ザワザワ…
同僚女「皆さん、クッキーを手作りしたんで、よかったら食べて下さい!」
課長「お、ありがとう!」
社員「ちょうど甘いものが欲しかったんだ!」
ワイワイ…
同僚女「男さんも食べて!」
男「いらない」
同僚女「え」
男「市販のクッキーの方がおいしいから」
同僚女「……っ!」
課長「そんなことないよ、とてもおいしいよ!」モグモグ
社員「そうさ!」モグモグ
男「見え透いたお世辞を……。どう見てもパサパサしてるでしょ、それ」
課長「う!」
社員「ぐ!」
男「どうせ食べるならよりおいしいおやつを食べたいよ」
男「君の作ったパサパサクッキーなんて論外だ」
同僚女「ううう……」
男「だいたい、こんなろくに形も整ってないクッキーをドヤ顔で勧めてくる方がどうかしてる」
男「こんなのをおやつとして出してくるなら、せめて申し訳なさそうな顔をすべきだ」
男「申し訳ありませんが、どうか食べて頂けないでしょうか……ってね」
男「それでも食べないけど」
同僚女「クキーッ!」
課長「なんだね?」
同僚女「私、クッキー修行の旅に出ます! 休暇をください!」
課長「そんな理由で休ませるわけには……」
同僚女「課長ォッ!」
課長「わ、分かった! 行ってらっしゃいませ!」
~フランス~
同僚女「おいしいクッキーを焼きたいでジュール!」
フランス人「ボンソワール!」
~ロシア~
同僚女「うまいクッキーの焼き方を教えロシア!」
ロシア人「ハラショー!」
~中国~
同僚女「我作望美味焼菓子!」
中国人「了解!」
<会社>
同僚女「お久しぶりです」
課長「おお……」
同僚女「クッキーを手作りしたんで、よかったら食べて」
キラキラ…
課長「おお……!」
社員「違う! 一ヶ月前の素人丸出しクッキーとはまるで違うぜ!」
同僚女「さ、どうぞ」
男「……」
課長「なんという音……!」
社員「サックサックじゃんか!」
同僚女「どう?」
男「ふん……まあまあだ」
同僚女「む……」
男「……」サクサクサクサクサクサク
社員「といいつつ、全部食ってんじゃん!」
男「ぐ……」
同僚女「やったね!」
<会社>
ザワザワ…
同僚女「皆さん、肉じゃがを手作りしたんで、よかったら食べて下さい!」
課長「お、ありがとう!」
社員「ちょうど軽食が欲しかったんだ!」
ワイワイ…
同僚女「男さんも食べて!」
男「いらない」
同僚女「え」
課長「肉じゃがといったらお袋の味だよ!?」
社員「そうだぜ! それを拒否するなんて……!」
男「俺のお袋は……肉じゃがは作らなかった」
同僚女「な……!?」
男「みんなのお袋の味が肉じゃがだと思ったら、大間違いだ!」
同僚女「クキーッ!」
課長「ど、どうしたんだね?」
同僚女「今から男さんのお母さんのところに行ってきます」
課長「仕事はどうするの?」
同僚女「課長ォッ!」
課長「君の仕事は私がやっときます!」
同僚女「こんにちは、お義母さま」
母「あなたは?」
同僚女「私、男さんの同僚の女です」
母「あら、そうなの」
同僚女「さっそくですけど、お義母さまの得意料理を教えて下さい!」
母「トンカツよ」
母「時にはブタを仕留めるところから、あの子に見せてあげたものよ」
同僚女「まあ、本格的!」
母「おかげであの子は、ずいぶん現実的な人間に育ってくれたわ」
同僚女「素晴らしい教育方針ですわ」
母「じゃあ、伝授してあげるわね」
同僚女「お願いします!」
同僚女「待たせたわね」ホカホカ…
男「!」
同僚女「トンカツを作ったから、よかったら食べて!」
男「いただきます」サクッ
男「……」モグモグ…
男「……」ポロポロ…
課長「おおっ! 泣いてる!」
社員「こいつが泣いてるとこ初めて見た!」
同僚女「大成功!」
男(あの時、お袋によって殺されたブタさんの顔がよみがえってくる味だ……)ポロポロ…
<会社>
ザワザワ…
同僚女「皆さん、お寿司を手作りしたんで、よかったら食べて下さい!」
課長「お、ありがとう!」
社員「ちょうど魚が食べたかったんだ!」
ワイワイ…
同僚女「男さんも食べて!」
男「いらない」
同僚女「え」
男「君、素手で寿司を握ったんだろ? そんなの汚くて食べられないよ」
同僚女「なんですって!?」
課長「男君、いくらなんでも失礼すぎるよ!」
社員「そうだぜ! 女性に向かって手が汚いだなんて……」
男「だいたい、ちゃんと洗った手で握ったのか?」
同僚女「そういえば、洗って……ない。おトイレにも行ったのに……」
課長「え!?」
男「ほらいわんこっちゃない」
同僚女「クキーッ!」
同僚女「分かったわ! 両手を完全完璧に清潔にしてくるわ!」
同僚女「これでよし」
同僚女「真っ赤に焼けた砂を壺に入れて、それを素手で突く!」
ザクッ
同僚女「突く! 突く! 突く!」
ザクッ ザクッ ザクッ
同僚女「突く! 突く! 突く! 突く! 突く!」
ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ ザクッ
同僚女「いかな雑菌も寄せつけない究極の手が完成したわ!」ジュゥゥゥゥゥ…
同僚女「この手で握った寿司は、無菌室で握った寿司よりも清潔よ!」ニギニギ…
同僚女「お寿司作ったから食べて!」
男「……どうやら、今度は清潔な寿司なようだ」
男「いただくよ」モグッ
男「うまい……! それになんという清潔さ……!」
同僚女「やったぁ!」
<会社>
ザワザワ…
同僚女「皆さん、お酒を手作りしたんで、よかったら飲んで下さい!」
課長「お、ありがとう!」
社員「ちょうど酒が欲しかったんだ!」
ワイワイ…
同僚女「男さんも飲まない? アルコール度数高めでおいしいわよ!」
男「いらない」
男「今は仕事中だ。飲酒なんかしたらまずいだろう」
課長「やべっ!」
社員「ごめんなさい!」
男「それに、この国では許可を取っていない者は酒を作ってはならないとされている」
同僚女「え、そうなの!?」
男「酒税法という法律で禁止されてるんだよ」
同僚女「もし、それを破ったらどうなるの……?」
男「10年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金……」
同僚女「いやぁぁぁぁぁ!!!」
課長「な、なんだね?」
同僚女「私、法律を変えてきます!」
課長「行ってらっしゃいませ!」
同僚女「お分かりでしょうか、皆さん!」
同僚女「お酒はみんなのものなんです! お酒はみんなのために! みんなはお酒のために!」
同僚女「というわけで、個人でお酒を自由に作ることを認めるべきです!」
国会議員A「賛成!」
国会議員B「賛成!」
国会議員C「賛成ィィィィィ!!!」
同僚女(決まった……!)グッ
同僚女「もう個人でお酒作るのは違反じゃなくなったから飲んでよ。はいどうぞ」
男「……」ゴクッ
男「あぁ……うまい……」
同僚女「ふふっ、よかった」
男「よぉ~し、お仕事頑張ろっと! うへへへへへっ!」
同僚女(え、もしかしてお酒弱い!?)
<会社>
ザワザワ…
同僚女「皆さん、家を手作りしたんで、よかったら遊びに来て下さい!」
課長「お、ありがとう!」
社員「ちょうど誰かの家に行きたかったんだ!」
ワイワイ…
同僚女「男さんもぜひ遊びに来て!」
男「行かない」
同僚女「え」
男「三匹の子豚の兄貴どもの家の如く、すぐ崩れてしまうのがオチだ」
同僚女「なんですってぇ!?」
同僚女「だったら危ないかどうか、今すぐ来てよ!」
男「いいだろう」
同僚女「どう? 立派な家でしょ」
男「一見立派だけど……」
男「ここをこう突っつくと……」ツンツン
ベシャァンッ!
男「一発で潰れてしまう」
同僚女「クキーッ!」
同僚女「棟梁! 私を一人前の大工にして下さい! なるべく早く!」
棟梁「いいだろう、まずは釘の打ち方からだ……」
同僚女「はいっ!」カンカンカン
棟梁(ほう、この姉ちゃん……百年に一度の逸材かもしれねえな)
同僚女「劣化しないし、燃えないし、たとえ震度7の地震が起きてもビクともしない!」
同僚女「それどころか、核攻撃にすら耐えられる設計ィィィィィ!」
同僚女「ねえっ! ここで一緒に住んで!」
男「いいよ」
同僚女「いいの!?」
同僚女「さ、入って入って!」
男「ここでいったい何をしろと?」
同僚女「それはもちろん……子作りよ」ニコッ
おわり
ベッドの中でもクキーッ!って喘ぎそう
同僚女「ちょっと子作りしてくる!」