ココア「居るの?」
リゼ「妙なことを聞く奴だな。居るじゃないか」
ココア「?」
リゼ「私の目の前に」
ココア「………えっ」
ココア「いや、おかしいなーって…」
リゼ「なあチノ」
チノ「はい」
リゼ「私たち友達だよな」
チノ「えっ」
リゼ「えっ」
チノ「…私たちって…私も含まれてるんですか?」
リゼ「勿論だ」
チノ「えぇ…」
チノ「いやあの…どちらかというと…先輩後輩のような関係かと」
リゼ「えっ」
チノ「そもそもリゼさんは年上なので…友達ならもっとフランクに話してると思います」
リゼ「…」
ココア「だからさ…私が聞いてるのはね?」
ココア「同い年の友達が居るかどうかだよ」
リゼ「!!??」
リゼ「う…」
ココア「学校の「お友達」と話してるところや出かけてるところも見たことないし」
リゼ「あう…」
チノ「私たちに遠慮せずに学校のお友達と遊んでもいいんですよ?」
リゼ「うぐぅ…!!」
リゼ「…今日はどうも体調が思わしくないみたいだ…、ちょっと休憩に入らせてもらうよ」
バタン
チノ「何かまずかったんでしょうか」
ココア「チノちゃん…きっとリゼちゃんは同級生の友達が少ないか皆無なんだよ」
チノ「え!?」
ココア「たまに居るじゃない?後輩とだけ異様に仲のイイ人」
チノ「年下な分変に気を張らなくていいからなんでしょうか」
チノ「シャロさんに聞いてみたらどうでしょうか」
ココア「そうだね!じゃあ早速」ポチポチ
シャロ「急に呼び出してどうしたのよ、たまたまバイト入れてなかったから大丈夫だけど」
チノ「単刀直入に聞きます…リゼさんは学校ではどんな様子ですか?」
シャロ「様子…?」
ココア「どんな友達がいるかなーって気になったの」
ココア「それっていつも?」
シャロ「そうね…たまに「向こうに友達待たせてるから」って行っちゃうけど」
チノ「そうですか」
シャロ「でも一度こっそり後を付けてみたんだけど…」
ココア「だけど?」
シャロ「教室に戻るまで一人で黙々と歩いてたわね」
ココア「……あちゃー」
チノ「リゼさん置き去りにして勝手に帰る友達もどうかと思いますが…」
シャロ「あと、トイレに行ったときにリゼ先輩の声がして…」
ココア「うんうん」
シャロ「すごく楽しげな声だったから誰かと会話してるのかなって」
シャロ「覗いてみたんだけど…リゼ先輩しか居なかった」
ココア「怖!イタすぎるよリゼちゃん!」
チノ「まだあるんですか!?」
シャロ「リゼ先輩が「放課後友達と図書室で勉強会をするんだ」って話してて」
シャロ「私も読みたい本があったから本棚の影からしばらく観察してたんだけど」
チノ「はあ」
シャロ「後から友達が来るのかなって思ったわよ?時々携帯確認したり入り口を気にしてる仕草してたから」
ココア「あー…」
シャロ「結局最後まで誰も来なくてリゼ先輩は帰ったことが…」
チノ「…」
チノ「…」
シャロ「そもそも友達が実在するのか…まるで都市伝説じゃない」
ココア「…これはもう確定だね」
シャロ「な、なによ」
ココア「リゼちゃんには………親しい同級生はいない!!」
シャロ「!?」
チノ「ですね」
ココア「今までのシャロちゃんの話を聞いたらもう揺るぎようがないよ」
シャロ「リゼ先輩に限ってそんな恥ずかしいことが…」
チノ「実はシャロさんも薄々気付いてたんじゃないですか?…もしかしたらと」
シャロ「…!」
ココア「憧れの先輩だから信じたくない気持ちも分かるよ?でもね、これだけ証拠が揃うと…」
シャロ「…リゼ輩が」
ココア「まあ確かにリゼちゃんはひと癖もふた癖もさん癖もあるし何かと話題に銃とか絡めてくるけど」
チノ「大きい胸は羨ましいですけど…」ボソ
ココア「私なんか見てよ!この1年間で何枚お皿割ったか!」
チノ「自慢しないでください」
ココア「シャロちゃんだってコーヒーでハイになるでしょ?」
ココア「普通の人がいれば「この店のコーヒーやばい隠し味入れてんじゃね?」とか思うよね」
チノ「うちは健全です」
ココア「いわば私たちは同じ穴の狢なんだよ!ある意味個性的!」
シャロ「でも…後輩として心配だわ」
ココア「ん?」
ココア「リゼちゃんがOLになったとして…同期がお昼に誘ってこないか待ってるタイプだよね」
チノ「本人は自覚ないですけどそのオーラが半端なく伝わってきそうですね」
ココア「仕方ないから後輩に付いていくんだけどがっつきすぎて…」アワワ
シャロ「そ、そんな悲しい妄想しないでよ!」
シャロ「私もそこまでは知らないわね」
チノ「こう言っちゃなんですけど…授業「だけは」真面目に聞いてそうですね」
ココア「あーそれわかる!すごくわかるよ!」
ココア「ノートも綺麗に書き写すんだけどそれで満足しちゃってテストの結果は散々なんだよ!」
チノ「見た目は真面目なのに」
シャロ「リゼ先輩…」
チノ「きっと…クラスで自分が詳しい話題が出たときに饒舌になるタイプですね」
ココア「そう!いつもは口数少ないのに突然早口で嬉しそうに話すんだけど…」
チノ「周りは若干引いて、次第に温度差に気付いたときには手遅れ…」
ココア「そしてまたクラスで浮いてしまうリゼちゃん…」
シャロ「リゼ先輩ぃ…」ウル
チノ「胸が締め付けられますね」
シャロ「ひぐっ…なんて寂しい背中…」
リゼ「……どうせ私は友達がいないよ」
3人「!?」
シャロ「ど、どこから聞いてました…?」
リゼ「教室での私を想像しだした辺りからかな」
ココア「あ、あのね…?」
リゼ「…はは、お前たち探偵になれるな…、全部当たってるよ」
ココア「え!?」
シャロ「リゼ先輩…」
ココア「…」
リゼ「親が軍人ていうのも影響してるんだろう…最初から近寄りがたいイメージが定着してしまった」
チノ「…」
リゼ「段々私は自信を失くしていった…気付けばクラスの誰とも話さず終わる日もしょっちゅうだ」
シャロ「リゼ、先輩…」
リゼ「後輩に心配までされるようじゃ…どうしようもないな」ハハ…
ティッピー「しっかりせい!」
4人「!?」
リゼ「え、え?」
ティッピー「いつもの堂々としたリゼはどこ行ったんじゃ!俯いてばかりいないでしっかり顔を上げるんじゃ!」
ティッピー「ココアたちとお前は本当のお前を知って簡単に壊れるような間柄なのか!?」
リゼ「…!」
リゼ「う…」ポロ
ティッピー「全てをさらけ出しても受け入れるのが友達じゃ!」
ティッピー「しゃきっとせんかあああああああ!!!」
ココア「チノちゃん…!名演技だよ!!」
シャロ「心を打たれたわ…」
リゼ「ココア…」
ココア「私たち…紛れもなく友達だよ!」
チノ「そうです…!」
ココア「誰がなんと言おうと、私の自慢の友達だよー!」ウワーン
シャロ「あ、あの、私も後輩で友達です!」ダキッ
チノ「ごめんなさい!」
リゼ「いい…いいんだよ、もう」
チノ「おじいちゃん……本当に助かりました」
ティッピー「なーに、人生の先輩として少し助言をしただけじゃよ」
チノ「ふふ…」
カランカラン
千夜「こんにちわー」
ココア「あ、千夜ちゃん!」
リゼ「千夜、私たち友達だよな?」ニコ
千夜「え?」
リゼ「え?」
終わり