男「はい」
女「あの……肉じゃが作り過ぎちゃったんですけど……」
男「はい」
女「頑張って食べました!」
男「そうですか」
女「はい! ほめてください!」
男「えらいですね」
女「えへへぇ」
男「あ、となりの……こんなところでどうしたんですか?」
女「今夜の鍋パーティの材料を買ってるんですよ」
男「へぇ、いいですね」
女「はい! いいでしょう! あなたは呼びませんけどね!」
男「あはは……」
男「え……そ、そうですね」
女「昨日頑張ってバレンタインチョコ作ったんですよ! 自信作です!」
男「へぇ、それはきっと美味しいんでしょうね」
女「ええ! もうお腹いっぱいです! おいしかったです!」
男「どうも」
女「今日実は……うちに親いないんですよ」
男「へ、へぇ、そうですか」
女「家でゲームやり放題です!」
男「そうですか」
女「2枚あるんですけど……」
男「え?」
女「この映画大好きなんで二回見に行きますね!」
男「うわっ」
ゴッチンコ
女「いてて」
男「大丈夫ですか?」
女「あーっ遅刻遅刻ーっ」 ステテテテー
男「……」
普通にありそう
女「あぁ、すみません! わざわざ拾ってもらっちゃって!」
男「いえいえ、それじゃあこれで」
女「あ! ちょっと待ってください!」
男「?」
男(電話)「もしもし、どうしました?」
女(電話)「つかぬ事をお聞きしますが、今暇ですか?」
男(電話)「え? 暇ですが……」
女(電話)「だと思いました! ふふ!」
プツ ツーツー
男「えぇ……」
女「ちょっと暇だったので立ち読みでもしようかと」
男「あ、その漫画いいですよね」
女「少女漫画って恋心そそられますよね」
男「そうですね」
女「まぁ私は恋とかしませんけどね!」
男「はは。そうですね」
女「……」
男「はい」
女「すみません、ちょっと来週の講義について聞きたいことが」
男「え? 僕にですか? 構いませんが……とりあえず上がってください」
女「あ、いえ、ここで結構です」
男「そんなこと言っても、外は寒いでしょう」
女「大丈夫です」
男「……えぇと、じゃあこのままで。何を聞きたいんです?」
女「えぇっと、〇〇の授業の??が……」
妹「はぁ……素直じゃないんだから……」
男(メール)「風邪を引いてしまいました。うつすといけないのでお構いなく」
女(メール)「仕方ないですね。おかゆくらい作ってあげますよ」
男(メール)「わざわざすみません。でも嬉しいです。手料理なんて久しぶりです。楽しみにしてます」
女(メール)「ええ、楽しみにしていてください。妹が腕によりをかけておいしいのを作ってくれると思います」
男「あ……わざわざすみません、ありがとうございます」
妹「いえいえ気にしないでください。お互い様ですので」
男「うつすといけないので、あんまり近寄ってはいけませんよ」
妹「病人が何気にしてるんですかまったくもう……」
男「ありがとう」
妹「いつも姉がお世話になってます」
男「そんな……こちらこそ」
妹「お姉ちゃんいつもあんなでしょう? 困ってませんか?」
男「困ってるも何も、僕はいつも助けられてばっかりですよ」
妹「え?」
男「積極的に声をかけてくれて、休んだ授業のレジュメをコピーして届けてくれたり、授業連絡を回してくれたり、いつもお世話になってばかりです」
妹「はー……へー……」
男「どうって……どういうことです?」
妹「どうもこうも、あー、ほら、人間として?」
男「いい人だと思いますよ。美人さんですし。いい人と結ばれてくれるといいですね」
妹「はぁ……なんにもわかってませんね」ボソ
男「そうでしょうか」
妹「これからもお姉ちゃんのこと支えてあげてくださいね」
男「え? あぁ、僕なんかにできることなら」
妹「あ、それとおかゆ美味しかったですか?」
男「えぇ、とても美味しかったです」
妹「……なら良かったです。お姉ちゃんにも報告しといてくださいね」
男「おかげさまで。妹さんいい子ですね」
女「ええ! 私の自慢の妹ですからね!」
男「あのおかゆもとてもおいしかったです。きっといいお嫁さんになりますよ」
女「え! あ、わわ……そ、そうですか……おいしかったですかよかったです」
男「暇なんです。だから読書をしています」
女「図書館って静かでいいですよね」
男「ええ。あなたは何をしているのですか?」
女「ちょっとした調べ物ですよ」
男「そうですか……もしよければ僕も手伝いましょうか?」
女「あ! これですこれ! 探してた本見つかりました! それでは!」
タッタッタ
女「はぁ……もうなんでこうなっちゃうんだろ……」
友1「えぇ……また、そんなこと言って逃げてきたのぉ?」
友2「素直じゃないんだから」
女「だって……」
友1「よし! 私が策練っちゃる! 安心してまかしときぃ!」
友2「ひゅーおもしろくなってきたー」
女「えぇ……」
前、JD「あの…肉じゃが作りすぎちゃったんですけど…」ってスレで即興で書いたやつを手直ししたやつ
あんとき見てくれとったんか
ありがとやで
男「あ、こんにちは。本当に奇遇ですね」
女「今日はお一人でどうしたんですか?」
男「実はみんなにドタキャンされまして……」
女「寂しい人ですね! 仕方ないから私が付き合ってあげますよ!」
男「いいんですか……? そっちのお連れさんとか……」
女「私もドタキャンされたんです! 悪いですか!」
男「大学の友達です。急遽遊園地に行こうと言い出しまして、そのくせ今朝になったらみんな一斉に風邪を引いたと……」
女「その……友達って女性ですか?」
男「まさか。女友達はいませんよ」
女「へぇ……そうですか……へぇ」
女「え……あぁ、えっと、トモダチです」
男「妙にどもってましたが大丈夫ですか? 本当に友達ですか?」
女「友達ですよ! 失礼な! 私も今朝急にみんなにドタキャンされたんです!」
男「そうですか。不思議な偶然もあるもんですね」
女「あ……あはは。そうですね」
男「もしかして……」
女「……!」
男「風邪、流行ってるんでしょうか?」
女「……みたいですね。気をつけないとですね」
男「ええと、実は高いところは苦手で……」
女「へぇ……そうなんですか! じゃあ乗りましょう!」
男「えぇ……」
女「ふふ。ほら、早く早く」
1時間後……
男「もう限界です……」
女「ふふ……じゃあ今度は観覧車乗りましょうか!」
男「勘弁してください……」
男「僕はもうへとへとです」
女「あ、終電無くなっちゃいました……」
男「え?」
女「タクシーで帰りますね!」
女「はい……」
妹「もう、まったくお姉ちゃんは仕方ないんだから……」
女「うぅ……」
妹「ほら、これお姉ちゃんが作った肉じゃが」
女「え?」
妹「持っていってあげなよ」
女「あ……うん!」
ガチャ タッタッタ
妹「まったく……世話のやける姉なんだから……」
女「もしよかったら一緒に食べませんか?」