シャロ「えっ?!おこづかい?!しかも1万円!」
千夜「シャロちゃんいつもがんばってるから それで食費はなんとかなるでしょ?」
シャロ「千夜~!!ありがと~」
ギューッ
-パチンコ屋さん
ピコピコピコ
『正義!知識!節制!愛情!不屈!』
シャロ「出ろっ…!出ろっ…!出ろっ………!!」
パンパンパンッ
『あれ…?あとなんだっけ…?わかんない!リミットオーバーアクセルシンクロ失敗!』
シャロ「なによこのクソ台!!全然出ないじゃない!!」
バンバンッ
シャロ「信頼度70パーでしょ!!なんで出ないのよ!設定いじってるでしょ!」
バンバンバンッ
シャロ「このクソ!!」
ドカッ
ボンッ
シャロ「えっ?!」
店長「困るんだよね CR遊戯王解体新書はうちの人気台だからさァ」
シャロ「ご…ごめんなさい…後ろにハイエナが私の台を狙ってて怖くて…私…」
店長「ここに名前と住所と番号書いて 印鑑もね」
シャロ「…」
ドキドキ
シャロ(千夜の名前と住所使っちゃった…ごめん…)
店長「電話かけるぞ…もしもし宇治松さん?」
『あ はい そうですけどー』
店長「どうやら本物らしいな」
ピッ
店長「10万ってとこかな 明日までに持ってこいよ」
シャロ「そんな…!!そんな大金すぐ用意できるわけないじゃないですか!せめて来月まで…」
店長「明日までに10万持ってこないと おまえの家にヤクザ送り込むぞ!!」
シャロ「ヒッ…」
シャロ「どうすればいいのよ!!10万なんて大金!」
シャロ(でも私が明日までになんとかしないと千夜が大変なことに…)
リゼ「シャロ!」
シャロ「あ…り…リゼ先輩…」
リゼ「どうした?元気ないな」
シャロ「あ…あの…私…」
シャロ(ダメだ…リゼ先輩にこんな話できない…)
シャロ「ちょっとカーテンタッセルを落としちゃって…」
リゼ「大変じゃないか 大丈夫か?私も探すよ」
シャロ「あ…いやいやっ…すぐ見つかるんで大丈夫です…!」
シャロ「はぁ…」
ココア「誤って子供を踏んづけてしまったアロサウルスのマネ!」
リゼ「あはは」
チノ「ココアさん似てます」
シャロ(みんなのんきね…千夜が大ピンチだっていうのに…)
シャロ(もう誰かにお金を借りるしかない…)
シャロ(でもリゼ先輩には借りたくないし…チノちゃんに借りるのは恥ずかしいし…)
シャロ(ココア…)
シャロ「ココア ちょっと…」
ココア「どうしたのー?」
シャロ「お願いがあるの…」
ココア「サインならあとだよ」
シャロ「そういうのいいから…」
ココア「じゃあ言わなくていいよ」
シャロ「そういうわけにもいかないの!」
シャロ「今 どのくらいお金持ってる…?」
ココア「へ?」
シャロ「お金を貸してほしいの!お願い!」
ココア「いいよー」
シャロ「本当?!」
ココア「いくらほしいの?1500円持ってるから 500円までだったら出せるよ!」
シャロ「あっ…あっ…やっぱりいいわよ…」
ココア「シャロちゃんお金に困ってるのー?」
シャロ「ちょっとわけあってね…大金が必要なのよ…リゼ先輩には言わないで」
ココア「うん!私に任せて!」
シャロ「えっ!ココアがどうにかしてくれるの?!」
シャロ(もしかして口座にお金が?!)
シャロ「は?なんの?」
ココア「チノちゃんも手伝ってー」
チノ「なにをですか?」
ココア「シャロちゃんといっしょにパンを売ってお金を作るんだよー」
シャロ「は?」
チノ「お店でそういうことするのは やめてください」
シャロ(ココアを信じた私がバカだったわ…パンなんか売って10万も稼げるわけないじゃない…)
シャロ(私の全財産とココアから借りたお金を合わせても たったの2300円…全然足りない…)
ココア「シャロちゃんがどうなってもいいっていうの?!」
チノ「話の意味がわかりません」
ココア「シャロちゃんは明日までに大金が必要なんだって!」
チノ「そうなんですか…?」
リゼ「なにがあったんだシャロ」
シャロ「そ…それは…」
ココア「なんだ冗談かー」
ココア「私が貸したお金返して」
グイッ
シャロ「あっ…」
シャロ「…」
チノ「シャロさん…お金が必要なんですか…?」
シャロ「う…うん…」
チノ「よかったらこのポケットティッシュ使ってください!」
シャロ「あ…ありがとう…」
シャロ(チノちゃん…完全に私をなめてるわね…)
シャロ「ふぇくしょん!!」
ズルズル
シャロ「チノちゃんからもらったポケットティッシュ使おう…」
チーン
シャロ「…!このポケットティッシュ…!!」
スピード審査 保証人不要
カウカウファイナンス
シャロ「カウカウファイナンス…?!お金が借りられるの…?」
シャロ「まさかチノちゃん…そのために私に このポケットティッシュを…」
シャロ「ありがとうチノちゃん…」
シャロ(でもなんだか怖そう…心配だなぁ…)
小百合「いらっしゃいませ!少々お待ちくださいね」
シャロ(きれいな人だなぁ…)
シャロ(よかった 怖いところじゃなさそう)
シャロ(ここで10万円借りて 毎月ちょっとずつ返していこう…)
丑嶋「返せないってどういうこと?」
ジッ
シャロ「!」
奴隷くん「ひぃ…すみません…来週必ず返します…」
柄崎「おまえこの間もそう言ってたよなぁ?!」
ドンッ
シャロ「ヒッ…」
柄崎「社長 どうします?」
丑嶋「ものまね」
奴隷くん「え?」
丑嶋「ものまねしておもしろかったら許してやるよ おもしろくなかったらタバスコ一気飲みだ」
シャロ(う…ウソでしょ…)
丑嶋「知らねぇ タバスコ一気な」
奴隷くん「むごぉーーーっ!!」
ゲホゲホッ
丑嶋・柄崎・加納の霊「はははははは!!」
シャロ「あの…私…」
丑嶋「何?」
ジッ
シャロ「あ…ああ…お金を貸してほしいんですけど…」
丑嶋「いくら?」
シャロ「え…えっと…10万円…」
柄崎「ガキにそんなに貸せるわけねぇだろ!!」
シャロ「ヒィ…」
丑嶋「まぁ 5万ってとこだな 10万は無理だ」
シャロ「そ…そんな…」
シャロ(でもお金が手に入った…あとちょっとよ…)
シャロ「あ ありがとうございます…」
丑嶋「さっきも言ったが うちは10日で5割(トゴ)だからな ちゃンと返せよ」
シャロ「は…はい…」
ガチャ
高田「あの子…けっこう有名なお嬢様学校の子でしたね 親は出稼ぎに行って帰って来ないみたいッスよ」
柄崎「金持ちのお嬢様がなんで闇金に金借りンだよ」
丑嶋「知らね 中絶費だろ」
シャロ「しかたないとはいえ…お金を借りちゃたったわ…」
シャロ(もし返せなくなったら青山さんに事情を話してお金を貸してもらおう…)
シャロ「!!」
シャロ(最初っから金融屋さんじゃなくて 青山さんから借りたらよかったんだ…!!)
シャロ(どうしよう…焦ってて肝心なところに気がつかなかった…)
シャロ(後悔してもしかたないわ!なんとか今日中に5万円作らないと!)
グッ
おっさん「えっ?!キミがシャロちゃん?!」
シャロ「シャロです!21さいです!」
シャロ「よろしく」
おっさん「ざけんな」
おっさん「どう見ても未成年じゃねェか!!」
シャロ「えー ちょっと子供っぽいだけですよー」
おっさん「悪いけどなかったことにしてもらうよ!!まだ捕まりたくないからな!!」
シャロ「そ…そんなぁ~!!」
シャロ「どうしよう…このままじゃお金が…」
千夜「シャーロちゃん」
シャロ「ち…千夜ぁ…」
千夜「シャロちゃんがお金に困ってるときの顔してたから…」
シャロ「私なんでもする!お金のためならなんだってできるよ!」
千夜「女の子がそんなこと言うもんじゃありません…」
千夜「…でも どうしてもって言うならついてきて…」
シャロ「ラビットハウスで待ち合わせかぁ…」
チノ「お金は借りられましたか…?」
シャロ「ダメだった…でも千夜がこれから なんとかしてくれるみたい…」
シャロ(私…千夜に頼りっぱなしだなぁ…)
リゼ「シャロ ごめん…」
シャロ「え?」
リゼ「シャロはずっと落ち込んでたのに 私 気がつかなかった…」
シャロ「せ…先輩が謝ることじゃないですよ…!!」
リゼ「いつでも私を頼っていいんだからな」
千夜「待たせたわね」
千夜が謎のボタンを出した
シャロ「え…?」
千夜「甘兎庵の物置の最深部に封印されていた 暗黒のボタン」
千夜「甘兎庵の闇そのもの…」
シャロ「そういうのいいから!!このボタンで どうやってお金を稼ぐのよ!!」
千夜「5億年で100万円稼ぐアルバイト」
ココア「5億年で100万円ー?!すごーい!!」
パチパチパチ
チノ「ココアさん 冷静に考えてください 全然 割に合ってないです」
チノ「いいですか 5億年あれば1年に1円ずつ貯金しても5億円貯まるほどの時間ですよ?」
ココア「あっ そっか」
ココア「シャロちゃん どうなっちゃうのかなぁ」
リゼ「千夜!全然 話が見えてこないぞ!」
シャロ「えっ?!ボタンを押すだけで?!」
リゼ「バカバカしい…そんなのがあるわけ…」
千夜「ボタンを押すだけっていうか…ボタンを押すとね…シャロちゃんの意識は何もない空間へ飛ばされて…」
千夜「その何もない空間で“5億年”過ごすのよ」
シャロ「餓死しちゃう…」
千夜「いいえ その何もない空間では死ぬことはおろか 眠ることも気絶することもできない…はっきりとした意識の中で5億年過ごしてもらうの」
千夜「何もない空間でお腹も空かないし眠くもならない…そこで5億年過ごすのよ…」
千夜「そして5億年過ごしたら 意識が現在へ帰ってくる…でもね」
千夜「5億年過ごしたことは 全て忘れてしまう…体感で言うならボタンを押したら100万円が出てくるだけ…でも確実に5億年過ごしてるのよ…」
シャロ「変なおもちゃ…千夜ったら青山さんといっしょに小説書く気でしょ?」
千夜「いや…本当なのよ…」
ココア「なんだかよくわからないけど おもしろそうだね」
ポチッ
チノ・リゼ・千夜・シャロ「ッッッッ!!!!」
ボトッ
5億年ボタンから 100万円が落ちてきた
ココア「わー!本当に出てきたー!!」
チノ・リゼ・千夜・シャロ「ッッッッ?!?!」
シャロ「なんともなかったの?!」
ココア「うん ボタン押したらお金が出てきたよ」
ココア「たくさん押しちゃえー!!」
ポチポチポチポチポチポチポチポチポチッ
チノ「うわああああ!!ダメですココアさん!」
ボトボトボトッ
ココア「大量の札束だー!1000万円あるよー!」
ココア「うん!偽札じゃないし 全部お札のナンバーが違うよ!チノちゃん!このお金でラビットハウス改装しようよ!」
チノ「い…いいい…いいですいいです!!そんなお金使えません!」
ココア「そっか じゃあお母さんにあげよー」
ココア「自動販売機でジュース買ったときみたいな感覚だよ」
シャロ「千夜!私にも早く貸して!!そのボタンで人生やり直すのよ!!」
千夜「強制はしないわ あとはあなたが決めること」
リゼ「やめろシャロー!!」
バッ
リゼ「ココアは1000万手に入れたけど 私たちの知らないところで確実に5億と45億年過ごしてたんだぞ!」
ココア「わーい!50億16歳のゴッドココアだー!」
チノ(絶対に50億年なんか過ごしてない…)
シャロ「離してください先輩!!先輩はお金持ちだからわかんないんですー!!私みたいな貧乏人の気持ちがー!!」
リゼ「シャロ…」
シャロ「えいっ!!」
ポチッ
シャロ「ピャッ?!」
気がつくとシャロは白い床以外 何もない空間にいた
周りは暗いが白い床は視認できる まるで宇宙空間のようだ
シャロ「え…ほ…本当にやるんだ…これぇ…」
シャロ「向こうになにかあるのかな」
ダッ
–
シャロ(…おかしいわね…さっきからずっと走ってるのに無限に白い床がつづいてるだけ…)
シャロ(それに全力で走ってるのに全然疲れない)
シャロ(全然疲れない…!)
シャロ「よーし!!とりあえず全力疾走だーっ!!」
シャロ「…」
シャロ「本当に何もない…」
シャロ「食べ物も道具も動物も人も何も…」
シャロ「でも…不思議…お腹も空かないし 疲れない…」
シャロ「もっと千夜が言ってること真剣に聞いてればよかった」
ハァ
シャロ「たぶん床に途中離脱ボタンとかあるはず…」
サワサワ
シャロ「ハァーッ ハァーッ ハァーッ」
シャロは200時間以上経験して理解した
本当に5億年という膨大な時間を過ごさないと この地獄は終わらない
シャロは絶望した
シャロ「昔 ニュースで見た…」
シャロ「年齢を重ねるごとに 時間の体感は早くなっていくって…」
シャロ「ふふん 1年も過ぎりゃ5億年なんかあっという間よ」
シャロ「5億年なんか…」
シャロ「じゃんけんぽん」
シャロ「じゃんけんぽん」
シャロ「はあ…」
シャロ「もう1年くらい経ったかなぁ…」
シャロ「まだ1年かぁ…」
シャロは5億年の認識が甘かった
シャロ「冷たくもないし暑くもない…痛くもないし かゆくもない…」
シャロ「寂しいよぉ…リゼ先輩…千夜ぁ…チノちゃん…ココア…」
ポロポロッ
シャロ「どうぶつの森でも持ってこれたら暇潰しできたのになぁ」
シャロ「歌でもうたお」
シャロ「爪を剥がされる1枚2枚~♪」
シャロ「千夜がよく聴いてた変な歌」
シャロ「千夜は よくわかんない曲を聴くわよね なにがいいのかしら」
シャロ「リゼ先輩は英語の曲をよく聴いてた!」
シャロ「えーとなんだっけ」
シャロ「赤城バス停 赤城バス停 赤城バス停♪たしかこんな感じの曲!」
シャロ「全然ダメ 帰ってきたらリゼ先輩に曲名聞こーっと」
シャロ「早く帰りたいなぁ…」
シャロは自分の知っているありとあらゆる曲を口ずさみ時間を潰した
シャロ「…」
ガチガチガチ
シャロ(もう嫌…100万円なんかいらない…千夜にもパチンコ屋さんにも金融屋さんにも謝るから…)
シャロ(もうタバスコ一気飲みでも恥ずかしいモノマネでも なんでもします…)
シャロ「…」
ゴロン
シャロ「あははっ…お先真っ暗…」
シャロ「うっ…うっ…」
シャロ「私がなにしたっていうのよ~~~っ!!」
ガンガンガンッ
いくら白い床を殴っても
シャロの拳はなんともなく 痛みもない
シャロ「…」
シャロ「そうだ!」
シャロ「あの場には千夜やリゼ先輩 チノちゃんとココアがいたんだ!」
シャロ「もしかしたら 誰かがボタンを押してこの空間に来るかもしれない!」
シャロ「もー!ココアでも誰でもいいから早く来なさいよー!」
シャロ(できればリゼ先輩がいいけど………)
シャロ「…」
シャロ(もしかしてみんな 私のことなんか忘れて楽しく遊んでるのかな…)
シャロ(リゼ先輩や千夜にも彼氏ができてたりして…)
シャロ「…」
ポロッポロッ
シャロ「…………」
シャロ「……………」
シャロ「…ワイルドギース…」
シャロ「…」
シャロ「……」
シャロ「………」
シャロ(今 何年くらい経ったんだろう…)
シャロ(どうして私はここにいるんだろう)
シャロ(私ってなんだろう)
シャロ(リゼ先輩ってなんだろう)
死にたくても死ねないので
シャロは 考えるのをやめた
シャロ「…」
シャロ(もうそろそろいいかな…)
シャロ(まだ許してくれないのかな…)
シャロ「水色の髪の毛の女の子…チノちゃん…」
シャロ「ピンクが似合うおっちょこちょいの子…ココア…」
シャロ「いつも私を助けてくれる私の親友…千夜 」
シャロ「ふふ…私の憧れの人…リゼ先輩…」
シャロ「みんなに会いたいよぉ………みんなに会いたいよぉ………」
グブグブ
シャロは昔の自分の記憶を思いだそうとしていた
シャロ「こんな風によく 千夜がお弁当を作ってくれたなぁ」
シャロ「変な歌 歌ってた」
シャロ「これっくらいの♪お弁当箱に♪」
シャロ「私のお弁当箱は…小学生の使うような…こんな形の…」
シャロ「おにぎりおにぎり…ちょっと詰めて…」
シャロ「おにぎりおにぎり…」
シャロ「!!」
シーーーーン
シャロ「いや 今 私はおにぎりを持ってた…」
シャロ(どんな形だったっけ…どんな味だったっけ…)
シャロ(まずはお弁当箱から完成させないと…)
シャロ「こ…これっくらいの…お弁当箱に…」
シャロ「………できた」
エアお弁当箱 完成ッッッ
シャロ「ここにおにぎりを詰める………」
エアおにぎり 投入ッッッ
シャロ「…いただきます…」
シャロ「エアおにぎり」
ブンッ
シャロ「…」
シャロ「…」
パクッ
シャロ「…!!」
シャロ(千夜のおにぎりの味だ………!!)
シャロ(思い出して強くイメージすることが大切なのね…)
シャロ(千夜のおにぎりの味を思い出すまで かなりの時間が過ぎたよ…)
シャロ(他にもいろんな食べ物を再現してみよう…)
リアルシャドーを極めるシャロであった
2人目の橋本環奈が誕生するほどの歳月が経過したが
まだまだ先は長い
シャロ「…………」
シャロ(チノちゃんの言葉…全て思い出した…)
シャロ「出ておいで」
ブンッ
エアチノ「ふわぁ」
シャロ(チノちゃんは口数が少ないから作りやすかったわね…)
エアチノ「シャロさん!いっしょに身長を伸ばしましょう!」
シャロ(シャロって誰だっけ…私のことか…)
シャロ(次はココアを作ってみよ…)
エアココア「ああー!!ごめんチノちゃん!リゼちゃん!コーヒー豆1トン誤発注しちゃったよー!!」
エアチノ「もう ココアさんに発注を任せるべきではなかったです…」
エアリゼ「私が払っといてやるから 今度返せよ」
エア千夜「ふふっ…ココアちゃんらしいわね…」
シャロ「謝って許される問題じゃないわよ!!」
シャロ「ったく ココアのバカさにはあきれるわね」
エアココア「ごめんね…」
エアリゼ「もうココアさんったら!」
シャロ「あっ!!これはリゼ先輩の言葉じゃない!」
ヒュルルルル
エアココアたちは消滅してしまった
シャロ「また1から作り直しかぁ………」
シャロ「………」
シャロ「憎い…!!」
シャロ「憎い憎い憎い憎い!!」
シャロ「私をこんな空間に閉じ込めた千夜が憎い!」
シャロ「許せない!なんで私にこんなことを!!なんで私にこんなことを!!」
シャロ「戻ったら髪の毛引っ張ってやる!言うこと全部無視してやる!」
シャロ「千夜のせいだ!!」
シャロ「…」
(シャロちゃん)
シャロ「………千夜は悪くない…」
シャロ「千夜は私を助けるために あのボタンを持って来てくれたんだ…」
シャロ「千夜はいつでも私を助けてくれる優しい子…」
シャロ「そんな子を疑うなんて…」
5万年という時間は
シャロの過ごした楽しい思い出を消し去るには十分すぎるほどの時間だった
シャロ「あう?」
シャロ「うぅぅー!!」
シャロ「うぅぅぅぅ…」
シャロ「うーうー…」
シャロ「あああああ!!」
ガンガンガンッ
シャロ「うぅ…うぅ…」
シャロ「はへはへ…」
シャロ「あうぅ…あぁ…」
シャロ「………リゼ先輩…」
シャロ「…」
元の世界って何だろう?
シャロ「…」
もしかしたら 私が過ごした楽しい時間は
シャロ「…」
ここにいる私が考えた単なる妄想かもしれない
シャロ「…」
リゼ先輩も千夜もココアもチノちゃんも…
シャロ「…」
ここにいる私が考えた妄想…
シャロ「ち…違う…」
シャロ「リゼ先輩や千夜には たしかに優しさや温かさがあった…」
シャロ「…チノちゃんやココアもそう…」
シャロ「みんなたしかに存在してたんだ………」
シャロ「私には時間がある…」
シャロ「けれどここには何もない…」
シャロ(私がここにいる意味…)
シャロ「ここには何もないけど………」
シャロ「…私には みんなと過ごした記憶がある…」
シャロ「私が文明を作るんだ…」
シャロ「こうやって…こうやって…こうやって…」
成功と失敗を繰り返し
消えかかった自分の記憶を頼りに
数億年の歳月を掛け
ついに エア木組みと石畳の街 完成
シャロ「ヤバい!遅刻遅刻ー!!」
ドォンッ
エアリゼ「いたた…」
シャロ「あっ!リゼ先輩!」
シャロ「リゼ先輩も遅刻ですか?!」
エアリゼ「シャロ!今日はラビットハウスの面接だろ!」
シャロ「寝坊しちゃいましたー」
シャロ「あと5分じゃ瞬間移動でもしない限り 間に合わない~」
エアリゼ「そうだ シャロ!これを飲め!!」
シャロ(コーヒー?!あんまり好きじゃないなぁ…)
シャロ(あ!でも リゼ先輩の飲みかけ!!)
ゴクゴク
シャロ「ファウ!!ファウ!!ファウ!!ファウ!!」
エアリゼ「どうやらうまくいったようだな」
シャロ「シャロちゃんブルーハリケーン!宇宙一のスピードでラビットハウスにいって参りまーす!!」
ビューンッ
-エアラビットハウス
エアココア「シャロちゃんもここで働くなんて楽しみだね!」
エアチノ「ま…まだ面接をしてないので わかりませんよ…!」
エアココア「面接してもしなくても シャロちゃんを入れるつもりでしょ?」
エアチノ「そ…そんなことは ありません!ちゃんと面接をしてから判断します…!」
カランカラーン
シャロ「遅くなってごめーん!!シャロちゃん ただいま参上なりー!!」
シャロ「特技ぃ~??口呼吸かな~??」
エアチノ「ではシャロさ…桐間さんの長所と短所は…」
シャロ「よくわかんないけど よろしくお願いしまーす!!」
エアチノ(採用………っと)
-エア甘兎庵
エア千夜「あら シャロちゃん ラビットハウスでも働くことにしたらしいわね」
シャロ「それが面接のこと 全然覚えてないのよ…ちょっと偏頭痛がするし…」
エア青山「うふふ きっと緊張していたんですね」
シャロ「はあ…」
ポロッポロッ
シャロ「あれ…どうして涙が止まらないんだろう…」
エア青山「お腹が痛いですか?」
シャロ「そうじゃないんです…私にもよくわからないけど…」
エア千夜「…」
シャロ「へ?」
エア千夜「ここにいるのは私じゃないって」
シャロ「なに言ってるのよ千夜」
エア千夜「全てはシャロちゃんが作り出した虚構の世界…」
シャロ「そ…そんなわけないでしょ…千夜と青山さんで小説でも書く気?」
エア千夜「私やリゼちゃん…ココアちゃんやチノちゃんも全部 シャロちゃんの作り出したシャドー…」
シャロ「ウ…ウソよ…」
エア千夜「私がこんなことを言うってことは シャロちゃんも心のどこかでそれを理解してた…」
エア千夜「さよならシャロちゃん まだまだ先は長いけど がんばって」
シュゥゥゥ
シャロ「千夜ーーー!!」
1度「存在しない」と考えてしまったらリアルシャドーはもう作ることができないのだ
シャロ「そっか…」
シャロ「私はひとりだったんだ…」
シャロ「ずーーーっとひとりぼっち…」
シャロ「誰もいない…何もない…音もない…」
シャロ「私ってバカだ…」
ボタンを押して
何度目の後悔だろう
シャロ「リゼ先輩は最後まで止めてくれたよね………」
シャロ「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」
シャロ「うぅー………ごめんなさいっ…ごめんなさいっ…ごめんなさいぃぃ………」
あと3億年
シャロ「げほっ…げほっ…」
まだかな
シャロ「ぶっ…ヴっ…」
まだかな
シャロ「うー…うー…」
もう5億年経つかな
シャロ「うぇっ…えっ…」
もし まだ1年や2年しか経ってなかったからどうしよう
シャロ「ぐうぐう…」
どうしてまだ私は帰りたいのかな
シャロ「きゅう…きゅう…」
帰るってどこに?
楽しかった思い出も 感情も捨て去り
石をイメージし 空間と同化していた
シャロ「…」
それから何年 何億年経っただろう
光が差した
シャロ「…」
リゼ「シャロ!約束しただろ!」
シャロ(誰…?)
千夜「みんなで川へ遊びにいくって!」
シャロ(とっても懐かしい声………)
マヤ「遅刻だぞ遅刻ー!」
メグ「遅刻しちゃったのが ココアちゃんじゃないのは意外だよぉ」
チノ「ココアさんも遅刻しましたけどね」
ココア「もういいでしょー!早くいこうよー!」
リゼ「ほら シャロ!いくぞ!」
ギュッ
シャロ(あったかい………)
シャロ(リ…ゼ…せん…ぱい…)
そっか 私
もう がんばらなくていいんだ…
ミチミチミチ
ボトッ…
100万円が落ちてきた
シャロ「わーっ!!わーっ!!わーっ!!」
シャロ「すごーい!本当に出てきたー!!」
リゼ「だ…大丈夫なのか…?!シャロ?!」
シャロ「なーんともないですよー!!リゼ先輩もやります~?!」
リゼ「いや…私はいいよ…」
千夜「あらあら」
チノ「お…お金がこんなに…」
クラクラ
丑嶋「もん♪もん♪もん♪」
ティッピー「ブルブル」
高田「社長 本当ウサギ好きッスね」
シャロ「あ 金融屋さん!お金返しますよ ハーイ!!」
丑嶋「知るかよ ちゃんと返してきたならそれでいいだろ」
高田「はい…」
丑嶋「高田 よく聞け…」
丑嶋「簡単に手に入るものは 大切にできねェ」
–
ココア「ふふーん 1000万円持ってる私の方が強いもーん!」
チノ「あんまりお金を見せびらかさないでください!」
リゼ「シャロもココアもやめろ!」
シャロ「なにをー!!負けるかー!!千夜!ボタン貸して!」
千夜「えっ ダメよ…これは本当に危険だから…」
シャロ「貧乏生活から抜け出してやるーっ!!えいえいえいえーい!!」
ポチポチポチポチポチポチポチポチポチッ
ココア・リゼ・千夜・チノ「ッッッッ!!!!」
シャロ「ふふん」
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