新妹「新しい家の養子になるってちょっとワクワクしてたけど、最悪」
新妹「激キモ男じゃん、萎えたわ」
ぼく「はぁ!?な、な、ななんだ君は!!!」
新妹「うわぁ…唾飛んでるし、ガチじゃん」
ぼく「がちガガガ、ガチって何だよ!!!なななななな何がガチなんだ!!」
新妹「いいから私の部屋教えろよ、別にお前とこれからコミュニケーション取るつもりないから」
ぼく「あああああ!!コチ…こ、こっちだってお前の面倒見てやらないからな!!」
新妹「はぁ…もうマジ最悪」
新妹「はいはい、あ、一応言っとくけど変な気とか起こしたら容赦しないから」
ぼく「へ、変な気?」
新妹「私柔道やってたし、防衛術もお父さんに教えて貰ったことあるからちょっとでも近付いたら」
シュパン
ぼく「う、うわあああ!!どどどこにナイフなんて隠してたんだあああ!?危ないだろ!!??」
新妹「これで内臓捻り出すから、よろしく」
新妹「うわっ、おいお前何ビビって失禁してんだよ!ちょっと部屋汚れるだろ早く出てけ!」
ぼく「うわああ!!??」ドテッ
新妹「死ねキモオタ」バタンッ
ぼく「ぼ、ぼくはキモオタなんかじゃない……見た目で判断すんな……ボケェ……!」ポロポロ
ガチャ
妹「…なに」
ぼく「今日新しく来た妹になる奴だがな、アイツとは関わらない方がいい!!」
ぼく「げ、ゲスだぞ!!人を第一印象で判断するような奴にロクな奴はいない!!」
妹「…で?」
妹「…あ、そう、じゃ」バタンッ
ぼく「ちゃんと話を聞けよ!!…まったく…」
ぼく「しかし、妹は奴から守らなければ……」
ガチャ
新妹「は?飯は?」
ぼく「今日は両親とも帰るのが遅いから、外食だよ」
新妹「え、お前と外食?死んでも嫌なんだけど」
ぼく「は?」
新妹「それなら私が作るわ」
ぼく「え??ほんと??」
ぼく(なんだ…あいつも中々いいとこあるじゃないか…)
新妹「よーしできた、いただきまーす」
ぼく「あれ?ぼくらの分は?」
新妹「は?何言ってんだよ」
ぼく「な、な、何じゃないよ!な、なんで君の分の料理しか用意してないんだ!?」
新妹「は?なんで私がお前の分作らなきゃいけないんだよ」
新妹「今日は外食なんだろ」
ぼく「……」
妹「…兄ちゃんそろそろお腹すいた」スタスタ
ぼく「妹!き、今日はぼくらだけで外食行くぞ!」グイッ
妹「…どうしたの急に…」
ぼく「い、いいから早く準備しろって!!」
妹「うん…」
ぼく「いいか、やっぱりアイツとは関わるな!ひ、ひ、人の気持ちを考えない酷い奴だ!!」
新妹「おいし~」モグモグ
ぼく「お、おい!」
新妹「…」
ぼく「むむ、無視するなよ!!」
新妹「なに?」
ぼく「ご、ご…ゴミ出しに…イケ」
新妹「なんで?」
ぼく「な、なんで!?君のゴミも入ってんだぞ!!こ、これからは家族で仕事分担だ!!!」
ぼく「はぁ!?ゆ、許されると思ってるのかそんなこと!!」
新妹「あーもうマジうざい…ニュース聞こえないんだけど」
ぼく「は、話を聞け!!うううウチではゴミ出し、食器洗い、風呂の掃除は子供達でやることになってるんだ!!居候するならルールくらい守れよぉ!!」
新妹「知らねーってそんなの、聞いてなかったし無理」
ぼく「ムキィーッ!!!なんて奴だクソ!!!」
ぼく「……」
妹「朝っぱらから何騒いでるの兄ちゃん」
ぼく「い、妹、飯食べたらさっさと学校に行くといい、こ…こっちの話だ」
妹「うん…」
ぼく(妹をこんな奴と関わらせるわけにはいかない…)
新妹「邪魔」
ぼく「え……はぁ!?」
ぼく「な、何チャンネル変えてるんだよ!見てたんだぞ!!」
新妹「知らねぇよ、ずっとテレビ見てただろ」
ぼく「じ、じ、自分勝手過ぎるだろ!!少しは気を使えないのか!!?」
新妹「あーもううるさい、お前がいるとテレビ聞こえないんだよ」
新妹「どっか行って?」
ぼく「なんだと!!」
ぼく(手出したら逆に何し返されるか分からない……!!くっそ~くやしいよ~~!!)
ぼく「はぁ、ま、前はこんなにゴミ多くなかったのになぁ~重たいなぁ~」
新妹「…」
ぼく「いっ、一個くらい持ってってくれてもいいんじゃないかな~」ドサッ
新妹「うるせぇな!まだ言ってんのか早く持ってけよ!!」
ぼく「……」スタスタ
ぼく(結局相変わらずあの態度……ずっとあんな生意気な奴がいるなんて……)
新妹「今日は一日中休みか~どうして過ごそうかな~、とりあえず録り溜めた番組見てー…」
ぼく(そうだ、せっかくの休みならちょっと不快な嫌がらせしてやる…)
ぼく「それじゃいってきまーす」
ガチャンッ
ぼく(ウププ…wウチのブレーカーの場所分かりにくいとこにあるし見つけられるかな…w)
ぼく「ただいま~」ガチャ
ぼく「…ってあれ!?」
妹「なんでブレーカー落ちてるの…?」
ぼく「さ、さぁ…?」
ぼく(なんでまだブレーカー落ちたまんまなんだ…本当に場所が分からなかったのか?だとしたら新妹はどこに?)
ぼく「と、とりあえず電気つけてくる!」
妹「うん…」
スタスタ
ぼく「ただいまー」ガチャ
新妹「…」
ぼく「うわっ!!なな、何座ってんだ!?」
新妹「…」
ぼく「え、まさかずっとそこに座ってたのかい!?でで電気消えてるのに!?」
ぼく「え、し、しかもちょっと涙目!!!??wファーwwwだっさwww電気つかなくてビビってたのかあああ!!??」
新妹「うるさい、トイレ行こっと」
ぼく「効いてないフリしてて、わ、ワロターッwww」
新妹「……」スタスタ
ぼく「ざまぁみろw今まで酷い態度取ってきたからだアホめ」
ぼく「どうした?」
妹「…その、みたい映画あってさ、明日暇なら一緒に観にいかない?」
ぼく「え、え?」
妹「……」
ぼく「も、も、もちろん!!行こう!暇さ!!」
妹「ほんと?じゃあ明日11時からのやつね」
ぼく「わ、わかった!じじゃあ10時には出なきゃな!!」
ぼく「うん!!」
ぼく(妹がぼくを誘ってくるなんて珍しいな…なんて珍しいんだ)
ぼく(なんかあったのかな…でも良かったってことに変わりない、素直に喜ぼう)
ぼく(これだから妹は可愛いんだよ…普段は無愛想だけど、たまにぼくに甘えてくるのさ、これが妹の可愛いさなんだ)
ぼく(こうして心底ではぼくを愛してくれてる妹を見ると、いつもの無愛想さも愛おしく思えるなぁ…w)
ぼく「妹ー!!準備はできてるか!?」
妹「まだ出掛けるには早いよ」
ぼく「か、確認だよ!!昨日その映画について調べてね、ぼくも楽しみなんだよ!!」
妹「そう」
ぼく(本当は妹がぼくを呼んでくれたから楽しみなんだけど……w)
ゲホッゲホッ
ぼく「ん?」スタスタ
ぼく「は…入る…ヨ?」
ガチャ
新妹「…ゲホッゲホッ、なんだよ、入ってくんなよ…」
ぼく「え?なななんでそんな顔赤いんだ!?!」
新妹「うるせぇな…頭に響くだろうが…」
ぼく「ねね、熱だ!!熱があるんだ!!風邪?!?」
新妹「知らねぇよ…なぜか昨日電気も暖房もつかなかったから、気付いたらこうなってたんだよゲホッゲホッ」
新妹「もういいから出てけよ、頭に響く…」
ぼく「…あっそ、ぼぼぼくは今から用事あるから」
ぼく「ま、まあ、それじゃ…」バタンッ
ぼく「うん…」
ぼく「妹ごめん一人で見に行ってくれないか?」
妹「え?」
ぼく「ほ、本当は行きたいんだけど、あいつ風邪ひいたみたいで…」
ぼく「ごめん!せ、せっかく楽しみにしてたのに」
妹「…」
妹「いや」
ぼく「え?」
妹「早く行こうよ、映画」
ぼく「だ、だからごめん、今日は…」
妹「イヤだよ!兄ちゃんと行きたいの!!」
ぼく「……」
ぼく「妹ごめん…」
妹「…」
妹「わかった」
ぼく(まさかこんなにぼくを思ってくれていたなんて)
ぼく(しかし今は我慢してくれ妹よ…)
新妹「は?なんだよ出掛けるんだろ」
ぼく「そ、その、朝からなんも食べてないでしょ」
ぼく「ほら、お、おかゆ」
新妹「は?だからなんでいるんだよ」
ぼく「し、知らないよ予定がなくなったんだよ!!」
ぼく「て、ていうか、ななんで掛け布団一枚しかないんだよ!!」
新妹「いや…ここに来た時からずっと一枚だし…」
ぼく「え…」
ぼく(そういえばこいつの態度の悪さへの当てつけに布団薄くしてやったんだ)
ぼく「ほら!!も、もう一枚持ってきたって!!」
新妹「いらねーよ、哀れみのつもりかよ」
ぼく「はぁ!!?なんだと!!」
新妹「…もういいから静かにしててよ」
ぼく「……」
コンコンガチャ
ぼく「う、うどん食べる?」
新妹「いいって」
ぼく「……」
ぼく「その、さ、寒くない?」
新妹「…」
ぼく「プリンとゼリー買ってきたけど、どっちがいい?」
新妹「…うどん」
ぼく「ナンダ~…やっぱお腹すいてんじゃ~ン…」
新妹「……」
コンコンガチャ
ぼく「あの…よ、夜食べる?」
新妹「いい、食欲ない」
ぼく「ああ、そう…」
新妹「今日本当は予定あったんでしょ」
ぼく「え?」
新妹「私のために予定キャンセルしたんでしょ、ありがとう」
ぼく「え!?」
ぼく「ごめん、じじ、実は昨日ブレーカー落としたのぼくなんだ」
ぼく「な、何とか新妹を困らせてやろうと思ってやったけど、ここんな大きな風邪ひくとは思わなくて」
新妹「知ってるよ、挙動不審だったし」
ぼく「え?」
新妹「でも私の今までの態度も悪かったと思うし、今日のこと寧ろちょっとは感心したよ」
新妹「ありがと」
ぼく「……ふぇ…ふぇ…」
ぼく「お、お、おおおお腹すいたら言ってよね!!」
バタンッ
ぼく(なんだよぉ……)
妹「…」
ぼく「今日はゴミの日か…」ガサゴソ
新妹「よいしょ」
ぼく「え?」
新妹「私がやるって」
ぼく「お、起きて大丈夫なの!?」
新妹「もう治った」
ぼく「というか、な、なんだよ急に!ゴミ出しなんてしたことないだろ!」
新妹「…だから、今日からはやるって私も」
ぼく「えぇ!?」
ぼく「そ、そ、それじゃあ、次からでいいよ!今は寝てなって!!」ガシッ
新妹「あっ」
ぼく「まったく…」スタスタ
妹「…兄ちゃん、じゃあ私が半分持つよ」
ぼく「い、いやでも妹にだけ持たせるのも、あれだしな…」
ぼく「大丈夫!!一人で!!」スタタタ
妹「……」
ぼく「そしたらぼくが座ってた席の隣に丁度ホームラン球が飛んできて、眠ってたオッサンの股間に当たったんだよ
!w」
新妹「ブフォッwむっちゃウケるんだどその話w」
ぼく「んでんでwww」
新妹「あ、いっつも見てるやつ20時からだっけ?」
ぼく「え、あ、うん」
新妹「変わるし、見なよ」
ぼく「え、今見てるやつまだあるでしょ」
新妹「いいよ、今から風呂入るし」
ぼく「あぁ、そう…」
新妹「うん」スタスタ
ぼく(ぼくは新妹が危険だと思って妹と遠ざけてきた…しかしもう二人が関わっても大丈夫だって自信がある)
コンコンッ
ぼく「妹、いるか?入るぞ」
ガチャ
妹「なに?」
ぼく「その、妹、まともに喋ったことないよな…アイツと」
ぼく「じ、実はぼくが妹とアイツが関わることを避けさせていたんだ、ごめん」
妹「…」
ぼく「その…話してみないか、アイツと」
妹「いや」
ぼく「でも、一度面と向かって話してほしい、もう前までの酷い奴じゃないんだ!!」
ぼく「頼む!!ふ、二人にも仲良くあってほしい!!」
妹「……」
妹「わかった」
ぼく「ほ、ほんとか!ありがとう!!」
ガチャ
ぼく「…新妹…」
新妹「ん?」
ぼく「あ、改めてっていうと、堅苦しいんだけど紹介するよ…妹ほら」
妹「……」
新妹「…?」
ぼく「ほ、ほら妹ななんか、話しかけなよ」
妹「やっぱり無理」スタスタスタ
ぼく「お、おい妹!?」スタタタ
ガシ
ぼく「何してるんだ!?や、やっぱ恥ずかしい??」
妹「いい加減にしてよ、誰に話しかけろって言うのよ」
ぼく「え?」
妹「兄ちゃんずっと誰と話してるの…もう耐えられないよ」
妹「最初は兄ちゃんふざけてるんだと思ってスルーしてたけど、本当に誰かに話しかけてるって気付いてから私怖くて…」
ぼく「ちょっとまってくれよ…ぼ、ぼくが、幻覚でも見てるっていうのか??」
妹「見てるの、新しい妹なんていないの」
ぼく「いや、ダメだ理解ができないよ」
ぼく「……」
ぼく「ほ、本当か?バカにしてるんじゃないよな?」
妹「…」コク
妹「分からないけど私が冷たくし始めたからおかしくなったんだと思って、外に誘ってみたりしたけどダメで、何度も信じようとしたけど見えないし…」
ぼく「じゃあ…だとしたら、ぼくがこれまで関わっていたアイツは…誰なんだ」
妹「知らないよ…ねぇ兄ちゃん、もうやめて?そんな子と話すのはもう?」
ぼく「……」
ぼく「わ、分かった」
新妹「何が分かったの?」
ぼく「…」ビクッ
ぼく「……」プルプル
新妹「もしかして、妹?」
ぼく「…」
新妹「あーそうか」
新妹「やっぱりそうだっだんだね」
新妹「私不思議だったの、この家にはお父さんとお母さん、そして兄さんの三人だって聞いてきた」
新妹「なのにあんたは度々妹の話題を出してくるんだもん、一体何の話をしてんだって思ってたけど触れちゃいけないと思って」
ぼく「え…」
新妹「妹は10年前に事故で死んだって」
ぼく「……」
ぼく「あっ」
新妹「ぼくが妹を守れなかったからって泣いていたよ」
ぼく(そうだ、10年前妹はトラックに轢かれて死んだ)
ぼく(最初に気付いたぼくが助けに行ったけど間に合わず、妹は死んだんだ)
ぼく「そうすれば妹は帰ってくると思ってた、確かに妹は帰ってきたが、どこか現実感のない毎日だった」
ぼく「そこにいるのに、な、何か満たされないような酷い毎日だったんだ」プルプル
妹「なにそれ、まだそんな戯言言ってるの?」
ぼく「え?」
妹「またその女の話を聞いたの?バカバカしいって思わない?」
妹「最近ウチに来た女が、その妹は幻覚だって言ってるの?よく思い出して」
妹「私は本当に事故で死んだ?そんな記憶あるの?」
ぼく「…ない」
新妹「思い出したくないから、無理やり記憶から消したんじゃなくて?」
ぼく「……」
ぼく「確かに妹は轢かれた、いや轢かれそうになっていた…」
ぼく「でも本当に妹は轢かれたのか?」
妹「兄ちゃんが轢かれたんじゃない?」
ぼく「え」
母「……」
父「……」
母「妹ちゃん…久しぶりにお兄ちゃんのお見舞い来たんだから、スマホは後にしない?」
妹「いいじゃん、どうせ目覚まさないんだし」
父「おい妹!10年前トラックに轢かれそうになったお前を庇ってくれたのはお兄ちゃんなんだぞ!」
妹「もう忘れたって、あ、彼氏から電話きたし出るね」スタタタ
父「おい!」
母「……」
母「この子、いまどんな夢見てるのかしらね」
おわり
乙
乙
乙