メイド「今週でこの職場を離れたいと思います」
主人「ふーん」
メイド「母が入院したので田舎の実家で面倒をみたいのです」
メイド「しばらく貯金していましたので」
主人「ふーん」
主人「そんならいいんたけどさ」
メイド「ありがとうございます」
主人(そういうことじゃねえんだけどなあ)
メイド「かしこまりました」
メイド「しかし、珍しいですね。いつもは別の使用人に任せているのに」
主人「ああ、何か頼りたくってな」
メイド「失礼します。メイドです」
主人「なかなか早いね。来るのが」
主人(しかし、どうしていつもメイド服なんだろう。少し期待しちまったじゃねーか)
メイド「それでは、お座りください」
主人「うー。目に染みる」
メイド「もうしばらく我慢してください」
主人「でもーっ」
メイド(ご主人様の肌、白くて女の子みたい)
主人(それにしても)
主人(年頃の裸の男が目の前にいるんだから、何か意識したりしないもんかね)
主人(こいつが何か感情を表に出したことなんてないな)
主人「なあ、メイドよ」
メイド「はい、何でございますか」
主人「俺ってどうかな?」
メイド「?」
メイド「どのような意味ですか?」
主人「だからー、俺は男として魅力あんのかなーって」
メイド「なるほど」
主人「異性の見た感じの意見を知りたいんだよ」
主人「おう」
メイド「ご主人様は、とても可愛らしいお方でございます」
主人「へ?」
主人「」カア
メイド「年のわりに、発育の進んでいないのでまるで女の子のようだと、メイド達の中では噂になっています」
メイド「声も中性的で、特にお怒りになられているときは皆、心を奪われるほどに萌えておられます」
主人「……」
メイド「メイド達は皆、ご主人様が大好きでおられます。さらには」
主人「もういいよ」
メイド「いいえ、やめません」
メイド「あるメイドがご主人様の大切なものを壊してしまったとき、メイドの身を心配なさってくださいました」
メイド「あるメイドは自分を家族の一人だと言ってくれたのが嬉しいのだそうです」
主人「あ、あそう。別に知らねえし。どうでもいいけど」マッカッカ
主人「どうも」
メイド「わたくしはご主人様を愛しております」
メイド「今まで、ありがとうございました」
主人「あ、あー、あの」
メイド「?」
主人『俺も好き』
主人(なんて恥ずかしくて言えない)
主人「何でもない」
メイド「金曜日には出ていきます」
主人「……」
メイド「今日は水曜日です」
主人「……」
メイド「明日は一日屋敷におりません。母の入院している病院へお見舞いに行ってきます。」
主人「……」
主人「一人で起きれた。いつもはメイドに起こしてもらって僕が邪険にする」
主人「自分で食事を作る。そういえば俺、料理できるんだった。メイドにいつも作ってもらう。風邪のときは幸せだでたなあ」
主人「普段と違って勉強を見てもらわない。実は僕の方が、学があるんだよな。メイドって意外にバカなんだよ」
使用人「ご主人様、今日はなぜだかわたくし達の世話を必要としませんね。どうかなされたのですか」
主人「たまには、一人でやってみたくてね」
主人(メイドがいなくても何でもできる)
主人(でも、メイドに頼りたい。甘えたい)
主人(常に一緒にいてくれたから)
使用人「ご主人様?」
主人「? なに」
使用人「メイドのことですか?」
主人「は、はあ? 何いってんの。全然気にならねえし」アセアセ
使用人「ご主人様はメイドにベッタリですものね」
主人「うるせえ」
主人「別に」
使用人「ならば、わたくしがいただいてもよろしいですか?」
主人「……」
使用人「どうなんです」
主人「……ダメ」
主人「そんなの、しないよ。メイドと俺は年が離れているし」
使用人「そんなの関係ないですよ」
主人「でも。俺、メイドには普段きつい言葉かけてるから、何て言ったらいいかわからない」
主人「……」
主人「確かに、メイドには気持ちを伝えたいけど」
主人「メイドにも都合がある。母親のことならば仕方ないよ」
使用人「ご主人様はなぜ、お金をお持ちになられておられるのですか?」
主人「は?」
使用人「この辺りで一番の金持ちはこの屋敷に住まわれるご主人様でございます。お金は蓄えるものではありません。使うものです」
使用人「大切なものを守るためにあるのです」
メイド「お手伝いありがとうございます。最後までご主人様は優しいお方でした」
主人(荷物運びくらい、どうってことないさ。それよりも)
メイド「それにしても随分とすっきりなりましたね」
メイド「部屋に残っているものはご主人様のものばかり」
メイド「これからご主人様は部屋を二倍使えるのでございます。のびのびと暮らせますね」
主人「本当に何もなくなったな。(僕にとっては全てが思い出なのに)」
主人「どんと言え」
メイド「抱かせてもらえます? 以前からご主人様を抱き締めてみたかったのです」
主人「ふん」
メイド「それでは」ヒョイ
主人「え? あ、あわわっ」
メイド「ご主人様、柔らかいです」
主人「抱き締めるっていうか、これ、お姫様抱っこじゃん!」
メイド「楽しいです~」
主人(すごい嬉しそう)
主人(ん? ちょっと泣いてる)
主人(メイドも泣くんだ)
主人(嬉しい……かな?)
主人「……」
メイド「本当にありがとうございました」ペコリ
スタ
スタスタ
主人「待って!」
主人「俺さっ!」
メイド「はい」
主人「俺……」
主人「お前とまだいたりないっていうか、
一緒にいたいんだけどっ!」
メイド「……はい」
メイド「わたくしもでございます」
メイド「しかし」
主人「だから、俺んちで皆で暮らそう?」
主人「これでどうだ?」
主人「まずいか?」
メイド「……」
メイド「……」
メイド「喜んで」
メイド「うわあ。突然抱き締めないで下さい。びっくりしてしまいます」アタフタ
主人「これから、一緒に暮らそうな?」
メイド「はいっ!」
主人「たくさん、面倒みてくれよな?」
メイド「もちろん」
主人「あとさ」
メイド「なんでしょう」
主人「お、俺もメイドが、す、好きだから」
ドキドキ
メイド「裸の大将?」
主人「!」カチン
主人「もう、お前なんか知らんっ!」・・
フン スタスタ
メイド「ああ、お待ちくださいませ。ご主人様」
主人の自室
コンコン
主人「入れ」
メイド「失礼致します」
メイド「はい、本日より母がお世話になるのですが、ご挨拶がしたいと申しておりまして」
主人「ああ、そっか」
メイド「どうぞー」
主人(メイドの母さんってどんな人だろう)
主人(メイドに似て、背の高いクールな女性かな)
主人(胸が全くないのは、母親の遺伝だったりして)
主人(大和撫子のようなすごい美人なんだろうな)
ガチャリ
メイド母「失礼します」
主人「え?」
メイド母「お久しぶりでございます」
メイド、メイド母「どうなされましたか」
主人「メイドの母さんはメイド長だったのか……」
メイド長「あれ? 言ってませんでしたか?」
メイド長「メイド?」ゴゴゴ
メイド「あれ? 言ってないみたいですね」
主人「まあ、いい」
主人(理由も言わないで先日、退職なされたんだよな。メイド長)
主人(まあ、やっぱり生活はあんまり変わらなかったけど)
メイド母「左様でございます」
主人「んじゃあ、メイド長さんの部屋は前、使っていたところでいいですね?」
メイド母「とってあるのですね!」
主人「まあな」
メイド母「ところで」
主人「ん?」
メイド母「ご主人様っ!」ダキッ
主人「おわあ!」ギュ
メイド「!」
メイド母「本当にありがとうございます」
主人「いや、いいんだ。金はこういうとき使わないとな」
メイド「」ゴゴゴ
主人「?」
メイド母「あら、どうして?」ニヤニヤ
メイド「使用人の分際でご主人様に失礼でございます」
メイド母「私はもう、使用人ではなくってよ」
メイド「うう、でも」クルクル
主人「別にいいよ? 気にしないで声かけてね?」
メイド「」ズーン
主人「なに」
メイド母「私は本日よりここで働きますので」
主人「はあ?」
メイド母「ただで住まわせてもらうのも気分が滅入ってしまいます」
メイド母「以前のように、しっかりと働きます」
主人「いや、病気は?」
メイド母「それくらい、もうなんともありません。ご主人様の優しさに触れればどんな方もどんな不治の病も治るのです」
主人「バカじゃねえの?」
主人「ふわーっ」アクビ
主人「眠いなあ。もう9時だよ。夜更かしはよくないな」
コンコン
主人「はーい」
メイド「メイドです」
ガチャリ
メイド「あ、あの」カアア
主人「ん? ああ!」
主人「おいで・」
メイド「はいっ!」
主人、メイド(今日は暖かいなあ)
終わり
初めてですが
お付き合いありがとうございます
未熟者ですが
もしよろしければ何かコメントをください
できれば甘い評価の方が心が折れなくて幸いです
初とは思えないほど見やすいし話も良かったけど、ss作者としてどういう振る舞いをすればいいか学んだ方がいい気がするぜ
また次何か書くなら読みたいくらい
でもあとがきが少し勿体無かったかな?って感じ
おつおつ
また何か書いてくれ
引用元: メイド「退職します」