DQN「いきなりステーキの店員なら、今ここでいきなりステーキ焼いてみろよ！」いきなりステーキ店員「……」

店員「……その通りだが」

ビッチ「えっ、マジで～？　超エリート～！」

DQN「だったら、今ここでいきなりステーキ焼いてみろよ！」

ビッチ「焼いて焼いて～！　アタシ食べた～い！」

店員「……」

ｼﾞｬｷｯ

DQN「ひっ！」

ビッチ「きゃっ！　DQNの眼球に、杖の先っぽが寸止めされたわ！」

DQN「か、からかって……すまなかった……」

店員「分かればいいんだ」ｼﾞｬｷｯ

DQN「今のは……いきなりステッキ！」

ビッチ「やだ～！　超隠し武器～！」

DQN「ちくしょう……！」

店員「ふんふ～ん♪」ｽﾀﾀﾝｯ

ビッチ「やだ、超軽快な歩き方～！　まるで春の野原でピクニック～！」

DQN「いきなりステップってやつか……！」

ビッチ「ねえ、どうする？」

DQN「暇だし、ついてってみるか！」

ｻﾞﾜｻﾞﾜ…

店員「……」

DQN「高校の学園祭じゃねえか」

ビッチ「こんなとこで何する気だろ？」

DQN「もしかしたら、この学校のOBなのかもな」

ビッチ「やだ、アウトオブバウンズ～？」

DQN「そりゃゴルフだ」

実行委員「今日来てくれるはずだった人気バンドがドタキャンしただって！？」

後輩「はい……どうしましょう！？」

実行委員「あのバンドのライブはこの学園祭の目玉だったのに……！」

ビッチ「やだ、超トラブってる～！」

DQN「学園祭にゲストが来れなくなるとか、最悪の展開だな……」

実行委員「はい？」

店員「もし、よろしければ……俺が代わりを務めようか？」

実行委員「……！」

実行委員「こうなったら藁をも掴めだ！　ぜひお願いします！」

ビッチ「すごい！　名乗りを上げたよ！」

DQN「だけど、あいつに人気バンドの代わりが務まるのか？　勇気というよりは無謀だぜ……」

店員「厚切りステーキ、レアレアレア！」

店員「どんどん貯まるマイレージ！」

店員「素敵なステーキ、みんなで食べようぜ～♪」

ｷｬｰｷｬｰｯ!　ｽﾃｷｰｯ!

実行委員「すごい盛り上がりだ……！」

後輩「学園祭は大成功ですね！」

ビッチ「やるじゃん！　リハーサルもなしであれだけ歌えるなんて！」

DQN「これが……いきなりステージってやつか！」

店員「こっちこそ楽しかったよ」

店員「ところで学園祭の打ち上げだけど、≪いきなりステーキ≫って店でやると盛り上がるよ」

実行委員「そうさせてもらいます！」

ビッチ「さりげなく、店を宣伝してるぅ～！　超商魂逞しい～！」

DQN「いきなりステマか……」

ビッチ「またステップしてるぅ～！　無重力空間のような軽やかさ～！」

DQN「あいつ、次はどこに向かう気だ？」

DQN「あっ、あそこは……！」

ビッチ「教会じゃん！」

店員「神よ……」

DQN「神に祈りを捧げてるな……」

ビッチ「なにを祈ってるんだろ？」

店員「俺がバイトしてる≪いきなりステーキ≫に、もっと客が来ますように……」

DQN「こんなところでも売上のことを考えてやがる……！」

ビッチ「やだ、超仕事熱心～！」

店員「神父様こそ、何か困ったことはありませんか？」

神父「実は、先日イタズラで教会のガラスを割られてしまってね……」

店員「でしたら、新しいのをどうぞ」ｻｯ

神父「おおっ、ありがとう！」

DQN「いきなりステンドグラス！」

ビッチ「どこから出したの！？」

ｷｬｧｧｧ…　ｲﾔｧｧｧ…

DQN「な、なんだ？」

ビッチ「やだ、いきなりの悲鳴～！　物騒なことが起こってる予感～！」

ビッチ「ヒグマじゃん！」

DQN「マ、マジかよ……なんでこんな街中に！？」

ビッチ「きっと餌を求めて山から下りてきたのよ！」

DQN「ちっ、こうなったら、被害者を出さないためにも戦うしかねえ！」

店員「いや……人間ではヒグマには太刀打ちできない」

DQN「んなこと分かってる！　だけど……！」

店員「俺に任せてくれ。人間が勝てないのなら、人間以外に戦わせればいいんだ」

ビッチ「どーいうこと？」

ステゴサウルス「ギャォォォォォン！！！」ｽﾞｼﾝｯ

ヒグマ「ヒッ！？」

ビッチ「ステゴサウルスを召喚したわ！」

DQN「すっげーっ！　いきなりステゴサウルス！」

ステゴサウルス「ガウ」ﾆｺｯ

店員「よしよし」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ…

ビッチ「あの凶悪そうなヒグマが、あっという間に戦意喪失しちゃった……」

DQN「そりゃ恐竜には勝てんわな……」

子供「助けて～！」ﾌﾞｸﾌﾞｸ…

ビッチ「今度は子供が川で溺れてる！」

DQN「ちっ、泳ぎは苦手だが、俺が――」ﾇｷﾞｯ

店員「いや、二次災害になるおそれがある。俺に任せてくれ」

ステラーカイギュウ「キュウッ！」ｻﾞﾌﾞｻﾞﾌﾞ…

店員「あの子を助けるんだ！」

ステラーカイギュウ「キュウン！」ｻﾞﾌﾞｻﾞﾌﾞ…

ｻﾞﾌﾞｻﾞﾌﾞ…

DQN「いきなりステラーカイギュウかよ！」

ビッチ「一説によると、肉や毛皮目当ての乱獲で1768年に絶滅したはずなのに！」

DQN「いきなりステーキの店員って只者じゃねえ！」

店員「どういたしまして」

ステラーカイギュウ「キューッ！」

ステゴサウルス「フゴォォッ！」

DQN「ステゴサウルスとステラーカイギュウを見事に飼いならしてやがる……」

ビッチ「どうなってんの！？」

店員「≪いきなりステーキ≫の“いきなり”は“生き物は友達なり”の略でもある」

店員「だから、絶滅してしまった動物を復活・召喚させることもできるんだ」

DQN「へぇ～」

DQN「今度はなんだ！？」

ビッチ「戦闘機の音だよ！」

店員「これはまさか……！」

自衛隊員「某国の空軍が攻めてきたぞぉぉぉぉぉ！！！」

DQN「マ、マジかよ！」

ビッチ「どうしよう！　自衛隊の迎撃態勢も整ってないし、日本が滅ぼされちゃうよぉ！」

DQN「たとえ撃退できたとしても、大勢の犠牲者が出ちまう！」

店員「……」

ステゴサウルス「ガウッ！」

ステラーカイギュウ「キュウッ！」

店員「DQN君は彼女を守ってくれ！」

DQN「おう！」

DQN「お前も早く避難した方がいい！」

店員「いや、俺は逃げない」

店員「俺は……日本を守る！　――この愛機で！」ﾊﾞｯ

ビッチ「やだ、どこからともなく戦闘機を取り出した～！」

DQN「いきなりステルス戦闘機かよ！」

シュボッ！

ｷｨｨｨｨﾝ…

店員（戦争（ころしあい）にはしたくない……墜落させない程度に敵機体を損傷させる！）ｶﾁｯ

ｶﾞｶﾞｶﾞｶﾞｶﾞｶﾞｶﾞｯ

ズガァンッ！　ドゴォンッ！　バゴォンッ！

「うわわっ！？」　「やられたァ！」　「なんて腕だ……！」

店員「敵国司令官に告ぐ！」

司令官「！」

店員「お前たちでは俺は倒せん……大人しく退けッ！」

司令官「くっ……ジャパニーズ・スカイ・サムライめ……！　お前さえいなければ……！」

司令官「全軍撤退だっ！」

ｷｨｨｨｨﾝ…　ｷｨｨｨｨﾝ…　ｷｨｨｨｨﾝ…

DQN「すげえ、すげえよ！」

ビッチ「やだ～！　日本守っちゃったーっ！　超守護神～！」

店員「ありがとう、あの国は国際的なバッシングを免れないだろう。もう攻めてはこれまい」

ステゴサウルス「ギャオォォン！」

ステラーカイギュウ「キューイッ！」

店員「ハハハ、お前達も心配してくれたのか」

ビッチ「ごめんなさ～い！」

店員「いや、こっちこそ、さっきはいきなりステッキを突きつけて悪かった」

DQN「あれには本当にビビったぜ！」

店員「……お詫びにステーキをご馳走しよう！」

DQN「いいのか？」

店員「今なら調子がいいから、うまくステーキを焼ける気がする！」

DQN「やったぜ！」

ビッチ「ワーイ！」

ｼﾞｭｩｩｩ…　ﾎﾞﾜﾜｯ　ﾎﾞｫｫｫｫ…

店員「あれ？　あれれ？　やっぱりダメだ！」

店員「えぇと……出来上がりました」ｺﾄｯ

ビッチ「やだ～！　真っ黒焦げ～！　超ダークマタ～！」

DQN「なんでステーキ焼くのはこんなに下手なんだよ！」

店員「いい気になりすぎました……」

～おわり～