので、リビング行きましょう」
後輩「……今日、家に親いないんだ♪」
後輩「……ぷっくく、顔赤くしないで下さいよ先輩♪」
後輩「ふっああああああ! すいません調子乗りましたッ!!」
後輩「……はい、コーヒーですね! りょーかいですっ」
後輩「お砂糖とミルクは…なしで。おっけーでーす」
後輩「ふぇ? いえいえいえいえ、座っててくださいよ、悪いですし!!」
後輩「そうです、そうやっておとなしくお座りして私のお茶を待っていればいいのです!! 犬のようにねすいません拳骨は勘弁して下さアダァッ!!」
後輩「あ、なるほど。この公式を使って……こうかっ」
後輩「よぉし、これでどうですかっ!!」
後輩「…………正解ですか? やったー!」
後輩「ありがとうございます、これも先輩のお蔭で――――ふにゃ!?」
後輩「せ、先輩? あの、いきなり頭撫でるのは、ちょっとびっくりするかなーって……」
後輩「べっ、別にやめろなんて言ってないじゃないですか!」
後輩「さぁ、私をもっと撫でて褒めるのです!! 私はほめられて伸びるタイプなんですからね!!」
後輩「…………ぇへへっ」
後輩「はい? この歌ですか?」
後輩「友達が授業中に口ずさんでたのがみょーに頭に残ってて……っはい?」
後輩「あれー? 聞き間違いですかー? いま友達いたの? とかいう不名誉な罵声が飛んできたような気がしますねぇ!」
後輩「そんなこという悪い子には、今日のお菓子は無しです。ええ、お金を払いたくなるようなクオリチーのお菓子は、私一人で食べちゃいますもんねーっだ」
後輩「…………ふん? ふふん? 聞こえませんねぇ、もっと大きな声でっ」
後輩「ふふーん、先輩にも困ったものです。今回だけは特別に見逃してあげますよっ」
後輩「じゃ、先輩。お茶入れるの、手伝ってください♪」
後輩「…………。だ、大丈夫だと思います。多分。恐らく?」
後輩「ま、まぁ問題ないでしょうっ」
後輩「それでは先輩、今日はありがとうございました! 」
後輩「明日もよろしくお願いしますね!! えっへへ」
後輩「あ、お見送りしますよー……」
後輩「ア、アルェ?」
後輩「……先輩。私の目がおかしくなっていないのであれば、大空から今年初めて見るクラスの勢いで雨粒が落ちてきてるんですが」
後輩「なんかさっきから雑音が聞こえるなと思ったら雨音だったんですね……これ、帰れなくありません?」
後輩「いや! いやいやいやいや!? 走って帰ろうとするとか無茶な事はやめてください!? ていうか早く家の中に――――みぎゃああああああああっ!!!!」
後輩「……いえ、とりあえず落ち着くためにネタに走るのが私です」
後輩「さて先輩。おうちにご両親は。そして車はあるのですかっ?」
後輩「無い。ふむ……つまり……」
後輩「お泊り確定ですね!!」
後輩「いえいえ、遠慮する事ないですよ? 幸い冷蔵庫の中はパンパンです。冬眠前の熊さんのお腹のようにいっぱいつまってます」
後輩「洋服は……お父さんのを使えばいいでしょう。うむ。何の問題もないじゃないですかぁ」
後輩「え、なんでそんなに泊めようとして来るのかって?」
後輩「そんなの……決まってるじゃないですか……//////」
後輩「さっさと結論出して、シャワー浴びる為ですよっ! ふぇ、えっぷしゃん!!」
後輩「……? 何見てるんです?」
後輩「ははーん、まさか……風呂上りで濡れ髪の私のセクチーな魅力に魅了されてしまいましたね? ふふふーん」
後輩「……………………あの」
後輩「あの、先輩? ジョークで言ったことにそこまで顔赤くされちゃうと、こっちがはずかしいんですけど……」
後輩「あっこら先輩!! 家の中は走っちゃダメですよ!! ちなみにお風呂場は突き当りを右です!!」
後輩「………………」
後輩「……えっへへぇ」
後輩「はう~~っ……こんなにうれしいものですか……!」
後輩「これは想像以上に……キますね……っ」
後輩「……先輩…………」
後輩「大好き、ですよ」
後輩「うむうむ、ですよね。それではそろそろ勉強を切り上げまして、ご飯にいたしましょう!!」
後輩「先輩、何か食べたいものありますか?」
後輩「なんでもいいって……それが一番困るんですがっ」
後輩「む……カレーですか。いえ、大丈夫ですっ。ルーはあるです」
後輩「それじゃ、作ってくるので先輩は……え? 手伝ってくれるんですか?」
後輩「……えっへへ、わかりました。一緒に作りましょー、先輩っ」
後輩「チキンですね、わっかりましたぁ! じゃあ、先輩はこの玉ねぎみじん切りにしてくださいなっ」
後輩「えへへっ、それにしてもあれですねぇ……」
後輩「こうしてふたりで料理してると、新婚さんみたいじゃないですかっ?」
後輩「……? せんぱ……にゃああああっ!?」
後輩「アイエエエエ、ナンデ!? 玉ねぎ真っ赤ぁっ!?」
後輩「ちょ、先輩っ! 大丈夫ですかっ!? 指っ、指出してくださいっ!!」
後輩「ん、はむっ……ちゅ、れる、ちゅぴっ、じゅるるっ」
後輩「ん、あ、ふ、んんんっ……ぷはっ、どうです、血は止まったでしょう!」
後輩「なに指じっと見て突っ立てるんですかっ! 早くリビング行ってばんそーこー貼ってきてくださいっ!!」
後輩「じゃじゃーん! 後輩特製チキンカレーでーす!!」
後輩「むふふ、おいしそうでしょう」
後輩「ちなみに血まみれのたまねぎは捨てましたんでご安心くださいなっ」
後輩「そういえば切り傷は平気ですか? ……そうですか、よかったですっ」
後輩「…………なんか顔赤いですけどだいじょうぶです?」
後輩「ははーん、まさか……」
後輩「エプロン姿でカレーを持つ私の姿に母性的な魅力を感じちゃってますねぇ?」
後輩「……なんです、あからさまにホッとしたような顔して」
後輩「まぁいいです。あったかいうちにたべちゃいましょー!」
後輩「いえ、その……起きていらっしゃるようならお話ししたいなー…と」
後輩「あ、ありがとうございます! えっへへ」
後輩「コーヒーでも淹れて、ゆっくりおはなししましょー……ひぅっ!?」
後輩「……え? いやいや、そ、そんなことはないですじょ?」
後輩「……先輩には敵いませんね……。そーです、私雷苦手なんですよ……」
後輩「いつも? ……言わなきゃダメです?」
後輩「えっと、その……おかあ、さんに……」
後輩「笑わないで下さいよばかぁ!!」
後輩「……いえ、なんでもないです」
後輩「すごい雨だなーと思いまして」
後輩「そうですねぇ……さっき見たニュースでも今年最大の豪雨とか言ってましたもんね」
後輩「…………先輩」
後輩「えっと、あの。……雨、止みませんね」
後輩「……えっへへ、わからないならいいんです」
後輩「いーえ? 何でもありませんよ? ふふっ」
後輩「それより先輩、寒いのでもう少しそっちに行ってもいいですか?」
後輩「んゅ……いー…におい……?」
後輩「なんだろ……いつもより……あったかくて……きもちい…」
後輩「……………………」
後輩「ダイタラクシィィィィィィッ!!??」
後輩「せせせせんぱぱぱぱあばばばばばば」
後輩「なぜなのですかー!? ゆめなんですかー!?」
後輩「ととと、先輩を起こしてしまいます……Year , be coooooool…………」
後輩「おーけー、私はクールdeath。状況を整理しまshow」
後輩「あ、大体わかりましたわ。私、先輩にもたれかかったままで寝ちゃったんですね……」
後輩「そうですよね、話しの後半、もう先輩意識殆ど飛んでましたもんね……」
後輩「……もうちょっとだけ、先輩の傍で、寝かせてもらいましょう」
後輩「……先輩、抱き心地いいですね……ふぁぁぁ~……」
後輩「いまご飯作ってるので、ちょっと待っててくださいね!!」
後輩「あ、和食ですけど大丈夫ですか? パン派だったりしませんか?」
後輩「なんでもいい…えへ、先輩らしいですねっ」
後輩「ふんふふんふふーん♪」
後輩「う? なんです、じっと見て」
後輩「っ、べ、別に先輩にご飯作ってあげることが嬉しいなんてわけないですからね!?」
後輩「完全に恋人同士だなぁなんて思ってないですっ! ないですからっ!!」
後輩「…………ハッ、私、墓穴掘った……?」
後輩「もきゅもきゅ……う? なんれふかひぇんぱい?」
後輩「んくっ、ハムスターみたい?」
後輩「これは光栄ですねぇ…ハムスターみたいに可愛いって事ですね? むふー」
後輩「ではでは、その小動物的可愛さを持つ私の頭を撫でる事を許しましょう!!」
後輩「あっ、っこら、逃げないで下さい!! 食事中にトイレに立っちゃ駄目ってお母さんに教わらなかったんですかー!!」
後輩「……えと、こう、かな」
後輩(あっ、ここはせんぱいにおそわったとこだ……)
後輩「……よし」
後輩(公式を当てはめて……)
後輩「できたできた……」
後輩(先輩、ありがとうございますっ)
後輩「お礼に今度お菓子作ってあげよ」
教師「こら後輩、テスト中だ、私語は慎め」
後輩「あ、さーせん」
後輩「いやぁ、ありがとうございましたほんとうに!!」
後輩「お蔭でこの通り、赤点なしですっ!!」
後輩「お礼にこれ、手作りのお菓子ですっ! どうぞお納めくださいませ!!」
後輩「ところで先輩はテストどうだったんですか?」
後輩「うっわ、高得点だらけじゃないですか……ちょっとひきますわー」
後輩「あっ、ちょ、嘘嘘、嘘ですからっ! でこをぴんしないでくださひゃんっ!」
後輩「…………はーい、反省してマース」
後輩「あ、してますっ! めっちゃ反省してまうひぃっ!」
後輩「……と、あれ誰だろ?」
後輩「ふわあ……美人な人だなぁ……」
後輩「――――ファッ!?」
後輩「だ、だ、だ、抱きつい……」
後輩「せ、先輩も振りほどかない……」
後輩「これが示すことはつまり……」
後輩「…………」
後輩「……帰ろ……グスッ」
後輩「……先輩」
後輩「いえ、真面目な話をしにきました」
後輩「あの、ですね……」
後輩「こ、このまえショッピングモールで一緒にいた女性って……誰、なんです?」
後輩「……はい、偶然見かけまして……」
後輩「だ、抱きついてて、しかも先輩も、それを振りほどかないので……」
後輩「ひくっ、こ、恋人、なんです、か……グスッ」
後輩「や、やっぱり……もう会わない方がいい……ぇぐ、ですか?」
後輩「嫌……嫌です……」
後輩「先輩、私なんでもしますからっ! だから、だからっ!」
後輩「たとえただの後輩でも先輩の傍に……いさせて…………くださ…いっ」
後輩「………………………え? お、お母さん?」
後輩「え、いや待ってください? 確かに私は先輩のお母さん見た事ありませんけど……」
後輩「!? そのスマホのプリクラの相手もお母さんなんですかぁ!?」
後輩「ほんとだ……え、じゃあ……全部……私の……かん…ちが……」
後輩「…………。」
後輩「う、うにゃああああああああああああああああああああああああああ!!??」
後輩「せ、先輩のあほー!!ばかーーーーーーッ!!!!」
後輩「大好きですよこの馬鹿先輩ーーーーーーッ(走り去る)」
後輩「なんと言いますか、わたし焦っちゃって」
後輩「先輩と付き合ってるからごめんなさい、って言っちゃったので」
後輩「……ええ、まあ、ほんとのことですしねっ」
後輩「えへへ、先輩、大好きですからね?」
完
引用元: 後輩「わたし昨日、告白されたんですよ」