母「見て貴方!双子の赤ちゃんよ!」
父「よくやった!俺達の大事な子だ……」
母「二人とも、元気な男の子ね」
父「いやぁ、よくやった甲斐があったなぁ」
母「やだわ、貴方ったら……!」
父「ははは」
双子の赤子はすくすくと育っていった。
双子の弟「かーしゃ……かーしゃ……んんっ!!」
母「うふふ、貴方。この子、私のことを呼ぶようになったのよ」
双子の兄「…………」
父「こいつはまだ喋らないが、賢そうな顔をしている」
双子の兄「はい」
父「!?」
母「!?」
母「貴方……もしかして……」
父「いや、そんなことは……」
父と母の不安は日に日に積もっていった。
何故なら、双子の兄の方は、はい。か、いいえ。しか、喋らないからだった。
父「ああ、きっと大きくなったらもっと他の言葉を……」
双子の兄「いいえ」
父「!?」
母「!?」
双子の弟「かーしゃ、とーしゃ!」
双子の弟が、自分の両親を指差す。
それを見た双子の兄は、頷いた。
双子の兄「はい」
母はその場に崩れ落ちた。何故ならば。
母「どうして……どうしてうちの子が勇者の呪いなんかにっ!!」
父「お前っ!!」
母「あ、なた……」
父「勇者の……、……この子は、勇者に選ばれて、しまったのだ」
双子の兄「はい」
素朴な村の素朴な作りの一軒家。
素朴な両親から生まれた双子の兄弟。
その兄は、選ばれし勇者であった。
時は過ぎ、双子の兄弟は少年と青年の間へと育っていた。
双子の弟「にいさん、薬草を採りに行こうよ」
勇者「いいえ」
双子の弟「大丈夫、崖の方に行かないから。一緒に行こう?」
勇者「はい」
双子の兄弟は仲良く薬草を採りに森へと出かけていった。
父「無事に勇者を送り出せるな」
母「ええ……」
父「勇者だとしても、俺達の大事な息子に代わりはない」
母「そうね……」
旅立ちの日まで、選ばれた勇者を死なせてはならない。
それは誰もが知るこの国の決まりであった。
今日が、勇者の旅立ちの日。
母「気を付けていくのよ」
父「まずは王様がいらっしゃる首都を目指すんだぞ」
勇者「いいえ」
母「その前に、寄っていく所があると言うの?」
勇者「はい」
父「そうだな……大事な弟だもんな」
勇者「はい」
母「生きて……生きて帰ってくるのよ」
父「ここがお前の家だからな」
勇者「はい」
旅立ちの日。
勇者は、薬草を採りに行った日に魔物に襲われて死んだ大事な兄弟の墓へと寄った。
自分を死なせない為に、己を犠牲にした大事な兄弟。
勇者は、じわりと滲んだ瞳を指の腹で擦って散らした。
はい。と、いいえ。しか喋れなくとも、感情はある。
ただそれを、言葉に出来ないだけで。
痛みも悲しみも、ある。
勇者は、素朴な村を出た。
勇者は隣街を目指して歩いていた。
道中、ぐにょっとした魔物や、翼を持った魔物が現われたが、勇者はなんとか倒し、時には逃げ切っていた。
勇者「はい」
商人「おお!もしかして貴方は勇者様ではありませんか!?」
勇者「はい」
商人「わたくし、商人でございます。隣街まで行く予定なのですが、ちぃとばかり商品が増えすぎてしまいまして。お手伝いいただけませんでしょうか」
勇者「いいえ」
商人「そんな!それが商人の仕事だとおっしゃられますか。ならば人助けもまた、勇者の仕事ではありませんか?手伝っていただけますよね?」
勇者「はい」
商人「おお!なんと、手伝っていただけるのですか!流石は勇者様!ありがとうございます」
商人「いやぁ、助かりました。これはほんのお礼でございます」
>>勇者は1000ゼニーを手に入れた。
商人「ところで勇者様、お仲間はいないのですか?」
勇者「はい」
商人「そんなはずはございませんよ!どこかに勇者様のお仲間がいらっしゃるはずです。よく探してください」
勇者「はい」
商人「ああ、わたくしは勇者様の仲間ではございませんよ」
勇者「はい」
商人「それでは、商売がありますので失礼いたします」
道具屋「全部で2163ゼニーになりますがよろしいでしょうか?」
勇者「はい」
>>勇者はアイテムを売却した
道具屋「他に何か必要なものはありますか?」
勇者「はい」
道具屋「薬草ですね。全部で250ゼニーになります」
勇者「はい」
>>勇者は薬草を道具袋に入れた
勇者「はい」
道具屋「眠り玉ですね。全部で420ゼニーになります」
勇者「はい」
>>勇者は眠り玉を道具袋に入れた
道具屋「他に何か必要なものはありますか?」
勇者「はい」
道具屋「綺麗な水ですね。全部で500ゼニーになります」
勇者「はい」
>>勇者は綺麗な水を道具袋に入れた
道具屋「他に何か必要なものはありますか?」
勇者「いいえ」
道具屋「ありがとうございました」
村人・男「なんか、見慣れない女の子が酒場に入っていったなぁ」
村人・女「珍しかったよ、魔法使いの女の子だった」
村人・少女「あなた、勇者さま?」
勇者「はい」
村人・少女「すごーい!」
村人・老人「怖いのう……いつ魔物がやってくるか……怖いのう……」
>>素朴な村の隣街をでますか?
勇者「はい」
村人・男「酒場に行くと何か情報が得られるかもしれないよ」
>>素朴な村の隣街をでますか?
勇者「はい」
村人・男「酒場に行くと何か情報が得られるかもしれないよ」
>>素朴な村の隣街をでますか?
勇者「はい」
村人・男「酒場に行くと何か情報が得られるかもしれないよ」
村人・母「あの人、帰りが遅いわね……。迷わずの森に行ったけれど大丈夫かしら……」
村人・息子「おれしってるんだぜ!迷わずの森は、道具屋でうってるハリセンがひつじゅひんなんだぜ!」
村人・母「森の洞窟を通ると、水の都に行けるのよね」
村人・息子「ハリセンもいたいけど、カーチャンのはりても痛いぜ!」
村人・母「あの人、帰りが遅いわね……。迷わずの森に行ったけれど大丈夫かしら……」
村人・息子「おれしってるんだぜ!迷わずの森は、道具屋でうってるハリセンがひつじゅひんなんだぜ!」
道具屋「ハリセンですね。全部で180ゼニーになります」
勇者「はい」
>>勇者はハリセンを道具袋に入れた
道具屋「他に何か必要なものはありますか?」
勇者「いいえ」
道具屋「ありがとうございました」
宿屋の主「一晩、150ゼニーになります」
勇者「はい」
宿屋の主「冗談はいけないよ勇者様。まだ日が明るいですよ。どうぞ、村の中を見て回ってください」
>>素朴な村の隣街をでますか?
勇者「はい」
村人・男「酒場に行くと何か情報が得られるかもしれないよ」
酒場・男「オレはもうだめだぁ……魔物にやられた傷が疼いてしょうがねぇ……」
バニーガール「うふふ。5000ゼニーでイイコトしてあげるわよ」
勇者「いいえ」
バニーガール「やんっ!照れ屋な勇者様っ」
マスター「そろそろレインボーマスカットの時期だが……誰に頼むべきか……」
酒場・女「あの浮気野郎……迷わずの森にぶちこんでやるわ」
バニーガール「うふふ。5000ゼニーでイイコトしてあげるわよ」
勇者「はい」
バニーガール「あんっ!ゼニーがないわぁ。貯めてきてね」
>>地下に行きますか?
勇者「はい」
女の子「いやぁっ!離してくださいっ……!」
酔った男「いいじゃねぇかよぉ」
女の子「貴方が勇者様を知ってるっていうから付いてきたのに!」
酔った男「んあ?勇者様ぁ?知ってるよぉ、呪われ者だろう?」
女の子「違うっ!!」
女の子「違う違うっ!!勇者様は呪われてなんかいませんっ」
女の子「勇者様は……っ」
>>女の子の杖が赤みを帯びていく
女の子「あっ……」
>>女の子の杖は元の色に戻った
酔った男「ぐへへ……そうそう、最初から大人しくすれば良いんだぜ」
女の子「いや……こないで、こないでぇっ……」
女の子「助けて……助けて……」
>>女の子を助けますか?
勇者「いいえ」
勇者「はい」
酔った男「大人しくしてりゃあ、痛くしねぇから」
女の子「やだ……やだぁ……助けて……」
女の子「助け、て……勇者、様ぁ……」
>>女の子を助けますか?
勇者「はい」
勇者「はい」
女の子「!!」
酔った男「ふざけんじゃねぇぞ!!」
>>勇者はハリセンを使った!
酔った男「べぷぁっ!?」
>>酔った男が怯んだ!
>>ハリセンは壊れてしまった……
女の子「えいっ!!」
>>女の子は杖で酔った男を叩いた!
>>酔った男は倒れた!
女の子「あの……助けてくださって、ありがとうございました!もしかして、勇者様じゃないですか?」
勇者「いいえ」
女の子「あの、私は魔法使いと言います」
魔法使い「勇者様の村を目指してこの村に寄ったのですが……すれ違いにならなくて良かったです!」
魔法使い「えへへ……勇者様には、また助けられてしまいました……」
勇者「いいえ」
魔法使い「私は確かに、昔、勇者様に助けられたのです」
勇者「いいえ」
魔法使い「勇者様の知らない所で、私は助けられたのです。それは、変わりません」
魔法使い「勇者様、どうか私を旅のお供に加えてください」
勇者「いいえ」
勇者「いいえ」
魔法使い「こう見えても、強い魔法が使えるんですよ!」
魔法使い「私、付いていきますから。勇者様に、ご恩をお返しする為に」
>>魔法使いが仲間に加わった!
魔法使い「えへへ……勇者様にお会いできて良かったです」
>>1階に戻りますか?
勇者「はい」
酒場・男「オレはもうだめだぁ……振られた心の傷が疼いてしょうがねぇ……」
バニーガール「うふふ。5000ゼニーでイイコトしてあげるわよ」
勇者「いいえ」
バニーガール「やんっ!照れ屋な勇者様っ」
魔法使い「ほっ……」
酒場・女「合法よ合法ぉ……罪になんかならないわぁ」
勇者「はい」
魔法使い「待ってください勇者様!マスターさんがため息ばっかり吐いてますよ」
マスター「そろそろレインボーマスカットの時期だが……誰に頼むべきか……」
魔法使い「マスターさん、どうかしたのですか?」
マスター「いや……そろそろ迷わずの森にレインボーマスカットが出来る時期なんだが、いつもお願いしている男がいなくてね……」
マスター「報酬はしっかりお渡ししますよ」
魔法使い「行きましょう、勇者様!」
勇者「はい」
マスター「助かります。場所は迷わずの森です。レインボーマスカットをお願いしますよ」
>>酒場をでますか?
勇者「はい」
>>素朴な村の隣街をでますか?
勇者「はい」
村人・男「この時間から迷わずの森に行くなんて危険だよ。今日は宿屋で休んで明日の朝に行くと良い」
宿屋の主「一晩、300ゼニーになります」
勇者「はい」
宿屋の主「ごゆっくりおやすみくださいませ」
魔法使い「えへへ……ふかふかなベッドは気持ちが良いです」
魔法使い「ぐっすり眠れそう……あっ!勇者様、私お寝坊さんしてたら起こしてくださいねっ」
魔法使い「勇者様……私……勇者様に……」
>>辺りはまだ薄暗い。目を覚ましますか?
勇者「はい」
>>勇者はベッドを調べた。
>>魔法使いの姿はない。
>>再び眠りますか?
勇者「いいえ」
魔法使い「んー……私の、ベッド……」
勇者「いいえ」
魔法使い「私のベッドですー……」
勇者「いいえ」
魔法使い「寝るのですー……寝ないと、たいりょきゅも、せーしんりょくもー……」
魔法使い「んー……朝ですか……?」
勇者「はい」
魔法使い「あれ……?私、こっちのベッドでしたっけ……?」
勇者「いいえ」
魔法使い「えっ!?わっ、わたし、夜中にそんなことをっ?わ、わ、わ、すみませんでしたっ……!」
宿屋の主「昨夜は良くお休みでしたね。いってらっしゃいませ」
>>素朴な村の隣街をでますか?
勇者「はい」
魔法使い「こちらから迷わずの森に行けるんですよね」
魔法使い「気を引き締めて行きましょうね!」
通行人・男「なんか最近、迷わずの森で男の叫び声が聞こえるらしいぞ」
通行人・女「準備はしっかりしないとね。私は、森に迷わず。私は、森に迷わず」
商人・男「道具が欲しい?幽霊が怖くて商人なんかやってられませんよ!」
>>北・森の洞窟/西・迷わずの森
魔法使い「私達が行くのは迷わずの森ですよ」
>>迷わずの森に入りますか?
勇者「はい」
魔法使い「まだ朝方なのに、木のせいで暗いですね……」
魔法使い「あっ!勇者様、看板がありますよ!」
>>ここは迷わずの森。心をしっかり持つべし。
>>迷わず、迷わず。
魔法使い「えっと……とにかく、迷わないように気を付けましょうね!」
>>どこからか低い呻き声が聞こえる
魔法使い「うー……気味が悪いですね……きゃっ!」
>>草の茂みから、木を模した魔物が現れた!
魔法使い「魔物、ウッドマンですよ!私は後方に下がりますね!」
魔物「ギェアー!!」
>>魔法使いに、魔物の根の鞭が向かう!
>>勇者は防御した!
>>魔法使いは呪文を唱え始めた
魔物「キィーヨォー!!」
>>勇者は魔物に切り掛かった!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>魔法使いは呪文を唱えるのをやめた
勇者「はい」
魔法使い「!!」
>>勇者は魔法使いの手を取った
魔法使い「違うんです!勇者様は、ちゃんと私を守ってくださいました!」
魔法使い「これは……その……昨日、転んだ傷なんです」
魔法使い「すみません!すみませんっ!」
勇者「はい」
>>綺麗な水/残り4
>>薬草を使いますか?
勇者「はい」
>>薬草/残り4
魔法使い「勇者様そんな!もったいないですっ」
勇者「いいえ」
魔法使い「仲間に使う道具は、もったいなくなんかない……」
魔法使い「勇者様……ありがとうございます」
魔物「キィダァー……」
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>勇者は200ゼニー手に入れた!
>>勇者は不思議な枝を手に入れた!
魔法使い「勇者様!勇者様は、ずっと攻防の攻ばかりです!」
勇者「はい」
魔法使い「それで良いって……。確かに私は森を歩く体力は削がれていますけど、魔物を倒す精神力はこれっぽっちも削がれていません」
魔法使い「そう、勇者様が、私が呪文を唱え終わる前に魔物を倒してくださるからです」
勇者「はい」
魔法使い「それで何も問題が無い?問題大有りですっ!」
勇者「はい」
魔法使い「それは昨日私がベッドを間違え……そっ、それの疲れだけじゃないはずですよっ!!」
魔法使い「魔物との連戦、全部勇者様が倒しちゃうからですよ!」
魔法使い「少しは、私の魔法も頼ってください……」
勇者「いいえ」
勇者「いいえ」
魔法使い「…………」
魔法使い「…………勇者様は、優しすぎます」
魔法使い「私は、勇者様の仲間ですから、頼ってください」
魔法使い「……さぁ!レインボーマスカットを探しましょう!」
魔法使い「勇者様、レインボーマスカットって、どんな味がするのでしょう?」
勇者「いいえ」
魔法使い「そっか……勇者様も知らないんですね。じゃあ……見付けたらこっそり食べちゃいましょうよ!」
勇者「いいえ」
魔法使い「わ、わかってますよ!本当は食べないです、冗談ですっ!」
>>魔法使いのお腹が不思議な音を奏でた
魔法使い「しっ、しってますか勇者様!この音の魔法は、魔物を寄せ付けない音でっ」
魔物「キィッダォー!」
>>どこからともなく、木を模した魔物が現れた!
>>勇者は魔物に切り掛かった!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>魔物は100ゼニー落としていった。拾いますか?
勇者「はい」
魔法使い「えへへ……朝から歩いてますけど、結構深くまで来ましたよね」
魔法使い「……多分」
魔法使い「あっ!勇者様、向こう側、ちょっと開けてますよ!」
魔法使い「勇者様!ここの気は他の場所より澄んでいるのできっと魔物も近寄りにくいと思いますよ」
勇者「いいえ」
魔法使い「なっ!今は本当のことです!本当のことを言いましたー!」
魔法使い「……この辺りで一旦休憩しましょう?」
勇者「はい」
>>勇者は魔法使いからサンドウィッチを受け取った
魔法使い「ただごはんですよ!」
勇者「いいえ」
魔法使い「なんだかショックです……」
魔法使い「でも、美味しいですね!」
勇者「はい」
魔法使い「えへへ……こうやって誰かと安心して食べるご飯は久しぶりです」
魔法使い「私の街から勇者様の街は遠かったから……」
狩人「こんな所で何してるんだ?」
魔法使い「こんにちは!えっと、レインボーマスカットを探しているんです!」
狩人「レインボーマスカット?ああ、それならもう少し先にある泉の木に出来てたよ」
魔法使い「聞きましたか勇者様!あと少しですよ!」
>>どこからか低い呻き声が聞こえる。
魔法使い「あ……また、風に乗って聞こえてきましたね。本当に、幽霊なのでしょうか……」
幽霊「いいえ」
魔法使い「ひぃっ!」
魔法使い「……って、勇者様!ふざけないでくださいよぉ!」
勇者「はい」
>>勇者はボロボロの布を元にあった場所に戻した
勇者「はい」
魔法使い「生きている人間って……幽霊じゃないならそうじゃないと困りますよっ」
魔法使い「わぁっ!勇者様!あれがきっとレインボーマスカットですよ!」
>>泉の木には、七色の葡萄とドス黒い色の葡萄が出来ている
魔法使い「早く採りましょう!」
勇者「いいえ」
魔法使い「レインボーマスカットですもん!」
>>魔法使いは七色の葡萄に手を伸ばした
>>勇者は切り付けた!
>>七色の葡萄から、ドス黒い液体が漏れている……
魔法使い「もしかしてこれ、触ると危ないやつですか……?」
勇者「はい」
魔法使い「ええっ!?手が四つになる!?」
魔法使い「……くらい、腫れあがるのですか」
勇者「はい
勇者「はい」
魔法使い「うぅ……次からは気を付けます……」
勇者「はい」
魔法使い「反省してます!反省してますから勇者様ぁっ!」
勇者「はい」
魔法使い「許して……くださいますか?」
勇者「はい」
魔法使い「ほっ……」
魔法使い「でも勇者様、このドス黒い葡萄が本当にレインボーマスカットなのですか?」
勇者「はい」
魔法使い「なんだか信じられないです」
>>ドス黒い葡萄を切り付けますか?
勇者「はい」
魔法使い「勇者様?」
>>ドス黒い葡萄から、七色の液体が漏れている……
魔法使い「わぁ……凄い……日の光が混じってきらきらと……七色に輝いていますね!」
魔法使い「これならレインボーマスカットですよ!早速マスターさんにお届けしましょう!」
勇者「はい」
魔法使い「ぱぱーっと街まで帰っちゃいますか?」
勇者「いいえ」
魔法使い「……え?まだ、何かやることがあるんですか?」
勇者「はい」
>>どこからか低い呻き声が聞こえる
魔法使い「勇者様ぁ……なんだか声、どんどん大きくなってませんか……?」
勇者「はい」
魔法使い「それで良いって、私達幽霊退治は頼まれてませんよぅ」
勇者「はい」
>>ガサガサ……
>>木から猿のような魔物が降りてきた!
魔法使い「きゃあーっ!!幽霊ーっ!!」
>>魔法使いは魔物を叩き殴った!
>>渾身の一撃!!
>>魔物は逃走した……
魔法使い「どんどん、暗くなってきますし……」
魔法使い「勇者様……」
魔法使い「絶対に、離れないでくださいね?」
勇者「いいえ」
魔法使い「!!」
魔法使い「行き止まり……?」
魔法使い「岩雪崩でもあったのでしょうか?辺りに岩が……」
?「……ぉ……ーい……」
魔法使い「勇者様喋っ!?」
勇者「いいえ」
勇者「はい」
?「だれでも、いい……助けて、くれぇー……」
魔法使い「!!」
魔法使い「あの岩の所に人が挟まっています!」
魔法使い「勇者様、助けましょう!」
勇者「はい」
魔法使い「私達人間の力じゃ無理ですよぉ」
勇者「はい」
魔法使い「……え?私の魔法、ですか?」
魔法使い「そう、ですね。……やってみます!」
>>魔法使いは呪文を唱え始めた
魔法使い「……風の魔法!」
>>ピシピシ!!
>>大岩に風の刄が炸裂する!
魔法使い「次は……」
>>魔法使いは呪文を唱え始めた
>>魔法使いは呪文を唱え終わった!
>>大岩のある地面が盛り上がり、槍に形を変える!
>>槍が大岩を貫き砕く!!
>>ガラガラガラ……
>>大岩は崩れた!
魔法使い「やりましたよ勇者様!」
勇者「はい」
村人・父「ここら辺は田舎だから、すぐに変な噂になっちゃうだろうなぁ」
村人・父「幽霊……とかね!」
村人・父「それじゃあ街に帰るよ。助けてくれてありがとう」
村人・父「街に来たら、是非家に寄っていってください」
>>村人・父は去っていった
勇者「はい」
魔法使い「え……?」
魔法使い「魔物を倒すのは勇者様でも出来るけれど、属性魔法を扱う事は難しい?」
魔法使い「私にしか出来ないこと……」
魔法使い「…………」
魔法使い「なっ、何か言ってくださいよ勇者様ぁっ!」
勇者「はい」
魔法使い「!!」
魔法使い「勇者様のばかっ!」
魔法使い「やっと戻ってこれましたね、勇者様……」
魔法使い「へとへとですよー」
>>迷わずの森を出ますか?
勇者「はい」
通行人・男「さっき男が歩いて行ったけど……男の叫び声は、一ヶ月前からなんだよな……」
通行人・女「迷わずの森だからね。よっぽど錯乱してなければ迷う心配は無いのよね」
商人・男「さぁさぁ!幽霊撃退お守り杖はこちらだよぉ!」
魔法使い「あっ……」
勇者「いいえ」
勇者「はい」
魔法使い「そうですね。いらないです」
魔法使い「勇者様、お傍にいてくださいね」
>>素朴な村の隣街に入りますか?
勇者「はい」
村人・男「もう日も暮れてきたからね。ゲートを閉めてしまったよ。街の外に出るのは明日にした方が良い」
魔法使い「勇者様!早速マスターさんに届けに行きましょう!」
村人・男「今日も疲れたなぁ。早く家に帰ろう」
村人・女「あたしも格好良く魔法使いたいな」
村人・少女「あなた、魔法使いさん?」
魔法使い「そうですよ」
村人・少女「すごーい!」
村人・老人「怖いのう……今日寝て、明日も目が覚めるじゃろうか……怖いのう……」
村人・母「あの人、帰ってきたけれどハリセン無くしてるし傷だらけだし……。大丈夫なのかしら……」
村人・息子「おれしってるんだぜ!おれのトーチャンビビりなんだぜ!」
村人・母「森の洞窟は暗くて……歩きづらいのよね」
村人・息子「ハリセンでたたくとカーチャンのはりてみたいでコーフンするんだって!トーチャン、コーフンすると森が怖くなくなるんだって!」
>>少年は奥の部屋へ連れていかれた……
村人・母「おほほほほ……」
村人・息子「おれ、うそいってねーもん……」
村人・父「あっ!貴方様は……!」
村人・父「迷わずの森では大変お世話になりました。お陰さまで、無事に戻ってくることが出来ました」
村人・父「それで……よろしければこちらをお受け取りください」
>>勇者は発光石を手に入れた!
>>勇者は発光石を道具袋に入れた
村人・父「助けてくださって、ありがとうございました」
村人・息子「おれ、うそいってねーもん……」
村人・父「助けてくださって、ありがとうございました」
>>勇者はレインボーマスカットを渡した
マスター「おお……確かにレインボーマスカットです。ありがとうございます」
マスター「お礼に3000ゼニーと、このレインボーマスカットで作ったワインを差し上げます」
>>勇者は3000ゼニー手に入れた
>>勇者はレインボーマスカットのワイン(ボトル)を手に入れた
>>勇者はレインボーマスカットのワイン(ボトル)を道具袋に入れた
魔法使い「勇者様は、レインボーマスカットがお酒の原料になっているって知っていたんですか?」
勇者「はい」
魔法使い「だからレインボーマスカットは知っているけど味は知らない……それで私が食べるのも止めた」
勇者「はい」
魔法使い「だったら最初からそう言ってくださいよぉ!」
魔法使い「私、食べるのちょっと、ちょっとだけ楽しみにしてたんですからぁ!」
宿屋の主「一晩、300ゼニーになります」
勇者「はい」
宿屋の主「ごゆっくりおやすみくださいませ」
魔法使い「えへへ……ふかふかなベッドは気持ちが良いです」
魔法使い「ぐっすり眠れそう……」
勇者「はい」
魔法使い「勇者様、明日は……」
魔法使い「勇者様は、王様に会いに首都に行くのですよね?」
勇者「はい」
魔法使い「なら、森の洞窟を通って水の都にいかないとですね!」
魔法使い「道具屋さんで準備を整えてから行きましょう!」
宿屋の主「昨夜は良くお休みでしたね。いってらっしゃいませ」
道具屋「全部で3080ゼニーになりますがよろしいでしょうか?」
勇者「はい」
>>勇者はアイテムを売却した
道具屋「他に何か必要なものはありますか?」
勇者「はい」
道具屋「薬草ですね。全部で300ゼニーになります」
勇者「はい」
>>勇者は薬草を道具袋に入れた
勇者「はい」
道具屋「綺麗な水ですね。全部で200ゼニーになります」
勇者「はい」
>>勇者は綺麗な水を道具袋に入れた
道具屋「他に何か必要なものはありますか?」
勇者「いいえ」
道具屋「ありがとうございました」
>>勇者は魔法使いに綺麗な水を渡した
>>魔法使いは綺麗な水を道具袋に入れた
>>勇者は魔法使いに薬草を渡した
>>魔法使いは薬草を道具袋に入れた
魔法使い「えへへ……ありがとうございます、勇者様」
村人・男「最近、森の洞窟に凶悪な魔物が住み着いているらしいぜ。行くなら気を付けろよ」
>>素朴な村の隣街をでますか?
勇者「はい」
通行人・男「森の洞窟は朝でも暗い。木が岩の洞窟みたいに重なり合って、日を遮っているからだ」
通行人・女「森の洞窟に入るなら、灯りは必要だよ」
商人・男「森の洞窟もピッカリン!一つ2000ゼニーだよ!」
勇者「いいえ」
商人・男「すまないが冷やかしなら帰ってくれないか」
>>北・森の洞窟/西・迷わずの森
魔法使い「私達が行くのは森の洞窟ですよ」
>>森の洞窟に入りますか?
勇者「はい」
魔法使い「木が壁のようですね。さすが、森の洞窟です」
>>発光石を使いますか?
勇者「はい」
>>周囲がほんのりと明るくなった!
魔法使い「わぁ……凄いですね、発光石!私、来る時に森の洞窟を通ったんですけど、暗かったから火の魔法使ってたらへとへとになっちゃって……」
魔法使い「良いですね、発光石!勇者様の人助けが身になっている証拠ですよ!」
魔法使い「この道を通れば、水の都まで……」
魔法使い「!!」
魔法使い「道が……崩れています……」
魔法使い「そんな、この間まで大丈夫だったのに!まさか……凶悪な魔物の仕業でしょうか?」
勇者「はい」
魔法使い「可能性としては高い……そう言いたいんですね?」
魔法使い「そうですね。ここで立ち止まっていても道は直りませんし、どうにかして別の道を探しましょう」
魔法使い「整備されていない道だから、歩きづらいですね」
>>ガサガサ……
>>ウサギを模した魔物が現れた!
魔法使い「魔物、ラビットンですよ!この魔物なら、後方に下がらなくても……」
>>勇者は魔物に切り掛かった!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>勇者は50ゼニー手に入れた!
>>勇者は火の実を手に入れた!
魔法使い「……終わってしまいました」
魔法使い「行き止まり……ですね。どうしましょう……」
魔法使い「他に道はありませんでしたよね」
勇者「いいえ」
魔法使い「えっ?道はあるって……どこにあるんですかっ!?早く教えてくださいよ!」
勇者「はい」
魔法使い「勇者様……」
魔法使い「こっちは崖ですよ?」
魔法使い「……!!」
魔法使い「まさか、勇者様……」
魔法使い「この植物を成長させて、蔦を渡るつもりですか?」
勇者「はい」
魔法使い「うー……わかりました、やってみます!」
>>魔法使いは呪文を唱え終わった!
魔法使い「木の魔法っ!」
>>植物に木の魔法のエネルギーが集まる!
>>植物が成長した!
>>魔法使いは呪文を唱え始めた
>>魔法使いは呪文を唱え終わった!
魔法使い「……硬化の魔法!」
>>植物は硬くなった!
魔法使い「これで人間がぶら下がっても大丈夫だと思いますよ!」
魔法使い「勇者様ぁ……ぶら下がるの無理だと思いますよぉ……」
勇者「いいえ」
魔法使い「手を離したらこの高さからまっ逆さま……解ってますけど……」
魔法使い「きつい……よぉ……私、体力は余り……って勇者様そんなに早く進まないでください!置いていかないでくださいごめんなさいっ!」
魔法使い「勇者様渡るの早いですよー……」
魔法使い「……え?えっと、手を、掴んでも良いんですか?」
勇者「いいえ」
魔法使い「嫌なら触らなくていい……って」
魔法使い「勇者様、ですよ?嫌なわけ、ないじゃないですか」
>>勇者は魔法使いを引き上げた
魔法使い「ありがとう、ございます……」
魔法使い「あ……勇者様、宝箱がありますね」
魔法使い「開けちゃうんですか?」
>>宝箱を開けますか?
勇者「はい」
>>勇者は宝箱を開けた!
>>勇者は旅のローブを手に入れた!
>>勇者は珊瑚の髪飾りを手に入れた!
>>勇者は銀のナイフを手に入れた!
魔法使い「……宝箱の蓋、閉めますね」
魔法使い「あーっ!!勇者様、林檎の実ですよ!あの木!」
>>勇者は林檎の木に切り掛かった!
>>勇者は林檎の実を手に入れた!
>>勇者は魔法使いに林檎の実を渡した
魔法使い「え……あ、すみません、えっと……ありがとう、ございます……」
魔法使い「えへへ……」
魔法使い「あ、あっ!勇者様!向こう!休憩できそうですよ!」
魔法使い「日も暮れてきた……って言っても解りづらいですけど、休みましょう!今日はあそこで野宿しましょう!」
魔法使い「そう言えば勇者様、迷わずの森で不思議な枝を手に入れてましたよね?」
勇者「はい」
魔法使い「あと、さっき火の実も手に入れてましたよね?」
勇者「はい」
魔法使い「私に任せてください!」
勇者「いいえ」
魔法使い「!!」
勇者「はい」
魔法使い「えへへ……ありがとうございます」
>>勇者は魔法使いに不思議な枝を渡した
>>勇者は魔法使いに火の実を渡した
魔法使い「見ててくださいね?行きますよ……」
>>不思議な枝が燃え上がった!
>>魔法使いは火の実を入れた
>>火が強くなった!
魔法使い「不思議な枝は、燃え尽きないんですよ!だから、夜にくべる必要が無いんです!」
魔法使い「火の実は、小さな火でもよく燃えるし…」
勇者「はい」
魔法使い「!!」
魔法使い「そっ、そんなに素直に褒めないでくださいよぉ……」
勇者「はい」
魔法使い「え?呪文無しで火を出せたのが凄い?ああ、これくらいの簡単な火なら呪文無しでも出せますよ!」
魔法使い「ただ、魔物を焼き尽くすくらいの火になると、呪文を唱えないと駄目ですけれど」
魔法使い「私が見張りをしますから、勇者様、眠ってください」
勇者「いいえ」
魔法使い「大丈夫です!居眠りしませんっ」
魔法使い「私が見張りと火の見番をしますから、勇者様、眠ってください」
勇者「いいえ」
>>魔法使いは引きそうに無い
>>アイテムを使いますか?
勇者「はい」
魔法使い「聞いてるんですか?勇者様……」
>>勇者は眠り玉を使った!
>>眠りを誘う香りが広がる
>>魔法使いは睡眠状態になった!
>>火を見ますか?
勇者「はい」
>>火は消える事なくパチパチと音をたてながら燃えてている……
魔法使い「体が軽いです……ぐっすり眠っちゃったから……」
魔法使い「勇者様!次はちゃんと交代しましょうねっ?」
勇者「はい」
魔法使い「私が起きていられたら……って」
魔法使い「起きます!起きていられます!昨日は……その、道具を使うなんてずるいじゃないですかぁ!」
>>勇者はくすんだローブを手に入れた!
>>勇者は剣玉を手に入れた!
>>勇者は宝箱の蓋を閉めた
魔法使い「そろそろ、水の都方面だと思うんですけれど……」
>>風に乗って不気味な声が聞こえてきた
幽霊「はい」
魔法使い「ひゃぁっ!」
魔法使い「……って、勇者様!ふざけないでくださいよぉ!」
勇者「はい」
>>勇者はくすんだローブを外した
魔法使い「うう……また引っ掛かるなんて……」
魔法使い「でも、ここにも宝箱があったんですね」
勇者「はい」
魔法使い「あっ!勇者様、あそこを抜ければ水の都はすぐそこですよ!」
魔法使い「!!」
>>大地が激しく揺れる!
魔法使い「こっ、これは……地のエレメンタル……!?」
>>森の洞窟の凶悪な魔物が現われた!!
魔法使い「大木……ウッドマンの上位魔物、ターボックです!」
>>凶悪な魔物の根が地面から盛り上がる!
魔法使い「!?」
魔法使い「勇者様、気を付けてください!」
>>勇者は凶悪な魔物に切り掛かった!
>>しかし堅い幹には浅い傷しかつかない!
>>勇者は凶悪な魔物に切り掛かった!
>>しかし堅い幹には浅い傷しかつかない!
>>勇者は凶悪な魔物に切り掛かった!
>>しかし堅い幹には浅い傷しかつかない!
>>魔法使いは呪文を唱え始めた
>>魔法使いの横を凶悪な魔物の根が通り過ぎた!
>>魔法使いは呪文を唱えるのを止めた
魔法使い「やっぱり、魔法に怯えてる……勇者様、私をお守りください!」
勇者「はい」
>>凶悪な魔物の根が暴れ狂う!
>>勇者は防御した!
>>凶悪な魔物の根が暴れ狂う!
>>勇者は防御した!
>>凶悪な魔物の根が暴れ狂う!
>>勇者は防御した!
>>魔法使いは呪文を唱え終わった!
>>凶悪な魔物は火炎魔法に包まれた!
>>凶悪な魔物は苦しんでいる!
魔法使い「……追加魔法」
>>魔法使いの地のエレメンタルが高まる!
魔法使い「砕け!ロックスピア!!」
>>凶悪な魔物に、土や岩、草木で出来た幾つもの槍が突き刺さる!
>>凶悪な魔物は身動きが取れない!
魔法使い「水の魔法っ!!」
>>凶悪な魔物を焼き尽くしていた炎が消える!
魔法使い「はぁっ!っ、勇者様っ!今なら、勇者様の剣も効くはずです!止めを!」
勇者「はい」
>>幹に深々と剣が突き刺さる!
>>凶悪な魔物は悲鳴を上げた!
>>勇者は後退した!
>>凶悪な魔物はドス黒い液体になって地面に広がった……
>>勇者達は森の洞窟の凶悪な魔物を倒した!
魔法使い「念の為、この液体燃やしちゃいますね」
魔法使い「聖なる炎!」
>>浄化された
魔法使い「あれ……?なんでしょう、この小さな箱……」
魔法使い「よく解らないですけど、一応取っておきましょう!」
>>勇者は小さな箱を道具袋に入れた
>>森の洞窟を出ますか?
勇者「はい」
魔法使い「あの魔物のせいで凄い遠回りになってしまいましたね……」
魔法使い「でも、無事に抜けられて良かったです!」
旅人・女「水の都の水で作られた水檸檬。水の都に行ったら食べなきゃ損だよ!」
剣士・男「水の都には凄腕の女剣士が居ると聞いている。お手合せ願いたいものだ」
>>水の都に入りますか?
勇者「はい」
魔法使い「噴水のお水がキラキラしてて綺麗ですね、勇者様!」
魔法使い「色々見て回りたいですけれど……先ずは、宿屋で休みたいですね」
魔法使い「えへへ……」
都の娘「やだ……貴方達泥まみれ……宿屋は南東よ!」
都の男「あの娘さん……可愛いよなぁ」
都の少女「ゆうしゃさま?」
勇者「はい」
都の少女「やっぱり!」
都の老婆「ふがふが……ふがふが…………ふが、入れ歯が外れてしまったわい」
宿屋の主「一晩、400ゼニーになります」
勇者「はい」
宿屋の主「ごゆっくりおやすみくださいませ」
魔法使い「勇者様、今日は魔物をたくさん倒したり、森の洞窟を抜けたりして体は疲れているはずです。早く休みましょうね!」
勇者「いいえ」
魔法使い「あ……荷物の整理があるからまだ眠れない?」
魔法使い「魔物もいっぱい倒しましたし、宝箱……遺品もありましたもんね」
魔法使い「明日、教会に届けに行きましょう」
>>魔法使いは睡眠状態になった!
>>勇者も寝ますか?
勇者「いいえ」
>>勇者様は道具袋を整理した
>>勇者も寝ますか?
勇者「はい」
>>辺りは柔らかい光に満ちている。目を覚ましますか?
勇者「はい」
>>勇者はベッドを調べた。
>>魔法使いは眠っている。
>>再び眠りますか?
勇者「いいえ」
宿屋の主「勇者様お早いですね。もしかして、教会に行かれるのですか?」
勇者「はい」
宿屋の主「教会は宿屋から北西の位置にありますよ」
宿屋の主「勇者様お早いですね。もしかして、教会に行かれるのですか?」
勇者「いいえ」
宿屋の主「そうですよね!朝からあんな辛気臭いところに行かないですよねぇ」
都の娘「教会は、あたしのような一般人にはあまり必要ない施設なのよね。みんな元気だし」
都の男「うーん……娘さんをずっと見ていたから頭が……いや、もしかして悪霊に取り付かれた……?教会に、行こうかな……」
都の少女「ゆうしゃさま、森の洞窟にいったの?たからばこ、あった?」
勇者「はい」
都の少女「本当っ?おかーさん、いるかなぁ……」
都の少女「ゆうしゃさま、森の洞窟にいったの?たからばこ、あった?」
勇者「いいえ」
都の少女「じゃあおかーさん、生きてるよね……」
都の老婆「ワシのこの入れ歯が遺品になる日が来ると思うと……怖いのう……」
>>教会に入りますか?
勇者「はい」
魔法使い「ゆーしゃさまー!!」
魔法使い「はぁっ、はぁっ、置いていくなんて酷いですよぉ!どうして私を置き去りにしたんですかっ」
勇者「いいえ」
勇者「はい」
魔法使い「じゃあ、どうして?私が、煩わしいですか?」
勇者「いいえ」
魔法使い「え?……宝箱を見付けると、悲しそうな顔を私がしてたから……?」
魔法使い「…………私が起きる前に、一人で教会に行こうとしたのですね」
勇者「はい」
魔法使い「……宝箱」
魔法使い「宝箱、悲しくないって言ったら嘘になります」
勇者「はい」
魔法使い「見れば解るって……私、そんなに顔に出やすいでしょうか……」
魔法使い「何故なら、魔物に殺されてしまった人の、拾った……残された人達にとって大切な遺品を入れるために」
魔法使い「宝箱は、死を形にします。だから……私は悲しくなります」
魔法使い「勇者様、お願いですから、私を置いていく事だけはしないでください」
魔法使い「お願いです……私、もう、一人は嫌なんです……」
勇者「はい」
魔法使い「……それじゃあ勇者様、教会に行きましょう」
>>教会に入りますか?
勇者「はい」
信者・女「主よ……どうか、あの子の魂をお救いください……」
旅人・男「今回は宝箱の中身が多かったぜ。報酬はたくさん貰えるが……なんだかやるせないよな」
少女「かみさま、いるなら、わるいやつをこらしめてください」
商人・男「ああ……呪われた道具を掴まされてしまった……早く呪いを解かなくては……」
魔法使い「宝箱の中身は、定期的に教会から遣わされる回収屋が取りに来ますけれど、最近では追い付かなくて……」
魔法使い「教会に届けると謝礼が貰えるから、勇者様みたいに宝箱の回収をしている人も最近では多いんですよ」
勇者「いいえ」
神父「勇者様ではありませんか?」
勇者「はい」
神父「おお、やはり。王様から勇者様がお旅立ちになられたと連絡がありましたので、もしやと……」
神父「私が勇者様のお力になれることはございません」
勇者「はい」
神父「勇者様の旅に、光があらんことを」
泣き顔の少女「……おとーさん……?」
泣いている男「どうして……どうして……にいさん、僕を……」
目頭を押さえている男性「お袋……」
座り込んでいる老人「ワシより先に……逝きおって……あれ程、止めたじゃろうが……」
虚ろな瞳の女性「……耐えられないわ」
魔法使い「勇者様!ぼうっとしてどうしたんですか?」
勇者「いいえ」
魔法使い「なんでもない……顔じゃないですよ……」
魔法使い「余り良い気が満ちている場所ではありませんから、早く遺品をお渡しして出ましょう」
回収屋「なんだ、宝箱の中身を回収してきたのか?」
勇者「はい」
回収屋「残されたものにとっては宝だからな……」
回収屋「これは森の洞窟の宝箱だな」
回収屋「おっと、これはお尋ね品だな。お礼は弾むぜ?」
勇者「はい」
回収屋「ありがとうな」
>>勇者は6000ゼニー受け取った
回収屋「全部預かって良いか?」
勇者「はい」
回収屋「ありがとうな」
>>勇者は3000ゼニー受け取った
回収屋「今の所は回収してきた品は無いみたいだな」
魔法使い「もしもまた宝箱の中身を取ったら、届けに来ましょうね」
魔法使い「みんな……帰れるべき所へ帰れると良いですね」
魔法使い「戻れるならば、戻ることに越したことはないですから」
魔法使い「えへへ……勇者様、少し、外に出ませんか?」
泣いている少女「……おかえりなさい……おとーさん……いっしょに、かえろうね……」
凛々しい顔の男性「お袋……おれ、大事にするよ……」
立っている老人「馬鹿者が……直ぐに説教してやるわい」
神父「勇者様」
神父「実はこの街には勇者様の選ばれしお仲間がおります」
魔法使い「!!」
神父「都の南西の民家におります。尋ねてみてください」
信者・女「主よ……あの子の魂は……今も……」
旅人・男「遺品取りが遺品を残す……なんてことにならないようにしないとな」
少女「かみさま、かみさま、わるいやつは、ここに」
商人・男「うぐっ……なんだか……体の言う事が……」
>>教会を出ますか?
勇者「はい」
魔法使い「勇者様、広場の方に水の都の水檸檬が売っているんですよ!」
魔法使い「ちょっとすっきりしゃっきりリフレッシュしましょう!」
魔法使い「心には、潤いが必要なのです。瑞々しい水で守らないと、痛みを和らげることはできません」
魔法使い「だから……水檸檬ですよ!」
魔法使い「……ちょっとこじつけが厳しいですかね」
売り子「水檸檬、1個300ゼニーだよ」
売り子「水檸檬、2個で600ゼニーだよ」
勇者「はい」
>>勇者は600ゼニー渡した
>>勇者は水檸檬を受け取った
>>勇者は魔法使いに水檸檬を渡した
魔法使い「えへへ……ありがとうございます、勇者様」
魔法使い「向こうで座って食べましょう?」
魔法使い「……この水を噛むと言う良くわからない感覚……」
魔法使い「面白いですね!」
魔法使い「…………」
魔法使い「勇者様、あのね……」
魔法使い「勇者様に助けられたと……」
勇者「はい」
魔法使い「えへへ……でも、勇者様は身に覚えが無いんですよね。それは、正解です」
魔法使い「勇者様がいてくださった。それだけで、私は救われたのです」
魔法使い「私、本当だったら……本当は……」
魔法使い「血が、いっぱい出て。見て、死んだって解るくらい」
魔法使い「……でも私、生きてるんです」
魔法使い「勇者様の仲間に選ばれたから、私の身体は死にません」
魔法使い「これからは、私に勇者様を護らせてください」
魔法使い「勇者様は、私の命の恩人ですから」
勇者「いいえ」
魔法使い「あっ!でも、呪文を唱えている間は護ってくださいね!」
魔法使い「……そろそろ行きましょうか、勇者様」
魔法使い「神父さまが、仰ってましたね。仲間がいると……」
魔法使い「どのような方なのでしょう。怖くないと良いのですか……」
魔法使い「あれ……誰も、いないですね」
魔法使い「お出かけ中でしょうか……」
剣士・女「この家に何か用か?」
魔法使い「!!」
剣士・女「…………」
剣士・女「まさか、勇者殿か?」
勇者「はい」
剣士・女「!!」
剣士・女「ワタシは女剣士。どうか、ワタシも勇者殿の旅にご同行願いたい」
勇者「いいえ」
女剣士「!!」
魔法使い「勇者様、どうして!?」
魔法使い「勇者様……?」
勇者「いいえ」
女剣士「何から逃げようとしている……そう、言いたいのか」
女剣士「これから先、ワタシの剣の力が必要になる筈だ。勇者殿」
女剣士「ワタシは逃げない」
女剣士「ワタシは、勇者殿を護る」
勇者「いいえ」
魔法使い「女剣士さん!?一体何を……」
女剣士「ならば、覚悟を見せよう。一度死の隣に降りる程の覚悟であると」
女剣士「また、勇者殿の仲間である証を」
>>女剣士は自分に剣を向けている。
女剣士「!!」
女剣士「何をする……」
魔法使い「確かに私達は勇者様を死なせてはいけないから楯になるためにこの死に至らない身体があります!」
魔法使い「痛ければ辛いし、悲しければ涙も出ます。もちろん血だって出る」
魔法使い「……だから、勇者様を護る時しか無茶をしてはいけないんです!」
魔法使い「自分を……死なせないで……」
女剣士「可笑しな娘だ。己の体質は、理解して利用するのが利口だと言うもの」
女剣士「……興を削がれたな」
女剣士「勇者殿。また改めて申し出る。すまないが、今日はもうお引き取り願いたい」
魔法使い「……行きましょう、勇者様」
魔法使い「……なんだか女剣士さん、自棄に見えましたよね」
勇者「はい」
魔法使い「そっか……勇者様は、最初から解っていたんですね」
魔法使い「私には、女剣士さんの心が……カラカラに渇いているように見えました」
魔法使い「一先ず今日は、お休みしますか?水の都を出る訳にも行きませんし」
魔法使い「えへへ……私にはお見通しですよ。勇者様、本当は女剣士さんを仲間にしたがっている顔をしています」
魔法使い「女剣士さんの問題を解決してから、仲間に入れたいんですね」
魔法使い「とにかく、今日はもうお休みしちゃいましょう!」
都の娘「なんだか、最近視線を感じるのよね」
都の男「娘さんとお近付きになるには、娘さんの事を知らないとだよな」
都の少女「ゆうしゃさま、おかーさん、いたんだよ。おかーさん、いっしょなの」
>>都の少女は珊瑚の髪飾りを頬にあてている
都の老婆「爺さん、帰りが遅いのう……一人は、怖いのう……」
宿屋の主「一晩、400ゼニーになります」
勇者「はい」
宿屋の主「ごゆっくりおやすみくださいませ」
魔法使い「勇者様、寝てしまいましたか……?」
勇者「はい」
魔法使い「もう!起きてるじゃないですか!からかわないでくださいよぉ」
魔法使い「私、また食べたいです。勇者様と」
魔法使い「女剣士さんと、三人で」
魔法使い「えへへ……もちろん、他の食べ物もいっぱい食べたいですけれどね!」
>>辺りは柔らかい光に満ちている。目を覚ましますか?
勇者「はい」
>>勇者はベッドを調べた。
>>魔法使いは眠っている。起きそうにない
>>再び眠りますか?
勇者「はい」
>>勇者は眠れなかった
>>再び眠りますか?
勇者「いいえ」
宿屋の主「お早いですね。今なら朝方の新鮮な水檸檬が手に入りますよ」
売り子「水檸檬、1個300ゼニーだよ」
売り子「水檸檬、2個で600ゼニーだよ」
勇者「はい」
>>勇者は600ゼニー渡した
売り子「冷え冷えな内に食べてね」
>>勇者は水檸檬を受け取った
>>勇者は水檸檬を道具袋に入れた
売り子「水檸檬、2個で600ゼニーだよ」
勇者「はい」
>>勇者は600ゼニー渡した
売り子「冷え冷えな内に食べてね」
>>勇者は水檸檬を受け取った
>>勇者は水檸檬を道具袋に入れた
宿屋の主「お仲間様はまだぐっすりと眠っていらっしゃいますよ」
>>勇者はベッドを調べた。
>>魔法使いは眠っている。
>>魔法使いを起こしますか?
勇者「はい」
魔法使い「あのねぇ……わたし……ゆうしゃさまにあうためにね……まほう……ひの……」
>>魔法使いを起こしますか?
勇者「いいえ」
>>魔法使いを起こしますか?
勇者「はい」
魔法使い「ひぁっ!?なっ、なっ、なっ、なんですか!?今、ぱぁんって!!ぱぁんって!!」
>>魔法使いは起き上がった!
魔法使い「なんだか今、凄い音が聞こえたような気がしたんですけど……気のせいでしょうか?」
勇者「はい」
魔法使い「そっ、そっかぁ、私の気のせいだったんですね!寝呆けてたのかな……でも、確か夢は……」
魔法使い「な、なんでもないです……。早く支度しますね!」
宿屋の主「昨夜はお楽しみでしたね。いってらっしゃいませ」
魔法使い「ゆ、勇者様……も、もしかして……その、昨晩……っ」
魔法使い「盛り上がっていたの、丸ばれなのでしょうか……」
魔法使い「私、昨日食べ物のお話ばっかりだったから、きっと食いしん坊だと思われちゃいましたよぅ……」
都の娘「なんだか落ち着かなくて……ごめんなさいね」
都の男「娘さんから笑顔が消えてしまった……オレは、娘さんから笑顔を奪ったやつを許さないぞ……捕まえてやる……」
都の少女「おかーさん、かけちゃったの。おかーさん、たべちゃったの」
都の少女「おかーさん、たべちゃったの。おかーさん、かけちゃったの」
都の老婆「爺さん……どこじゃ……」
魔法使い「あの……勇者様、ちょっと女剣士さんの様子を見に行ってみませんか?」
魔法使い「こっそり……こっそりとですよ!」
魔法使い「その……怪我とかしていないか心配で……」
魔法使い「あれ……?女剣士さん、居ないですね。まだ朝も早いのに……」
勇者「いいえ」
魔法使い「私が起きるのが遅いって……それはたまたまですよ!ほら!昨日はお楽しみだったから!遅くまでお喋りしてましたから!」
魔法使い「……でも、勇者様は私より起きるの早かったですよね……うぅ……」
魔法使い「あれ……?この部屋だけ、埃っぽいですね。使っていないのでしょうか……」
魔法使い「うーん……女剣士さん居ないみたいですね。勝手にお家で待つ訳にもいきませんし、一回出ましょうか」
魔法使い「と思ったら女剣士さんが!」
魔法使い「帰って!」
魔法使い「きたりしないですよね……」
魔法使い「そうですよね……そんな都合良くいかないですよね……」
魔法使い「って、様子を見るだけだから鉢合わせになっちゃったら駄目ですよねぇ」
魔法使い「さ、勇者様出ましょう!」
若い男「困ったな……女剣士がいないだなんて、こんなこと誰に頼んだら良いんだ」
狩人・男「彼女の力を借りずに、ボク達だけで狩れるものを狩りましょう」
若い男「だが、今日は周期的に言えば大物が出るはずだ。誰か、女剣士の代わりになる者は居ないものか……」
勇者「いいえ」
魔法使い「勇者様!なんだが困っているみたいですよ!それに……女剣士さん絡みみたいですし……」
魔法使い「話を聞いてみましょう!」
若い男「その格好……旅の者か」
勇者「はい」
若い男「!!」
狩人・男「!!」
狩人・男「なんとタイミングの良い!流石は勇者様ですね」
魔法使い「あ、あの……?」
若い男「いえ実は、今日は水の都の隣にある水の森に狩りに行く予定なのですが、いつも同行をお願いしている女剣士が居なくて……」
若い男「ぜひ、女剣士の代わりになってください!」
魔法使い「えっと……つまり、護衛をお願いしたいと言うことですか?」
若い男「もちろんタダでとは言いませんから」
魔法使い「勇者様、やっぱり近くに女剣士さん居ないみたいですし、引き受けて差し上げましょうよ」
魔法使い「女剣士さんを待ってぼうっとするのも勿体ないですし!」
勇者「いいえ」
魔法使い「私、引き受けますよ!」
若い男「それは助かります!」
狩人・男「それでは、早速行きましょう。日が明るいうちの方が良いですから」
魔法使い「わぁ……凄い、本当に森が水でできてる……」
狩人・男「魔法使いさん、水の森は初めてですか?」
魔法使い「はい!水の都には寄りましたけど、水の森には入らなかったので……急いでいましたし……」
魔法使い「ただ……?」
狩人・男「数年前から……ほぼ周期的に大物を模した、達の悪い大型の魔物が現れるようになったんです」
若い男「そいつのせいで都の人間も何人か死んだよ……。最近は女剣士が護ってくれていたから、死人は出ていないけどな」
魔法使い「この水の森は、魔物よりも普通の生物の方が多いですね」
狩人・男「狩りをする者にとっては、ありがたいことです。これで大物……大型の魔物がいなくなってくれれば……」
>>鳥の形をした水が浮いている……
若い男「魔物だ!!」
>>魔物は魔法使いに水の刄を放った!
魔法使い「放して……っ、防御、できないっ……」
>>勇者は防御した!!
魔法使い「勇者……様……」
>>勇者は魔物に切り掛かった!
>>渾身の一撃!!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>勇者は水の実を手に入れた!
勇者「いいえ」
若い男「そんなご謙遜なさらず……」
勇者「いいえ」
若い男「え?次は助けないって……どう言うことですか!?楯になってくださると!」
勇者「いいえ」
魔法使い「!!」
若い男「魔物を倒して守る、と……?それなら守ると……」
若い男「それはもちろんですよ。魔物を倒してくれないと。ですが、最初はオレ達を護ってもらわないと」
若い男「女剣士みたいに」
狩人・男「彼女は、文字通り楯となってボク達を護ってくれます。そして魔物の攻撃が止んだ一瞬の隙をついて確実に魔物を倒します」
魔法使い「まさか、貴方達……」
魔法使い「女剣士さんに、魔物の攻撃を受けさせているの……?」
魔法使い「酷い……っ」
若い男「こっちは最初から女剣士の代わりにと言っていたんだがな」
魔法使い「そうですか…………」
魔法使い「私なら、魔物の攻撃を受けずに倒すことができますが」
魔法使い「あくまでも、私の身体を楯としての扱いを望みますか」
魔法使い「走れ……雷魔法」
>>勇者は防御した
>>水の木に雷が駆け巡る!
>>激しい発光が瞳を襲う!!
>>水の木に潜んでいた魔物達は灰になって風に乗っていった……
狩人・男「!!」
魔法使い「私は、貴方達の楯にはなりません。でも、魔物は倒しましょう。結果として、お守りすることになると思います」
>>勇者は防御を解いた
魔法使い「貴方達に怪我はさせません。結果は変わらない。一緒です」
魔法使い「それで問題、ありませんよね」
魔法使い「私が楯となるのは、勇者様だけです」
若い男「…………」
若い男「…………」
魔法使い「私の杖で貴方を守りましょう。問題、ありませんよね」
若い男「ああ……」
魔法使い「走れ……雷魔法」
>>魔物に雷が走る!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>勇者は魔物に切り掛かった!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>勇者は800ゼニー手に入れた
>>勇者は瑞々しい枝を手に入れた
>>勇者は痺れ玉を手に入れた
>>勇者は水の枝を手に入れた
若い男「ああ、早いところ戻ろう……落ち着かないよ……」
魔法使い「…………」
魔法使い「……勇者様」
魔法使い「あの人は怪我をしていないのに、目に見えて守られている形が、傷が無いから安心出来ないんですね」
魔法使い「……女剣士さんは、どれだけ……」
魔法使い「すみません、勇者様……私、ちょっと落ち着きますね」
>>魔法使いのエレメンタルは乱れている……
狩人・男「大物に遭遇せず出られそうですね」
若い男「ああ、この重い獲物達を早く捌いてしまいたいよ」
>>重い足音が聞こえる……
若い男「!!」
狩人・男「!!」
若い男「早く射て!」
魔法使い「ま、待ってください!風のエレメンタルが高まって……!!」
>>狩人・男は金色の鹿に向かって矢を放った!
>>金色の鹿は姿を変える!
若い男「!!」
狩人・男「!!」
若い男「しまった……大物だ……!!」
狩人・男「だ、大丈夫だ……都はすぐそこだ、走って戻れば……」
>>大型の魔物は水の翼を動かした!
>>旋風が起こる!!
魔法使い「……っ、水の……エレメンタル……?」
女剣士「……はぁっ!!」
>>旋風が止んだ!
魔法使い「女剣士さんっ……!?」
女剣士「逃がさん……っ!」
若い男「今の内に水の都に戻るぞ!」
魔法使い「あっ、ちょっと……!」
魔法使い「……勇者様、私達は女剣士さんを追い掛けましょう!あんな大型の魔物……一人では危険です!」
女剣士「やぁっ!!」
>>女剣士は大型の魔物に切り掛かった!
>>大型の魔物は翼を開いた!
>>水のエレメンタルが高まる!
女剣士「……っ、もう、貴様を逃がす訳にはいかないっ……!!」
魔法使い「!!」
魔法使い「女剣士さん……追い付いた……あっ!」
>>女剣士と大型の魔物は森の奥へと消えていった……
魔法使い「あの魔物……勇者様もおかしいと思いますか?」
勇者「はい」
魔法使い「そうですよね、身体は獅子を模した魔物、リィオンと同じなのに、翼は……オウルアクアみたいな……」
魔法使い「多分、水の都の人は……女剣士さんも、大型の魔物は一体だと思っています。それは凄く危険です!急ぎましょう勇者様!」
女剣士「はぁっ……はぁっ……ワタシは、水の都を出なければならぬ……」
女剣士「その為にも……今日こそ貴様を屠る……!!」
>>女剣士は大型の魔物に切り掛かった!
>>大型の魔物は翼を開いた!
>>水のエレメンタルが高まる!
女剣士「くっ……また上空へと逃げるか……」
女剣士「!!」
女剣士「魔法使い……勇者殿!?」
女剣士「コイツは危険だ!普通の魔物ではない!今すぐ水の都へ引き返してくれ!!」
魔法使い「その魔物は、一体じゃないんです!」
女剣士「!?」
女剣士「何っ……!?」
魔法使い「私が翼の部分を魔法で攻撃して引き剥がします!翼が無ければ上空には逃げられない……女剣士さんは、その時に胴体に攻撃してください!」
女剣士「っ……解った」
魔法使い「勇者様は、私が呪文を唱えている間……護ってくださいね」
>>魔法使いは呪文を唱え始めた
>>女剣士は次の攻撃に備えている
>>大型の魔物の鋭い爪!
>>勇者は防御した!
>>魔法使いは呪文を唱え終わった!
>>大型の魔物の翼に雷が落ちる!
魔法使い「走れ……雷魔法」
>>大型の魔物の翼に雷が走り回る!
魔法使い「……追加魔法」
>>魔法使いの水のエレメンタルが高まる!
魔法使い「氷結せよ、そして……」
魔法使い「貫け!アイシクルアロー!!」
>>大型の魔物の翼に巨大な氷の矢が放たれた!
>>大型の魔物の翼が離れる!!
女剣士「言われるまでも……ないっ!」
>>女剣士は翼を失った大型の魔物に切り掛かった!
>>翼を失った大型の魔物の胴体は切り裂かれた!
>>翼を失った大型の魔物の叫び声が響く!
>>翼を失った大型の魔物はドス黒い液体になって地面に広がった……
>>勇者達は翼を失った大型の魔物を倒した!
魔法使い「また……この液体……」
魔法使い「念のため……」
魔法使い「聖なる炎!」
>>浄化された
女剣士「すまない、巻き込んでしまって……。だが、これで水の森から大物はいなくなった」
女剣士「勇者殿は、コイツを倒さずに水の都を出ようとしたワタシを逃げだと思ったのだろう?元から水の都を出る時にはケリをつけるつもりではいたんだがな」
勇者「いいえ」
女剣士「!!」
女剣士「一体、ワタシが何から逃げていると言うんだ!?」
>>女剣士は勇者に掴み掛かった!
魔法使い「女剣士さん、落ち着い……」
魔法使い「勇者様危ないっ!!」
>>大型の魔物の翼が魔法使いを襲う!!
女剣士「!!」
女剣士「……くそっ!!」
>>渾身の一撃!!
>>大型の魔物の翼はドス黒い液体になって地面に広がった……
魔法使い「う……あ……」
魔法使い「勇者、様……ご無事、ですか……?」
勇者「はい」
魔法使い「…………」
>>魔法使いは気を失っている
女剣士「背中の傷が深い……早く水の都に戻ろう。神父様にお見せした方が良い」
>>魔法使いは仲間から外れた
【水の都】
【水の都/教会・拝廊】
【水の都/教会・祭壇】
神父「仲間の治療ですな?」
神父様「治療費として3000ゼニーいただきますがよろしいですかな?」
勇者「はい」
>>勇者は3000ゼニー渡した
神父「魔法使いを、治療部屋へ」
>>魔法使いは運ばれていった……
>>勇者はベッドを調べた
魔法使い「……はぁ、はぁ……うぅ……」
>>魔法使いは苦しんでいる……
神父「三日もすれば魔法使いの傷も癒えますでしょう。ですが……痛みを緩和する無痛の水が……無いのです」
神父「無痛の水は、水の森の最奥にある小さな泉から取れます。……ここ数年、大物と呼ばれる大型の魔物のせいで誰も行けず……」
神父「無痛の水が無いままですと、三日間魔法使いは苦しむ事になります。どうか、取ってきてはいただけませんか?」
勇者「はい」
>>勇者は小瓶を手に入れた!
>>勇者は小瓶を道具袋に入れた
>>神父は出ていった
勇者「はい」
魔法使い「わたし、なら……大丈夫、ですから……無茶、しないでくださいね……ひとりで、いっちゃ……だめ、ですよ……?わたし、ついて……いけ、ないん……ですから……」
勇者「いいえ」
魔法使い「死なない、だけで……他は……変わらない……と、言っていたじゃないか、って……?」
魔法使い「痛みも、ある……痛ければ……辛い……」
魔法使い「……謝らないで、ください……私、嬉しいんです……勇者様を、おまもり、でき、て……ほん、とに……」
魔法使い「…………」
>>魔法使いは気を失った
>>勇者はベッドを調べた
>>魔法使いは気を失っている……
女剣士「勇者殿」
女剣士「その……すまなかった……」
女剣士「元はと言えば、ワタシのせいだ……。だから……」
女剣士「勇者殿に死なれては、魔法使いの苦しみも無駄になる。だから、ワタシを連れて行っていただきたい。……罪滅ぼしでも、あるんだ……」
勇者「はい」
女剣士「すまない。ありがとう、勇者殿」
>>女剣士が仲間に加わった!
神父「呪いも悪霊も憑いていないご様子。お仲間もお元気でいらっしゃる」
神父「私が勇者様のお力になれることはございません」
勇者「はい」
神父「勇者様の旅に、光があらんことを」
信者・女「あぁ……主よ……あの子の魂をお救いくださり……ありがとうございます……」
旅人・男「さっき商人が運ばれていったよ。呪いが、とか、少女が、とか、意味の解らないことを言っていたよ。あれはもう駄目だな」
>>教会を出ますか?
勇者「はい」
女剣士「水の森の小さな泉は、森の最奥だ。かなり距離がある。今から行くと、今日の夜までには帰ってこられないだろう」
女剣士「急ぎたい気持ちは分かるが、準備はしっかりしてから行こう」
>>水の都を出ますか?
勇者「はい」
女剣士「勇者殿。準備は大丈夫か?もう数時間したらゲートが閉じられる。水の都には入れなくなるぞ」
勇者「はい」
女剣士「そうか……少しでも早く届けてやりたい、か。解った、行こう」
女剣士「やはり、大物が居なくなったとは言え、魔物の数は変わらないな」
女剣士「いざと言う時は私が楯となり、勇者殿をお護りしよう」
女剣士「必ず……死なせはせん。もう、ワタシの傍で誰も……」
女剣士「…………」
女剣士「さぁ勇者殿、気を引き締めていこう」
>>魔物が現れた!
>>女剣士は無防備な状態だ!
>>魔物の牙が女剣士を襲う!
女剣士「これくらいの痛み、なんともない」
>>女剣士は魔物を切り裂いた
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
勇者「はい」
女剣士「む?ワタシか?ああ、こんな傷、大したことはない。直ぐに治る」
女剣士「フッ。勇者殿の心配には及ばない。私は、死なぬ」
勇者「はい」
>>薬草/残り4
女剣士「勇者殿、ワタシにこのような道具を使うのは勿体ない。以後は止めてくれ」
女剣士「……何故、怖い顔をする。……自分を大事にしろ……そう、言いたいのか?」
女剣士「ああ、大事にしているさ。護るべき者の次に、な」
女剣士「小さな泉はまだまだ先だ。しかし、こんなことになるのならば大物を気にせず……」
女剣士「いや、今更考えても後の祭りか」
>>ガサガサ……
>>魔物が現れた!
女剣士「むっ!?三体か……構わん、来い」
>>女剣士は無防備な状態になった
>>勇者は防御した!
女剣士「!!」
女剣士「勇者殿!ワタシが魔物達の気を引いている間は大人しくしていてくれ!」
>>勇者は魔物に切り掛かった!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
女剣士「ちぃっ……!」
>>女剣士は魔物に切り掛かった!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>勇者は1200ゼニー手に入れた
>>勇者は癒し玉を手に入れた
女剣士「ワタシの身体は護るための身体。決して死なぬ……。だが、勇者殿は違う。その身体はすぐに死んでしまう」
女剣士「どうか、今のような軽率な行動は控えてくれ」
女剣士「む?これは……」
>>ドス黒い液体が地面に広がっている……
女剣士「大物の、液体か……。他の魔物は灰になって消えてしまうが、コイツのは消えぬものなのだな」
勇者「はい」
女剣士「勇者殿!無闇に触れるべきではない……」
女剣士「気持ちが悪いが、今のワタシ達にはどうすることもできぬ。先を急ごう」
女剣士「勇者殿は……強いのだな」
女剣士「魔物を屠る技量がある。だが、その身体は決して強いとは言えぬ。人間の身体は……いとも簡単に壊れてしまう」
女剣士「だから、魔物はワタシに任せてくれ」
女剣士「ワタシにも任せる代わりに、勇者殿にもお任せしてくれと?」
女剣士「フゥ……それだと意味が無いのだがな」
女剣士「とにかく、泉はまだ先だ。奥へ進もう」
女剣士「そろそろ、休憩小屋があるはずだ。今日は一旦そこで休もう」
女剣士「さすがに、夜の水の森を歩くのは危険だ」
>>ガサガサ……
>>魔物の群れが現れた!
女剣士「まだ夕刻だと言うのに……もう群れをなしているのか……!」
女剣士「勇者殿っ!後ろに下がって……」
>>アイテムを使いますか?
勇者「はい」
>>勇者は痺れ玉を使った!
>>身体の自由が奪われる粉が広がる
女剣士「!!」
女剣士「勇者殿っ!?何故……ワタシ、にっ……」
>>女剣士の身体は痺れてしまった!
>>勇者は魔物に切り掛かった!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>勇者は魔物に切り掛かった!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>魔物の牙が勇者を襲う!
>>勇者は防御した!
>>勇者は魔物に切り掛かった!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
女剣士「!!」
女剣士「魔物……っ!だが、身体は……」
>>女剣士の身体の痺れが解けた!
女剣士「くっ……切るのは間に合わぬか」
>>女剣士は無防備な状態になった
>>勇者は魔物に切り掛かった!
女剣士「!!」
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
女剣士「勇者、殿……」
>>勇者は魔物に切り掛かった!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>勇者達は魔物の群れを倒した!
勇者「いいえ」
女剣士「ワタシの方が……愚行だと言うのか?」
女剣士「ワタシが楯にならなくとも、魔物を倒せる……?」
女剣士「…………」
女剣士「……怪我をせずに魔物を倒せば、護ったのと同じ……?魔法使いが、そう言ったのか……」
勇者「いいえ」
女剣士「だが、それで助けられたものが居るのも事実……。そう、言ってくれるのか……」
女剣士「…………」
女剣士「このまま外にいるのは得策とは言えない……。先ずは小屋に入ろう」
>>暖炉の火はパチパチと音をたてながら燃えている……
女剣士「そうか……勇者殿は、ワタシが死にたがっていると……生きることから逃げているように見えると、そう、言うのだな」
女剣士「フッ……皮肉なものだ……。死ぬことが出来ぬ身体……」
女剣士「生から逃げることなど、出来ぬのに……。私は、死ねないのだから。死に逃げることは、叶わない」
女剣士「…………」
勇者「いいえ」
女剣士「大丈夫だ。まぁそう言わずに聞いてくれ」
勇者「はい」
女剣士「…………」
女剣士「……ワタシが勇者殿に選ばれし仲間だと解ったのは、水の都に来る前……整備もろくにされていない小さな村で、弟を魔物の攻撃から護った時だった」
女剣士「その時は、まだワタシも幼かった。剣を知らず、ただ、弟を護りたかった一心、この身で弟を護った」
女剣士「それから、己の身体を理解したワタシは、水の都に移った。剣を学び、その剣が及ばぬ時はこの身体を利用して弟を護った」
女剣士「ワタシでも、弟を護れる……痛みも苦しみも、その喜びの前では無いものだった。だが……」
女剣士「魔物はすぐに殺したさ。そして、弟の鼓動が聞こえないのを確認して、ワタシは自分に剣を突き刺した。何度も、何度も何度も」
女剣士「愚かだろう?死なない身体だと理解して利用して、弟を護ってきたと言うのに」
女剣士「だが勇者殿。ワタシは、今は死にたくは無いのだ。根底が、そうだとしても」
女剣士「魔物に殺された魂は、転生することが出来ずに、その魂が……」
女剣士「ワタシの弟は、魔物に殺された」
女剣士「解るだろう?ワタシの弟の魂は、魔王に囚われている……。だからワタシは勇者殿と共に、行きたいのだ。弟を、救うために……」
勇者「はい」
女剣士「!!」
女剣士「解って、くれるのか……」
女剣士「え……?勇者殿も……ワタシと同じ……なのか……?」
女剣士「双子の、兄弟……そうか……そう、なのか……」
女剣士「それは……」
女剣士「勇者殿が危険に晒される不安や焦燥、恐怖だ。当たり前だろう……これで満足か?」
勇者「はい」
女剣士「ワタシが傷付けば、勇者殿も辛い……?」
女剣士「今後、自分の身体を楯にすることを禁じる、だと!?」
女剣士「ならばワタシはどうやって勇者殿を護ればいい!?」
勇者「いいえ」
女剣士「……それは、本当に護るためにそうしているのかと……言いたいのか」
女剣士「ワタシなら、傷付かずに魔物を倒すことが出来るのに、と……?」
女剣士「…………」
女剣士「護るためと言いながら、そうやって死にたがるのを止めろ、か……」
女剣士「……一緒に戦えと、言うのか」
女剣士「そう言う護り方もある、と。魔法使いが、言ったような」
女剣士「……解った。約束しよう。今までのような護り方はしない。だが……」
女剣士「もしも万が一、本当にそうすることが最善で必要だと言う時は……許してくれ」
女剣士「だから余計、護りたくなってしまうのだ……」
女剣士「だが約束は約束だ。しっかりと守るさ。……そろそろ眠ろう。早朝から動けば、早く水の都に帰れる」
>>眠りますか?
勇者「いいえ」
>>勇者は白い布を手に入れた!
>>勇者は棚を調べた
>>何もなかった
>>休憩小屋を出ますか?
勇者「はい」
女剣士「勇者殿。早く眠り早く起きる」
女剣士「夜は危険だ。早朝に動こう。……魔法使いの為にも、その方が良い」
>>眠りますか?
勇者「はい」
女剣士「勇者殿……勇者殿!」
女剣士「日は昇った。出発しよう」
女剣士「休憩小屋を過ぎれば、小さな泉までもう少しだ」
女剣士「……大丈夫だ。もう、昨日までのような戦い方はしない。それを……」
女剣士「証明してみせよう!」
>>ガサガサ……
>>魔物が現れた!
女剣士「はっ!」
>>女剣士はひらりと身を翻した!
>>女剣士は魔物に切り掛かった!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
女剣士「どうだ?」
女剣士「フッ……約束したからな」
女剣士「何をしている、だと?」
女剣士「いや……どこにも怪我はないかと不安でな。確かに……護っている。の、だろう。か……」
>>勇者は女剣士から距離を取った
女剣士「むぅ……幼い頃からの考えを変えるのは中々難しいのだ。ワタシの最初の護り方は剣ではなかった。この、身体だったからな」
女剣士「とにかく、約束は守っただろう?さぁ、行こう」
女剣士「あそこの泉だ」
女剣士「大物がいなくなったから、随分来やすくなった。……さっさと汲んで戻ろう」
>>勇者は小さな泉を調べた
>>泉は澄んだ色をしている
>>アイテムを使いますか?
勇者「はい」
>>勇者は無痛の水を手に入れた!
女剣士「よし。早速教会に、神父様に届けに行こう」
【水の森/休憩小屋】
【水の森】
【水の森】
【水の森】
女剣士「あの液体……まだ残っているのだな」
【水の森】
【水の森/出入り口】
>>水の森を出ますか?
勇者「はい」
女剣士「やっと戻ってこれたな」
女剣士「小さな泉まで行ったにしては、充分早い帰りだ」
女剣士「さぁ、教会はすぐそこだ。見えているだろう?目の前だからな」
>>教会に入りますか?
勇者「はい」
信者・女「主よ……私は、貴方に永遠を誓います……」
旅人・男「あぁ、そろそろ水の都も出ないとなぁ……。でも、ここ居心地が良いんだよなぁ……」
都の少年「かーみさーま、いーるなーら、おっならーしろー」
>>グラッ……
都の少年「ねっ、ねぇ!!今、ちょっとゆれたよねっ!?かみさまっているのかな!?」
神父「おお、勇者殿!よくぞご無事で……やや、それは無痛の水ですな?」
神父「早速、魔法使いに使いましょう」
>>勇者は神父に無痛の水を渡した
魔法使い「うっ、うぅ……はぁ……はぁ、ひぐっ……」
>>神父は魔法使いに無痛の水を使った!
魔法使い「う、ぁ…………」
魔法使い「ん……痛く、ない!」
>>魔法使いは飛び起きた!
神父「お仲間はこの通り、お元気になられましたよ」
>>神父は出ていった
魔法使い「えへへ……すみません、私、ご迷惑をおかけしてしまって……」
女剣士「いや、こちらこそすまない。元はと言えばワタシのせいだからな」
魔法使い「…………」
勇者「いいえ」
魔法使い「嘘ついたって駄目ですよ!勇者様を見ればわかります。お見通しなのです!」
魔法使い「女剣士さん、改めて、よろしくお願いします」
女剣士「こちらこそ、よろしく頼む」
魔法使い「それじゃあ、王様の居る首都に向かってゴーですよ!ゴー!」
>>魔法使いが仲間に加わった!
神父「呪いも悪霊も憑いていないご様子。お仲間もお元気でいらっしゃる」
神父「私が勇者様のお力になれることはございません」
勇者「はい」
神父「勇者様の旅に、光があらんことを」
信者・女「主よ……私は、貴方に永遠を誓います……。でも……」
信者・女「最近……いつも近くにいらっしゃる方が……あぁ、主よ……私は、なんと罪深い……」
旅人・男「ここだけの話、水の都は居心地が良いんだけどさ、他にも、その……回収した品を渡したのにそれでもここに居るんだから察しろ!」
都の少年「かーちゃん、そーばーにいーるなーらへーんじーしてー」
>シーン……
都の少年「そうだよな……かーちゃん、魔物にやられちゃったんだよな……魔王の、とこだよな……」
女剣士「一つ、気になることがあるんだが……」
魔法使い「どうしたんですか?」
女剣士「あの、大型の魔物の翼を倒した時の液体なんだが……そのままだろう?」
勇者「はい」
女剣士「ああ。念のため、燃やしてもらえないだろうか?」
魔法使い「解りました!良いですよね?勇者様」
勇者「はい」
魔法使い「それじゃあ、水の森に行きましょう!」
>>水の森に入りますか?
勇者「はい」
国の騎士「貴様達、この森に何か用か?」
勇者「はい」
国の騎士「!!」
国の騎士「これは失礼を……勇者様でしたか……!」
魔法使い「どうします勇者様?大人しく引き下がりますか?」
勇者「はい」
女剣士「むぅ……勇者殿がそう言うのならば、仕方あるまい。先を急ごう」
魔法使い「うーん……どうします勇者様?やっぱり、大人しく引き下がりますか?」
勇者「いいえ」
女剣士「そうこなくてはな。……どうする?一撃食らわして気絶させるか?」
魔法使い「だっ、駄目ですよ!国の騎士さんにそんなことしちゃ!」
>>魔法使いは呪文を唱え始めた
>>魔法使いは呪文を唱え終わった!
魔法使い「あるべき姿を隠せ……」
魔法使い「……光の魔法!」
>>勇者達の姿は見えなくなった!
女剣士「解った」
国の騎士「ん?人の気配が……気のせいか」
>>勇者達の姿は見えるようになった!
魔法使い「ぷはー!バレずに済みましたね!つい息を止めちゃったから苦しくて苦しくて……」
女剣士「しかし……案外中はガラガラだな。誰もいない」
魔法使い「好都合ですよ!早速向かいましょう!」
【水の森】
女剣士「!!」
女剣士「消えている……」
女剣士「自然に消えるような物ではない感じだったのだが……。すまない、無駄足を踏ませてしまったな」
魔法使い「いえ、私も気になっていましたし!それじゃあ……戻りましょうか?」
【水の森】
魔法使い「それより先に進むのは待ってください!それじゃあ、また魔法で……」
>>魔法使いは呪文を唱え始めた
>>魔法使いは呪文を唱え終わった!
魔法使い「……光の魔法!」
>>勇者達の姿は見えなくなった!
魔法使い「ぱぱーっと、気付かれないように国の騎士さんの横を通り過ぎましょう!」
国の騎士「ん?人の気配が……気のせいか」
>>勇者達の姿は見えるようになった!
国の騎士「!!」
国の騎士「今、向こう側から来なかったか……?」
勇者「いいえ」
国の騎士「そうだよな、そんはずないよな……。誰も通してないし……」
>>水の森を出ますか?
勇者「はい」
魔法使い「当初の目的通り、首都を目指しましょう!」
女剣士「首都に行くのならば、水の都の北側から出れば良い。道は整備されているし、然程心配はいらないだろう」
魔法使い「うぅ……」
女剣士「どうかしたのか?そわそわして」
魔法使い「いえ、なんでもないです……」
女剣士「……暫くこの家ともお別れだな」
魔法使い「大丈夫ですか?何かやり残したことなど……」
女剣士「いや、大丈夫だ」
魔法使い「なら良いのですが……」
>>台所は綺麗に片付いている
女剣士「あまりじろじろ見ないでもらえるか?」
>>勇者は樽を調べた
>>お酒の香りがする……
女剣士「あぁ、結局飲まずじまいになってしまったな。いや何、問題無い」
>>雪崩が起きる!
魔法使い「……本当に大丈夫ですか?何かやり残したことなど……」
女剣士「……いや、大丈夫だ」
>>雪崩はしまわれた
女剣士「……あぁ、ここは弟の部屋だ。入らないようにしていたからな……埃が積もってしまった」
女剣士「必ず……魔王から助けだす……」
女剣士「ここにいても仕方がない。行こう、勇者殿」
>>勇者はタンスを調べた
女剣士「待て。そこは開けるな」
魔法使い「うぅ……」
女剣士「そわそわしてどうした」
魔法使い「も、無理……おしょーすいっ」
>>魔法使いは仲間から外れた
女剣士「…………」
女剣士「…………」
魔法使い「あっ、すみませんお待たせしてしまって」
>>魔法使いが仲間に加わった!
女剣士「……行くか」
女剣士「平坦な道が続くが、魔物が出ない訳ではない」
魔法使い「油断大敵ですよ、勇者様!」
>>水の都を出ますか?
勇者「はい」
女剣士「首都か……数年ぶりだな」
魔法使い「そうなんですか?」
女剣士「あぁ。弟が死に、少しした頃だったな。ワタシは単身魔王の元へ乗り込もうとしていたのだが……」
女剣士「王様からの遣いが来て、勇者殿が現われるまで水の都を出るなと言われてな」
女剣士「どうした?」
魔法使い「魔王の元におひとりで行こうとしたことにもびっくりですが……その……おと、おと、おとう……おとうとさ……」
女剣士「む?弟か」
女剣士「魔物に殺されてしまった」
魔法使い「!!」
魔法使い「あわ、わ、わ……なんか、すみません……」
女剣士「何、魔法使いが気にすることではない。ワタシは感謝しているぞ」
女剣士「やっと……弟を魔王から救い出せるのだからな」
>>魔物が現れた!
魔法使い「!!」
魔法使い「あれは……鳥を模した魔物、バードゥンですよ!」
女剣士「四体か……ぬるいな」
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
女剣士「残り、三っ!」
魔法使い「勇者様!呪文を唱えますから、お願いしますよ!」
>>魔法使いは呪文を唱え始めた
>>女剣士は魔物に切り掛かった!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>魔物は勇者に襲い掛かった!
>>勇者は防御した
>>勇者は魔物に切り掛かった!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>女剣士は魔物に切り掛かった!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>魔法使いは呪文を唱えるのを止めた
>>勇者は1000ゼニー手に入れた
>>勇者はすべすべな羽を手に入れた
女剣士「怪我がなければそれで良い。護れたのならば、それで良い」
女剣士「何、気にすることはない」
魔法使い「気にしますよぉ!だって……だって私、空気みたいだったじゃないですかぁっ!!」
魔法使い「うわーんっ!!」
魔法使い「はぁ……道が整備されているから歩きやすいには歩きやすいですけどぉ……やっぱり首都までの距離は、縮まないですよねぇ……」
女剣士「そうだな。やっと半分……と、言ったところか」
魔法使い「やっと半分ですかー……」
女剣士「……日も沈み始めてきたな……。もう少ししたら首都に行く旅人の為の宿がある。もう少しの辛抱だ」
魔法使い「宿……!ふかふかなベッド……!!早く!早く行きましょう!早くっ!!」
魔法使い「ぜはー……ぜはー……飛ばし、過ぎまひた……」
女剣士「大丈夫か?魔法使い」
魔法使い「はひー……」
魔法使い「問題、ないのです……はひー……」
>>ボッ!!
>>魔法使いから火が放たれた!
女剣士「ッ!魔法使い!!」
魔法使い「はいっ!?」
魔法使い「!!」
魔法使い「えっ!?わっわっ、わっ、火が!熱っ!!」
勇者「はい」
>>勇者は綺麗な水を使った!
>>綺麗な水/残り2
魔法使い「…………」
魔法使い「すみません、勇者様……」
女剣士「魔法使い、宿はすぐそこだ。見えるだろう?あそこまで気をしっかり持て」
魔法使い「はい……すみません……」
宿屋の主「一晩、1500ゼニーになります」
勇者「はい」
宿屋の主「ごゆっくりおやすみくださいませ」
魔法使い「えへへ……ふかふかなベッドは……あーっ!!」
女剣士「どうしたのだ魔法使い。そんなに大きな声を出して」
魔法使い「水檸檬……!!」
魔法使い「うっ、うぅうぅ……勇者様ぁ……水檸檬ですよぉ……私と、勇者様と、女剣士さんで食べたいって言ってた水檸檬ですよおぉ……」
魔法使い「買いそびれてしまいました……ぐすん……」
女剣士「水の都に行ったら買えば良い」
魔法使い「嫌ですよまた戻るの!」
女剣士「いや、何……今すぐ戻ると言う訳ではなくだな……」
魔法使い「水檸檬……」
勇者「いいえ」
魔法使い「水檸檬……水檸檬……うぅ」
女剣士「勇者殿……」
勇者「はい」
>>勇者は女剣士に水檸檬を渡した
女剣士「勇者殿……!」
>>勇者は魔法使いに水檸檬を渡した
魔法使い「勇者様、なんですか……って、これっ!!」
魔法使い「どうして!?なんでっ!?いつの間にっ!?」
魔法使い「あっ、あぅ、あ、ありがとうございます勇者様ぁ……っ」
女剣士「どうせなら部屋の中ではなく、星を見ながら食べるのはどうだ?水の都の綺麗な水を見ながらも良いが……星空を見ながらの水檸檬も、また格別だ」
魔法使い「賛成です!行きましょう勇者様っ」
魔法使い「わぁ!凄い星が綺麗ですよ!良く見えます!」
魔法使い「最近は疲れちゃって、夜はすぐに寝てたから……星を見るのは久しぶりです」
魔法使い「えへへ……星は綺麗だし水檸檬は美味しいですし……幸せです」
女剣士「……水の都で食べ慣れていたはずだが……美味しいな」
女剣士「こうして誰かと物を食べるのも……久しぶりだ。悪くないな」
女剣士「あぁ、悪くない」
魔法使い「じゃあ……これからも一緒に食べましょう?私と、勇者様と、女剣士さんの三人で!」
女剣士「フッ……そうだな」
魔法使い「約束ですよ!」
女剣士「約束だ」
女剣士「……さて。しっかり休める場所で夜更かしをするのはお勧めできないな。そろそろ戻ろう」
魔法使い「勇者様……寝ちゃいましたか?」
勇者「はい」
魔法使い「んもぅ!お約束みたいにしないでくださいよ!起きてるじゃないですか!」
魔法使い「えっと……その……」
魔法使い「嬉しかったです。……そっ、それだけです!おやすみなさいっ!」
魔法使い「…………」
>>どうやら魔法使いは眠ってしまったようだ
勇者「はい」
女剣士「起こしてしまったか?すまない」
勇者「いいえ」
女剣士「そうか、先程まで魔法使いが……」
女剣士「あと、その……今のワタシでも、勇者殿を、護れているのだろうか……?」
勇者「はい」
女剣士「フゥ……そうか、そうなのか……なら、良かった」
女剣士「だが今は、どこも痛まない。しかし、不安でないのだ」
女剣士「今ワタシは……とても、心地が良い」
女剣士「このような護り方も、あるのだな。感謝している。勇者殿。それと……魔法使い」
魔法使い「!!」
女剣士「フッ……一瞬眠りに落ちていたみたいだったが、勇者殿が喋ったら目を覚ましただろう?」
魔法使い「えへへ……」
女剣士「すまないな、起こしてしまって。……おやすみ」
魔法使い「おやすみなさい」
女剣士「目を覚ましたか、勇者殿」
魔法使い「行きましょう勇者様!」
女剣士「!!」
女剣士「やっと目を覚ましたか、魔法使い。ずっと起きぬから……」
魔法使い「首都についたら王様が座っている所はすぐですから!」
女剣士「……寝言か」
魔法使い「勇者様!女剣士さん!ご馳走、ご馳走がぁー!」
女剣士「大事にし過ぎていないか?何をしても起きないのだ」
>>魔法使いを起こしますか?
勇者「いいえ」
女剣士「ご馳走の夢は見させてあげたい、と?勇者殿、夢は所詮夢だ。早く起こしてあげねば……」
勇者「いいえ」
魔法使い「うぅ、あー……ご馳走、に……呑まれるぅ……溺れるぅ……巻かれるぅ……だ、だずげで、ゆうじゃざま、おんなげんじざんっ、あ、あー……」
女剣士「虚しくなるか、悪夢になるかだと……」
女剣士「ハァ……遅かったな」
魔法使い「それはそうとて素麺事故!!」
>>魔法使いは起き上がった!
魔法使い「はぁっ、はぁっ、はぁっ……夢……?」
魔法使い「あ、勇者様、女剣士さん、おはようございます。お早いですね!」
宿屋の主「昨夜は三人でお楽しみでしたね。いってらっしゃいませ」
魔法使い「えへへ……これからも三人でお楽しみ、しましょうね」
女剣士「夜食はあまりお勧めできないが……たまになら良いだろう。許可する」
魔法使い「さぁ!はりきって進みましょう!私達はどこに行くのですか?」
女剣士「?」
女剣士「何を言っているのだ魔法使いは……首都だろう?」
女剣士「……まだ疲れているのか?」
魔法使い「がーん!なんでそうなるのですかっ?私はただ、この長い道程を楽しく……う、長い……道程……」
魔法使い「長い……長い……長い……」
女剣士「感情の浮き沈みが忙しい奴だな……」
>>背後から魔物が現れた!
女剣士「しまった!後ろからか……!勇者殿!魔法使いっ!」
魔法使い「宿り火!」
>>魔法使いは火を纏った杖で魔物を殴った!
>>勇者は魔物に切り掛かった!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>女剣士は魔物に切り掛かった!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>勇者は850ゼニー手に入れた!
>>勇者は混乱玉を手に入れた!
魔法使い「えへへ……でも、倒しきれなかったですけれどね」
女剣士「充分だ。勇者殿もワタシも体勢を整えることが出来た」
魔法使い「良かったぁ。私、空気じゃない!」
女剣士「まだ気にしていたのか……」
魔法使い「…………」
女剣士「どうした?魔法使い」
魔法使い「いえ……あっ!あそこ、泉がありますね!ちょっと水分補給しましょう!」
女剣士「そうだな……ちょうど土も落としたかったし、ワタシも魔法使いに賛成だ。問題ないな?勇者殿」
勇者「はい」
魔法使い「お水ーっ!」
女剣士「しかし……昔はここに泉はなかったと思うのだが……」
魔法使い「あぁ、最近出来た人工の泉なんですよ。首都から水路を……どうにかしているらしいです!」
女剣士「そうなのか……」
女剣士「フゥ……水は良いな。心を落ち着かせて、すっきりさせてくれる。勇者殿も顔を洗ったらどうだ?気持ちが良いぞ」
女剣士「む……?そう言えば、魔法使いの姿が見当たらないな。勇者殿、知らないか?……単独行動は出来るだけ控えた方が良いのだが……」
魔法使い「動いているから、治りが遅いのかな……」
魔法使い「困っちゃいますねぇ……傷口の血が止まらないから、布がすぐに汚れちゃう……。血に含まれるエレメンタルが流れちゃうのはしょうがないとしても……誰ですかっ……!?」
>>魔法使いに気付かれた!
魔法使い「!!」
魔法使い「えへへ……」
魔法使い「そ、そんな怖い顔しないでくださいよ!無痛の水のお陰で痛みはないですから、勇者様の旅にはちゃんと付いていけますから!」
魔法使い「……大丈夫です。私、死にませんから。勇者様は心配しないで。何も考えないでください」
魔法使い「これで大怪我しても休む事なく勇者様の旅に付いていけます!勇者様のお陰ですね!」
魔法使い「……勇者様?」
魔法使い「どうして、そんな……悲しそうな、お顔なんですか……?」
魔法使い「だから勇者様が気にすることは、何もないんですよ。私は、勇者様の仲間ですから!」
魔法使い「さぁ、戻りましょう?私とずっとふたりっきりだなんて、女剣士さんがやきもち妬いちゃいますよ!」
女剣士「なんて、冗談ですよ!でも……女剣士さんも、やきもち、妬いたりするんですかね……?」
女剣士「遅いから心配したぞ。……魔法使いを探してきてくれたのか」
女剣士「なるべく単独行動は控えてくれ、魔法使い。まぁ済んだことは仕方がない。以後だ、以後」
魔法使い「えへへ……すみません。それじゃあお水で元気になったところで……出発しましょう!」
女剣士「首都は近いぞ」
魔法使い「首都に着いたらー」
女剣士「首都に着いたら?」
魔法使い「首都名物、王!シュークリームが食べたいっす師匠!」
女剣士「待て。ワタシは貴様の師匠になった覚えはない」
魔法使い「と言うか食べましょう。食べないでどうするんです?それくらい食べられなくてどうするんです?勇者様の仲間ともあろう者が、王!シュークリームを食べなくてどうするんです?」
女剣士「よ、よく解らないが魔法使いが、王!シュークリームを食べたいという事だけはよく解ったぞ。と言うか伝わった。今でも伝わってくる」
魔法使い「んふふ……えへへ……ゆーしゃさまー?」
勇者「はい」
魔法使い「やったぁ!約束ですよ、約束!私には女剣士さんと言う証人がいますからねっ!」
女剣士「……そうこうしている内に、お待ちかねの首都に着いたぞ」
>>首都に入りますか?
勇者「はい」
魔法使い「さぁ勇者様!王!シュークリームに会いに行きましょうね!」
女剣士「……解っているとは思うが、先ずは王様のところに行くぞ」
魔法使い「えへ、えへへ……王様……王!シュークリーム……えへへ……」
首都の娘「いらっしゃい!ここは王様がいらっしゃる首都よ!」
首都の少年「ここをまっすぐ行くと、王様がいる館があるんだぜぇ!」
首都の老婆「ふぉふぉ……何故王様が居るのに王都ではなく首都かだって……?ふぉふぉ……昔の名残じゃろうなぁ……」
首都の男「知ってるか?整備された道の魔物からはすべすべな羽が手に入るんだぞ!」
女剣士「む……入口に誰も立っていない……不用心だな」
魔法使い「魔物を除けばこの国が平和って証ですね。……でも、困りましたね」
魔法使い「すーみーまーせーんっ!!だぁれかいませんかぁー?」
魔法使い「えぇ……?ちょっと、意味解らないですよぉ……」
女剣士「仕方がない。また時間を置いてこよう。それまで首都でも回ろうじゃないか」
魔法使い「そうですね、そうしましょうか」
首都の娘「えっ?館に入れなかったの?いつもはそんなこと無いけれど……」
首都の少年「ここを東に行くと、美味しいお菓子屋さんがあるんだぜぇ!」
首都の老婆「ふぉふぉ……見慣れたはずの世界が、今も昔も見慣れた世界とは限らないのじゃよ……」
首都の男「知ってるか?すべすべ夫人はすべすべした物が大好きなんだぞ!」
不思議な少女「くすくす……くすくす……」
不思議な少女「身体はね、お人形さんと一緒なのよ」
不思議な少女「身体はね、器なの。入れ物なのよ」
不思議な少女「身体はね、魂を入れる世界なのよ」
不思議な少女「くすくす……くすくす……」
不思議な少女「くすくす……くすくす……」
不思議な少女「貴方を……待っているわ」
>>不思議な少女の姿は消えてしまった……
女剣士「落ち着け魔法使い」
魔法使い「え……あ……」
魔法使い「!!」
魔法使い「……闇と光のエレメンタルが、残留してる」
魔法使い「一体、なんの為に……」
女剣士「首都の北の外れ、か……何かの罠か?」
女剣士「……魔女、か」
女剣士「寄るかどうかは勇者殿にお任せするぞ」
魔法使い「…………」
首都の娘「えっ?首都の北の外れ……?あたしが知ってるのは、廃墟があるってことだけよ」
首都の少年「首都の北ぁ?……綺麗な小屋があるって言っても、おとんもおかんも信じてくれないんだよな」
首都の老婆「ふぉふぉ……首都の北……幾つもの魂を持つ魔女のことじゃな……しかしあれを魔女と言うには……」
首都の男「知ってるか?すべすべ夫人は最近、王!シュークリームが好きらしいぞ!」
首都の少女「あのね、ここをまっすぐいくとね、おかしやさんがあるの!とってもおいしいの!」
首都の学生・女「ブツブツ……術式を……ブツブツ……完成さえすれば……」
首都の学生・男「あの子、あたしも魔女のように何百年と生きるんだ!とか言ってるけど……あのままじゃ死んじゃうな」
すべすべ夫人「アテクシはすべすべ夫人!すべすべした物がとぉっても大好きなんですのよ!」
すべすべ夫人「今はこの王!シュークリームの、クリームのすべすべを堪能しに来たのよぉ!」
すべすべ夫人「それを邪魔するべすべすな人間は許さなくってよ!」
魔法使い「そんなぁ……目の、目の前にあるのにいぃぃっ……」
女剣士「仕方がないだろう。……勇者殿、そろそろ館に戻ってみないか?」
首都の少女「すべすべふじんはね、ゆーがたになると帰かえっちゃうの!」
首都の学生・女「ブツブツ……出来る……ブツブツ……魔力を……エレメンタルを……」
首都の学生・男「あの子、ずっと眠ってないんだよ……このままじゃ……」
>>アイテムを使いますか?
勇者「はい」
>>しかし使えるようなアイテムはなかった……
首都の娘「さっき、普通に館に入れたわよ」
首都の少年「友達でも、綺麗な小屋が見える子と見えない子がいるんだ」
首都の老婆「魔女と言うには…………神のような気が、ワシはするがのう……ふぉふぉ」
首都の男「知ってるか?お兄さんは独り身で、彼女募集中なんだぞ!」
国の騎士「!!」
国の騎士「勇者様ですね?」
勇者「はい」
国の騎士「首都に入られたと連絡がありましたが、中々いらっしゃらないので心配しておりました。どうぞ、お進みください。王様がお待ちです」
女剣士「……とにかく、王様にお会いしよう」
>>館に入りますか?
勇者「はい」
>>ピィッ……
>>何かが駆け抜けた感じがした……
魔法使い「うぐっ!!……なん、でしょう、今、嫌な感じが……」
女剣士「うむ。何かが、身体の内を通ったような感じがしたな」
国の光魔導士「館に入るものには、念の為、光の魔法を通させていただいているのです」
国の光魔導士「王様に近付く者が、悪しき者ではないかを確認する為に」
国の光魔導士「勇者様達でしたら問題が無いとは思いますが、規則ですので」
館の女中「どうぞ、こちらの中央階段を昇った先で王様がお待ちでございます」
王様「おお勇者よ!よくぞ来てくれた……」
王様「仲間の魔法使いも、女剣士も一緒のようだな」
魔法使い「はい!」
女剣士「はい」
王様「魔物に殺されてしまった民がどうなるかは……知っておるな?」
勇者「はい」
女剣士「魔王に……その魂を、囚われる……」
王様「勇者よ!北の館に囚われし民の魂を救いに、北の大地へ向かえ!」
王様「勇者として、民の魂を縛り付ける鎖を断ち切るのだ!」
魔法使い「ありがとうございます、王様」
女剣士「助かります、王様」
館の女中「勇者様達のお部屋は右側になります」
魔法使い「どんなお部屋なのでしょう?楽しみですね!」
女剣士「ベッドが良すぎると眠れないんだがな……。ワタシは固い方が好みだ」
魔法使い「えーっ?ふかふかのふかふかが最高なのにぃっ」
魔法使い「勇者様!確かめるためにもお部屋に行きましょう!ゴーですよ、ゴー!」
魔法使い「んきゃぁーっ!!ふかふかふかふか!!ごろごろごろごろ!!」
女剣士「……おい、あまりベッドの上ではしゃぐな。そんなに暴れては」
魔法使い「あぐうっ!?」
女剣士「落ちる、と。……言わんこっちゃないな」
魔法使い「あぁ、あ、あっ……勇者様、が……四人……女剣士、さんが、八人……」
女剣士「多いな」
魔法使い「ふぅ……一時は世界が分裂するかと思いました」
女剣士「魔法使いの世界だけな」
魔法使い「んー……まだ夕方だから眠るには早いですし、せっかくだから冒険しましょうよ」
女剣士「冒険なら散々しているしこれからもすると思うのだが……」
勇者「いいえ」
魔法使い「新しいところは怖いって……何今更びびってるんですか!」
魔法使い「……勇者様の村は素朴な村だったから、首都がキラキラしてて眩しいって……」
魔法使い「もう夕方だから、あとは夜になるだけ!暗くなるだけ!明るくならない!」
魔法使い「ほら暗い!ほら暗い!ほの暗い!キラキラしてない!行きますよ勇者様!」
女剣士「……夜になれば灯りがついてキラキラすると思うのだが……」
女剣士「仕方あるまい。腹を括れ、勇者殿」
館の女中「勇者様達のお部屋は右側になります」
館の女中「左側は魔導士様達のお部屋になります」
国の魔術師「ここでは、魔導士達の育成を行なっているのですよ」
国の魔術師「人間の身体を構成しているエレメンタルは、誰でもほぼ一緒ですが、扱いやすいエレメンタル、属性は個々で違います」
国の魔術師「人間は、どれか一つ、必ず扱いやすいエレメンタルがあるはずなのです」
国の魔術師「わたくしはそれを見極め、育てているのですよ」
国の光魔導士「光の魔法は、攻撃魔法ではなく、視覚に働きかけたり、情報に役立つ魔法なんです」
国の光魔導士「最も、高度な技術を持っていれば光の魔法でも攻撃が可能なんだろうけど、普通の人間が術式を組み立てるのは難しいよ」
国の水魔導士「……水の魔法!」
>>勇者達はずぶ濡れになった
国の水魔導士「きやぁ~っ!ごめ、ごめんですぅ!」
国の火魔導士「ちょうど良いね。応用すれば……」
国の火魔導士「蒸発させよ!」
>>勇者達は元通りになった!
国の火魔導士「雨の日でも服が乾かせるんだ!火の魔法は素晴らしいよ!」
国の火魔導士「何より、魔物を燃やし尽くすことも出来るしね!あはは!あはは!あはっ!」
国の水魔導士「悪く、思わないであげて欲しいですぅ。あの子、家族を魔物に殺されてしまったですぅ……」
国の水魔導士「水で溺死させることもぉ、氷で刺殺も撲殺も出来るですよぉ!水魔法は凄いのですぅ」
国の水魔導士「ウチでも、手や足を切れるのですぅ!」
国の地魔導士「ここにいる奴らは、皆、魔物に大切な人を殺されているんだ」
国の地魔導士「まぁ、今は魔物に誰も殺されたことが無い人を探す方が難しいけどな」
国の地魔導士「ここで生きているのならば。死なずに、生きているのなら」
国の地魔導士「あんたも、誰かに生かされたからここにいるんじゃないのか?」
魔法使い「魔王の元には……どれだけの魂が、囚われているのでしょう……」
女剣士「確か、前の勇者が魔王を打ち破り、魂の解放をしたのは60年前だと聞いている」
魔法使い「じゃあ……それ以降の……魂が……」
魔法使い「勇者様、絶対絶対、魔王を倒して魂の解放をしましょうね!」
>>館を出ますか?
勇者「はい」
魔法使い「あっ!勇者様、夕方ですよ、夕方!」
魔法使い「時間が経ったから、王!シュークリームに会いに行きましょう!そして食べるのです!」
魔法使い「言わば……迎え狼作戦っ!!」
女剣士「むっ……よく解らないが、作戦と言われてしまえば失敗する訳にはいかないな。行こう、勇者殿」
首都の娘「夕方の首都は、橙色に染まって綺麗ね……でも、夕方はあたしにとって……。なんでもないわ。ごめんなさいね」
首都の少年「おとんとおかんにももう一回綺麗な小屋のこと聞きたいんだけど、もう聞けないんだ。ごめんな」
首都の老婆「ふぉふぉ……今の世は……なんだか違和感があってのぉ……引っ張られてしまうのぉ……」
首都の男「知ってるか?お兄さんは料理が得意で、ボインな彼女を募集中なんだぞ!」
道具屋「何か必要なものはありますか?」
勇者「はい」
道具屋「眠り玉ですね。全部で420ゼニーになります」
勇者「はい」
>>勇者は眠り玉を道具袋に入れた
道具屋「他に何か必要なものはありますか?」
勇者「いいえ」
道具屋「ありがとうございました」
首都の少女「なぁに?じろじろみてどーしたの?ろりこんなの?ろりーたこんぷれっくすなの?こんぷれっくすのかたまりなの?」
首都の少女「…………」
首都の少女「さっきはいっしゅんふつうのしゃべりかたをした、って?」
首都の少女「貴方、目ざといわね。でも、そう言うの、わざと指摘するのはどうかしら。嫌われちゃうよ?」
首都の少女「にぱー。こっちのほうがふわふわしててかわいいでしょう?にぱー」
首都の学生・男「ああ、あの子はボクが救ってあげないと……ボクが、ボクが救わないと……ボクだけの、ボクと二人になれる部屋に連れて行ってあげないと……」
都の学生・男「何か、良いものはないかな……彼女が、眠れるような……眠ってしまうような……」
>>アイテムを使いますか?
勇者「いいえ」
すべすべ夫人「アテクシはすべすべ夫人!すべすべした物がとぉっても大好きなんですのよ!」
すべすべ夫人「今はこの王!シュークリームの、クリームのすべすべを堪能しに来たのよぉ!」
すべすべ夫人「でもその時間ももうお終いねぇ!」
すべすべ夫人「……あら?あらあら?やだやだ、ちょっと貴方達!ちょっとすべすべさせてちょうだいっ!?」
勇者「いいえ」
魔法使い「ほっ……」
女剣士「フゥ……」
魔法使い「!?」
女剣士「!?」
すべすべ夫人「何よ!ちょっとだけよ!すべすべさせなさいよ!それとも他にアテクシが満足できるすべすべがあるのかしらぁ!?」
>>アイテムを使いますか?
勇者「はい」
すべすべ夫人「んきゃあぁっ!!すべすべな羽じゃないのおおお!!んはあああ!!」
すべすべ夫人「すべすべすべすべすべすべすべ」
すべすべ夫人「はぁっ!満足よ!!」
女剣士「フゥ……肝が凍ったぞ」
すべすべ夫人「それで、貴方達は?」
魔法使い「!?」
女剣士「!?」
女剣士「や、止めろぉ、来るな、来るなぁっ!!」
すべすべ夫人「すべすべすべすべすべすべすべ」」
魔法使い「嫌ぁっ!勇者様助けてぇっ!……あれ、案外すべすべしてて気持ち良い……」
女剣士「くっ、そぉ……んぁ!!やめっ、くすぐった、あ!あひっ、う!んうっ!」
すべすべ夫人「んはぁっ!!満足よ!大満足よ!!貴方達最高よ!!」
>>すべすべ夫人は帰っていった……
女剣士「はぁっ、はぁっ……なんなんだ、なんなんだよぉ……!くそっ……!」
魔法使い「お、女剣士さん大丈夫ですか?涙目……」
女剣士「うっ、煩い!泣いてなどいない!と言うか勇者殿!貴様だけずるいぞっ!?」
勇者「いいえ」
女剣士「ええい!言い訳など聞きたくない!勇者殿っ!!責任を取って貰おうか!今すぐ、今すぐにだ!ワタシと……ワタシと……」
女剣士「ワタシと魔法使いに、王!シュークリームを奢れ!!」
魔法使い「あ、それ賛成です」
勇者「はい」
女剣士「うわあああああっ!!ワタシは、ワタシは、うわあああああっ!!あの犠牲はなんだったと言うのだ!?ワタシは何故生きている!?ワタシは何故ここにいる!?ワタシは何故すべ……うわあああああっ!!」
>>女剣士は混乱している!
魔法使い「ゆっ、勇者様大変ですっ!女剣士さんが深い混乱状態に陥ってますっ!!」
魔法使い「!!」
魔法使い「……ごめんなさい、女剣士、さん」
魔法使い「閉じ込めて繋げ……闇魔法!」
>>女剣士は大人しくなった
女剣士「うっ、う……すべすべ、やだぁ……こわいぃ……」
魔法使い「勇者様、何か落ち着けるようなアイテムはありませんか?」
勇者「はい」
>>勇者は癒し玉を使った!
>>辺りに癒しをもたらす落ち着いた香りが広がる
女剣士「ん……ハッ!ワタシは、一体……?」
女剣士「うっ……あぁ……。む?……すべすべ夫人は帰ったのか?」
勇者「はい」
女剣士「そうか……。すべすべされた後の記憶が無いのだが、何か迷惑を……かけたみたいだな。すまない」
魔法使い「それが……売り切れちゃってたんです……」
女剣士「何……!?そうか、仕方ないな」
魔法使い「やけにあっさりしてますね。もしかして……心の中では……」
魔法使い「女剣士さん、意外と乙女だったりします?」
女剣士「む?なんの話だ……」
>>すべすべ夫人が現れた!
女剣士「っ!?」
女剣士「す、すまない勇者殿、身体が、勝手にしがみ付いてしまって……」
女剣士「だ、だが!ワタシは勇者殿を必ず護る!この身を楯にして!!来るなら来い!すべすべ夫人!!」
魔法使い「震えてる女剣士さんって珍しいですね」
>>勇者は王!シュークリームを手に入れた!
>>すべすべ夫人は帰っていった……
魔法使い「えーっと……一応、当初の目的は達成と言う事でしょうか……」
勇者「はい」
魔法使い「じゃあ……迎え狼作戦は成功ですね!」
魔法使い「これが……王!シュークリーム……!」
>>勇者は王!シュークリームを女剣士に渡した
女剣士「犠牲の多い作戦だった気がするな……」
女剣士「あぁ、口触りが良いな。すべ……いや、なんでもない」
魔法使い「うーん!あっまくて美味しい!」
女剣士「あぁ、水檸檬とはまた違った良さがあるな。……どうした。魔法使い、顔が……」
女剣士「魔法使いっ!?おい、どうし」
女剣士「おうっ……!?」
>>勇者の舌にとてつもない痺れが走る!
女剣士「お、うっ……これ、は、よく、解らない、感覚、だなぁ……っ」
魔法使い「おうっ……」
女剣士「おうっ……」
>>勇者達は倒れた!
双子の弟「お前なんかにやられるもんか!僕が絶対に護る!!だって……だってだって大事な…………!!」
双子の弟「絶対に、死なせないっ……!!僕の……僕達の…………!!」
双子の弟「……大丈、夫、いいんだよ……これで……。だって、護らなくちゃ……君は……僕の……僕達の、大事な…………さ、ま……」
魔法使い「あぁ良かった!勇者様、目を覚ましましたよ!」
女剣士「心配したぞ、中々目を覚まさぬから……」
魔法使い「えへへ……まぁ、私はさっき目を覚ましたんですけどね。お菓子屋さんが倒れている私達を発見して、通りかかった国の騎士さんに連絡してくださったんですよ」
女剣士「ハァ……暫くシュークリームはいらないな」
女剣士「とにかく、今日はもうこのまま眠ってしまおう」
女剣士「全て、忘れたい」
魔法使い「傷は……うん、殆ど塞がってる。エレメンタルの流失も……抑えられてる」
魔法使い「これなら、大丈夫かな……。でも、魔女は、私よりもうんと……」
魔法使い「自分より上位の魔法使いには、魔法も、術式も……全てを解かれて見透かされてしまう……。私は……魔女に会うのが、怖い……」
魔法使い「あ、勇者様……。すみません、起こしちゃいましたか?」
魔法使い「……聞いて、たんですか?」
魔法使い「……魔法使いとして、自分よりも上位の相手と対峙するのは、誰もが恐れている事です」
魔法使い「本当は……。いえ、ごめんなさい。決めるのは勇者様ですから。私は、ずっと勇者様に従います」
魔法使い「起こしてしまってすみません。おやすみなさい」
館の女中「おはようございます、勇者様。お旅立ちになられる前に、王様の所へお立ち寄りくださいませ」
魔法使い「旅の餞別に、金銀財宝でも貰えるのでしょうか?」
女剣士「それは今貰ってもしょうがないだろう」
女剣士「ワタシは、首都一の職人が作った剣を所望する!」
魔法使い「何か貰えると決まったわけじゃないですけれどね」
館の女中「王様がお待ちです」
魔法使い「……なんかにっこり笑ってますけど……会わないと出してやらない、みたいな空気ありますよね……」
女剣士「言わば、王様の命令だからな。聞かぬ訳には行かないだろう」
魔法使い「さっさと会って出発しましょう、勇者様。なんだか宿屋と違って休まらないんですもん……」
女剣士「館を宿屋と一緒にするなよ」
王様「勇者よ。そなたに渡すものがある」
魔法使い「きたー!きましたよ女剣士さんっ!きたー!」
女剣士「黙っていろ魔法使い……!」
王様「これを持っていくが良い」
王様「それは魂の剣。民の魂を救う為の鍵となる」
王様「勇者とその仲間達よ、その魂を持ってして産まれた使命を果たすのだ!」
>>ピィッ……
王様「さぁ、ゆけ!北の地に向かうのだ!!」
館の女中「北の地へのゲートは開かれました。外におります国の騎士へお話し掛けください。お気を付けて、行ってらっしゃいませ」
>>館を出ますか?
勇者「はい」
国の騎士「王様から話は窺っております。どうぞ、北の地へお進みください」
>>首都を出ますか?
勇者「はい」
魔法使い「はぁ……」
女剣士「ため息を吐いてどうした、魔法使い」
魔法使い「金銀財宝じゃなかったですね。意外と王様って……」
魔法使い「わっ、私もそこまで馬鹿じゃないですよっ!!」
女剣士「しかし、ワタシの剣と言うのは良い線をいっていたな!」
魔法使い「でも、魔王を……魔物すら切れるような剣じゃ無いですよね」
女剣士「……ワタシ達は魔王を倒し、囚われている魂を救わねばならん」
魔法使い「行きましょう、勇者様」
魔法使い「北の地へ!」
女剣士「北へ進む程、魔王のせいで土地は荒れていると聞くが……今の所は普通だな」
魔法使い「そうですね。でも、今からおどろおどろしてたら怖いですよぉ」
女剣士「それもそうだな。しかし、北へ行くほど魔王に近付くということだ。気を付けていこう」
魔法使い「なんだか寂れてきましたね。首都より北は、元から住んでいた民を除いては誰もいないですから、敢えて整備する必要も無いのでしょうけれど……」
女剣士「一般市民は普通、首都より北の方へ入る事を禁じられているからな」
魔法使い「その中でも北の館は、勇者様とその仲間以外は入れないんですよね!」
魔法使い「私達だけ……私達にしか出来ないこと……頑張りましょうね、勇者様!」
魔法使い「ここまではなんか道っぽい道でしたけれど……。以降は、作られた道が無いですね」
女剣士「あぁ。人間の手が入っていない。だが……必ず村があるはずだ。聞いたことがある」
魔法使い「じゃあ、その村を目指しましょう!きっと、元から住んでいた民の村ですよね!」
女剣士「草原側か林側、どちらに進むかは勇者殿に任せるぞ」
女剣士「うむ……」
魔法使い「うーん……勇者様?なんだかこちらは村がある雰囲気じゃないですよ?戻って反対側に進んだ方が良くないですか?」
>>ガサガサ……
>>魔物が現れた!
魔法使い「あれは……向日葵を模した魔物、ヒマワリーヌですよ!」
女剣士「ふんっ、今更貴様のような雑魚にてこずるワタシではない!」
>>魔物は猛毒の種を飛ばした!
>>女剣士はひらりと身を翻した!
女剣士「一撃では死なぬか!」
魔法使い「その種には触れちゃ駄目ですよ、猛毒ですから!」
魔法使い「!!」
魔法使い「そんな、もう一体……っ!?」
>>魔物は猛毒の種を飛ばした!
>>勇者は防御した!
>>勇者は猛毒の種に触れた!
>>魔法使いは呪文を唱え始めた
女剣士「終わりだっ!」
>>女剣士は魔物に切り掛かった!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>魔法使いは呪文を唱え終わった!
>>魔物は激しい爆炎に包まれた!
魔法使い「……追加魔法」
>>魔法使いの火のエレメンタルが高まる!
魔法使い「燃え盛れ、そして……」
魔法使い「切り裂け!フレイムトルネード!」
>>魔物は炎の竜巻に閉じ込められた!
>>炎の刄が魔物を襲う!
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>勇者は安らぎの葉を手に入れた!
魔法使い「えっ!?あ、えへへ……勇者様に護られちゃったと思ったら、急いで魔物を倒さなきゃと思って……えへへ……」
>>勇者は毒を受けている
>>勇者は毒を受けている
魔法使い「あれは……どう見ても、村じゃないですよね……」
女剣士「あれは小屋だな」
魔法使い「もしかして、魔女の……?」
魔法使い「…………」
魔法使い「!!」
女剣士「!!」
魔法使い「勇者様、顔色が……」
>>勇者は毒を受けている
魔法使い「まさか、あの時魔物の種に……っ!」
魔法使い「っ、解毒草を今から探すよりは、あの小屋に住んでいる方に分けて貰う方が早いと思います……。こんな場所に住んでいるので、おそらく、持っていると思いますから」
女剣士「ならば早く行こう!毒から護ることはワタシ達にも出来ない!」
魔法使い「……っ」
女剣士「魔法使い!」
魔法使い「はい……っ」
女剣士「突然すまない!貴方が魔女か?魔女でも魔女じゃなくても構わん!とにかく、解毒草を分けていただけないだろうか?」
魔女「おやおや、やっと来たね。難儀な魂達。ほら、お使いなさい」
魔法使い「…………」
魔女「そう怖い顔で見るんじゃないよ、魔法使い。あたしには予感がしていたから用意しておいただけよ」
魔女「ほら、さっさと使いな。毒が回りきって全部を犯されちゃあ、お終いだよ。勇者は死んでしまう身体の作りなんだから」
魔女「あんたの魂とは違うんだ」
魔法使い「……恩に着ます」
>>勇者の毒が消え去っていく!
女剣士「勇者殿の顔色が戻っていく……ありがとう、魔女よ!」
魔法使い「ほっ……」
魔女「だけど、今日一晩は泊まって行きなさい」
女剣士「良い、のか?」
魔女「部屋は作ってあるわ。使いなさい」
魔法使い「えっ……!あっ……」
魔女「行っちゃったわね」
魔法使い「…………」
魔女「うふふ……タダでとは言わないから安心なさい」
魔法使い「何が、狙いですか?」
魔女「勇者が起きたら話してあげるわ。今は休みなさい」
魔法使い「!!」
魔女「でも、解く必要性も……無いからねぇ」
魔法使い「嫌味ですか」
魔女「違うわよ。あたしは心配しているの」
魔女「魔法使い。あんた、常に光の魔法を使っているでしょう?そこに、更に勇者を護るために魔力を使っている」
魔法使い「っ……勇者、様の前で……」
魔女「うふふ……そう、魔法使い。あんたの魔法も術式も、あたしには解ける。でも、言ったでしょう?必要性が無い。だから解くつもりはないわ」
魔法使い「……それだけは、止められるわけ、ないじゃないですか……っ」
魔女「どうして?」
魔法使い「だって、私は!私は……本当は……っ!」
魔法使い「そんなのっ!」
魔女「そんなの解らない」
魔女「えぇ、そうよ。だってあんたは言えないもの。だからずっと解らないわ。解らないままよ」
魔女「心配、してるのよ。さっきも言ったでしょう?あんた、エレメンタルが回復する前から動いちゃうんだから」
魔法使い「なっ、なんですか、なんで近付いて……!」
魔女「このままじゃあ、消費する方が多くて自然に回復するのを待ってたら追い付かないもの。だから、バランスを戻してあげる」
魔法使い「!!」
魔法使い「…………」
魔女「全く、常に光の魔法を発動させる術式を組み立てるなんて……」
魔女「……成長したわね」
女剣士「魔女よ、この度は……魔法使い?」
女剣士「…………」
女剣士「ワタシは剣士だ。魔法を使う者の事は良く解らない。だが、魔法使いが恐れを抱いていた事は解る」
魔女「うふふ……それはね、あたしが、魔法使いより凄い魔法使いだからよ」
魔女「うふふ……貴方にも、触れられたくない所があるでしょう……?」
女剣士「…………」
女剣士「詮索するな、と?」
魔女「貴方も特に望んではいないでしょう?」
女剣士「……あぁ」
魔女「目を覚ましたかい、勇者」
魔女「仲間達に感謝しなさい。毒でろくに動けなかった貴方を運んで介抱したのは女剣士と魔法使いよ」
魔女「最も、解毒草を上げたのはこのあたしだけどね。……待ちな、感謝するのは早いよ。タダじゃないからね」
>>魔女は出ていった
魔法使い「勇者様、あの……私……」
女剣士「無事に解毒できたようだな。すまない、ワタシが食らえば良かったのだが……」
魔法使い「…………」
女剣士「とにかく、魔女の所に行こう」
魔法使い「貴方が、高い魔力とエレメンタルを持ち、様々な魔法を使いこなす……魔女なのですね」
魔女「魔女……そうね、そう呼ばれているわね」
魔法使い「……その身体に幾つもの魂を宿し、一部からは神とも、呼ばれている……」
魔女「うふふ……そう呼ぶ人もいるわね。あたしはあたしだけれど」
勇者「はい」
魔女「首都の西の路地で聞いたように、綺麗で優しいお姉さんだっただろう?」
勇者「いいえ」
魔女「女性と言っていたって……細かい所を気にするのねぇ」
魔女「うふふ……あれだけじゃないけれどね」
魔女「でも勇者は、あんた達はちゃんと来てくれた。魔法を使用した甲斐があったわ」
勇者「はい」
魔女「首都でも言ったけれど、あたし達のこの身体は魂を入れる器なのよ」
魔女「だから身体が壊れてしまうと、魂が出てしまうの。死ぬと、動かないし喋らなくなるでしょう?」
魔女「器を無くした魂がどうなるか。普通に死んで魂が出た場合は、何にも引きずられることなく世界の理に則って繰り返し巡るのよ」
魔女「所謂、転生を繰り返すの。魂に刻まれた記憶に蓋をして、また新しい器に宿り……魂に新しい記憶を刻むの」
魔女「そう……そうね、世界の理を外れ、北の館に囚われてしまうわね。……それ、おかしいと思わないかしら」
魔女「この国の歴史の中で、何人もの勇者が現われては魂の解放を行っている」
魔法使い「それは、当たり前じゃないですか。それが勇者様の使命なのですから」
魔女「どうしてだと思う?……答えは簡単よ。貴方達の言う、元凶の魔王を誰も、どの勇者も消していないからよ」
魔法使い「!!」
女剣士「!!」
魔女「さぁ……?でも、ならどうして今も魔王の魂に囚われているのかしら?貴方言ったわよね。魔物に殺された魂は魔王に囚われると」
魔女「だからこれまでの勇者は、魂の解放を繰り返しているだけにすぎないわ」
魔女「うふふ……その反応、図星ね」
魔女「そう、魔王を倒せとは言ってないのよ。魂の解放しか言ってないのよ。何故、魔王には触れないのかしら……」
魔女「うふふ……あたしの解毒代として大人しく聞いてもらう話はここまで」
魔女「あたしはね、終わらせてほしいの。貴方達で。魔王を……消して欲しいの。その時が来たら、あたしも力を貸すわ」
魔女「きっと、勇者と貴方達なら……負けないと思うのよ」
勇者「はい」
女剣士「あぁ、もちろんだ!倒さない理由が無い!」
魔女「そう……魔王を消してくれるのね」
魔女「これを、持っていて」
魔女「それは真実の鏡。使えば、その場にいるもの全ての真実を見せてくれるわ」
魔女「良くも悪くも……真実を。使うかどうかは、貴方が決めるのよ。使用者も、例外ではないのだから」
魔法使い「……ありがとうございました」
女剣士「すまない、世話になった。ありがとう魔女よ」
魔女「……頼んだわよ」
魔女「…………」
魔女「どうするかは、あの子達が……人間が決めるコト」
魔女「……無理するんじゃないよ。……いや、あたしにはそれを言う資格は無いわね。あたしは……」
魔女「…………」
女剣士「魔女と言うからどんなに恐ろしい者かと思っていたが……案外普通であったな」
魔法使い「身体の内に秘めたエレメンタルや魔力は異常でしたけれどね」
女剣士「そうなのか?」
女剣士「なるほど……ならば魔法使いは」
魔法使い「!!」
女剣士「相当な才能があり……相当な努力をしたのだな!」
魔法使い「……そっ、そうですよ!私は特別ですから!」
魔法使い「あの……勇者様?ちょっと良いですか?」
勇者「はい」
魔法使い「えっと……その……こわーい話なんですけれど!」
女剣士「なんだ?ワタシも混ぜろ」
魔法使い「ひゃぁっ!?」
魔法使い「す、すみません……」
女剣士「…………」
魔法使い「…………」
女剣士「何故話さぬ」
女剣士「ワタシと勇者殿はいつでも聞ける態勢だ。後は魔法使い、貴様が喋るだけだぞ」
魔法使い「えっと、そのぉ……怖い話なんですけれどぉ……」
魔法使い「もし、もしもですよ?」
魔法使い「身近にいる人間が、本当は自分と同じ人間じゃなかったら……怖いですよね?」
女剣士「…………」
勇者「はい」
魔法使い「えへ、えへへ……そう、ですよね。やっぱり……」
女剣士「うむ。ワタシも勇者殿と同じ意見だ」
女剣士「だから、そこに悪意があるのならば許せぬだろう」
女剣士「そうじゃなければ良いのではないか?身近にいると言うことは、その何者かは普段人間と一緒にいて何も問題ないのだろう?」
女剣士「ワタシ達と具体的に何がどう違うのだ。何も変わらないだろう」
魔法使い「!!」
女剣士「…………」
女剣士「ワタシも、魔法使いは変り者だと思うぞ。特に、食と睡眠に対する執着がな」
女剣士「フッ……ワタシ達は三人、同じ、変り者同士なのかも知れぬな」
魔法使い「…………」
女剣士「黙れ!ワタシはブラコンではないっ……!ただ家族が大事なだけだ!」
魔法使い「えへへ!」
女剣士「フゥ…………やっと笑ったな」
女剣士「なんでもない。独り言だ。……寂しそうな奴を見る目でワタシを見るな魔法使い!」
魔法使い「きっと、林の方に村があるんですよね?」
女剣士「断言は出来ないが、可能性としては高いだろう」
魔法使い「いきなり北の館には行けませんし、休みなしで行ける距離ではありませんからね」
女剣士「なるべく村や街を経由して行かねばな」
魔法使い「なんだか自然!って感じがしますね!」
女剣士「あぁ、鳥や野ウサギがそこら辺にいて……」
>>魔物が現れた!
女剣士「魔物もいる、と」
>>魔物は灰になって風に乗っていった……
>>勇者は丈夫な枝を手にいれた!
魔法使い「でも、なんだか魔物の数が少ないですね……」
>>ガサガサ
女剣士「案外、そうでもなかったかっ?」
瞳を閉じた娘「……?」
魔法使い「!!」
女剣士「!!」
女剣士「わっ、わかっている!」
瞳を閉じた娘「ふふっ……とても、賑やかですね。旅の方でございますか?」
女剣士「あっ、あぁ、そうだ。……すまない。剣を向けてしまって……」
魔法使い「凄い落ち着いた方ですね、勇者様」
瞳を閉じた娘「!!」
瞳を閉じた娘「勇者……貴方が、勇者?」
勇者「はい」
>>娘は瞳を開いて閉じた
瞳を閉じた娘「勇者の近くに二人、いらっしゃいますね……」
魔法使い「私と女剣士さんがいますから、確かに二人ですけれど……」
女剣士「……もしかして、貴方は目が見えないのか?」
女剣士「すまない、無遠慮だったな……」
瞳を閉じた娘「いえ、逆なんです。良く、見え過ぎてしまうんです。わたくしの目は」
瞳を閉じた娘「だから、少しでも見えないように、瞳を閉じているのです」
巫女「よろしければ、和の村にお立ち寄りいただけませんでしょうか?」
魔法使い「!!」
女剣士「!!」
女剣士「こちらからお願いしたい!」
魔法使い「大助かりですよ~!これで闇雲に歩かなくてすみますね、勇者様っ!!」
巫女「和の村は、結界が張ってありますので……。普通に歩いただけでは見付けにくいと思います。通る順番が、決まっていますので……」
女剣士「ケッカイ?」
巫女「貴方達の街で言う、ゲートみたいなものでございます。結界は、人間の視覚にも映らなくしてしまいますが……」
魔法使い「えっと、防御魔法と、光の魔法を組み合わせた感じでしょうか?」
巫女「そうです。魔法使いさん、貴方の想像しているものと似ていると思います」
魔法使い「ふぇっ!?何っ!?考えていることも見えちゃうんですか!?」
巫女「ふふ……」
巫女「魔法使いさんは素直で、解りやすい方ですのね」
女剣士「遊ばれているぞ、魔法使い」
巫女「皆さん、結界を通り抜けますのでわたくしの後を同じように付いてきてくださいまし」
女剣士「はぐれるなよ、魔法使い」
魔法使い「うっ。えっと、見失っちゃダメですよ、勇者様!」
巫女「一つ、二つ、林の木を交互に辿り」
巫女「三つ、四つ、林の木を交互に辿り」
巫女「五つ、六つ、林の木を交互に辿り」
巫女「龍神さまの、護りへと」
巫女「龍神さまの、お導き」
巫女「お着きになりましたよ」
魔法使い「えっ……えっ!?」
女剣士「いつの間に……」
巫女「ふふ……結界とは、そう言うものでございます」
巫女「あら、どうして?」
和の村・青年「巫女様にもしものことがあったらこの村は……!」
巫女「大丈夫ですよ。和の村は龍神さまに護られておりますから。今も、龍神さまのお導きで……」
巫女「どうか、なさいましたか?いえ……何があったか、お話しなさい」
和の村・青年「……龍神さまが……贄を、ご所望だと……」
巫女「!!」
巫女「勇者御一行。村の長にはわたくしがお話しておきますわ。どうぞ、和の村でお休みくださいまし」
>>巫女は和の村・青年に連れていかれた
魔法使い「贄、って……」
女剣士「どうやら、龍神さまとはこの村の守り神だろう。そうなると……生け贄、だろうな」
魔法使い「勇者様、大丈夫でしょうか?もしかして私達、とんでもない時に来ちゃったんじゃ……」
魔法使い「本当ですか!?」
女剣士「……恐らく」
魔法使い「確定させてくださいよぉ……」
女剣士「無茶を言うな」
魔法使い「この地で形成されたものや、元からあったもので成り立っている場所ですからね」
女剣士「いわば、隔離された地の隔離された村、か。勇者殿、折角だ。村を見て回ろう」
和の村・娘「この像は、村の守り神、龍神さまです」
和の村・少年「なんか大人達が慌ててるんだ。お祭りでもするのかな?」
和の村・老婆「これはまさか……百年に一度の……」
勇者「いいえ」
和の村・女性「巫女様の目は誤魔化せませんよ」
和の村・女性「巫女様から聞きました。貴方が勇者様なのですね」
勇者「はい」
和の村・女性「そうですか……貴方が話に聞く……」
和の村・おばさん「あー、男手が欲しいねぇ!」
魔法使い「巫女様の目は誤魔化せないって……どこまで見えちゃうのでしょうか……?」
女剣士「魔法使いが気にしている腹まわりの肉なんかは丸見えだろうな」
魔法使い「嘘っ!?すっぽんぽ丸見えですか!?」
魔法使い「すっぽんぽはすっぽんぽんですよ!すっぽんぽん!……って嘘ですか!」
巫女「貴方達……ふふ、ちょうど良いですね。これも龍神さまのお導きでしょうか……。よろしければ、わたくしの家にお入りください」
巫女「そう。わたくしの社に、わたくしが招き入れるのです。ふふ……お茶を、用意してもらえると嬉しいわ、青年」
和の村・青年「……解りました」
巫女「勇者御一行、どうぞ、お入りになって?」
女剣士「それでは、お邪魔させてもらおう」
魔法使い「お茶ですよ、勇者様!」
和の村・青年「粗茶ですが。……実際は巫女様のお茶ですので粗茶ではありませんが、俺が出した手前そう言わなければならなくて、とにかく有難く頂戴しやがれませ」
女剣士「なんだか貴様面倒臭いな」
魔法使い「わぁ……!お茶菓子もありますよ!んーっ!美味しいっ……!!」
巫女「ふふ……そんなに喜んで貰えると、嬉しいですね」
女剣士「ワタシもこれは知っているぞ!遥か昔に食べられていたと言う、団子だな!?」
和の村・青年「和の村に伝わる名菓、どぅんご。だ」
和の村・青年「どぅんご。だ」
魔法使い「ワタシが聞いた、団子にそっくりだが……」
和の村・青年「どぅんご、だ。何度も言わせないでくれ」
巫女「ふふ……どうぞ、食べてみてくださいまし」
和の村・青年「どぅんごの餡はどぅるっとしているからな。一口で食べるのが望ましい」
女剣士「これは凄いな……!確かにどぅるっとしているぞこの団子は!」
和の村・青年「団子ではない、どぅんご。だ」
巫女「ちなみにわたくしはお団子派よ。おどぅんごは餡が飛ぶことがあるから、汚れるのが、ね……」
和の村・青年「だから、どぅんごは一口で食べれば良いと!」
魔法使い「美味しい……幸せ……!ねっ、勇者様っ!」
勇者「はい」
和の村・青年「!!」
和の村・青年「どうしていつも、俺が持ってくると巫女様は召し上がらないのですか!俺、巫女様が団子派だと知っていますが、どぅんごも召し上がられると知っていますよ……!!知らないと思っていましたか!?」
巫女「青年……!」
>>和の村・青年は出ていった
巫女「…………」
魔法使い「あ、あれ……?なんか、あれ……?空気……」
女剣士「……やはり面倒臭い奴だな」
巫女「でも、考えてみて欲しいものですわ。好きな殿方の前で大口を開けて頂くなんて……」
女剣士「…………ごちそうさまでした」
魔法使い「…………ごちそうさまでした」
魔法使い「女剣士さん……」
女剣士「魔法使い……」
魔法使い「気にせず食べた私達って……」
女剣士「あぁ、解っている。それ以上は言うなよ」
魔法使い「あの……追い掛けたりしなくて、大丈夫ですか?」
巫女「ふふ……ご心配には及びません。それよりも、何か聞きたいことがあるのではありませんか?」
勇者「はい」
女剣士「それはワタシも気になっていた。女が多くて男が少ないから、何かあるのかと思ってな」
魔法使い「う……あんまり気にしていませんでした……」
巫女「王様ではなく、龍神さまを崇めておりますのも、違和を感じる要素の一つかもしれませんわ」
魔法使い「その龍神さまって、本当に良い神さまなんですか……?」
女剣士「魔法使い!貴様何を……」
魔法使い「はい……」
巫女「龍神さまは、和の村の、わたくし達全員の守り神。ですが、定期的に……およそ、百年に一度、村の女性が龍神さまの元へ嫁ぎに行くのです」
魔法使い「お嫁さん……ですか?」
巫女「ともかくそれが、龍神さまがわたくし達をお護りしてくださる条件。と、聞き伝わっております」
魔法使い「それじゃあ、龍神さまのお嫁さん……贄にされた人はどうなるんですか?どうしてその人は護らないの?全員の護り神なら、どうして、そんな生け贄なんてことを……」
魔法使い「!!」
巫女「龍神さまが……贄を望んでいるとは思えないのです。わたくしには……。あの、優しく、寂しい方には……」
巫女「……龍神さまに嫁ぐと言うことが、贄であると言うことを殆どの物は知りません。どうか、他言無用でお願いいたします」
巫女「長々とお引き止めしてしまい申し訳ございません。村の北西に空き家がございます。どうぞ、そちらでおやすみになってくださいまし」
魔法使い「ありがとうございます」
女剣士「すまない、感謝する」
女剣士「なんだ貴様、飛び出したかと思えばこんな近い所にいたのだな」
和の村・青年「ふんっ。俺は巫女様をお護りしなければならない。お傍を離れる訳が無いだろう」
魔法使い「……出て行く時、お顔が真っ赤で涙目でした」
女剣士「それに置いて出歩かれていたな」
女剣士「は?」
和の村・青年「長が顔を見せろとおっしゃっている!」
女剣士「そういう事は解りやすく、先に伝えろ。全く……」
和の村・青年「なんですか?」
魔法使い「がんばってくださいね、恋」
和の村・青年「!?」
魔法使い「おどぅんご、美味しかったです!ありがとうございます」
魔法使い「今行きます~!」
和の村・青年「…………」
和の村・青年「……何故、気付かれた……っ!?」
和の村・娘「龍神さまは、皆を護ってくださる優しい神なのです」
和の村・少年「本当にお祭りだったんだ!オレ、すっげー楽しみ!」
和の村・老婆「旅の者……急ぎの旅かえ?」
勇者「はい」
和の村・老婆「始まってしまえば、どうしようもならん……」
和の村・女性「……とても、聞いたような方には思えない……」
和の村・少女「りゅーじんさまの、おさんぽは!ふしぎなばしょへの、おさんぽなのよ!」
勇者「はい」
和の村・おばさん「助かるねぇ!それじゃあこの薪を割っといてくれよ!」
>>勇者達は薪割りをした
和の村・おばさん「助かっちゃったからね、お礼にこれをあげるよ!」
>>勇者は団子どぅんごセットを手に入れた!
和の村・おばさん「あぁ~、やっぱり常に男手が欲しいねぇ~」
和の村・男「!!」
和の村・男「……奥で長様がお待ちだ」
和の村・中年男「さっさと行け」
魔法使い「なんだか、ピリピリしていますね……」
女剣士「あぁ……」
村の長「先を急ぐ旅だとは承知の上だが、今日の夜から三日間、和の村では龍神祭が行われる」
村の長「その神聖なる龍神祭の間は、何人足りとも村の外に出ることは叶わぬ。それはこの村の者ではなくとも例外ではない」
女剣士「なんだと!?」
村の長「すまなんだが、勇者様御一行には、三日間和の村でお過ごしいただきたい。もちろん、泊まる場所の心配は要らぬ。夜からはずっと祭りが開かれておるから食物の心配も要らん」
勇者「はい」
魔法使い「勇者様、そんなにあっさり……!」
女剣士「……仕方あるまい」
魔法使い「どうしてそんな、女剣士さんまで簡単に……!」
魔法使い「えっ……?」
村の長「和の村は龍神さまのお陰さまで平和な村でございます。どうぞ、ごゆるりとお過ごしくだされ」
和の村・男「用が済んだら出ていってくれ」
和の村・中年男「よりによってこんな時に……巫女は何故連れてきた……」
魔法使い「どうして、三日間もここに居るなんて……」
女剣士「三日間も本当に出られないのであれば、ワタシ達に逃げ場はない」
女剣士「考えてみろ。この、決して大きいとは言えない村だが、全員が敵になってしまえばそれなりの脅威になる」
勇者「はい」
女剣士「それに……龍神さまとやらも、気になるしな」
女剣士「勇者殿、どうやらワタシ達は気が合うらしい」
魔法使い「!!」
女剣士「贄があるから護るのか、護るから贄が必要なのか」
魔法使い「なんだか矛盾している気がして……気持ち悪いんです」
女剣士「龍神さまとやらに会えるわけでもないからな。今ワタシ達が考えても、仕方がない」
魔法使い「そう、ですよね……」
女剣士「少し村を見て回って、落ち着いたら北西の空き家とやらに行ってみよう」
女剣士「元気だな、魔法使いは……」
和の村・女子「あら?大老人にご用ですか?」
女剣士「いや、そう言う訳ではないのだが……大老人、とは?」
和の村・女子「とっても長生きなお爺さんですよ。……身体の言うことは効かなくなってきてますから、基本床に伏せっておられますが……」
和の村・女子「和の村の民は長寿ですが、大老人はその中でも特別長生きなんです」
魔法使い「手入れが行き届いているお家ですね」
女剣士「あぁ……」
大老人「そこに……おるんは……誰じゃ……?」
大老人「水……水をくれんかの?」
>>勇者は水瓶を調べた。器に注ぎますか?
勇者「はい」
大老人「おぉ、おぉ、すまんのう……」
大老人「はて……見ない顔だのう……?」
大老人「!!」
女剣士「……む?」
大老人「そうか……そうか、そうか……これも、龍神さまの、お導きか……」
大老人「……ワシに、話す資格は、ないのじゃよ……」
大老人「すまない、すまないのう……ねえさん……」
魔法使い「お爺さん、女剣士さんの髪を撫でて寝ちゃいましたね」
女剣士「う、うむ。……色ぼけ爺という訳では無いみたいだな」
魔法使い「いやいや、これでハッスル!ハッスル!してたらびっくりしてお目めが流し素麺ですよ!」
女剣士「……よく解らん。とにかく、睡眠の邪魔をしてはならないだろう。外に出よう」
和の村・女子「昔、大老人のお兄さんのお嫁さんが、龍神さまに嫁がれたそうですよ」
和の村・女子「和の村の女にとって、龍神さまに嫁げると言うことはとっても名誉な事ですのに……」
和の村・女子「大老人は、そのお話になるとあまり良い顔をされないんです」
魔法使い「あれ……?巫女様の方、なんだか賑わってませんか?」
女剣士「うむ。行ってみよう、勇者殿」
和の村・青年「今、巫女様は見通しの儀を行っている。用があるなら後でにしていただきたい」
魔法使い「用事がある訳ではないんですけれど……」
女剣士「見通しの儀とはなんだ?」
魔法使い「知ってます!巫女様、自分でおっしゃってました。よく見えてしまうって。だから、少しでも見えないように目を閉じているとも」
和の村・青年「あぁ、巫女様は、我々の見えない内部まで見えるのだ」
和の村・娘「かかさま、腎の臓の治りが悪いと……」
和の村・熟女「やっぱり巫女様の目は誤魔化せないねぇ。あたしゃ本当にお酒を断つよ」
和の村・娘「かかさま!!飲んでいたのですねっ!?あれ程……!」
>>和の村・娘と和の村・熟女は去っていった
和の村・青年「巫女様には、肉眼では見えない内部の悪い所を御覧になることが出来るのです」
和の村・青年「他にも巫女様には見えることがあるそうですが……それは、俺も知りません」
魔法使い「お腹回りのお肉なんて言う次元じゃなかったのですね……」
和の村・青年「で、俺が何を言いたいかって?」
魔法使い「あ、何か言いたいんですね。さんにー、どうぞ」
女剣士「よし、行こう勇者殿」
魔法使い「私も行きます~!」
和の村・青年「あっ、ちょ……」
和の村・青年「魔法使いさんとやら」
魔法使い「なんでしょうか?」
和の村・青年「その……俺は余所から見て……巫女様に、嫌われているように……見えるだろうか?」
勇者「はい」
和の村・青年「本当か!?……いや、しかし……先程も、巫女様は俺のどぅんごを召し上がられなかった……」
魔法使い「それは……事実ですね」
和の村・青年「しかし、それはもう叶わない……何故ならば、俺が持ってきたお茶菓子は……勇者御一行が食してしまったからだ……!!全て!!」
魔法使い「あっ、なんか私達が悪いみたいな流れにしようとしてますよ!」
魔法使い「うぅ……お菓子が美味しかっただけに、ちょっと罪悪感が……」
魔法使い「勇者様、助けてあげますか?」
魔法使い「……って!勇者様すでに良さそうなもの持っているじゃないですかぁ!出してくださいよ!出して出してっ!なんか今助けないと面倒なことになりそうですしっ」
勇者「はい」
>>勇者は水の枝を取り出した!
魔法使い「わぁ!凄い、お水で出来た枝は綺麗ですね!……って違いますよ勇者様!」
魔法使い「あぁ、これで青年さんを安らがせて……ってそうじゃなくて、どちらかと言うと甘い感じですよ!」
>>勇者は白い布を取り出した!
魔法使い「そう、プレゼントは真っ白い布に包まれた、わ、た、ちがーう!!違いますよ勇者様!雰囲気じゃなくて味覚が甘くなる感じですよ!」
勇者「はい」
魔法使い「私の反応が面白かった……って、そんなのは良いですから早く出してくださいよぉ!」
魔法使い「そう!それですよ勇者様っ!」
>>団子どぅんごセットは魔法使いに奪われた……
和の村・青年「こっ、これは、団子どぅんごセット……!!俺と巫女様の為にあるようなセット商品……!!」
和の村・青年「そうか……そう言う事ですか魔法使いさん!二人違って二人良いと……!俺がどぅんごを食べたいならどぅんごを、巫女様が団子を召し上がられるならば団子をと言うことですね……!?」
和の村・青年「巫女様、今!今!参りますっ!!」
>>和の村・青年は東の社に入っていった
魔法使い「……今中に入るのは、無粋ですよね。また後で来ましょうか、勇者様」
巫女「ありがとう。わたくし、好きですよ」
青年「うほっ!?そんな、開幕早々好きだなんて、巫女様、そのっ……」
巫女「青年の淹れてくれるお茶。好きですよ」
巫女「そして、貴方とのこの時間が」
青年「!!」
青年「巫女、様……」
青年「俺は今、嬉しさと罪悪感の……板挟み寿司です」
巫女「板挟み寿司……いえ、罪悪感?」
青年「……贄の、ことです」
青年「確かに、長様は……南東の家で、嫁ぐではなく、贄だと言っておりました……。巫女様からお聞きしていたのに、俺はずっと信じられなくて……」
巫女「無理もありません。わたくしも、信じておりましたから。……いえ、本当は……今でも……」
和の村・青年「!!」
巫女「……そう、始まるのですね」
和の村・青年「巫女様?」
巫女「わたくし達も行きますよ、青年」
魔法使い「あわわわわわ!勇者様、結局覗き見しちゃいましたね!……じゃなくてっ!していたのがばれちゃいますよ!!早く早く!撤退!撤退ですよ!ゴー撤退!」
女剣士「勇者殿と魔法使い、何をして……」
魔法使い「女剣士さん、撤退です!総員、速やかに退避せよ!繰り返す!すたこら撤退ですよ!!」
女剣士「は、はぁ……?」
女剣士「なんだ?人集りが出来ているな……」
魔法使い「ほ、本当ですね。どうしたのでしょう?」
村の長「今宵から三日間。約百年の時を経て、龍神祭を執り行う。毎夜十人のおなごが、我らが守り神、龍神さまの元へと嫁がれる」
村の長「全ては龍神さまの、お導き」
村の長「龍神さまは、等しくお選びになられた。今から、その尊き者の名を告げる!一日目は……」
和の村・娘「そんな!あたしが龍神さまのお嫁さんになれるなんて……!これも、龍神さまのお導き……ありがとうございます!」
村の長「少女!」
和の村・少女「りゅーじんさまと、おさんぽできるかなっ?たのしみだなぁ!」
魔法使い「…………」
女剣士「冗談、だろう?……何故、喜べるのだ?」
魔法使い「そう、か……そういう、ことなんですね……ここは、閉ざされた村……隔離された村……」
魔法使い「それがどう言う意味かも知らない……!」
女剣士「だが……そうしてこの村は、平和に成り立っている……」
女剣士「可笑しいことが、可笑しくない世界か……っ!」
女剣士「馬鹿げている。馬鹿げているぞ、そんな神を崇めるなど……!」
女剣士「犠牲の上に成り立っている平和ではないか!」
魔法使い「!!」
女剣士「龍神と言うのは……本当に見境が無いのだな!」
魔法使い「勇者様、少し、騒めいていますね……」
和の村・おばさん「何言ってるんだい!これも龍神さまのお導きだよ!だから困る訳がないさ。いいや、これまで以上に守ってくれるさ!」
和の村・女子「龍神さまの、お導き……。そう、そうですよね!なら、安心です!龍神さまのお導きでしたら、安心です!」
女剣士「ここは馬鹿ばっかりか!?」
和の村・青年「巫女様!巫女様っ……!」
魔法使い「あれは、青年さんと……勇者様、気になります。追いましょう!」
青年「嫁ぐのと生け贄では……全然、違うではありませんか……!」
青年「本当は贄であると公言しましょう!そうすれば……」
巫女「……青年。村の長は、なんと言っていたのか言えますか?わたくし達が良く聞かされていた言葉ですよ?忘れるはずがありませんよね?」
巫女「……嫁いだおなご達は龍神さまのもっとも近き場所で守られ」
和の村・青年「聞きたくないです……」
巫女「我らもまた龍神さまにお守りいただけることであろう」
和の村・青年「嫌だ……っ」
和の村・青年「龍神さまの、お導き……」
和の村・青年「はっ!……ち、がう……違うっ!そんなの嘘だぁ!!嘘だったじゃないですか!」
巫女「……皆にとっては、真実なのです。この場合は、わたくし達こそが……嘘なのです」
巫女「青年……?」
和の村・青年「そんな導きなら俺はいらない!そんな導きをする龍神など……俺はいらないっ!!」
和の村・青年「守ってもらわなくて構わない!!」
和の村・青年「巫女様は……巫女様だけは、贄になりませんよね?だって、巫女様がいなかったら……誰も、見通しの儀は出来ない……困るのは龍神じゃない、俺達だ……」
巫女「……わたくしがこの目を手に入れる前は、そんな儀、ありませんでしたよ」
和の村・青年「……っ」
巫女「大人も子供も、事情も肩書きも関係なく、おなごであれば等しく、龍神さまの元へ嫁ぐ権利があるの」
青年「それでも俺は……巫女様と、離れたくはないです……」
和の村・青年「守られるんじゃない……贄は、ただの犠牲だっ……!!」
青年「何故、素直に受け入れられるのですか!?……俺は、受け入れたくない……っ!!」
巫女「……真実を知ってしまった今は、恩恵ではなく呪い、なのかもしれませんが……」
巫女「青年。わたくしの目はよく見える目。……わたくし達の身体は魂の依り代。人間の、生き物の核である魂が、わたくしには見えるのです」
巫女「わたくしは、龍神さまとお話したことがございます」
和の村・青年「!!」
和の村・青年「会っただけでは……無かったのですか……」
巫女「今、村の贄になるべきではない。わたくしに向かって、そう、おっしゃられました」
巫女「贄を欲するものが、贄になるべきではない。と、わたくしを案ずるような事を言えるのでしょうか……」
巫女「わたくし達に聞き伝わっていた話と、村の長達が知っている話。わたくしは、その向こう側に、もう一つ話があると思っています」
巫女「わたくしは、真実が知りたい……。その為にも、龍神さまにお会いしたいのです」
巫女「わたくしは、龍神さまが守ってくださっている、この村を見たい……。わたくしは、この村の全てを、まだ知らない……」
和の村・青年「巫女様は……勝手です……俺は、巫女様がいなくなるのは、嫌だ……寂しい……」
巫女「……皆が貴方のように、そう思えたら……気付けたでしょうね……」
巫女「龍神さまの、御心に……」
巫女「……日も暮れてきましたね。中に入りましょう?たくさんお話したら喉が渇きましたわ。……ふふ、青年?」
青年「お茶を……お淹れします……」
和の村・青年「はい……」
>>巫女と和の村・青年は東の社に入っていった
女剣士「フッ……馬鹿ばかりではなかったな」
魔法使い「私達も……何か、お手伝いできることはないでしょうか……」
女剣士「本来、余所者が首を突っ込むべきではないのだろうが……ワタシも気になる」
魔法使い「気になったら……気にならなくなるまでがんばるしかないですよね?ゆーしゃさまっ!」
女剣士「そういう事だ、勇者殿」
>>今は東の社に入らない方が良いだろう……
魔法使い「ちょっと村を見て回りましょう?」
女剣士「裏側を知っている者はほんの一握りだろうが……何か聞けるかもしれない」
魔法使い「こう言うお話に詳しい人っていったら……やっぱりお年寄りでしょうか?」
和の村・娘「龍神さまに嫁ぐことが出来るなんて……今、とても幸せなのです。……え?どうして悲しくなる必要があるんですか?」
和の村・少年「ご馳走がいっぱい作られてるんだぜ!楽しみだよな!」
和の村・老婆「旅の者よ。この世に悪意はあれど……絶対的な悪など、存在しないのじゃよ……」
和の村・老婆「悪も正義も、主観によって変わるもの……旅の者よ。どちらを主観にするかを決めるのは、己じゃ」
魔法使い「……よく解らないですけれど、勇者様に向かって失礼ですよ!」
勇者「いいえ」
魔法使い「勇者、様……?」
和の村・おばさん「ここだけの話だよ?あたしゃね、ちょっと安心してるんだよ。何って……巫女様が龍神さまに嫁がれるのだよ」
和の村・男「オレが、お引き受けいたします」
村の長「すまんな。本来ならば次期長が務めるのだが……あの馬鹿は何も知らん。使えん以上は、右腕であるお前にしか出来ぬことだ。しっかり、やっておくれよ」
和の村・男「お任せください、長様」
和の村・男「ハッ!全ては、龍神さまのお導き。全ては、和の村の為に!」
魔法使い「勇者様、なんだか怪しいお話してますけれど……よく解らないですね。……あっ、何か取り出しましたよ!」
和の村・男「この刀をもってして……贄を捧げよう……!」
女剣士「あれは……刀っ!?」
魔法使い「あっ、聞いたことありますよ!遥か昔に、使われていた武器だと……」
女剣士「どうして、こんな所に刀が……」
女剣士「いや……なんでもない」
女剣士「いつ気付かれるか解らない。見つかる前に出よう。長く居るのは得策ではない」
和の村・女子「大老人ったら、龍神祭が始まるって聞いたらソワソワしだしちゃって……」
和の村・女子「男の人って、幾つになっても少年みたいですね」
和の村・女子「でも……大老人、大丈夫かしら……。ボケてしまわれたのか、ねえさんが戻ってきた、なんておっしゃるようになって」
和の村・女子「あっ!今はお家に入らないでください。やっと、落ち着いた所なので……」
女剣士「……有力な話が聞けそうだと思ったのだが」
魔法使い「残念ですね」
女剣士「日が沈んでしまったな」
魔法使い「あぁっ!おやすみし損ねちゃいましたよぅ!!これじゃあご馳走たくさん食べられないじゃないですかぁ!」
巫女「ふふ……賑やかですね。これから龍神祭が始まりますから、もっと賑やかになりますよ」
和の村・青年「…………」
和の村・青年「……はい」
女剣士「…………」
和の村・青年「…………」
女剣士「待て。……鼻水、ちゃんと拭いたか?」
和の村・青年「!?」
和の村・青年「からかいやがりましたね……っ!?」
女剣士「多分、貴様とワタシは同じことを考えている」
和の村・青年「!!」
女剣士「覚悟があるのなら、協力してやろう」
女剣士「行け」
和の村・青年「はい、巫女様、今参ります」
魔法使い「女剣士さん、青年さんと何をお話していたんですか?」
女剣士「それより、美味しそうなものが並び始めたぞ。食べなくて良いのか?」
魔法使い「!?」
魔法使い「端から端まで食べ尽くす!ローラー作戦決行ですよ!ゴーゴー!!」
女剣士「それに、少し調べたいことがあってな……。すまないが、抜けるぞ」
>>女剣士が仲間から外れた
魔法使い「あれ?勇者様、女剣士さんは……?」
魔法使い「……そうですか。なんだか女剣士さん様子がおかしかったですし……一人になって、考えたいこととかもあるのかもしれないですね」
魔法使い「え?そんなにたくさん食べ物を持って食べきれるのかって?いやいや、こんなのは序章ですよ、序章!まだ本筋始まってないですから!」
和の村・娘「かかさま、龍神さまに感謝して楽しまないと!」
和の村・熟女「そうだねぇ、楽しい記憶を残さないとねぇ。娘……たくさん、たくさん笑っておくれ」
和の村・娘「かかさま……うん!あたし、たくさん笑うよ?こんなに幸せなことはないもの。でも……でもね……あたし、やっぱり思うの。これは、よくないって」
和の村・娘「かかさま、お酒は駄目です」
和の村・熟女「やだねぇ、この子は!目ざといんだからっ!あっはっはっは!」
和の村・娘「もう、かかさまったら!ちゃんと龍神さまの元から見守っているからね?飲んじゃ駄目よ?あはは!」
和の村・熟女「あぁ……しっかり、見守ってておくれよ……」
魔法使い「……勇者様。私、もう勇者様をお護りするなんて思いません」
魔法使い「あっ!えっと、勘違いしないでくださいねっ?勇者様は私の命の恩人ですし、護るべきお人です!それは変わらないです!」
魔法使い「でも……実際に護られているのは、私ばっかりで……」
魔法使い「そればかりか、強い魔法を使って、勇者様をお護り出来た。って、いい気になってたんです……私」
魔法使い「馬鹿でしょう?勇者様をお護りしないとって思いながら……実際はお護りするどころか……勘違いして、気持ちよくなって、空回りばかりして……!」
魔法使い「護るなんて大それたことは思わずに、ただ付いていこうと!勇者様に、どこまでも!」
魔法使い「付き従うことなら、それなら、私にも出来るから……」
魔法使い「……充分護られているって……私、何も出来てないですよ……」
魔法使い「生きる……資格がないのに?……勇者様、何を……」
魔法使い「傍にいてくれてありがとう……って、どうして今言うんですかぁ……」
魔法使い「えへへ……あっ、そうだ!勇者様、向こうの端の出店って言うお店の飲み物、美味しかったですよ!」
魔法使い「勇者様、喉が渇いたってお顔してます。一緒に行きましょう?」
魔法使い「……解りました。私はここで序章を一章にするために一生懸命食べてますから!」
魔法使い「早く頂いて、戻ってきてくださいね……?」
>>魔法使いが仲間から外れた
魔法使い「早く行かないと無くなっちゃうかもですよ、勇者様!」
>>出店には長蛇の列ができている
和の村・女子「最後尾はここで、二十分待ちですよ」
>>勇者は長蛇の列に並んだ
>>長い……
女剣士「…………」
>>女剣士は和の村・南西の家に向かっていった
女剣士「…………」
大老人「そこに……おるんは……誰じゃ……?」
大老人「水……水をくれんかの?」
>>女剣士は水瓶の水を器に注いだ
大老人「おぉ、おぉ、すまなんだ……一度ならず二度も、ありがとうのう」
女剣士「……覚えている。ボケてはいないな」
大老人「…………」
大老人「頭を、あげてくれんか。わしは、そのようにされる資格はない。特に……おぬしのような子に……」
女剣士「どうか、貴方が知っている百年前の龍神祭についてお話していただけないだろうか」
大老人「頭を、あげぬか……。おぬしに頭を下げられるのは……胸が、痛くて適わん……」
大老人「百年前の、龍神祭の話だったなぁ……」
女剣士「あ、あぁ」
大老人「わしが、長だった頃にの……今と同じじゃ……三日間龍神祭を執り行い、毎夜、十人のおなごが龍神さまの元へと嫁いでいった……」
大老人「わしの、あにさまのお嫁さんと小さな姪っこもなぁ……龍神さまに、嫁がれたのじゃよ」
大老人「ねえさんは、この村の産まれではなく、外からやってきたおなごじゃった。迷い人でのう……」
大老人「……そう、まるで……おぬしみたいじゃ……よく、似ている……」
女剣士「!!」
女剣士「だが、それは百年も前なのだよなっ?」
女剣士「声を大きくして、すまない。だが、別に、ワタシは怒ってなど……」
大老人「すまないのぉ、ねえさん……先ずは外からやってきたねえさんを、嫁がさなければならんかったのじゃ……じゃなければ皆が納得せん……」
女剣士「……誰と勘違いしているのか解らぬが……ワタシに兄様はいない。いるのは弟だ」
女剣士「……貴方は、長だったのなら知っているのだろう?答えてくれ。何故、嫁ぐと偽って龍神に贄を捧げる」
大老人「わしが……わしが……弱かったばかりに……すまんのう、あにさま、すまんのう、ねえさん、すまんのう、姪っこや……すまんのう……」
女剣士「大老人殿!」
大老人「わしは……ねえさん……おぬしの正論が……怖かったのじゃ……すまんのう……すまんのう……すまんのう……」
和の村・青年「お姿が見えないと思ったら……こんな所にいたのですね……!」
女剣士「青年……」
和の村・青年「大老人……おじじさま、お身体に触ります。おやすみください」
大老人「孫よ……ねえさんは……ねえさんはわしを……恨んでおるじゃろう……?龍神さまに嫁いだねえさんは……」
大老人「…………」
和の村・青年「今までならば、恨む筈がなく、これ以上ない幸せだったでしょうと返していたが……」
和の村・青年「今の俺には……言えない。おじじさまは百年間……ずっと、抱えていたのですね……」
女剣士「解った。外に出よう」
>>勇者は身を隠した
和の村・青年「龍神に嫁ぐおなごは、龍神の社で龍神の迎えを待つことになっています」
和の村・青年「深夜、月が高く昇ったその時に、迎えが来ると聞いています。それまでに嫁ぐおなごは、全員龍神の社に入る事になります」
女剣士「そうか。……後悔、しないのだな?」
和の村・青年「後悔なんて生まれない!俺が後悔するとしたら、巫女様にもしものことが起こってしまった時だけだ……!!」
和の村・青年「巫女様に救っていただいたこの命、巫女様の為に散るならば惜しくもない!!」
和の村・青年「だから……どうか、俺に力を貸してほしい!」
女剣士「……守りたい、か。……覚悟はあるようだな」
和の村・青年「刀があります」
女剣士「刀……その武器は、ここ独自の武器か?」
和の村・青年「そうか……外の方は知らないですよね。刀は、和の村の代表的な武器です。外では作れない、和の村だけのものです」
和の村・青年「だから……俺は、これで龍神に抗います」
女剣士「震えているな」
和の村・青年「……今まで、守ってくださっていた方ですから……龍神は」
和の村・青年「それでも……それでも俺は、巫女様を……お護りしたいっ。護れるのならば!」
女剣士「貴様は……大切な者を死なせるなよ」
女剣士「……行くぞ。作戦を立てる」
>>女剣士と和の村・青年は歩いて行った
>>長蛇の列は消えている
出店の男「すまないなぁ!ちょうど今切れちまってなぁ!」
出店の男「悪いねっ!」
魔法使い「もぉーっ!遅いですよ勇者様ぁ!最終章になっちゃいましたよー!」
魔法使い「あれ?お飲物は……長蛇の列……無くなっちゃった……って」
魔法使い「並び損じゃないですかぁ!!うぅ……あわよくば、勇者様からひとくちみくち、いただこうと思っていましたのに……」
魔法使い「仕方がないですね……勇者様。はい、どうぞ!」
魔法使い「あっ!おどぅんごとヨモギデェンゴはあげませんからねっ!?お茶で我慢してください、我慢!」
>>魔法使いはパクパクと食べ続けている
巫女「北西の空き家まで、ご案内させていただきます」
魔法使い「あれ?青年さんは一緒じゃないんですか?」
巫女「えぇ……」
巫女「…………」
魔法使い「あ、あれ……?」
巫女「まさか……お二人がご一緒だなんてことは……!?」
魔法使い「あ、絶対ないです。ないない。女剣士さんブラコンですから」
魔法使い「ね?」
巫女「あ、あぁ見えて青年は可愛らしい所もあるのですよ……!?」
巫女「熱を出した時には、寂しいから傍に居てください巫女様……とか!叱られた時には、泣きながら俺は悪くないですよね、巫女様……とか!!鼻からおどぅんごを出した時なんかは……!!」
魔法使い「なんか語りだしましたよ勇者様」
巫女「あぁっ……!でもわたくしにはこの方達をお送りする務めが……!!」
魔法使い「そのよく見える目で普段何を見ているのでしょうか」
魔法使い「勇者様、北西の空き家に向かいましょう」
魔法使い「この……洞窟みたいな場所は……?」
巫女「龍神さまの社でございます。今宵、月が高く昇ったその時に、嫁ぎにゆきますおなご達を、龍神さまはお迎えに来てくださるでしょう」
魔法使い「……信じているのか、現実から目を逸らしているのか。どちらですか?」
巫女「わたくしはまだ、何も見ておりませんわ……」
巫女「龍神祭の夜は、何人たりとも外を覗くことも出歩く事も許されておりません」
巫女「……くれぐれも、出歩かれませんよう、お願い申し上げます」
>>巫女は出て行った
魔法使い「もうすぐ、お月様が高く昇りそうですけれど……」
魔法使い「何か心当たりはありませんか?勇者様」
勇者「はい」
魔法使い「とにかく、出ましょう!えっ?この際外に出ちゃだめとか無しです無し!そんなお約束の方がだめです!」
魔法使い「女剣士さんと青年さんがどこで待機しているのかを探すのは、無謀です」
魔法使い「私達にはこの村の地理がありませんから。だから、ここは……龍神さまの社で、待つしかないと思います」
魔法使い「その方が確実ですし……」
魔法使い「とにかく、間に合わなかったら意味がありません。龍神さまの社へ急ぎましょう、勇者様!」
魔法使い「!!」
魔法使い「あの後ろ姿は……!」
巫女「勇者!出歩いてはいけないと……!」
魔法使い「それは、貴方も同じではありませんか?」
魔法使い「入りましょう、一緒に」
巫女「えっ?そんな、嫁がぬおなごが入る訳には……」
魔法使い「明後日には嫁ぐのでしょう?嫁ぐおなごじゃないですか」
巫女「わたくしはそうですが、貴方達は……」
魔法使い「この際取り敢えず嫁ぎましょう、勇者様!ねっ?ねっ?ねっ!?」
勇者「いいえ」
魔法使い「自分には無理だって……こういう時は取り敢えず空気読んではい。って言って、後でなんのことですかぁ?ってとぼければ良いんですよ!!」
魔法使い「はい。っと言う訳で入りましょう!!」
巫女「しかし……!」
魔法使い「女剣士さんと青年さんが龍神さまを殺しにやってきます」
巫女「!?」
魔法使い「貴方も……龍神さまにお会いして確認したいのでしょう?」
巫女「……はい」
魔法使い「さぁ、入りましょう」
巫女「青年……どうして……?」
魔法使い「広い洞窟ですね、勇者様」
巫女「最奥で、待つことになっておりますわ……」
魔法使い「特に入り組んでもいないですし、迷う要素はなさそうですね」
巫女「え、えぇ……」
巫女「……わたくしが、龍神さまにいただいた、よく見える目。……最初に見たのは、村の長に連れられた、青年でした」
巫女「青年の身体の一部が……黒い、輝きを持っていて……」
魔法使い「……青年さんは、命を助けられたんですね。貴方に」
魔法使い「そっか……だから……うん……」
巫女「でもわたくしは、それでいつまでも青年を縛りたくないのです!」
巫女「……え?」
魔法使い「青年さんは、自分の意志で貴方の隣にいるんじゃないですか。少しでも恩返しがしたくて。少しでも多く、貴方と一緒の時間を過ごしたくて」
魔法使い「だから縛られているんじゃないです!縛っているなんて思ってほしくない!」
魔法使い「あ……すみません、私っ」
魔法使い「……勇者様?」
巫女「!!」
巫女「命を助けたからじゃなくて、一緒にいたいと思ってくれて一緒にいるのなら、嬉しい……?」
巫女「もしかして、貴方は勇者に……」
魔法使い「耳に……聞こえる」
魔法使い「奥で……!!」
巫女「え……?」
魔法使い「急ぎましょう、勇者様!!」
>>十人の女性は皆眠っているようだ……
巫女「!!」
和の村・男「すまないな、おなご達よ……何もしらず……口減らしなどっ……。……許して、くれ……これも、和の村の為だ……」
和の村・男「次期村の長の代理、長の右腕が、これから贄の儀を執り行う……!」
和の村・男「すまない、おなご達よ……閉ざされ限りある村の平和を保つ為には……致し方が無いのだ……」
魔法使い「刀……!勇者様、どうしましょうっ!?ここからじゃ間に」
魔法使い「な、に……?エレメンタルが……乱れて……!?」
巫女「あ、あぁっ!!あの、お姿は……!!」
龍神『…………』
和の村・男「龍神さま」
巫女「龍神さま……!」
和の村・男「私はこの通り、龍神さまの御霊を傷付ける刀を持ちません」
和の村・男「そのおなご達は龍神さまに捧げさせていただく贄でございます」
和の村・男「どうか、これからも和の村をお守りくださいませ」
和の村・男「ハッ!」
巫女「どこかに、身を隠さなければ……!」
魔法使い「そんな、隠れるような場所なんて……っ!!」
魔法使い「あるべき姿を隠せ……光の魔法!」
>>勇者達の姿は見えなくなった!
和の村・男「…………すまないっ」
巫女「…………」
魔法使い「行き、ましたね……」
巫女「はい。龍神さま。ここに」
魔法使い「あっ!光魔法が……」
>>勇者達の姿は見えるようになった!
巫女「……はい」
龍神『今でも護るに値する、村であるか?』
巫女「…………」
龍神『なんだ?』
魔法使い「……贄になった女の子は……殺すんですか?」
龍神『我は和の村の龍神。和の村の民を護りし者。何人たりとも殺させはしない』
巫女「!!」
龍神『……この村から遠き場所に、送り届ける』
>>ゴウッ……
巫女「壁が……白い!?」
魔法使い「何っ!?あそこの壁、エレメンタルがぐちゃぐちゃですよ!?」
魔法使い「でも、こんなエレメンタルを使ったら……どこに行くか解らない……!!」
>>カッ!!
>>閃光が視界を潰す!
魔法使い「女の子、達が……」
巫女「いなく、なってしまいましたわ……」
龍神『これが……我の行っていることだ……』
龍神『巫女よ……その目でしかと見よ』
龍神『和の村を』
巫女『ここは……龍神さまの、魂……』
龍神『見えるか、和の村が』
巫女『はい……。ですが、今と雰囲気が違うような……。民も、多いですし……』
巫女『あ……龍神さまを崇めるお声が……。龍神さまのお陰さまで、平和でございますね……』
龍神『……巫女。しっかり見るのだ』
和の民「土地も作物も限られている」
和の民「けれど、民はどんどん増えていく……」
和の民「和の民は女の血が濃く長寿の民……」
和の民「多い女を間引くしかない」
和の民「口減らしをするしかない」
和の民「仕方がないんだ……生きる、為には……和の民を……同胞を……」
和の民「殺すしかない」
龍神「我に嫁ぐおなごを……贄を差し出せ」
巫女『龍神さまっ!?』
龍神『昔の我だ。今よりもうんと若き頃の』
巫女『…………』
龍神『見るのは我ではない。昔の我を見ろ』
和の民「ど、どうするんだよ、贄だなんて……!」
和の民「いや……ちょうど良いではないか。自分達で殺さずに済むのだ……」
和の民「そうか……そうか!」
龍神『我の民は……決して殺させぬ。我が……護る』
巫女『そうして貴方は、和の村の民全員を護り、お救いになっていたのですね……!』
龍神『そうだ……』
巫女『!!』
龍神『巫女よ……覚えているか?我と初めて会った時のことを』
巫女『忘れるはずがありません。貴方は、わたくしをお救いくださった……』
龍神『自ら断つ命を救うことはせぬが、巫女は違った。だから護った』
龍神『……どうだ、巫女よ。これが知りたかったことであろう』
巫女『はい……!』
巫女『…………』
巫女『和の村には……わたくしの大切な人がおります。わたくしは、その人と……何より好きな、村を守りたい……』
龍神『我達と、同じ気持ちであるか』
龍神『百年前の贄の儀に、我に刀を刺した若い男が居た』
龍神『どこからか、贄の話を聞いてな。愛しいおなご達を守ろうと。……若い男の刀によって、我の魂の半分が砕かれた』
龍神『我が死んでは、おなごを遠い地に送り、守ることができぬ。このまま贄としておなごを守っていかなければ、増え続ける民を民が殺める日が来てしまう』
龍神『そしてその若い男は、その魂でもって我の失われた魂の半分を補っている』
龍神『だが、我の魂も既に古く……この若い男の魂も、憔悴しきっておる』
龍神『魂が、持たぬのだ……』
龍神「強い、魂を持っているな……。和の村を、守りたいと思えるならば……我と共に守れ」
巫女「わたくし、和の村が好きです。龍神さまとお守り致します!」
龍神「今はまだ……その時ではない。よく、和の村を見ろ。今」
巫女『はい』
巫女『わたくしは今、村の贄になるべき時です』
巫女『いえ……贄だなんて、思っておりません。わたくしが、大切なものを守れる……これ程嬉しいことはございません』
巫女『龍神さま。わたくしは、この魂でもって、和の村をお護りしたい』
巫女「三日目に……必ず参ります」
龍神『……解った』
魔法使い「えっ?何?どうしてしまったのでしょう……?なんだか、一瞬にして全部解りましたみたいな空気になってますけれど……」
龍神『!!』
和の村・青年「巫女様から離れろおおお!!」
龍神『巫女を受け止めよ』
巫女「えっ?きゃっ……!」
魔法使い「わっ!?……もしかして巫女様意外と重い……」
龍神『こわっぱが、我にそのような剣で……』
女剣士「悪く思うなよ……!」
龍神『刀……!』
龍神『お、前は……』
女剣士「なんだ……?動きが鈍く……」
巫女「!!」
巫女「駄目……やめて青年っ!!」
>>龍神の身体に刀が刺さっている
巫女「あ、あ、あぁ……龍神さま、の……魂、が……」
和の村・青年「巫女様!ご無事ですかっ……!?」
>>パンッ!
>>巫女は青年の頬を叩いた
和の村・青年「っ!!」
巫女「しかも、この方にこんなことをさせてっ!?」
>>巫女は泣きながら青年の頬を叩き続けている
魔法使い「女剣士さん……」
女剣士「もしかして、ワタシは……ワタシ達は、取り返しの付かないことを……してしまったのか……?」
勇者「はい」
女剣士「なん、だと……?」
龍神『遅かれ、早かれ……我の魂は……もう、もたなかった……』
龍神『それが……早まった、だけのこと……』
龍神『すまぬ……巫女よ……待つこと、が……できなく、なった』
和の村・青年「い、やだ……嫌だ、巫女様……!行かないでくださいっ!!」
>>パンッ!
>>巫女は青年の頬を叩き、抱き締めた
和の村・青年「巫女、様……?」
巫女「貴方が、わたくしに命を救われたと思ってわたくしに恩を返したいように、わたくしも龍神さまにそのご恩をお返ししたいのです」
巫女「わたくしは、この平和を壊す訳にはいかないの。貴方と笑ってお茶を飲めるような、そんな穏やかな日々を!……わたくしは、護りたい」
巫女「貴方が大好きだから」
>>辺りがまばゆい光に包まれる……
和の村・青年「…………」
魔法使い「…………」
女剣士「…………」
龍神『……これが、真実です』
和の村・青年「俺、は……」
女剣士「ワタシ、は…………」
和の村・青年「なんてことを……してしまったんだ……!」
龍神『青年。わたくしは、これからもずっと、龍神さまの身体に宿り、生きて、……貴方と……和の村を護ります』
龍神『だから貴方も……わたくしと一緒に、和の村を護って……』
龍神『わたくしを護ってくれていたその思いを……和の村に……』
龍神の魂だったもの『…………』
女剣士「すま、ない。……すまないでは……すまない、が……」
女剣士「ワタシには……死んで、詫びることが出来ない」
女剣士「……え?」
龍神の魂だったもの『お、おき、く……な、たな……』
女剣士「な、に?」
龍神の魂だったもの『う、れ……し、い……』
女剣士「なにを、いっているのだ……?意味が、解らんぞ……?」
龍神の魂だったもの『だ、じ……な……か……わ、い』
龍神の魂だったもの『お、れの……む……め、よ……』
女剣士「あ……あ、あ、ああああああああっ!!」
>>龍神の姿は無い……
和の村・青年「巫女、様……」
>>青年は巫女の身体を抱いている
和の村・青年「身体、は……魂の、依り代……」
和の村・青年「解っては、いるのです……巫女様が、死んだわけではないと……」
和の村・青年「でも、俺には……今が、まだ、受け入れられない……!」
魔法使い「……女剣士さん?」
女剣士「…………」
魔法使い「……泣いて、る?でも、心は……ここに、ないみたいな……」
>>勇者は女剣士を抱き締めた
魔法使い「あっ!えっと!私もっ!!」
>>魔法使いは女剣士を抱き締めた
魔法使い「女剣士さん、どこにいっちゃったのでしょう……」
女剣士「……は」
女剣士「ワタシ、は!」
女剣士「うあ、ぁ……!?」
魔法使い「お帰りなさい、女剣士さんっ!!」
女剣士「…………っ」
女剣士「ワタシは……とんでもない間違いをっ、犯してしまった……!」
魔法使い「はい……。事実、ですね……」
女剣士「生きなければ……ならないっ……!!」
魔法使い「!!」
魔法使い「勇者様……!」
魔法使い「私、死のうとするだろうから拘束しなくちゃって思ってたんですけれど……!えっ?勇者様は違ったんですか!?」
魔法使い「ちゃんと、相談してください。私達は、仲間なんですから……」
女剣士「こんな、ワタシでも……まだ、仲間だと、言ってくれるのか……?」
勇者「はい」
女剣士「ゆう、しゃ……勇者殿ぉ……!」
>>女剣士は泣いている……
>>女剣士が仲間に加わった
女剣士「高かった月が……落ちている……」
和の村・青年「朝……」
和の村・青年「巫女様……朝ですよ……見えて、いますか……?」
魔法使い「明けない、夜はない……」
>>落ちかけた月の傍を……何かが通っていった……
村の長「巫女は、無事に龍神さまの元へ嫁いだ。他のおなごも同様じゃ。良いな?」
魔法使い「はい」
女剣士「異論無い」
村の長「……贄の儀についても、他言無用じゃ」
村の長「やっている事は、どこも変わらぬのだから……」
村の長「なるべく早く、和の村を出ていってくだされ」
>>村の長は出ていった
和の村・青年「巫女様……今日は、風が穏やかですね……」
女剣士「青年……」
魔法使い「あれ?お茶に……団子にどぅんごが半分ずつ……青年さん、お外でお茶ですか?」
和の村・青年「えぇ、まぁ……」
和の村・青年「俺はまだ、村の長になれないから龍神さまの社に入れない。だが、外でなら、お茶が出来る。……少しでも、巫女様のお側でお茶が出来れば……良いと思っています」
女剣士「そうか……」
和の村・青年「俺の家族が、代々村の長を努めているので……でも、俺、昔から病弱だったり本当に病気だったりで……長は務められないって言ったんですけれど……」
和の村・青年「巫女様のお陰で病気も治りましたし、何より……巫女様がいたこの和の村を、守っていきたいんです。巫女様との、約束でもありますし……」
女剣士「……そうか、頑張れよ」
和の村・青年「は、はいっ!」
魔法使い「なんだか、お姉さんと弟みたいな……やっぱり女剣士さんはブラコンですね!どブラコン!」
女剣士「煩いぞ魔法使い!……あまり長居する訳にはいかぬ。行こう!」
和の村・青年「行ってしまわれるのですね……。どうか、お気を付けて」
和の村・娘「龍神さまに嫁がなかったかって……あたしは違うわよ?和の村は女の子が多いから、間違えちゃうのも無理ないわね」
和の村・少年「すっげー楽しかったけど!オレのねーちゃんがいなくてなんか実感ねぇー!」
和の村・老婆「骨休めはお終いじゃ。行きなされ。本来の使命があるであろう」
和の村・少女「りゅーじんさまは!みんなのそばに、いつもいるの!おそばでまもってくださっているの!」
和の村・おばさん「いやね、巫女様に見られると龍神さまに見透かされているような気がしてねぇ、落ち着かなかったんだよ」
村の長「すまないな……いつもお前には迷惑をかけて。今回も、一番辛い所を任せてしまった……」
和の村・男「気にしないでください、長様。それより、よかったじゃないですか。最近の若君は、村の長の務めに興味を持ち出したとか」
和の長「全く、あやつは行動が遅いのじゃよ……。本来ならば、あやつを巫女と、長の右腕であるお前で支えてやってほしかったのだが……」
和の長「支えるどころか、おんぶに抱っこだなぁ……」
和の村・男「そうですね。立てるようになるまでどれくらいかかるか……長様。大老人のように長生きしてもらわないと困りますよ!」
和の村・男「ははは!まだまだ休ませませんよ、長様!」
魔法使い「えへへ……行きましょうか、勇者様!」
和の村・女子「大老人ですか?」
和の村・女子「ちょっとぼんやりされていましたけれど、お元気してますよ」
和の村・女子「えっ?ハッスル……?ちょっと意味が解らないですね」
大老人「龍神さまの……お導き……。よく、きたのう……」
女剣士「大老人殿。この間の夜は、失礼した」
魔法使い「えぇっ!?まさか、ハッスルハッスル!?あっちょ、勇者様苦しい……」
女剣士「大老人殿。貴方は……確かに、救いましたよ」
大老人「わしは……」
女剣士「貴方は、殺していない。確かに、救ったのだ」
女剣士「ねえさんも、あにさまも、姪っこも貴方に救われて生きた!生きている!」
大老人「おぬしにそう言われると……ねえさんに言われた気に、なるのう……」
大老人「ねえさんの所では、あねさまではなくねえさんと言うそうでのぉ……」
女剣士「フッ……そうなのか」
魔法使い「勇者様、呼ばれてますよ」
大老人「これを使ってな、そこの引き戸の包みを取ってくれんかの。そこじゃ、そこ」
>>鍵がかかっている
>>勇者は引き戸の鍵を使った!
>>勇者は年季の入った包みを手に入れた!
>>勇者は年季の入った包みを大老人に渡した
大老人「これはなぁ、まだ小さかった姪っこにな、用意したものじゃった……」
大老人「きっと、あねさまのように……おぬしのように、綺麗な髪になると思ってのう……」
女剣士「いえ……大事に、使わせていただく。ありがとう……大老人」
>>女剣士は髪紐を装備した
大老人「おぉ、おぉ……嬉しいのう……!」
大老人「おぉ、おぉ……ではのう……!」
大老人「……行ってしもうたか……」
大老人「姪っこも……あんな感じじゃったのだろうか……あにさま、ねえさん、姪っこや……」
大老人「!!」
大老人「女、剣士……!?」
女剣士「そんな、勇者殿……まじまじと、見ないでくれ……恥ずか、しい……」
大老人「こんな、偶……あ、あぁ……これも、龍神さまの、お導き、だと……?龍神さま……わしは……」
女剣士「行こう、勇者殿」
女剣士「ワタシ達は、立ち止まる訳にはいかない」
魔法使い「前進、ゴーゴー!ですよっ!勇者様っ」
>>和の村を出ますか?
勇者「はい」
魔法使い「勇者様、そろそろ和の村を出発しましょうか」
女剣士「ワタシ達にはワタシ達の……やらなければならぬことがある」
女剣士「ワタシ達の、平和を守るために……」
魔法使い「……行きましょう!」
和の村編終了。
続きは次スレですかね?
乙