騎士長「アラクネだな。かなりでかいが…まぁ許容の大きさだ」
アサシン「アラクネ?」
騎士長「蜘蛛の魔物で、中位あたりのレベルか。あいつの出す糸は、かなり高級糸で高く売れるんだぜ」
アサシン「へぇ…って!そんな悠長に解説してる場合じゃないでしょ!」
黒髪幼女「どど、どうするの!?」
騎士長「どうするって…肉食だし倒さないと、俺らがあいつのエサになっちまう」チャキッ
アサシン「それはゴメンだ」チャキッ
騎士長「黒髪幼女は俺の後ろにいるんだ」
黒髪幼女「う、うんっ!」
…ベチャッ!!
アサシン「うわっ!何だこれ!」ベトッ
騎士長「それが蜘蛛の糸。普通はケツから出すんだが、こいつは特殊で…」
アサシン「そういう解説はいらんっての!!動けないんだけど!!」ググッ
騎士長「火の魔法で燃やしちまえ」
アサシン「使えないよ!!」
騎士長「…炎魔法っ」ポワッ
…ボォン!!!ボォォォ…
アサシン「あっちちち!」
騎士長「これで動けるだろう?」
騎士長「あんま得意じゃないから、普段は使わないけどな」
アサシン「…はぁ、はぁ…一生糸に捕まってるかと思った…。どんだけお気楽なんだよアンタは…」
騎士長「いや~だって、このくらいの相手ならね」
アサシン「こっちじゃこんなサイズの蜘蛛なんて見たことないから焦ってるんだよ!」
騎士長「ふーむ…お前の短剣なら、クビも簡単に落とせるぞ。やってみ?」
アサシン「わ、私…じゃなくて、我がやれっていうのか!?」
騎士長「ただのでかい蜘蛛だって。動きも遅いし…」
アラクネ『ッペ!!!』ボッ
…ベチャッ!!
騎士長「うおっと、あぶねぇっ!まぁ…お前なら倒せると思うぞ」
騎士長「頑張って~」ヒラヒラ
黒髪幼女「騎士長、お姉ちゃんになんで戦わせるの?」
騎士長「…砂漠の戦い方をしっていても、こっち側の戦い方は全然違うんだ」
黒髪幼女「どういうこと?」
騎士長「こういう入り組んだ森だとか、建物がある狭い場所が多くなる」
騎士長「そういう時、砂漠のようにノビノビとした戦い方が出来ず、力が発揮できないだろうし…」
騎士長「少しでも、狭いなら狭いなりの戦い方をだな?」
アラクネ『…ギヤアアッ!!』
グラッ…ドシャアッ…ゴロゴロ…
アサシン「ふぅ。足場が多い分、私の速さだけじゃなくて、壁を蹴って相手を翻弄するのも楽だね」
騎士長「と思ったんだけど…問題、ないみたいね」タハハ…
アサシン「やってやったよ。騎士長…さぁて、次はアンタの番だ」ゴゴゴ
騎士長「!?」
アサシン「巨大蜘蛛なんて気持ち悪い奴相手にさせやがって…」ニコッ
騎士長「ま、ままま、待て!それは違う…!」
タタタタッ…ガシッ!
黒髪幼女「お姉ちゃん…強い…」キラキラ
黒髪幼女「うん…!」
騎士長(なな、ナイスだ黒髪幼女!!あとで好きなもの買ってやるからなぁぁ!)
黒髪幼女「何でお姉ちゃんは、あんなに強いの?」
アサシン「え?」
黒髪幼女「え?」
アサシン「そ…そりゃあ、いっぱい戦う練習をしたからねぇ」
黒髪幼女「そうすると…あんなに強くなれるの!?」
アサシン「元々、砂漠地方の人間は身体が人よりも頑丈にできているんだ」
アサシン「じゃなかったらあんな熱気の中ですぐやられちまう」
アサシン「黒髪幼女も暑さは平気だっただろう?どっかの誰かさんと違ってね」ククク
黒髪幼女「そっかぁ…私も強くなれる?」
アサシン「当たり前さ。今度、私と一緒に修行するか?」ハハハ
黒髪幼女「うん、やる!」
アサシン「ははは…そうかそうか!」
騎士長「はぁ~…」
騎士長「…」
…カサッ
騎士長「んっ…?」ピクッ
アサシン「…むっ」ピクッ
黒髪幼女「どうしたの?」
騎士長「しっ…誰か来る…」チャキッ
アサシン「大きくはないね。人のサイズのようだ」チャキッ
黒髪幼女「…何がくるの?」
アサシン「静かに…」
ガサガサガサ…
騎士長「…」
アサシン「…」
ガサッ…ガサガサガサ!!!…ヌッ
騎士長「!」
アサシン「!」
???「何だお前ら、アラクネやっちゃったのか」
騎士長「…人、か?」
???「人?はっはっは、バカいうな」
騎士長「人じゃないのか?」
エルフ「人間じゃねえよ、俺はエルフだ」
エルフ「どうしてお前ら、こんな場所にいるんだ?」
騎士長「…へ?」
――――【 エルフの家 】
コポコポコポ…
エルフ「いやいや、客が来るのは何年ぶりかな。茶でいいか?」
騎士長「お構いなく」
エルフ「一体、こんな辺境の地に何の用だ?」
エルフ「まさか砂漠へ抜けて行くってわけじゃあるまい」
騎士長「逆だ」
エルフ「逆?」
エルフ「…砂漠から来たのか。道理で砂漠地方の人間が一緒にいるとは思ったが」
騎士長「まぁな」
エルフ「大変だっただろう。今この森を抜けるのは、もっと大変だろうが」
騎士長「…どういうことだ?」
エルフ「あぁ。最近、この辺の魔物が異常な繁殖をしていてな」
エルフ「お前たちも見ただろう、あのアラクネの大きさを。ここに、しばらく住むが初めてのことなんだ」
エルフ「あれだけじゃない。多くの魔物が森にうごめているんだ」
騎士長「…、普通にこの森は抜けられそうか?」
エルフ「無理だ。お前たち、幸運だったな。俺と出会ってなかったら死んでいただろう」
騎士長「ほ、本当か…」
…ポンポン
騎士長「話してる途中だぞ…何だよアサシン」クルッ
アサシン「…騎士長、あのサイズが珍しくないとかさっき言ってたよなぁ…?」ブルブル
騎士長「ま、まま…待て!今は話を聞こうじゃないか!なっ!」
…ゴツンッ!!…ドサッ
エルフ「はっはっは、何か面白い人間たちだな」
エルフ「とにかく今は、この森を抜けるのは本当によろしくないってことだ」
エルフ「諦めて、南港行きの船がある砂漠港に行って船に乗るか…」
エルフ「森を通り抜けない回りのルートで行くかのどっちかだな」
騎士長「…じょ、冗談だろ?」
エルフ「冗談なんか言って何になる」
騎士長「そ、そりゃそうか…」
アサシン「砂漠港はまぁ置いといて。森を抜ける回りはどのくらいになるんだ?」
騎士長「…げつ」
アサシン「何だって?」
騎士長「1ヶ月だよ1ヶ月近く!!この森の大きさ、どのくらいでかいと思ってるんだ!」
騎士長「唯一、馬車だの経済発展しているのは、森を突き抜けた先にある森林国の森林都市だけだ!」
騎士長「平地を回るとはいえ、森に入れないなら大きく迂回することになる…!」
騎士長「確かに森の中に小さな村はあるだろうが…、見つかるものじゃないし、危険過ぎる…」
アサシン「そ、そのほかの手段は?」
騎士長「ない。くっそ…何てこった…」
アサシン「1ヶ月、回っても歩くしかないのか…?」
騎士長「そんなことしてたら、王都もきっと、目に見えた動きを見せると思う…」
騎士長「その前に、何とかして着きたかったんだ」
アサシン「砂漠を戻るのはどうだ?港に戻ったほうが危険だが、確実そうだぞ」
騎士長「あのラクダ、お前らの自慢の特別な奴だったんだろう?」
騎士長「他のもアレだけ大きくて、早く、ずっと走っていられるのか?」
騎士長「だろう。あ~くっそ!」ガリガリ
黒髪幼女「…」オロオロ
エルフ「そこまで慌ててるって、何かよっぽどの事情があるのか」
騎士長「ちょっとな…どうしても1週間から10日ほどで王都までに着きたかったんだ」
エルフ「今の状態じゃなあ…」
騎士長「くっそ…諦めて大回りするしかないか」ハァ
エルフ「…まぁ、森を抜けない手段がないわけじゃないんだが」ボソッ
騎士長「…」ピクッ
エルフ「だが、ありゃなあ…まだカラクリとしても未完成だし…第一アレが…」
エルフ「いや…だが…」
騎士長「頼む、金なら払う。今は少しでも早く着いておきたいんだよ!」
エルフ「んーむ…」
エルフ「…」
エルフ「仕方ない。ちょっと着いて来な」クイッ
…ガラガラッ!!
エルフ「この倉庫の中。見てみな」
黒髪幼女「…何これ?」
アサシン「何だこれ…」
騎士長「…なんなんだこれは」
エルフ「まだ表舞台には出てない、カラクリ製品の最先端の技術の結晶さ」
騎士長「一体何なんだ?」
エルフ「”飛行機”だ」
エルフ「空を自由に飛べるという、夢のようなカラクリだ」
騎士長「そんなものが、可能なのか…。冗談だろ?」
エルフ「一人で長い事いると、色々と暇でな。ついつい、昔の癖で開発しちまうんだ」ハハハ
騎士長「昔の癖って…あんた一体何者なんだ」
エルフ「元カラクリ開発部の管理職さ。今はもう隠遁してるけどな」
騎士長「…!」
エルフ「とりあえず、これを使えば王都まではあっという間に着くだろう。だが…」
騎士長「た、頼む!」ガバッ
エルフ「ごほっ…!く、苦しいっての!話は最後まで聞け!」
騎士長「あ…すまん」パッ
騎士長「それを採ってきてほしいってか?」
エルフ「いや、それはある」
騎士長「あるのかい!」
エルフ「だから落ち着いて最後まで話は聞け」
エルフ「その必要だったのが、カラクリを動かす為に必要な”風の魔石”なんだが…」
エルフ「どうも、どこが間違ってるのか動力として働かなかったんだ」
騎士長「それで?」
エルフ「かなり複雑な設計で、雷の魔石と風の魔石を組み合わせて動かすから失敗も起きる」
エルフ「そこで調べた結果…組み込むのに必要な魔石の部分がデカすぎる事が分かったんだ」
騎士長「なるほど」
騎士長「アダマンタイトのナイフ!?」
エルフ「…」
騎士長「バカいうなよ、普通のナイフで何とかなるもんなんじゃないのか?」
エルフ「普通はな。だが、柔らかく削って形を整えるのにはアダマンタイトのナイフがいるんだよ」
騎士長「いや、さすがにそれは…」
アサシン「ん~?なぁなぁ、アダマンタイトって聞いた事ないぞ。なんだ?」
騎士長「大陸でもっとも高価で、貴重だと言われる鉱石だ」
アサシン「へぇ、どのくらいの値段なんだ?」
騎士長「俺の知ってる時は、0,3gで16万ゴールドだ」
アサシン「へぇ、0.3gで16万ねぇ。16万…。16…16万!?」
騎士長「だから、0,3g16万」
騎士長「おい!女声に戻ってる!」ボソボソ
アサシン「あっ…そ、そうか」ボソボソ
騎士長「ごほんっ、えっとな…」
騎士長「アダマンタイトは不思議な鉱石でな、物理的威力に反発する力を持ってるんだよ」
アサシン「反発する力?」
騎士長「どんな小さな欠片でも、叩き割ろうとしたり、押し込んだりすると弾こうとして動かなくなるんだ」
アサシン「どういうことだ?」
騎士長「簡単にいえば、磁石みたいなもんさ。なんでそうなるかは解明されてないんだが」
騎士長「俺ら王都の軍に配布される証のロケットとかにはアダマンタイトが埋めてあるんだ。それでちょっとな」
アサシン「あ~…アレか。っていうか、そんな高いもの使ってるのか?」
騎士長「まぁお守りみたいなもんさ。貴重な鉱石には守り神がいるっつーし」
アサシン「へぇ…それで、ナイフはいくら位するんだ?」
エルフ「ま…ナイフだと今の値段は1000万はくだらないだろうな」
アサシン「ぶーっ!」
騎士長「無理に決まってるだろうが!」
エルフ「…普通はな。だけど、俺は持ってたんだ」
騎士長「何?」
エルフ「それを盗まれちまって。俺が留守の隙にな」
騎士長「…」
エルフ「犯人の目星はついてるんだがねぇ…」
エルフ「どうにもこうにも、取り戻せる相手じゃないんだよ」ハァ
騎士長「相手ってのは?」
エルフ「少し離れにある廃墟に拠点を置いた賊がいてな。そいつらだ」
エルフ「俺が隠遁してわざわざココに作ったっつーのになぁ。迷惑な話だ」ボリボリ
騎士長「ふむ」
エルフ「元、奴隷狩りをしていた面子らしいが…なんで来たのかは分からん」
騎士長「!」
黒髪幼女「!」
アサシン「!」
騎士長「…」
エルフ「だが、アラクネを簡単に倒したようなアンタらならー…と思ってね」
エルフ「俺はナイフを取り戻せる。あんたらは王都に簡単に行けるっていう取引でさ」
騎士長「…」
エルフ「やっぱり、無理だろうな。変な事を言った…忘れてくれ」
騎士長「いや、いい」
エルフ「うん?」
騎士長「やってやるよ。俺がナイフを取り戻してやるよ」
騎士長「あんたが思ってる以上に、俺は強いぞ。任せてくれ」
エルフ「そりゃ、任せられるなら任せたいが…」
騎士長「大丈夫だ。ただ、絶対に王都へ行けると約束してくれるか?」
エルフ「あ、あぁ!そりゃもちろん!」
騎士長「だってよ、面倒なことになったが早く行ける可能性があるなら俺たちでー…」クルッ
アサシン「…っ」ブルッ
騎士長「!」
黒髪幼女「ど、どうしたの!」
エルフ「ど、どうしたんだ?」
騎士長「…ちょっと外に連れてく。黒髪幼女も来てくれ」
黒髪幼女「う、うん」
ブルブル…
アサシン「…くっ!」
騎士長「…」
黒髪幼女「どうしたのお姉ちゃん…」
アサシン「な、何でもないよ心配しなくても大丈夫だ」ニコッ
黒髪幼女「で…でも…」
騎士長「…」ハァ
騎士長「無理するなよ」
アサシン「無理なんか!」
騎士長「傷の土地、知らぬ土地。そして奴隷狩り…。恐怖を思い出さないほうがおかしいんだ」
アサシン「…っ」ブルブル
騎士長「幸い、話をしてわかるとは思うがココのエルフは信用できそうな人物だ」
騎士長「お前たちはココに残って、ナイフの奪還は俺に任せてくれ」
アサシン「だ、だけど…相手は一人じゃないんだろ!?」
騎士長「そうらしいな」
騎士長「…」
アサシン「一緒に戦わせてくれ…一網打尽にする機会なんか、滅多にないじゃないか…」アハハ…
騎士長「断らせてもらう」
アサシン「なっ…なんでっ…」
騎士長「足手まといだ」
アサシン「…っ」
騎士長「…」
アサシン「…」
アサシン「…」
騎士長「…」
アサシン「分かってる。分かってるよ気持ちは…」
騎士長「俺だってお前の気持ちは分かるから…頼む」
アサシン「…」
アサシン「負けだ…。わかった…私は黒髪幼女とここに残るよ」
騎士長「ありがとう」
アサシン「ただし…無事に戻ってきてくれよ」
騎士長「当たり前だ」
騎士長「俺を誰だと思ってる。天下の王都の元エース”騎士長”だと何と言えばわかる!」ハッハッハ
黒髪幼女「…うん」
騎士長「心配するな。お前も、アサシンと一緒に俺の帰りを待っててくれ」
騎士長「それだけで…俺の力になるからよ」ニカッ
黒髪幼女「騎士長ぅ…」ギュウッ
アサシン「黒髪幼女…私と一緒に騎士長の帰りを待ってような」
黒髪幼女「…騎士長、気を付けてね。無事で戻ってきてね」
騎士長「当たり前だろうが!」
騎士長「エルフさん、話はまとまったぜ。俺が取りに行く」
エルフ「…本当にいいのか?」
騎士長「あんただって、少しの希望を持ったから俺に飛行機を見せたんだろう?」
エルフ「む…むぅ…」
騎士長「ただし、話も聞こえてたと思うが…この二人を頼まれてほしい」
エルフ「…わかった。ただ、俺は戦いもできないし…」
エルフ「いざとなっても、本当に何もできないぞ?」
騎士長「ここへ二人を隠してくれてるだけで充分さ」
騎士長「アサシンも…黒髪幼女を頼む。お前だから信頼するんだ」
アサシン「うん、任せてくれよ」
黒髪幼女「本当に…気を付けてね」
騎士長「わかってるって!で、エルフさんよ。そういや今更だが、名前を聞いてなかったな」
アルフ「”アールヴヘイム”。アルフって呼んでくれ」
騎士長「エルフ族の楽園の名、か。よろしく、アルフ」
騎士長「俺は騎士長だ」
黒髪幼女「え、えっと…私は黒髪幼女」
アルフ「アサシンさんに、黒髪幼女ちゃんか。よろしくな」
騎士長「…さて、善は急げというし…早速、相手の場所を知りたいんだが」ポキポキ
アルフ「この倉庫の方角に、真っ直ぐ行くと森の中に、昔使っていた街道がある」
アルフ「あとはそのまま…道なりに進んでいけば廃墟になった屋敷が見るはずだ」
騎士長「わかった。人数がどれくらいとかはあるか?」
アルフ「俺が見た限りでは最低でも6,7人だ」
騎士長「…中にまだいたりしたとしたら、もっと多いな」
アルフ「やはり、危険すぎる。他の方法なら、俺も考えてやるし止めてもいいんだぞ…?」
騎士長「それに、俺が攻め込む理由が出来ちまったからさ」ニカッ
アルフ「…」
騎士長「んじゃ、ちょっくら行ってくる」チャキッ
黒髪幼女「…行ってらっしゃい」
アサシン「必ず無事で」
アルフ「恩に着るよ…」
騎士長「おうっ!」ダッ
ザッザッザッザッザッ…
………
……
―――――【 屋 敷 】
ガサガサッ…
騎士長「ぺっぺっ!アラクネ異常繁殖とはいえ、旧街道ですら蜘蛛の巣だらけかよ」
騎士長「くっそ…この辺だって言ってたはずなんだが…」キョロキョロ
騎士長「えーと、こっちか?」
ガサガサッ…パァッ…!!
騎士長「あ、あった!あれが、廃墟の屋敷だな…」
騎士長「なるほどでけぇな…。だけどあれが奴隷狩の巣って証拠が…」キョロキョロ
奴隷の馬車『ヒヒーン!』
ゴソゴソ…スタッ
商人「今回もご苦労」
傭兵「お疲れ様でした」
ガチャッ…バタンッ…
騎士長「俺には幸運の女神がいるのかねぇ…いいタイミング。ビンゴか」
騎士長「さてと、どうするべきか。いきなり正面突破も難しいだろうし…」ウーン
騎士長「…お?」
商人「危ない危ない。今回のリストの忘れ物しちまったよ…」
タッタッタッタ…
騎士長「…へへ」
ガチャッ…ギィィ…
騎士長「失礼しまーす…」
騎士長(商人の気絶させて服を奪って、侵入侵入♪)
騎士長(ま…気絶も長くないだろうし、さっさとナイフとこの屋敷の状況を把握して…)
傭兵「あ、おかえりなさ…って、誰だお前!」
騎士長「!」
騎士長(確か、こいつはこの商人の雇われ傭兵っぽかった奴だったな…よし)
騎士長「あ…いや、その、商人さんにココへ行けと…」
傭兵「何ィ…?」
傭兵「…ふむ」
騎士長「ちょっと一回、用事があるから渡してくれと」
騎士長「僕は新人で、あの商人さんにココを案内されたんです」
傭兵「ちょっと、リストを見せてみろ」グイッ…ペラッ
騎士長「…」
傭兵「…」ペラペラ…
騎士長「ど、どうですか?」ヘヘ
傭兵「…確かに今回のものだ。しかし、俺ぁお前なんか聞いてないぞ?」
騎士長「え、えーとそれは…」
騎士長「へっ?」
傭兵「あれ、違うのか?」
騎士長(直接任務…?なんだそりゃ)
傭兵「じゃあ単純に秘密にしてただけか。あの人、結構そういうところがあるからなぁ」
騎士長「ちょ、ちょっといいですか?」
傭兵「なんだ」
騎士長「直接任務って何でしょうか」
騎士長「僕はアシスタントで着いてきてほしいと言われただけでしたので」