リゼ「…………」ススス
モカ「リゼちゃん? どうしたの、そんなに離れて」
モカ「脅えた子ウサギみたいな顔してると、余計モフモフしたくなっちゃうぞー」
リゼ(ど、どうしてこんなことに……!)
リゼ「ラビットハウスも休みだし、今日はどうしようか……射撃訓練でもするかな……」
ピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロピロ
リゼ「……ん、メールが……ココアから?」
ココア『今からお姉ちゃんがそっちに特攻するよ!』
リゼ「は?」
モカ「お邪魔します!!」バァン
リゼ「」
モカ「ココアから聞いたわ! リゼちゃん、一人っ子で寂しがってるって!」
モカ「というわけで、一日お姉ちゃん、派遣されてまいりました!」
リゼ「えぇ……」
リゼ「も、モカさん、一体いつこっちに」
モカ「別の用事があったから来てたんだけど、ココアにリゼちゃんのことを聞いて、いてもたってもいられなくなっちゃって」
リゼ「私は別に寂しがったりなんて……」
モカ「さぁリゼちゃん、何がしたい? モフモフされたい?」モフモフ
リゼ「もうしてるじゃないか!! も、モフモフはやめてくれ! ……その、恥ずかしい」
モカ「んー、そう? じゃあ何したい? 本当のお姉ちゃんだと思って、なんでも言って!」
リゼ「そんなこと急に言われても……」
リゼ「……本当のお姉ちゃん、か」
リゼ「……じゃ、じゃあ」
リゼ「ああ、親父が趣味で作った射撃場なんだ……最近は私しか使ってないんだけど」
リゼ「あんまり楽しくないかも知れないけど、一度誰かと一緒にやってみたくて」
リゼ「とりあえず私が撃つから、そこで見ててくれ」
モカ「じゃあここから応援してるね」
リゼ「ふぅ……」
モカ「すごーいリゼちゃん! 百発百中! よしよし」ナデナデ
リゼ「/// も、モカさんも、教えるからやってみないか?」
モカ「…………」ジーッ
リゼ「モカさん?」
モカ「リゼちゃん、今日はお姉ちゃんって呼んで良いんだよ?」
リゼ「呼ばないぞ」
モカ「リゼちゃんの手、あったかいね」
リゼ「う……あ、危ないからからかうな!」
モカ「はーい」
モカ「当たらない……」
リゼ「最初のうちはそんなもんだよ」
モカ「リゼちゃん凄いんだね。尊敬しちゃうな」モフモフ
リゼ「さりげなくモフモフするなー!!」
リゼ「最後は結構当たるようになってたし、モカさん才能あるんじゃないか?」
モカ「えへへ、そうかな」
リゼ「それと……楽しんでもらえて良かった。こういうの、みんな興味なさそうだから……」
モカ「不安だった?」
リゼ「…………」
モカ「楽しいかどうかは、やってみなきゃわからないよ。少なくとも、私はリゼちゃんの好きなことができて楽しかった」
モカ「今度、みんなも誘ってみたら?」
リゼ「そうかな……そうだな。今度、そうしてみる」
モカ「よしよし。私も、またこの街に来た時は誘ってね」ナデナデ
リゼ「あ、ああ……///」
リゼ「ああ、そういえば前は、私が逃げたからちゃんと回れなかったんだな……すまない」
モカ「気にしないで。代わりに今日は、逃げられないように手を繋いで行きましょう!」
リゼ「え゛っ! さ、さすがにそれは……」
モカ「だーめ。今日はリゼちゃん、私の妹なんだから!」モフモフ
モカ「また逃げられちゃうと困るし」チラッ
リゼ「う、うぐうぅぅ……///」
シャロ「」
モカ「こんにちはー。お久しぶり、シャロちゃん」
リゼ「…………あ、あんまり、見るな……!///」プルプル
シャロ(モカさんとリゼ先輩が手をつないでお店に来た……)
シャロ(何が起こっているというの!!?)
シャロ「リゼ先輩が妹に……なるほど」
リゼ「納得した!?」
シャロ「いやしてませんけど……そういうのがありなら……」
モカリゼ「?」
シャロ「い、いえ、なんでも! お二人とも、注文いかがいたしましょう?」
モカ「シャロちゃんの制服も可愛いねえ。今すぐモフモフしたくなっちゃう」
リゼ「シャロは仕事中だぞ」
モカ「わかってるわかってる。ところで、さっき歩いてたときのリゼちゃん、可愛かったね」
モカ「最初は照れてたのに、段々慣れてきたのか、少しずつ距離が近づいて……」
リゼ「なっ、あっ、それはその///」
モカ「……手を繋いで歩いてたら、昔のココアを思い出しちゃった……」
リゼ「モカさん……」
モカ「だから、もっと甘えちゃっていいんだよ?」
リゼ「え、遠慮しとく……」
シャロ(リゼ先輩と姉妹デート……羨ましい……けど今日はまだバイトが……)
モカ「きたきた、美味しそうなクッキー。ほら、リゼちゃん、あーん」
リゼ「えっ!?」
シャロ「ナァッ!!?」
シャロ「」カタカタカタ
モカ「あーん」ニコニコ
リゼ「……///」
モカ「あーん」
リゼ「…………あむっ」パクッ
シャロ「」ガクゥッ
モカ「あら、シャロちゃん?」
シャロ「」
リゼ「/////」
リゼ「なんか呆然としてたけど、大丈夫じゃないか……多分」
モカ「今日は楽しかったよ、リゼちゃん」
モカ「もうすっかり夕方だし、そろそろ帰らなきゃ」
リゼ「えっ、あっ……」
モカ「?」
リゼ「……い、一日お姉ちゃん、なんだろ。もしよければ、うちに泊まっていかないか?」
モカ「え、良いの?」
リゼ「うちは広いし、一人増えてもなんとかなるから、モカさんさえ良ければ……」
モカ「勿論、甘えたがりの妹のためだもの」
リゼ「そ、そういうのじゃないから!」
リゼ「あ、あぁ……」
リゼ(思わずあんなこと言ってしまった……わ、私は一体どうしてしまったんだ……)
リゼ(……恥ずかしいけど、悪くはない……けど、ううぅ……)
モカ「あ、ココア? ごめんね、今日リゼちゃんの家に泊まることになったの」
モカ「うん、リゼちゃんがすっかり甘えん坊の妹になっちゃって」
リゼ「嘘はやめろ!!」
モカ「晩御飯、こんなに豪華なの用意してくれたの?」
リゼ「普段から色々出るけど……親父に、友達が泊まるって言ったらいつもよりすごいことに」
リゼ父「リゼが友達を家に泊めたいなんて言い出したのは初めてだったもので」
リゼ「お、親父っ!」
モカ「じゃあ、私がリゼちゃんちのお泊り第一号、だね!」
モカ「五号くらいまで、きっとすぐに現れますよー」
リゼ父「俺はいつでも歓迎するぞ」
リゼ(みんなとうちでお泊り……良いかもしれない……)
モカ「リゼちゃん、あーん」
リゼ「さ、さすがに家族の前ではやめてくれー!!」
リゼ父「…………///(優しい眼差し)」
リゼ「そんな目で見るなーっ!」
モカ「お風呂広ーいっ! 温泉みたい!」
リゼ「ひ、広いんだからこんなにくっつかなくても……」
モカ「でもリゼちゃん、こうして一緒にいたいから私を泊めたんじゃないの?」
リゼ「そ、それは……」
モカ「頭洗ってあげようか?」
リゼ「自分でできるっ!」
リゼ「それは、大丈夫だ。ココアもチノも、シャロも千夜も、みんなといると……楽しくて、自分が年上だって忘れそうになる」
リゼ「だから、みんなとは気軽になんでも話せてるよ」
モカ「そっか……良かった」
モカ「でも、自分より年上に甘えるなんてできないでしょ。今日は思い切り甘えちゃっていいんだよ~」モフッ
リゼ「なっ、あっ……ん……」
リゼ(……あったかい)
リゼ(なんだか、力が抜ける……)
モカ「リゼちゃん、お肌すべすべだね」
リゼ「ん……」
リゼ(なんだこれ……すごく落ち着く……)
モカ「ふふっ」モフモフ
リゼ「」プシュー
モカ「ご、ごめんねリゼちゃん! 抵抗しないからついつい長風呂しちゃって……お水飲める?」
リゼ「ああ……ありがとう」
モカ「今日はどうだった? 私ちゃんとお姉ちゃんできてたかな」フンフン
リゼ「なんかそれココアっぽいな」
モカ「姉妹ですから! もちろんリゼちゃんも!!」モフッ
リゼ「や、やめっ」
モカ「あれー? さっきはあんなに素直だったのになー?」
リゼ「あ、あれはのぼせてたから……! と、ところで、まだ寝るには早いし、一緒に遊ばないか?」
モカ「いいね、今夜は夜更かししちゃおう!」
リゼ「あー、負けた……」ウトウト
モカ「……そろそろ寝よっか」
リゼ「ん、部屋はあっちに用意してあるから……」
モカ「何言ってるの、一緒に寝ましょ」
リゼ「えっ、そ、それは……」
モカ「勿論、どうしても嫌なら別の部屋で寝るけどー」チラッ
リゼ「モカさん……」
モカ「お姉ちゃんって」
リゼ「お、おやすみ!」
モカ「子守歌とか歌ってあげようか?」
リゼ「子供じゃないんだから……」
リゼ(モカさん、あったかくて良い匂いがする)
リゼ(ココアとチノは、いつもこんな気持ちで寝てるのかな)
リゼ(今夜はよく眠れそうだ……)
モカ「ふふふ、おやすみ、リゼちゃん」
リゼ「ん……」
モカ「」スヤスヤ
リゼ(モカさん、まだ寝てるのか)
リゼ「…………」ギュッ
リゼ(あったかくて、柔らかい……)
リゼ(…………)
リゼ「……モカ、お姉ちゃん」ボソッ
モカ「はーい」
リゼ「!!?」
モカ「実はちょっと前に起きて、リゼちゃんの寝顔見てたんだ。パン屋は早起きなんだぞ」
リゼ「/// い、い、今のは、忘れてくれええぇ!!」
ココア「今度はお姉ちゃんを取られた気分だよ……」
チノ「きっとまたすぐに会えますよ。元気出してください」
リゼ「モカさん、もう帰るのか」
モカ「名残惜しいけど、本当はこの街に来る予定無かったからね」
リゼ「え、じゃあ引き留めたのってまずかったんじゃ」
モカ「甘えたがりな妹のためなら、なんのそのだぞ」
リゼ「! ま、また一緒に遊ぼう。今度はみんなで家に泊まったり!」
モカ「うん、楽しみにしてるよ。それじゃみんな、またね!」
ココア「ねえねえリゼちゃん、昨日はお姉ちゃんとどんなことしてたの?」
チノ「私も気になります」
リゼ「どんなって……えー……///」
ココア「あ、赤くなった」
チノ「これは一日甘えたおしましたね」
リゼ「甘えたおしたりなんてしてないっ!!」
リゼ「ただ……チノの気持ちは、ちょっとわかったかもしれない」
ココア「やっぱり一日中甘えてたんだね」
チノ「私はそんなに甘えてませんが!!」
リゼ「……まったく」
リゼ「ほら、今日は店開けるんだろ、早く帰るぞ」
シャロ「あ、あの、リゼ先輩」
リゼ「ん、どうしたシャロ?」
シャロ「先輩が一人っ子なの気にしてるって聞いてからずっと考えてたんですけど……」
リゼ(そこまで気にしてはいないけど……)
シャロ「わ、私はリゼ先輩の妹にしてもらえませんか!?」
リゼ「し、シャロ!?」
リゼ「い、いや駄目じゃないというかなんというか……」
シャロ「……り」
シャロ「リゼ、お姉ちゃん……」キュルン
リゼ「!!!」
シャロ「……先輩?」
リゼ「……シャロ、今度うちに泊まりに来ないか?」
シャロ「えええぇぇぇえ!」
シャロ(い、いきなりそんな、こ、こ、心の準備が……!)
ココア「リゼちゃん家でお泊り!?」
チノ「楽しそう、です」
千夜「是非行きたいわ」
シャロ(……うん、わかってた、二人きりなんてそんなこと……でも)
シャロ「嬉しいです、先輩っ!!」
あとがき
妹はやがて誰かの姉になっていく、それが木組みの街。
モカさんの全裸モフモフを受けた者はその流れから最早逃れられないのである。
いい話だった
ありがとう、乙
>リゼ父「…………///(優しい眼差し)」
>シャロ「ナァッ!!?」
この辺脳内再生余裕だった