・完全に妄想。エビエンスなどない。
・現実の政治団体とは全く関係ありません。
深夜、都内のバー
記者「は?」
記者(飲み会で酔っ払って終電逃して、朝までバーで過ごそうと思ったら、頭のイカれたじいさんに絡まれる地獄……)
老人「驚かせてしまったのなら、申し訳ありません」
記者「はあ……」
記者(ツイてない……常連の姉ちゃんと話そうと思ったのに……代わりにエージェント・スミスみたいな外人で店が一杯だし……)
老人「今日はとても良い日なので、誰かに話したいのです」
記者「そうですか……」
記者(カウンターの隣の席には、異様に日本語が上手い『パルパティーン』みたいなじいさん……本当にツイてない……)
記者「知りませんよ」
老人「なるほど結構。ご職業は?」
記者「記者ですが?」
老人「記者ですか。いやいや結構。芸能記者ですか?」
記者「政治記者です」
老人「政治記者。それで私をご存知でない」
記者「それが何か?」
老人「結構、結構。大変結構なことです」
記者(自分を有名人と思ってるなんて、マジでラリってんな、このじいさん。でも始発まで時間があるから、暇つぶしに話合わせとこ)
老人「はい。これからとある国を破滅に追い込みます」
記者「軍隊で攻め入るんですか?」
老人「そうではありません」
記者「ではテロ?」
老人「ちがいます」
記者「……」
老人「気になりますか?」
記者「……少しだけ」
老人「仕方ありません。あなたは本当に仕方のない方だ。そこまで言うなら話しましょう。まずは私の身の上から」
記者(そこから? マジ面倒くせ~。その上、自分から話したがってたくせに、いつの間にか俺が聞きたいことになってるし……)
記者「ほほー」
老人「少年時代、祖国はツイド国に占領され、『もみあげ人』は迫害されました」
記者「……」
老人「とても酷いことです。私は『もみあげ人』であることを隠すため、身分証を偽造し役人の養子になりました」
記者「……」
老人「役人となった私は、他の『もみあげ人』の財産を没収する仕事をするはめになりました」
記者「……」
老人「生き延びるため、同胞を迫害するツイド国の手先になったのです。とても苦しいことでした。今でも心の傷です」
記者(辛気臭いなぁ)
記者「……」
老人「学校卒業後、カリメア国に渡り、投機で財を築きました」
記者「お金持ちなんすね」
老人「確かに金持ちになりました。しかし、満たされませんでした」
記者「なぜです?」
老人「やり残した仕事があったのです」
記者「仕事?」
老人「そうです。『なぜツイド国は同胞を迫害したのか』を考え、再発を防ぐことです」
記者「……」
老人「哲学を学びたかったのは、そのためです」
記者「それは?」
老人「『ソーセージ学派』と呼ばれている学者たちです」
記者(ソーセージ?!?!)
老人「彼らは……あくまでも私の理解ですが、人間の『強者に盲従し、弱者に高圧的に出る心理的傾向』が独裁者を生んだと主張しています」
記者「なるほど」
老人「ここで言う強者、彼らは『権威』と呼んでますが、それ、そして、それに従う人を徹底的に批判すべし、とも主張しています」
記者「『権威』って、具体的になんですか?」
老人「例えば国家、家族における父親などです」
記者(会社でいうと上司、社長とかかな?)
老人「この考えは世界中の学生で流行し、学生運動に結びつきました」
記者「へー」
老人「『学生が権威たる親や教師に反抗することは正義』だからです。正義の御旗の元、堂々と反抗できる訳です」
記者「はー」
記者「え?」
老人「2000年近く、欧州では大半の人間が十字架教徒です。その思想は社会、人々の骨の髄まで染み込んでいます」
記者「それが『もみあげ人』の迫害と、どう関係するんですか?」
老人「あなたは、十字架教の教典を読んだことがありますか?」
記者「ありません」
老人「結構です! 実に結構。これからも読まないことをお勧めします」
記者「なぜです?」
老人「あれは単なるSFだからです」
記者「でも世界中の人々が、ありがたがってますよ?」
老人「結構、結構! あなたは意外と鋭いですね。そこなのです」
記者「は?」
記者「……」
老人「悪いことに、表面上は信じていなくても、その教えは欧州社会、文化に深く浸透しており、人々の無意識に刷り込まれています」
記者「えーっと……確か十字架教の教祖は『愛』を説いてたんじゃないの? そんなに悪くないのでは?」
老人「そこは悪くはありません」
記者「ではどこが?」
老人「あのSFは『もみあげ人』を悪役に描いています」
記者「」
老人「私の辿り着いた迫害の原因はそこです」
記者「えぇ……」
記者「なんと……」
老人「近代になり理性主義が台頭し、我々はやっと迫害が終わると考えましたが、結果はご存知の通りです」
記者「……」
老人「ツイド国は、当時最も民主的と言われる憲法を持つ民主主義国家でした」
記者「……」
老人「そのような進歩的な国で、あれが起きたのです」
記者「……」
老人「理性主義でもあれを抑えられなかった。つまり理性の外のもの、十字架教文化が原因と、私は考えたのです」
記者「そんな経緯が……」
記者「……」
老人「その学派の学者は、ほとんど『もみあげ人』だと聞いてますから」
記者「……」
老人「つまるところ十字架教を打倒するための思想なのですよ」
記者(そんな思想で、世界中が学生運動してたのか……)
老人「かの産共主義の祖も『もみあげ人』です」
記者「……」
老人「彼は宗教を批判しました。つまり同じです。貧しい人々の力で、十字架教の無い社会を作ろうとした、と私は思っています」
記者(産共党だけはガチ……)
老人「ほほう」
記者「彼らは、なんでそんな回りくどいやり方を? 直接、十字架教に抗議すればいいじゃないですか!」
老人「……」
記者「『権威』などとアイマイなことを言えば、範囲が広がりすぎて敵だらけですよ! 『国家』、『学会』、『マスコミ』だって『権威』だ!」
老人「……」
記者「産共主義だって、世界中の金持ち全員を敵に回すことになる!」
老人「……」
記者「日本のことわざに、『鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん』というのがあります」
老人「……」
記者「取るに足らないことを、わざわざ大掛かりにすることはない、という意味です」
老人「なるほど。まさに日本の方らしい考え方です」
記者「え?」
記者「」
老人「日本の方は、宗教を『ライフ・ハック』のたぐい、もしくは『哲学』程度に考えているようです」
記者「……」
老人「私はその考えを好ましく思います。『死んだ人間が生き返る』などと本気で信じるより、よほど健全です」
記者「……」
老人「しかし、世界の大半の人間にとって、宗教は世界であり、人生であり、全てなのです」
記者「……」
老人「『教え』を否定することは、彼らの世界、民族、家族、人格、人生、全てを否定することと同義です」
記者「……」
老人「ゆえに、自分の信じる宗教が非難された場合、信徒は損得抜きで攻撃します」
記者「」
老人「表立って十字架教を全面否定すれば、一瞬で潰されてしまいますよ」
記者「」
記者「……」
老人「産共主義は『宗教は阿片』と宗教一般とぼやかした表現で批判しました」
記者「……」
記者「『もみあげ人』は金持ちや、社会的地位が高い人が多いと聞いてます。それでもですか?」
老人「それでもです」
記者「……」
老人「圧倒的大多数の人間が、全てを捨てて襲い掛かってきます。彼らには『金』も『法律』も『地位』も意味を持ちません。これでは防げません」
記者「」
記者「それは?」
老人「『もみあげ国』の後ろ盾、俗な言い方だと『ケツ持ち』が、カリメア国、すなわち十字架教国なのです」
記者「……」
老人「カリメア国の支援がなければ、『もみあげ国』は遠くない将来、『ひげもじゃ教』勢力に飲み込まれるでしょう」
記者「……」
老人「カリメア国は国民の8割近くが十字架教徒だと言われています」
記者「だからといって、狂信的な人は少ないのでは?」
老人「そうですね……カメリア国民の4割が、進化論を否定しています。2014年の調査では」
記者「」
老人「言わば、国民の4割が『教典』を文字通り信じている、ということです」
記者「」
老人「十字架教を批判すれば、彼らを敵に回すことになります。それは政治家を、ひいてはカリメア国を敵に回すことになるのです」
記者「」
記者「あああああぁああ……」
老人「そして、今なおIT産業でマウントを取られ、パウンドを撃ち込まれてるのです」
記者「いやぁああああ!!!」
記者「……」
老人「非常に不愉快に思っていたスリギイ国。その国を通貨で叩きのめして得た財産で、です」
記者「」
記者「盾って……」
老人「具体的には、女性、同性愛者、難民の人権運動をしています」
記者「平和的で良いことです。打倒って感じではないですね」
老人「十字架教には、現代の男女平等の考えからすると、批判すべき点が多いのです」
記者「……」
老人「たとえば、十字架教の一派では女性が司祭になれません」
記者「……」
老人「女性の人権を守るため、これに我々は反対します。伝統的な十字架教の価値観は間違ってる、と主張します」
記者「……」
老人「同性愛も同様です。男女平等、多様性を認める『人権重視』の現代社会において、十字架教は『政治的に正しくありません』」
記者「……」
老人「彼ら十字架教徒の考え方は、現代においては除去されるべき『病巣』、または『呪い』です。我々は正義を行っているのです」
記者「……」
老人「危険で強大な敵を相手にする場合、常に『正義』の側にいることが大事です」
記者「……」
老人「そうでないと、一瞬で噛み殺されてしまいます」
記者「」
老人「欧州において相対的に十字架教徒を減らすため、財団は『ひげもじゃ教』難民を積極的に受け入れています」
記者「相対的……」
老人「同時に彼らの人権を保護するため、難民による犯罪を報道しないようメディアに働きかけてます」
記者「ななな?」
老人「財団がメディアのスポンサーですから」
記者「え?」
老人「学者や政治家にも資金援助しています。彼らの人権意識が高いのは、そのためです」
記者「」
老人「難民を十字架教徒から守るため、致し方ないのです」
記者「」
記者(本当ならすごい話だけど、ただのじいさんのホラ話だからな……)
老人「どこがおかしいのですか?」
記者「難民の多くは『ひげもじゃ教』の人々ですよね。彼らと『もみあげ教』は仲が悪いのでは? 『もみあげ人』が危険じゃないですか?」
老人「結構、実に結構です。やはりあなたは鋭い」
記者「……」
老人「難民受け入れには、十字架教打倒の他にも目的があるのです」
記者「というと?」
老人「ツイド国は、ほぼ単一民族の国家でした。そのため国民の思考が均一的になり、圧倒的支持率の政権が生まれた、と考えます」
記者「つまり?」
老人「圧倒的な支持を受けた政権ゆえに、独裁化したのです。つまり、単一民族の民主主義国家は、独裁国家の温床なのです」
記者「は?」
老人「それで難民です。彼らを入れて国民の思考に多様性をもたせれば、圧倒的支持率の政権は生まれず、独裁国家も生まれません」
記者「……」
老人「独裁国家が生まれなければ、国家を挙げての『もみあげ人』迫害もないという理屈です」
記者(分かるような、分からんような……)
老人「なりますよ」
記者「『なりますよ』、って!?」
老人「それで彼らが『宗教なんてくだらない』と気付くか、いっそ『対消滅』してくれれば言うことはありません」
記者「」
老人「ツイド国のカリメロ首相が主導して、欧州連合に認めさせてくれました」
記者「くれました?」
老人「彼女は東ツイド出身で、生粋の産共主義者です」
記者「」
老人「先程の『ソーセージ学派』は、産共革命が欧州に波及しない原因も考察していました」
記者「それで……?」
老人「彼らは、欧州の『権威』が産共革命を阻んでいると考えました」
記者「……」
老人「それを彼女に話したら、『権威』の打倒に喜んで協力する、と」
記者「」
老人「私も喜んで財団から献金しました」
記者「」
老人「興味ありません。十字架教の国ではありませんから」
記者「でも、ほぼ単一民族の民主主義国家ですよ?」
老人「それがなにか? 『もみあげ人』が住んでいない国で活動する予算は、財団にはありません」
記者「」
老人「いいですよ。これを見て下さい」
記者「……スマホですか? これがなにか?」
老人「このボタンを押すと、コルト・ラリを大量に売り始めます」
記者「コルト? コルトを破滅させるのですか? コルト・ラリを売ると破滅するんですか? 欧州の十字架教と何の関係が?」
老人「順番に行きましょう。コルトを破滅させるか? そうです」
記者「……」
老人「コルト・ラリを売ると破滅するか? そうです」
記者「……」
老人「欧州の十字架教と関係? コルトが破滅すると、欧州の十字架教が弱まります」
記者「んんんん???」
記者「……」
老人「コルトは経済的な信用が低いので、高い利息を付けるか、外貨建てでないとお金を借りられません」
記者「外貨建て?」
老人「簡単に言うと、借りたお金を、コルト・ラリではなく、例えば『ルド』や『円』で返す、ということです」
記者「なぜそんな面倒なことを?」
老人「コルト・ラリが信用されていないからです」
記者「信用?」
老人「仮に……あなたが『100コルト・ラリ』の債券を買ったとしましょう。金利は1年で30%にします。実際はもっと低いですが」
記者「30%!!!」
老人「1ラリが20円だとして、あなたは2000円払って買いました」
記者「はい」
老人「一年後、債券は130ラリになりました。儲かりましたか?」
記者「え? 30ラリ儲けたのでは?」
老人「それは分かりません。もし1ラリが10円に値下がりしていたら? そうなると1300円です。700円損してますね」
記者「」
記者「なるほど」
老人「これが外貨建ての債券です。コルト・ラリは値下がりしやすいので、こちらが人気なのです」
記者「ふむふむ」
老人「これをコルト側から見ると、1ラリが20円の場合、100ラリ借りて、130ラリ返すことになります」
記者「……」
老人「しかし、金を返す前に1ラリが1円まで下がったら、100ラリ借りて、2600ラリ返すことになりますね。20倍以上です」
記者「」
記者「」
老人「借金が返せないと、信用を失い、誰も金を貸してくれません。コルト政府は破産です」
記者「国の破産が破滅……?」
老人「そうです。国に金がないということは、警察官と兵士に給料を出せないということです」
記者「……」
老人「警察官がいなければ、『治安』の破滅」
記者「」
老人「兵士がいなければ、外敵を防げず『国』の破滅」
記者「」
記者「良かった~」
老人「といっても、彼らの取り立ては非常に厳しく、ほぼ破滅に近い状況になります」
記者「良くなかった~」
老人「国は財布の紐をきつく縛り、福祉、公共事業、軍、警察の予算は大幅に削減」
記者「」
老人「残りの国家予算は全て借金返済に当てられ、景気はどん底になります」
記者「ひでぇ!!!」
老人「コルト国には、アリシ難民キャンプがあります。難民の数は約300万人」
記者「……」
老人「金が無くなったコルト国は、難民キャンプを維持できません」
記者「……」
老人「かといって、難民を戦乱のアリシに戻すことも出来ません」
記者「……」
老人「となったとき、欧州連合が難民を受け入れるようカリメロ首相にお願いしました」
記者「」
記者「となると……」
老人「コルト国を経由して、難民が津波のように欧州に押し寄せるでしょう」
記者「ば、馬鹿な……」
老人「財団がSNSで革命を煽りに煽って、欧州周辺諸国、中東諸国を情勢不安にしたことが、やっと活きてきました」
記者「あれも、あんたらが!? どんだけ世界に迷惑を!」
老人「ひげもじゃ教徒は子供を多く持ちます。いずれ欧州はひげもじゃ教徒が多数派となり、十字架教の文化支配は終わるでしょう」
記者「」
老人「既にそのような流れになっていますが、これで爆発的に加速するでしょう」
記者「」
老人「日本に観光に来ていたのですが、たまたまコルト・ラリが下がったので、今やることにしました」
記者「……」
老人「もうチャンスが来ないかもしれませんし、私もあとどれだけ生きられるか分かりませんから」
老人「思いません。神の思し召しですから」
記者「神のせいにして! この人でなし!」
老人「人でなしで結構。その人でなしの私が投機で財を成しました。国家予算に匹敵するほどのです。神の助けなしでは、とうていなしえません」
記者「……」
老人「つまり、コルト国と十字架教を破滅させることは、神のご意思なのです」
記者「はぁ?」
老人「昔、私は『もみあげ教』の聖職者に聞きました」
記者「……」
老人「『なぜ神は同胞を救わなかったのか?』と」
記者「……」
老人「彼はこう答えました。『それが神のご意思なのです』と」
記者「……」
記者「」
老人「ゆえに、欧州の十字架教徒も、コルト国のひげもじゃ教徒も、『神の御心のままに』と納得するでしょう」
記者「」
老人「クソのようなSFを信じている馬鹿共には、お似合いの末路です」
記者「」
老人「失礼。フォーマルな言い方ではありませんでした」
記者「いえ、まあ、気にしなくていいですよ」
老人「動物の排泄物のごとき汚物のような空想小説を盲信する頭にハンディキャップを持つ方々には、至極当然の結末です」
記者「」
老人「神はそのような上等な存在ではありません」
記者「……」
老人「私は彼らの教典は信じていませんが、神は存在すると思っています」
記者「……」
老人「理性主義が台頭した時代、進歩的な民主主義国家で、多くの同胞が迫害されたという皮肉」
記者「……」
老人「そこに、悪意に満ちた大いなる存在を感じました」
記者「……」
老人「それが私にとっての『神』です」
記者「」
記者「よかったですね。嘘でしょうけど」
老人「大いに結構。私は非常に嬉しく思います。心残りはスリギイを仕留めそこねたことです。まさか欧州連合から抜けるとは」
記者「はぁ。面白い話でした。嘘でしょうけど。電車が動き始めたので、もう行きます。それでは」
記者(コルト・ラリの相場は……全然下がってない。やっぱ嘘じゃん!)
上司「仕事中に通貨取引か? 感心せんな」
記者「いや違うんですよ。かくかくしかじか……」
上司「おい! その話、録音したか!!!」
記者「え? なんでラリったじいさんの話を録音する必要があるんですかぁ~?」
上司(……録音したとして、俺たちが扱いきれるネタじゃないな……)
上司「……ならいい」
記者「そうそう、こんな顔……って、とても似てますね。この人は投資家ですか?」
上司「ああ。世界で名だたる大富豪だ。今さっき病気で亡くなったそうだ。大ニュースだ」
記者「じゃあ別人ですね。あのじいさん、あと10年は余裕で生きそうなほど元気でしたから」
上司「……しかし妙な話だ」
記者「ホラ話に妙もないですよ」
上司「いや、お前がバーを出た後、コルト・ラリが世界中のヘッジファンドから売りの一斉攻撃を受けたらしい」
記者「……」
上司「すると、異例の国際協調体制が敷かれ、主要国の政府が介入してコルト・ラリを防衛したそうだ」
記者「……へ?」
記者「コルト国の地図?」
上司「コルト国は欧州と中東のハザマにある。そしてここが『もみあげ国』」
記者「……」
上司「もしコルト国が破産、国民の不満が高まって情勢不安になり、『ひげもじゃ教』革命が起って原理主義国になったら?」
記者「『もみあげ国』と欧州の陸路が途絶えます。地中海も半分閉ざされます」
上司「そうだ。『もみあげ国』の安全保障の危機だ」
記者「……」
上司「『もみあげ人』の彼が『もみあげ国』を危機に陥れる。妙じゃないか?」
記者「うーん……」
記者「はい」
上司「……もしかすると彼は『もみあげ人』の聖地をぶっ壊して、神に復讐、もしくは『神に選ばれたる民族』たる『もみあげ人』を神から解放したかったのかもな」
記者「え?」
上司「しかし、それを察知した『もみあげ国』は……」
記者「……」
上司「……」
記者「……」
上司「まぁ、そこら辺の酔っぱらったじいさんの話だからな!」
記者「ですよねーー!」
記者(頭が良くて狂ってる金持ちって最悪だな……嘘だろうけど……)
この後、通貨取引に興味を持った記者が、全財産を溶かしたのは言うまでもない。
終
今も世ん中荒れ放題! ボヤボヤしてると黒塗りの高級車に追突してしまう。
後輩をかばいすべての責任を負った三浦に対し、車の主、暴力団員谷岡が言い渡した示談の条件とは……。
トルコ・リラの相場を見て、「ここで誰かがもう一押ししたらどうなる?」と思った時に、電波を受信しました。
この話は電波の戯言なので、信じてはいけません。まったくの出鱈目です。
オチが、ちょっとだけゴノレゴっぽいっすね。
前作
ではでは