ヤンキーちゃん「ま、私としちゃ、別にテストの点なんてどうでもいいんだけどよ……」
ヤンキーちゃん「……お節介だよなぁ、お前も。私なんかほっときゃいいのに……」
ヤンキーちゃん「……は。まあいいや。で、何ボーッとしてたんだよ。何か考え事?」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……あん?」
ヤンキーちゃん「……君は誰って、それどういう冗談?」
ヤンキーちゃん「さっきまで普通に話してたじゃねーか! 私に向かって偉そうな軽口叩いててよ!」
ヤンキーちゃん「……それも覚えてない? おいおいおいおい」
ヤンキーちゃん「……マジかよ」
ヤンキーちゃん「……どのくらい覚えてないの? 全部?」
ヤンキーちゃん「じゃ、じゃあ、私のことも……」
ヤンキーちゃん「……覚えてない?」
ヤンキーちゃん「……マジかー」
ヤンキーちゃん「……えー?」
ヤンキーちゃん「……んだよ、そのオドオドした態度は」
ヤンキーちゃん「……お前はもっと生意気な奴なんだよ」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「散々脅しても懲りずにいつも私に構ってきて……」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……ちっ」
ヤンキーちゃん「こうしててもどうしようもなんねえ。ほら、早く来いって……」
ヤンキーちゃん「……あん?」
ヤンキーちゃん「いいから私について来いって……あん!?」
ヤンキーちゃん「……信用できない?」
ヤンキーちゃん「……私がヤンキーっぽくて怖い?」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……なんでそんなこと言うんだよ」
ヤンキーちゃん「……あ? うっせえ。ショックなんか受けてねえよ……」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……怖いって何だよ。お前ほんとは私のこと怖いって思ってたのか?」
ヤンキーちゃん「……覚えてない、そりゃ覚えてねえだろうけどよ」
ヤンキーちゃん「……でも、人は外見だけじゃないんじゃねえの?」
ヤンキーちゃん「……まあ中身も知らないだろうけど。そりゃそうだろうけど」
ヤンキーちゃん「……ちっ」
ヤンキーちゃん「……だから、その」
ヤンキーちゃん「何か、他人を見るような目……」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……記憶喪失なんだろうけどさ」
ヤンキーちゃん「……っ」
ヤンキーちゃん「……あ? っせえな。泣いてねえよ……」
ヤンキーちゃん「……ずずっ」
ヤンキーちゃん「……もういいや。とりあえず、病院行くぞ……」
ヤンキーちゃん「……あん?」
ヤンキーちゃん「私たちの関係?」
ヤンキーちゃん「……まあ、他人じゃねえよ」
ヤンキーちゃん「じゃあどういう関係って、訊かれてもな……」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「…………」
ヤンキーちゃん「………………」
ヤンキーちゃん「……恋人」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……ほんと」
ヤンキーちゃん「……付き合ってるから私たち」
ヤンキーちゃん「……うん」
ヤンキーちゃん「……そ、そうかよ……ふうん……」
ヤンキーちゃん「嫌じゃないんだ……ふううん……」
ヤンキーちゃん「ふうん」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……え?」
ヤンキーちゃん「どこまでって、まあ……」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「子供いるから」
ヤンキーちゃん「カンパで金集めて産んだ」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……ま、まあ……普段はうちの両親に預けて育ててもらってるけど」
ヤンキーちゃん「……そ、そうだな。今度、うん。今度ね。会いに行こうな」
ヤンキーちゃん「……うん」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「どっちからって? それは、お前……」
ヤンキーちゃん「お前から、あの、お前から告白してきたから……」
ヤンキーちゃん「どういうって……お、お前が、す、す、す、好きだ、的な……」
ヤンキーちゃん「ぐ、具体的に……? うん、と……」
ヤンキーちゃん「……ありのままの君が好きだ、とか」
ヤンキーちゃん「……君の全部を愛している」
ヤンキーちゃん「つややかな黒髪も、しなやかな体も、その身に秘める心も、君の全てが愛おしい」
ヤンキーちゃん「……僕の所有物に、なれ」
ヤンキーちゃん「的な」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……そ、そういう感じ」
ヤンキーちゃん「そんなのOKしたの? って、したから、こうしてるんだろ……」
ヤンキーちゃん「へ、変な事訊いてくんなよ! は、はあ? う、嘘じゃないけど」
ヤンキーちゃん「……あの、そりゃお前、私が、だな。こう、リードしてやったんだ」
ヤンキーちゃん「け、経験の無い、お前をな、リードしてやって……え? 経験、ある……?」
ヤンキーちゃん「……うそ」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……ん? あ! お前、記憶喪失のくせにそんなのわかんねえだろ!」
ヤンキーちゃん「嘘? はー、お前、何でそういう意味のない嘘つくんだよ……見栄か? 馬鹿馬鹿しい……」
ヤンキーちゃん「はー……ったくよお……はーもう、焦った……」
ヤンキーちゃん「経験……! なぃ、いや、あ、んん、あるし……あったし」
ヤンキーちゃん「んん……具体的に……? んんう……」
ヤンキーちゃん「……こう、私が、上に乗っかって……」
ヤンキーちゃん「ゆ、ゆっさゆっさとだなあ……!」
ヤンキーちゃん「お、お前を、気持ちよく……させてやったんだよ……」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……つ、続き……? 続きって言われても……」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……わ、私!? あ、そ、そりゃ、お前、き、気持ち、良かった、よ……」
ヤンキーちゃん「え、どういう具合にって、そのお……」
ヤンキーちゃん「そりゃ、すごく、気持ちよかったよ……うん……」
ヤンキーちゃん「し、下から……! う、うん、まあ、うん……」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……え? 胸? あ、ええ、と……うん、そうだ、な。揉んでたな」
ヤンキーちゃん「ど、どういう風に……? えぇ……」
ヤンキーちゃん「そう、円を描いて……? うん……」
ヤンキーちゃん「先っちょを弄って? そ、そうかも……」
ヤンキーちゃん「う、うん。気持ちよくなるまで、ずっと続けてて……」
ヤンキーちゃん「む、胸、弄られるの好きなのって、そ、そんなこと……」
ヤンキーちゃん「……い、嫌ではないかも、だけどぉ……」
ヤンキーちゃん「……も、揉まれながら? あ、そ、そう、そういうの……」
ヤンキーちゃん「ど、同時に……攻められて……そのぉ……」
ヤンキーちゃん「……そういうの、すごく、好きかも、」
ヤンキーちゃん「って、AVの導入インタビューかぁっ!!!!!」
ヤンキーちゃん「あっつい!!!!! 顔あっついわボケ!!!!!!!!!」
ヤンキーちゃん「経験なんかねえええよ!!!! もう止めだ!!!!! この話止め!!!!!」
ヤンキーちゃん「お前は……はぁ……記憶を失っても……はぁ……」
ヤンキーちゃん「私をおちょくってくるな、畜生……」
ヤンキーちゃん「……ものすげえ疲れた」
ヤンキーちゃん「……うるせえよ」
ヤンキーちゃん「……いいけどよ……」
ヤンキーちゃん「……んだよ」
ヤンキーちゃん「……馴れ初め?」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……はあ……そうだな……」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……あれは……二年なりたてのころだったかな」
ヤンキーちゃん「一年のころにセクハラ教師を病院送りにしたことがあって、悪名が知られてたらしい」
ヤンキーちゃん「あれはなー……気安く触られて気持ち悪かったから、カッとなった」
ヤンキーちゃん「校内で派手にやって、血が近くにいた奴らに思いっきりかかった」
ヤンキーちゃん「まあこの事件を知らない奴らはいないらしい。それで、同じクラスになった奴らに避けられた」
ヤンキーちゃん「……私は別に、そんなの気にしないけど」
ヤンキーちゃん「……あのセクハラオヤジ常習犯だっつってたから、私はそれほど悪い事したとは思ってないし」
ヤンキーちゃん「……でも、やり過ぎたらしい」
ヤンキーちゃん「で、私の隣の席がお前だった」
ヤンキーちゃん「……お前は、あれだな」
ヤンキーちゃん「クラスの奴らに変な目で見られるのもお構いなしに、私に話しかけてきてよ」
ヤンキーちゃん「……変な奴だよ」
ヤンキーちゃん「そう言ったら、変な事なんてしてないとか言い張りやがって」
ヤンキーちゃん「……普通にクラスメイトに話しかけてるだけだって」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……ん? ああ、それから、二人でいることが多くなって」
ヤンキーちゃん「ツルんだり、勉強とか、教えてくれるようになって、まあ……」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……もういいだろ。そういう馴れ初めだよ」
ヤンキーちゃん「……じゃあ、そろそろ病院行くか」
ヤンキーちゃん「……何をグダグダしてたんだ、私たちは」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……早く、私のことを思い出してくれよ」
ヤンキーちゃん「……じゃないと、嫌だ」
ヤンキーちゃん「……お前に忘れられるだなんて、絶対に嫌だ」
ヤンキーちゃん「……まあ、なんだ」
ヤンキーちゃん「……恋人は嘘だ。悪かったな」
ヤンキーちゃん「なんだ、まあ……ちょっと、からかいたくなったんだよ」
ヤンキーちゃん「……ごめんな」
ヤンキーちゃん「お互い様だからいい? 何がお互い様なんだ?」
ヤンキーちゃん「ほんとは記憶喪失じゃないって? ほうほう」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「○○?」
ヤンキーちゃん「おお……」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……ちっ」
ヤンキーちゃん「……そうやって、ちゃんと謝ってくんなら、まあ、いいけどよ……」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……二度とすんなよ!! 絶対にだ!!」
ヤンキーちゃん「私がどんな気持ちになったと思ってんだ……」
ヤンキーちゃん「はあ……」
ヤンキーちゃん「……もう勉強する気になれないし、帰るか……」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「……んだよ、その手は」
ヤンキーちゃん「んだその顔」
ヤンキーちゃん「……っぅ……うっさい……」
ヤンキーちゃん「……はぁ、もう」
ヤンキーちゃん「……はい」
ヤンキーちゃん「……」
ヤンキーちゃん「じゃあ、まあ……」
ヤンキーちゃん「……一緒に帰るか」