美少女「うん!」
潔癖俺「……このおにぎりってまさか」
美少女「梅とおかかと鮭だよ! 早起きして一生懸命にぎったからいっぱい食べてね!」
潔癖俺「ひぃっ!」
美少女「お弁当じっとみつめちゃって、そんなにうれしい?」
潔癖俺(なんか手製弁当って独特の変なにおいするから嫌なんだよなぁ…)
潔癖俺(つーかお茶も水筒の2人で飲むのかよ…ペットボトルでいいじゃん)
美少女「どしたの? 食べないの?」
美少女「いただきまーす!」パク
美少女「はい、あーん♪」
潔癖俺「……」
潔癖俺(箸の使い回しだと…?)
潔癖俺「……や、やっぱ俺腹いたいから…」
潔癖俺「……」
美少女「そ、そう…」ガッカリ
美少女「…ごめん…あんまり美味しそうじゃないってことだよね」
潔癖俺「…」
美少女「全部手作りしたらよかったかな」
潔癖俺「ん?」
美少女「ごめんね。実はこのおかずとこっちのやつ…冷凍食品チンしただけなんだ…てへへ」
潔癖俺「いっただっきまーすwwwwww」パクパク
美少女「……」
美少女「え…あの、こっちの煮付けとか…ハンバーグとか…頑張って作ったよ」
潔癖俺「……」
美少女「お、おいしいよ? ママに教えてもらった秘伝のレシピだもん自信ある」
美少女「あーん♪」
潔癖俺「う…急に腹が…食い過ぎたか…げほっ、げほっ」
美少女「お茶飲む?」コポコポ
潔癖俺「お、悪いな」
潔癖俺(最初のひとくちなら大丈夫だな)
美少女「あつあつだから気をつけてね。ふー…ふー…」
潔癖俺(あ、もう飲めねぇや)
美少女「う、うん…行ってらっしゃい」
自販機「ガタン」
潔癖俺「やっぱ飲みもんは自販機のペットボトルに限るな」グビグビ
潔癖俺「あの馬鹿なんで水筒もってくるかねぇ」
潔癖俺「いい歳してラッパ飲みしろってか? あつあつの茶を滝のように流し込めってか」
潔癖俺「コップなんて1回使ったら雑菌うようよじゃねぇか」
潔癖俺「ふぅ。帰るか」
美少女「いらっしゃい!」
潔癖俺「ういっす」
女母「いらっしゃい俺くん。いつもこのこがお世話になってます」
潔癖俺「いえいえ。お邪魔します」
潔癖俺(うわこの家玄関きたなっ)
潔癖俺「そういえば今日晩飯どこいく? レストランとかいまからでも予約するか?」
美少女「あ、それね。お母さんが気合いれてつくってたよ! 楽しみにしてて」
潔癖俺「え………(絶望)」
美少女「わーおいしそう」
女母「大皿にたんまりおかずつくったから、好きなだけ食べてね俺君!」
女父「遠慮しなくていいからな!」
女弟「俺兄ちゃん俺の隣すわってよ! ゲーム教えて!」
美少女「もー。俺くんに懐きすぎだよ。ご飯だからゲーム置きなさい」
女弟「はぁい! いただきまぁす!」
潔癖俺「…(手洗えよ! 手洗え!手洗え!!手手!手!)」
潔癖俺「あの、ところで俺の箸は」
美少女「あ、うん。そこの箸入れから好きなのとって使って! どれでもいいよ!」
潔癖俺「は…?」
潔癖俺「え…(よりにもよって塗り箸かよ…)」
潔癖俺「わ、わりば…わりば…し」ガクガクガクガク
女弟「俺兄ちゃん早くたべないとおかずなくなるよ!」パクパク
潔癖俺「……」
潔癖俺(この大皿のおかずをみんなでつっついて食べろと!?)
潔癖俺(しかもおかず同士が触れ合ってていろいろ一緒くたになってるじゃねーか)
美少女「おいし~♪」
女母「気合いれたもの♪」
女父「母さんの料理は最高だな♪」
潔癖俺(こいつらマジか)
女弟「トイレ? うんち?」
女母「ちょっとあんた。食事中でしょ」
美少女「つれてってあげる!」
潔癖俺「え…」
美少女「こっちこっち!」
~トイレ
潔癖俺(洋式か……当然だよな…。装備に便座クリーナーなし…となれば)
潔癖俺(もしものために家から持ってきておいてよかったぜ)スッ
潔癖俺(これを使ってトイレ内を軽く清掃しよう)
潔癖俺(あとはペーパーを3重に便座に隙間なく敷けば完璧だ!)
ぶりぶり!
潔癖俺(次は割り箸ももちあるかねーとな)
潔癖俺「あ、あぁ……ま、まぁな」
美少女「俺くんもっと食べるとおもったけど。うちの家族に囲まれて緊張して喉通らなかった? うふふ」
潔癖俺「そういうことかもしれないな…」
潔癖俺「いずれお義父さんとお義母さんになるんだからな」
美少女「もーそういうこというーw まだ気が早いよー」
潔癖俺(俺もこの家きて若干心揺れるわ)
美少女「ねぇ、今日泊まっていくよね?」
潔癖俺「ん、あ、あぁ…そうするつもりだったが」
美少女「とまっていきなよ!」
潔癖俺(帰りたくなってきた…便座クリーナーもうないし…トイレいけねえ)ショボン
美少女「えっと、来客用のお布団あるよ」
潔癖俺「ひぃっ!」
潔癖俺(来客専用!? ということはいままで有象無象の奴らが 使 用 済 み!?)
美少女「どうしたの? 結構ふかふかで寝やすいよ」
潔癖俺「お、俺は外でビジホにでも…明日また合流しよう」
美少女「もう、俺くんはいちいち遠慮しなくていいの!」ピタッ
潔癖俺「…ッ!」ザワ
潔癖俺「く、くっつくな!」
潔癖俺(触れただけで鳥肌が…)
美少女「ふふふ、照れてる照れてる」
潔癖俺「い、いやというか…」
潔癖俺(無理)
美少女「じゃ…パパとママには内緒で、私の部屋で…一緒に寝ちゃう? なんちゃってーー、あはは」
潔癖俺「……」ゾク
美少女「ほんとにいいよ? せっかくだしさ…。ね?」
潔癖俺「……」
美少女「う、うん///」
潔癖俺「最後にベッドシーツと掛け布団カバー洗ったのいつ」
美少女「んーっと、4日くらい前? カバーはわかんない。なんで?」
潔癖俺「…」
潔癖俺(想像しただけで吐きそうになってきた)
美少女「むぅ…年頃の女の子の匂い嗅ぎたいくせにぃ。はずかしがってんじゃないぞーこのこの」ツンツン
潔癖俺(はわわ…)
美少女「じゃあお風呂あがるまでに考えておいてね!」
美少女「あ、お客さんの俺くんが最初がいいかな?」
潔癖俺「おう! 風呂なら俺が最初に入ります!!!!」
美少女「そっか!」
潔癖俺(湯船は使えないな。シャワーでいいか)
潔癖俺(風呂場のタイルきたねぇ…踏みたくねぇ…しかたないか。先に洗浄しておこう)
潔癖俺(シャンプー、ボディーソープチェック……容器に軽い水垢…だめだなこりゃ、詰替えして何度も使ってそうだ)
潔癖俺(無添加の石鹸があればいいんだが…)
潔癖俺(お、あるじゃないか。これにしよう)
ごしごし
潔癖俺「ふぅ…一日の雑菌どもよ死に絶えろ」
潔癖俺「よし…軽く全身の水をきって…」
潔癖俺「!!!! しまった! バスタオルがない!!」
美少女「てへへ、私のだけど、綺麗に洗濯してるから!」
潔癖俺「…!?!?」
潔癖俺「あ…ぐっ、ぁ…が…」
潔癖俺「あいつの使ったバスタオル…このほのかに生臭い匂い…」
潔癖俺「おそらく洗濯後すぐにお天道様の下に干さずに、雑菌を繁殖させたな…なんという洗濯意識の低さ」
潔癖俺「あああああああ」ごしごしごしごし
潔癖俺「耐えろ…耐えてくれ俺の体…!! 」
女父「おう。気持ちよかったかい」
潔癖俺「え、ええ…最高でした」
女父「では、次は俺が…」
美少女「べー! パパは最後! パパのあとなんてやだもーん」
女父「…」ショボン
潔癖俺(人間はよ…若い女のほうがきたねぇんだよ)
潔癖俺(お義父さんにあやまったほうがいいぜ)
美少女「えへへ。お部屋でまっててねー俺くん♪」
潔癖俺「ああ」
潔癖俺「なんて部屋だよ…ドアを開けた瞬間の匂いでKOされそうだ」
潔癖俺「これが女の部屋か…地獄だな」
潔癖俺「結界が貼られているかのように体が前にすすまん…ゔうぶっ」
潔癖俺「しかもなんだこの微妙な散らかり方は」
潔癖俺「マイルールに従って物が配置されているのかもしれないが。整理整頓とは程遠い…」
潔癖俺「やべぇ…掃除してぇ…でも一切ものに触りたくねぇこのイライラ感」
潔癖俺「よし…廊下で待とう」
女母「あら。俺君なにしてるの。遠慮せずにあの子のお部屋にいていいのよー」
潔癖俺「あ、はい…(絶望)」
潔癖俺「ん…もう朝か?」
美少女「何言ってるの。まだ私お風呂あがったばっかりだよ」ふきふき
潔癖俺「そ、そうか…早くドライヤーで乾かしてこい」
美少女「ねーなんで床に転がって寝てたの。眠かったらベッドつかいなよ」
美少女「私のベッドだからって遠慮しないでよ///」
潔癖俺「いや……そういうわけでは」
潔癖俺(あまりの居心地の悪さに体のほうが先にまいってしまったようだ)
美少女「散らかっててごめんね。でもさっきベッだけはド綺麗にしたから!」
美少女「今夜は…一緒にねるよね…?///」
潔癖俺「……」
潔癖俺(帰りてぇ…)
潔癖俺「結構」
美少女「え~~。したいなぁ。だって恋人らしいことあんまりしてないもん」
美少女「俺くんって照れ屋さんだから外では絶対イチャイチャしないし…だから泊まってって言ったんだよ?」ニヤリ
潔癖俺(そして雑菌の巣窟に誘われたわけか)
美少女「ねー耳掃除くらいいいでしょ?」
美少女「こっちおいで♪」ポンポン
美少女「ちょっとはずかしーけど膝枕してあげる///」
潔癖俺「……ッ」
美少女「ねえねえねえ。ほぉら、おいで?」ペチペチ
潔癖俺(いや風呂あがりのボディならそこまでは汚くはないはず)
潔癖俺(この張りのあるつやつやしたふともも……一見綺麗そうではあるが)
潔癖俺(実際こいつがどれくらい念入りに身体を洗っているかはしらないし、そもそも顔で他人の素肌に触れるなんて言語道断)
潔癖俺(最悪発作が起きて生死をさまようだろう)
潔癖俺(ならばっ)
潔癖俺「耳掃除ごっこがしたいなら俺がしてやる」
美少女「え~~?」
潔癖俺「たまには俺が甘えさせてやるよ」
美少女「う、うん……うわぁ/// それドキドキする」
美少女「じゃあ俺くんベッドの上に正座を」
潔癖俺「しないぞ。そんな体勢じゃしづらい上に耳の中が影になって見えにくいからな」
美少女「え!?」
潔癖俺「この部屋にスタンドライトかもしくはペンライトはあるか?」
美少女「…アルケド」
潔癖俺「貸してくれ。お前はベッドの端っこに仰向けにピンと真っ直ぐ寝ろ」
美少女「う、うん…」
美少女「…」
潔癖俺「奥にかなりたまっているな。このままではコルク状になって摘出が困難になる」
美少女「ハズカシイヨ…」
潔癖俺「普段は綿棒をつかっているのか」
美少女「うん…毎日やってるよ」
潔癖俺「あまり良くない。綿棒は耳垢を押し込むだけだ。最後の粉末状の耳垢処理につかうだけがいい」
潔癖俺「だからお前の耳垢の性質なら、柔らかめの耳かきで週に一度で良いんだ」
美少女「へーえそうなんだ」
潔癖俺「危うく耳鼻科行きだ。俺がいてよかったな」
美少女「うん…ありがとう///」
潔癖俺「取れたぞ」
美少女「わっ、すご!」
潔癖俺(やはり綺麗にするのは気持ちがいいな)
潔癖俺(こいつが難聴気味だったのはこれが原因だったのか)
美少女「次反対ね!」
潔癖俺「あぁ。任せろ」
美少女「うふふ。なんだかこれって恋人っぽいね」
潔癖俺「たしかにな……いままですまなかった。ようやく恋人らしい振る舞いができて安心したよ」
美少女「ううん。いつも私のわがままきいてもらっててごめんね」
潔癖俺「気にするな。俺は懐は広いつもりだ」
美少女「俺くん…///」
美少女「あーあ耳かきしてあげたかったなぁ」
潔癖俺「悪いな」
美少女「じゃあ今度髪の毛きってあげようか!?」
潔癖俺「いやそれも自分でやるからいい」
美少女「うーー。なんでもやっちゃうんだから張り合いがないよ!」
潔癖俺「…生きていくためにしかたないんだ」
美少女「そっかぁ。よくわかんないけど大変なんだね」
潔癖俺「さて。そろそろ寝るか」
美少女「う、うん…」モジモジ
美少女「……ねぇ俺君……今夜、しちゃう?」
潔癖俺「……」ザワ
美少女「私達まだ付き合って3ヶ月だし…デートもちょっとしかしたことないのに…なにいってんだろ、あはは」
美少女「軽はずみでした」
美少女「でもいつかは……そういうことしようね?」
潔癖俺「あぁ。いまは流石に……う…」
美少女「俺君?」
潔癖俺「はぁ…はぁ……」
美少女「なんかハァハァいってますけど…うふふ、おさえつつも、襲われちゃったり?/// きゃうー」
潔癖俺「はぁ…はぁ…はぁ、はっ、ぐ、あああ」
潔癖俺(アレが…来やがった!!)ドクン ドクン ドクン ガクガクガク
美少女「俺君どうしたの!? 顔面蒼白だよ!?」
潔癖俺(まずい…いかがわしいことを想像してしまった…なんというミステイク)
潔癖俺(俺は心身ともに清廉潔白な存在――――)
バタッ
潔癖俺「ここは……」
ナース「あ、起きた! 先生!!」
医者「君は突然倒れてココへ運び込まれたんだ。記憶はあるかい」
潔癖俺「俺は……一体…」
潔癖俺「なぜあんたたちはモニターの向こうにいるんだ」
医者「君にはそうしたほうがいいとおもってね。そこは無菌病室だよ」
潔癖俺「そうか。道理で居心地がいいとおもった」
医者「あんまり無理しちゃいかんよ。自分の身体のことはよくわかっているんだろう」
美少女「俺君!」
潔癖俺「お前もそっちにいるのか」
美少女「ごめんね俺くん…私のせいで…こんなことに」グスッ
医者「申し訳ないが、この子から事情をたくさん聞いて、君の身体のことを調べさせてもらった」
医者「どうやら外界から侵入する菌に対する抗体が人より極端に少ないようだ」
医者「免疫不全といっていい。昔からよく風邪をひいてお腹を壊しただろう」
潔癖俺「あぁ。そうだな、くだらないはやり病で死にかけたことは何度もある」
美少女「そんな…」
潔癖俺「だから人間や動物が嫌だった…全部おぞましいウイルスに見えて怖かったんだ」
潔癖俺「自分を護るために人を遠ざけた」
潔癖俺「…お前だけは違った」
潔癖俺「人好きしない俺にいつも気さくにかまってくれて、好意を示してくれた」
潔癖俺「病原菌だらけの汚い世界で、お前だけは綺麗に見えたんだ」
潔癖俺「だからお前からあたえられる菌なら、大丈夫だと思った」
美少女「俺くん…!」
潔癖俺「でもダメだったな…お前は思った以上に汚いただの人間だった。結果的に傷つけることをして悪いとおもってる」
医者「そうだね。君の体では到底外の世界では生きていけない」
美少女「先生! 俺君をなんとかしてください!」
医者「あぁ。もうプランは考えてある」
医者「君のDNAを操作して、外の環境にたえられる強い肉体にしよう」
潔癖俺「なんだと…」
医者「私はこの分野の研究を長年つづけていてね。ちょうど被験体がほしかったのさ」
潔癖俺「俺が被験体だと!?」
医者「手術に成功すればもう外界からの菌を恐れることはない。君はいままで以上に自由を手に入れる」
医者「どうかね?」
美少女「でも先生…人の遺伝子を改造するなんておこがましいとはおもわないの」
潔癖俺「大丈夫だ。俺はかならず強くなってお前のもとに戻る」
潔癖俺「心配するな…もし成功したら」
潔癖俺「あの日のデートをやりなおそう。今度はちゃんとお前の手作り弁当を全部たべるよ」
美少女「俺くん…/// 先生! 改造してあげてください!」
潔癖俺「頼んだぜ先生!」
美少女「あーん♪」
潔癖俺「……」
美少女「んー? 食べないの? せっかく可愛い彼女がお弁当つくってきたのにぃ」
美少女「いまは食べても大丈夫なんでしょー?」
潔癖俺「……あ、あぁ…もらおう」
美少女「あーん。うん、よく噛んでね」
美少女「こっちの煮付けもたべるよね?」
美少女「でもよかった。こうして俺くんと一緒にお弁当たべられる日がくるなんて…」
潔癖俺「あぁそうだな。俺の人生でこんな日がくるとはおもわなかった」
美少女「よかったね」
美少女「ずっと…とっておいたんだよ」
美少女「五年もまたせたんだから、責任とってよね」
潔癖俺「いや、それはやめておく。粘膜同士が触れ合うなんて考えられない」
美少女「もー! そういうとこちっとも変わってないじゃん! この照れ屋め」
美少女「赤ちゃん作る時どうするの?」
潔癖俺「体外受精」
美少女「ふざけんな!」
~Fin
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