カランカラン
女 「いらっしゃいませ」
男 「アメリカンで」
女 「こちらダージリンのストレートでございます」カチャ
男 「あのっ!?アメリカン頼んだんですけど・・・」
女 「お気に召さなければ、どうぞお帰りくださいませ」ジトッ
男 「・・・スイマセン」ビクッ
男 「僕は客なのになんで気をつかわなきゃならないんだ」
男 「あ、でも結構スッキリした味・・・」
男 「・・・紅茶もたまには悪くないか」
男 「ひゃぃ!?」ビクッ
男 「た、頼んでないですけど・・・」
女 「どうぞお召し上がりください」ジトッ
男 「・・・アリガトウゴザイマス」ビクッ
男 「頼んでもないのに出てくる」
男 「気味悪いからさっさと帰ろう」カリカリ
男 「・・・これパンの耳のとこばっかりだ」カリカリ
男 「・・・」
女 「ありがとうございました またのお越しをお待ちしております」
男 (多分もう来ないよ・・・)
男 「ヤバイこのままじゃ風邪ひいちゃう」
男 「あ・・・ここは前の・・・風邪ひくよりマシか・・・」
カランカラン
女 「いらっしゃいませ」
男 「と・・・とりあえず暖かいものを・・・」
女 「こちらタオルでございます」スッ
男 「おーありがたい」フキフキ
女 「拭き終わられるまで足拭きより中にお入りにならないでくださいませ」
男 「上げて落とされた感が強い」
女 「こちらホットココアでございます」コトッ
男 「また違うのが出てきた」
女 「どうぞお召し上がりください」ジトッ
男 「・・・カシコマリマシタ」ビクッ
男 「あ・・・結構甘さ控えめ」ズズー
男 「!!」ビクッ
男 「注文してないのに出てくるのがこわい」
男 「それに超無愛想だし・・・」モシャモシャカリッ
男 「・・・卵の殻入ってる」
男 「あ、他のお客さん」
男 「そりゃそうだよな じゃなきゃやってけないし」
女 「お決まりでしたらご注文をどうぞ」ニコッ
男 「・・・扱いが違うような気がする」
女 「こちらコーヒーゼリーでございます」コトッ
男 「!!」ビクッ
男 「あのっ!!料理はもういいです!!」
女 「お帰りですか?」ジトッ
男 「居座り客に厳しい」
男 「このルートの前任者、絶対サボり魔だよ」
男 「前任者もココで一息入れてたのかな?」
女 「いらっしゃいませ」
男 「今日は絶対負けない」
男 「アメリk」
女 「こちらバナナといちごのパフェでございます」ゴトッ
男 「いきなりくじけそう」
女 「さようでございましたか」
男 (おっ!?何気に注文以外で初会話!?)
女 「肝っ玉の小さい甘ったれた新卒感バリバリでしたので甘党かと存じ上げておりました」
男 「女上司さんよりも厳しい」
男 「んーいい香りっ!! やっぱり喫茶店で飲むならエスプレッソだね」
男 「濃厚な風味・・・コクのある味・・・」
女 「・・・」
男 「そして深い・・・香り・・・」
女 「無理なさらなくて結構ですよ」
女 「私しかおりませんから大丈夫ですよ」
男 「あ、ありがとう 言いふらしたりしないでね」
女 「もちろんですとも」
男 「結構やさしいところもある」
女 「ここまでひどいと他のお客様がひいてしまわれますから」
男 「なにこれひどい」
女 「アメリカンコーヒーは薄いコーヒーだと思われていませんか?」
男 「えっ!?お湯で割ったらアメリカンでしょ?」
女 「・・・」ジトッ
男 「女上司さんにまで騙されてたのか・・・」
男 「そこで今日は女上司さんを助っ人にお呼びした」
男 「今日こそ絶対勝つ」
上司「うるせー ルート見直しの同行だ」
男 「僕が悪いんじゃないのに・・・」
男 「で、そこの喫茶店で休n、もといスケジュールの確認をですね」
上司「ほぅ・・・忙しくなったもんだなお前も・・・」ピクピク
男 「あ、いえ・・・鳥頭なので覚えきれなくて・・・ピヨピヨ・・・なんちゃって・・・」ビクビク
上司「この時間を使って有意義なプライベート・ディスカッションをしようか」ヒクヒク
男 「嫌な予感しかしない」
女 「いらっしゃいませ」
上司「二人で禁煙席」
女 「お好きな所へどうぞ」
男 「ここ全席禁煙です」
上司「ほぅ・・・さすがに良く知ってるな・・・」ゴゴゴ
女 「・・・奥の席へどうぞ」
男 「やだ・・・奥の席初めて・・・」ビクビク
上司「・・・ったく、報連相・・・わかったか?」
男 「ハイ、スイマセンデシタ」
上司「時間もそろそろだな ちょっと待ってろ」
男 「ハイ、ドコイクンデスカ」
上司「ばか いちいち聞くな、恥ずかしい」カッカッガチャ
男 「ハイ、スイマセンデシタ」
男 (トイレか・・・)
男 「ハイ、アリガトウゴザイマス」
女 「ほらシャンとしてください これからお客様のところへいらっしゃるのでしょう?」
男 「ハイ、スイマセン」
女 「ダメダメな方だと存じておりましたが、ダメダメダメダメな方でいらっしゃいましたね」
男 「うぅ・・・」
男 「ルート変更されたら多分・・・」
女 「単価の上がらないお客様でしたから結構ですけどね」
男 「思ったよりドライだった」
男 「こんにちわー」
女 「・・・いらっしゃいませ」
男 「今一瞬びっくりした!?今一瞬びっくりしたでしょ!!」
女 「はい、少々驚きました」
男 「素直に認められると勝った気がしない」
男 「いや、なんかあの後、女上司さんの機嫌が良くなって」
男 「このルートだけは変更にならなかった」
女 「・・・なるほど」
男 「わかっちゃうの?なんで?最近女上司さんがニヤニヤしてて逆にこわい」
女 「・・・存じません」プイッ
男 「おー、やっとアメリカン出てきた」
男 「これが本物のアメリカンの味かぁ やっぱり本物は違うなぁ」
女 「アメリカン・ロースト・コーヒーに厳密な本物はございませんけどね」
男 「・・・知ってた・・・知ってたよ」プルプル
女 「無理なさらなくて結構ですよ」
女 「ありがとうございます」
男 「毎朝飲めたらいいのになぁ」
カラカラーン
女 「失礼いたしました」
男 「おお!?店員さんの貴重な失敗シーン」
男 「おいしそー カレー大好物なんだ」
女 「さようでございましたか」
男 「今日は幸せの絶頂まできてるなー」
女 「起伏の激しい人生をお送りでいらっしゃいますね」
男 「遠まわしに馬鹿にされたような気がする」
女 「はい」
男 「光ってない部分あったけど直さなくていいの?」
女 「新しい看板を注文しておりますので、到着次第取り替えさせていただきます」
女 「お見苦しいかとは存じますが何卒ご容赦くださいませ」
男 「ああ、うん なんかゴメン」
女 「これ以上お近づきになられますと」
女 「”特別サービス”をすることになりますがよろしいですか?」ジトッ
男 「いや、そうじゃなくてさ・・・言葉遣いがバカ丁寧すぎない?」ビクッ
男 「それにちょっと無理してるっぽい感じが否めない」
女 「・・・当店ではこの位がちょうどいい距離なのでございますよ」
男 「僕の時だけこの距離な気がする」
女 「どちらのお客様もかm、もとい天使様ですから」
男 「神様じゃないの?」
女 「気になさる方もいらっしゃるかと存じますので」
男 「そっか、なら安心」
女 「天使様には階級がございますけれどね」
男 「久々にダイレクトに心にキました」
男 「ただいま」
女 「いらっしゃいませ」
男 「ただいま」
女 「お客様、お戯れが過ぎますと御退店をお願い致しますがよろしいですか?」ジトッ
男 「女上司さんのうそつき」ビクッ
女 (ああ、何か吹き込まれたんですね)
男 「えっと、そ、そういえばまだ名前も知らないんですよね」
女 「私は存じ上げておりますが」
男 「なにそれこわい」
男 「えっ?僕の知らない間に!?」
女 「あれだけ大声でお説教されていれば嫌でも耳に入ってまいります」
男 「ス、スイマセンデシタ」
女 「こちらチョコレート・ケーキでございます」コト
男 「あ、甘いものは・・・」
女 「当店では甘さを控えたジャムを使用しておりますので大丈夫かと」
男 「・・・コッテリしてるのに甘さ控えめでおいしい」
女 「お客様は本当に分かりやすい方でいらっしゃいますから」
男 「そこはかとなく馬鹿にされた気がする」
女 「はい」
カランカラン
乙3「チーッス お届け物ッス」
女 「申し訳ありません 少しお時間をいただきます」
男 「オッサン、タイミング悪い」
乙3「こちらの古いのは回収でオッケーッスね」
女 「はい、よろしくお願いします」
男 「何が来たんだろう・・・」
男 「凄く喜んでるような・・・」
男 「何が届いたんですか?」
女 「これですよこれ!!」
男 「これは・・・!?」
男 「??」
女 「もうほんとこんなに時間かかると思いませんでした!!」
男 「ちょっとよくわかんないんですけど」
男 「そうなんでしょうけど、良く見えない」
女 「ああ、電気つけましょう、そうしましょう」
男 「稀に見るテンションの高さだ」
男 「はい、どうぞ」
女 「バチッっとな」
男 「ん?家庭的喫茶遠慮無用?」
男 「すっごい距離を置かれてたような・・・」
女 「それはですね あたしがその部分壊しちゃって」
男 「家庭的・遠慮のとこ?」
女 「慣れない敬語使ってたんですよ」
女 「いやーホント辛かったなぁ・・・」
女 「普段おかーさんの知り合いの常連さんしか来ないのに、男さん通ってくるんだもんなぁ」
女 「いやーもう、男さん帰ったらいつも大爆笑してましたよ」
女 「こちらアメリカン・ロースト・コーヒーでございます」キリッ
女 「お、おなかが、よじれる」ケラケラ
男 「」
女 「注文は通らないわ、何かと貶されるわ・・・」
女 「ああ、あと卵は殻ごと食べる人なのかなっとか思っちゃいました」ケラケラ
男 「なにこれひどい」
女 「まぁまぁ、そんなこと気にしないで 新装開店の第一号のお客さんなんですから」
女 「さぁいらっしゃい!! ご注文は早めに言わないとこっちで勝手に決めちゃいますよ!!」
男 「ウザったいほどテンション高い」
男 「常連しかいなかった理由が分かった気がした」
女 「あ、そういえばなんか言いかけてたでしょ? なになになんなの?」
男 「え、ああ、その・・・」
女 「んー? この感じじゃ言い辛い? じゃあ」コホン
女 「お客様、ご用件がお有りでしたら何なりとお申し付けください」
男 (い、今しかない!)
男 「・・・ぼ、僕と付き合ってくだしゃい!!」
女 「・・・お客様は本当にダメダメダメダメでいらっしゃいますね」
男 「うぅ・・・」
女 「ですが、当店は遠慮無用 謹んで受けさせていただきますわ」
おしまい
注文しなくてもお菓子出してくれるお店があればいいなと思って書きました
見てくれた人ありがと~
ミルクも美味いな
家庭的ってつまりそういうことだよね
引用元: 男「ん? 喫茶 無用?」