少年「ドロケイやろーぜ！」少女「ケイドロだよ！」

少女「なにいってんの？　ドロケイじゃなくてケイドロでしょ？」

少年「ドロケイだろ！」

少女「ケイドロだよ！」

少年「ドロケイ！」

少女「ケイドロ！」

少年「ドロケイ！！！」

少女「ケイドロ！！！」

少女「……」

少年「ま、どっちでもいいか」

少女「そうだね」

少年「みんなでチーム分けしよう！」

少女「グーパーで分かれよう！」

少女「あたしは泥棒ーっ！」

少年「待てーっ！」

少女「待たないーっ！」

ﾀﾀﾀｯ…

ｱﾊﾊﾊﾊ…　ｳﾌﾌﾌﾌ…

…………

……

女「……」

男「運命の皮肉というやつか……」

男「まさか、お前とこんな形で再会するとはな……」

女「うん……」

男「お前を逃がすわけにはいかない……待てぇっ！」

女「待たないわ！」

ﾀﾞｯ

男（くっ、追いつけない……）

男（あいつは持ち前の身軽さでどんどん先に行っちまう）

男（速い……！）

女「どうやら私が逃げ切れちゃいそうね！」

男「いや……そうかな！？」

ﾄﾞﾝｶﾞﾗｶﾞｯｼｬｧｧｧｧｧﾝ

女「！」

女（壁を殴ってそこらに積んである荷物を落として、道を塞いだのね！）

男「さあ、もう逃げられないぞ！」

女「そんなことないわ！」

ﾋﾟｮｰﾝｯ

男「あっ！」

男（なんてジャンプ力だ！）

男（やるな……だが、これでこそ追いかけがいがあるってもんだ！）

女「車だわ！　これに乗れば！」ｻｻｯ

ｷｭﾙﾙﾙﾙ…　ﾌﾞｵｵﾝ…

男「待ちやがれ！」ｶﾞｼｯ

女「車に飛びついてきた！　発車するしかない！」ｸﾞｯ

ﾌﾞﾛﾛﾛﾛﾛ…

女「くっ！」

男「逃がすかぁ……！」

女「もっとスピードを上げないと……！」ｸﾞﾝｯ

ﾌﾞﾛﾛﾛﾛﾛﾛﾛ…

男「！」

男「おい、前見ろ前！」

女「えっ！」

女「ガードレール！？」

女「急カーブだわ！」

ｷﾞｭﾙﾙﾙｯ

男「ハンドル切れぇぇぇぇぇっ！！！」

女「曲がりきれないっ！」

ドゴォンッ！！！

女「きゃあぁぁぁぁっ！！！」

ﾋｭｩｩｩｩｩｩ…

ザバァァァンッ！

男「ぐうう……」ﾌﾞｸﾌﾞｸ…

女「あなたも無事だったのね」

男「待てぇ……！」

女「待たない……！」

男「だったら水泳勝負だ！」

ｻﾞﾊﾞｻﾞﾊﾞｻﾞﾊﾞ…　ﾊﾞｼｬﾊﾞｼｬﾊﾞｼｬ…

女「はぁ、はぁ、はぁ……」ﾋﾞｼｮ…

男「はぁ、はぁ、はぁ……」ﾇﾚ…

女「どこぞの海岸に到着したようね……」

男「今度は砂浜で追いかけっこといこうじゃねえか！　幼馴染同士よぉ！」

女「ええ！」

ﾀﾀﾀｯ…

ｱﾊﾊﾊﾊ…　ｳﾌﾌﾌﾌ…

女「はっ、はっ、はっ」

男「くっ、やはり俺より速い！」

男「待てぇ！　待てやァ！　このクソアマぁぁぁぁぁっ！！！」

女「……」ﾁﾗｯ

男「てめえ追いついたら、ぜってぇブッ殺してやるゥゥゥゥゥ！！！」

女「あうっ！」ｸﾞｻｯ

男「くっくっく、砂浜に落ちてた貝殻でも踏んじまったようだな」

男「もう逃げられねえぞ！」

男「てめえには犯行の瞬間を見られちまったからな……ここで殺（バラ）してやる！」

女「いいえ、もう逃げる必要がないのよ」

男「なにっ！？」

「大人しくしろ！」

「君は包囲されている！」

「抵抗するな！」

男「こ、これは……！？　ま、まさか！？」

女「そうよ。私は追われるふりをして、あなたをここまでおびき寄せたのよ」

男「ぐううっ……！」

女「さぁ、観念しなさい！　泥棒……いいえ、連続強盗殺人犯！」

男「くそぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ！！！！！」

男「子供の頃とは……立場が逆になっちゃったね……」

女「うん……」

男「だけど、最後に君とドロケイができて楽しかったよ……」

女「ケイドロだってば……」

おわり