騎士長「王宮をクビになってしまった」

153: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:32:48 ID:he7xQn0I
黒髪幼女「わからないの?」

騎士長「そ、そこまでは…」

黒髪幼女「…」ウーン

騎士長「そ…そうなるからそうなってるんだよ!」

黒髪幼女「そ、そうなんだ」

騎士長「…おう!」

黒髪幼女「そっかぁ…そうなってるから…そうなんだぁ…」

騎士長(まぁ普通の人はそうそう知らないだろうし、それで良いんだそれで!)ウンウン

…ポォォォォ!!

騎士長「…あ」

黒髪幼女「今の…お船の音?」

154: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:33:18 ID:he7xQn0I
騎士長「やべえ、道草食ってたら船に送れちまう!」グイッ

黒髪幼女「わっ」

騎士長「しっかり掴まってろ、走るぞ~っ!」ダッ

黒髪幼女「わかった」ギュー

タッタッタッタッタッタッタッタ…

………
……

155: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:34:02 ID:he7xQn0I
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 船の中・一等客室 】

ユラ…ユラユラ…

…バフンッ

騎士長「は~…一息つけた…」

黒髪幼女「お船の中なのに、広いお部屋」

騎士長「一等客室だからな~奮発したんだぞ」

黒髪幼女「いっとうきゃくしつ?」

騎士長「なんだその…凄いお部屋ってことだ」

黒髪幼女「そうなんだ」

156: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:34:28 ID:he7xQn0I
騎士長「さっき聞いた話だと…天候にもよるが、早くて明日の夕方には到着するらしい」

黒髪幼女「うん」

騎士長「それまでは暇だな…船ん中色々あるらしいし、あとで探索してみるか?」

黒髪幼女「うん」

騎士長「だがちょっと色々慌ただしくて…疲れた…」フワァ

黒髪幼女「お昼寝する?」

騎士長「少しだけ…寝かせてくれ…」

黒髪幼女「わかった」

騎士長「その辺にお菓子とか、絵本みたいなのもあったから…適当に読んで…」

…ゴロンッ

騎士長「…」スヤッ

157: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:35:08 ID:he7xQn0I
黒髪幼女「あ、騎士長?」

騎士長「…」スヤスヤ

黒髪幼女「…寝ちゃった」

黒髪幼女「お菓子…食べていいんだっけ…」

トコトコトコ…カサカサッ

黒髪幼女「…」パクッ

黒髪幼女「…」モグモグ…

黒髪幼女「…甘くて美味しい」ホウッ

158: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:36:27 ID:he7xQn0I
黒髪幼女「…」

…コチ、コチ、コチ…

黒髪幼女「…」チラッ

騎士長「…」グーグー

黒髪幼女「…」

黒髪幼女「…」

スクッ…トコトコトコ…

黒髪幼女「こっちには、何があるんだろ」ガチャッ

159: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:36:57 ID:he7xQn0I
黒髪幼女「トイレ…」

トコトコトコ…ガチャッ

黒髪幼女「…クローゼットに、お風呂場…」

トコトコトコ…ガチャッ

黒髪幼女「…こっちは廊下。後で騎士長と一緒に行くから部屋にいないと…」

黒髪幼女「あ…窓。海、見えるかな?」

トコトコトコ…

ギ…ギギ…ギィィィ…バタンッ!

黒髪幼女「うーん…窓が高くて見えない…。部屋で私も少し休もうかな…」クルッ

トコトコトコ…グイッ

160: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:37:36 ID:he7xQn0I
黒髪幼女「ん、…えっ?」グイッグイッ

黒髪幼女「…あれ?」

黒髪幼女「んん…」ググッ…

黒髪幼女「あ…開かない…」

…カランッ

“オートロック”

161: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:38:09 ID:he7xQn0I
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 同時刻・船の中 】

…ゴソゴソ…コソコソ…

男A「な、なぁ本当にやるのか?」

男B「いいじゃねえか、この船にバレずに忍び込めたのも天運だろうがよ」

男A「で、でもよ…」

男B「今更、何ビビってんだ!!」

男A「…だ、だよな…」

男B「簡単だろ、一等客室の奴をせしめて、金を奪うなんざよ!」

162: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:38:40 ID:he7xQn0I
男A「でも、そう上手くいくかな。大体、この辺のは警備もガッチリしてるし」

男B「問題はそこなんだよな。オートロックだし、怪しい奴にはドアも開けやしねぇだろ」

男A「やっぱり計画に無理があったんじゃ…」

男B「うるせぇ!とにかく、一等客室には着いたんだ…あとは何かしらのチャンスがー…」

黒髪幼女「あ…開かない…」

男B「あったろ?」

男A「本当に…天運かも」

163: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:39:18 ID:he7xQn0I
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ゴソゴソ…ムクッ

騎士長「ん~…ふわぁ…」

騎士長「…」ムニャッ

騎士長「黒髪幼女~…待たせたな…。ちょっと、寝すぎたかね」

…シーン

騎士長「あれ?黒髪幼女~…トイレか?」

トコトコトコ…ガチャッ

騎士長「…いない」

164: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:40:07 ID:he7xQn0I
トコトコトコ…ガチャッ

騎士長「風呂場にもいない…か。隠れるところは他にないし…」

騎士長「…ま、まさか…」ヒクッ

騎士長「…冗談だろ、外に出たらオートロックだぞ!」

ダダダダッ、ガチャッ!!

騎士長「…っ!」キョロキョロ

騎士長「いない、どこかに行ったのか!?」

騎士長「くっそ…何てこった!と、とりあえずロビーに!」ダッ

165: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:41:21 ID:he7xQn0I
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 客室ロビー 】

ダッ…ダダッ…

サポーター「…むっ」ピクッ

ダダダダダッ!!!

騎士長「うおおおおっ!」

ズザザザァ…!

サポーター「…、お客様。お走りにならないようにお願いします」

騎士長「はぁ、はぁ…。き、聞きたいことがある!」

サポーター「何でしょうか」

騎士長「このくらいの女の子…黒髪の薄ら褐色掛かった肌の子だ。見なかったか!?」

166: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:42:08 ID:he7xQn0I
サポーター「迷子ですか?お預かりはしていませんが」

騎士長「そうか…クソッ!どこに行ったんだ!」

サポーター「船内放送で呼び掛けましょうか?」

騎士長「あぁ、頼む」

サポーター「わかりました、それでは」クルッ

騎士長「…」

騎士長「いや、待て!」ガシッ

サポーター「…はい?」

騎士長「もしこれが、万が一の事だったら困る!まだ呼びかけないでくれるか?」

サポーター「は、はぁ…」

騎士長「呼びかけるときは、もう1度来るから…それまではまだ呼びかけないでおいてくれ」

167: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:43:06 ID:he7xQn0I
サポーター「か、かしこまりました」

騎士長「くっそ、黒髪幼女のやつ…どこ行ったんだ…甲板か…?」ダッ

ダダダダダッ…

サポーター「あっ、お客様!お走りにならないように…!」

サポーター「って、行ってしまわれたか…。はぁ…全く、最近のお客様はマナーの欠如がひどいですな」

トコトコ…

お客「…あの、お取込み中のようでしたが…ちょっといいですか」

サポーター「…はい、どうしましたか?」

お客「ちょっと、不審なお客が…」

168: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:43:49 ID:he7xQn0I
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…ザザーン…ヒュウウッ…

騎士長「…甲板、廊下、物販所、2階から1階、最上階…どこにもいねぇ!!」

騎士長「あとは客室だが…まさか一部屋一部屋開ける訳にも…」

騎士長「クッソ…!!」

ピーンポーン…

サポーター”「事務局よりお知らせ致します」”

サポーター”「先程、迷子を捜しにいらっしゃった方、おりましたら客室ロビーまでお越しください」”

169: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:44:21 ID:he7xQn0I
騎士長「あ…?」

騎士長「俺のことか…?つーか、あれほどアナウンスかけるなっつったのによ…」

騎士長「っち…仕方ねぇ、見つかったのかもしれんし…」ダッ

ダダダダッ…

170: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:45:05 ID:he7xQn0I
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…ガチャッ!!

騎士長「呼んだか?俺のことだろう」

サポーター「あ、いらっしゃいました。こちらのお客が、不審な人物を見たということで…」

騎士長「ん?」

お客「どうも」

騎士長「ど、どうも」

お客「一等客室の廊下で、1時間くらい前に…不審な人を見かけまして」

騎士長「不審な人だと?」

171: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:45:49 ID:he7xQn0I
お客「乗る人数も少ないですし、大体は把握してるつもりだったんですが」

お客「その中で、どうも動きが怪しいというか…そういう人がいたんですよ」

騎士長「ふむ」

お客「それで、一応ご報告に…と」

騎士長「一等客室の…どのへんだ?」

お客「船頭側ですね」

騎士長「…俺の部屋の近くだ。そいつらに、女の子とか着いてなかったか?」

お客「いえ、ただの二人組みでしたよ。あ~…でも…」

騎士長「何だ?」

お客「”でっかい袋”を、男の1人が担いでましたよ」

騎士長「…何だと!」

172: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:47:03 ID:he7xQn0I
お客「クリーム色のでっかいやつ…どっかで見たことある袋だったんだけどなぁ~…」

騎士長「思い出してくれ!もしかしたら、その中に俺の連れがいるかもしれないんだ!」グイッ

お客「むぐぐっ…!」

サポーター「ちょ、ちょっと落ち着いてください!」

騎士長「む…すまん…」

お客「ごほごほっ…!まってくださいよ…えーと…」

騎士長「…っ」

お客「どこで見たんだっけかなぁ…えーと…ん~…」

騎士長「そ、そもそもクリーム色の袋ってどんなのか想像がつかんがな…」

サポーター「…あぁ、それに似てるのならありますよ」

サポーター「クリーム色の袋だったら、例えばああいうのとかですよ」チラッ

173: ◆qqtckwRIh. 2014/03/04(火) 19:47:38 ID:he7xQn0I
騎士長「部屋の隅っこにあるのも確かにクリーム色とはいえるな」

お客「ん…?あ、あれだー!!」

サポーター「えぇっ!?」

お客「色っていうか、あの袋ですよ!」

サポーター「ですがあれは、船のメンテナンスやらに積む袋ですよ?」

お客「で、でもあれですよ。見たんだ間違いない!」

騎士長「…サポートさん」

サポーター「はい?」

騎士長「この袋は、普通…どこに置いてあるんだ?」

サポーター「船の動力源の、カラクリ整備室…ですが…」

………
……

182: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:24:16 ID:YkBZhnNE
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 整備室 】

…ゴウン!ゴウン!

男A「整備室、うるさいね」

男B「でっけぇカラクリでこの船は動いてるからな。ま…いい隠れ家だろう。ほとんど人がこないしな」

男A「確かにいい案だとは思うけど」

男B「それより…袋、開けてみろ」

男A「あ、わかった」

ゴソゴソ…

183: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:25:01 ID:YkBZhnNE
黒髪幼女「…」ブルブル

男A「しっかり入ってるよ」

男B「ははははっ!天運、まさに俺らに有りだな」

男A「可愛い子だよね。どこの出身なんだろう」

男B「そりゃ砂漠地方の出だな。その種族の女自体に、すげー値打ちもあるんだぜ」

男A「そうなんだ。本当に…人形みたいだしね」

男B「まぁ、だからこそ砂漠地方で奴隷の売買が禁止されたんだけどな」

男A「どういうこと?」

184: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:25:34 ID:YkBZhnNE
男B「金持ち共が、その出身の美しい女や、子供、若い男性問わず奴隷狩りを行ってな。社会問題になったんだ」

男B「それを重く見た政府が、警備体制を固めて、発見次第重罰に処する法を打ち出したワケ」

男A「なるほど…じゃあ、俺らは結構やばいことやってるんじゃ…」

男B「誘拐した時点でやべぇな。だが、禁止されたことでその奴隷の価値は数百倍に値上がった」

男A「数百倍!?」

男B「覚えてるだけで末端価格は数千万ゴールドだ。それに…見ろ」グイッ

黒髪幼女「…っ」

男B「俺だって分かる。こいつぁ高くつくぜ…」ニタッ

男A「…ちょっと待って!俺ら、奴隷狩りしに来たわけじゃないでしょ!」

185: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:26:37 ID:YkBZhnNE
男B「あぁ…本当なら誘拐して金をせしめようとしたけど、やっぱり止めた」ニタッ

男A「えっ…まさか…」

男B「そいつを売った方が高いぜ。明日の夕方まで、ここで隠れてればわかりゃしないさ」

男A「で、でも…」

黒髪幼女(ま…また、奴隷に…なるの…?)

男B「何ビビってんだよ!!今更だろうが!」

男A「そ、そりゃそうだけど…」

黒髪幼女(嫌だ…もう、鞭で叩かれるのは…。殴られるのは…!)

186: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:27:17 ID:YkBZhnNE
男B「俺について来いよ。儲け話は尽きねぇぜ?」カカカ

黒髪幼女「…だ」

男B「…あ?」

黒髪幼女「嫌だっ!!もう、あそこには戻りたくないっっ!!!」

男B「!!」

男A「えっ!?」

黒髪幼女「騎士長…どこ!お父さん…どこなの…助けてよぉ!!」

男B「や、やべぇ…黙らせろ!!」

男A「ど…どうやって!?」

男B「その辺の縄とかで、口と両手…縛り上げろ!」

男A「わ、わかった!」

187: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:27:56 ID:YkBZhnNE
グイッ…グルグルッ…

黒髪幼女「いや…だぁ…」グスッ

男A「ちょっとだけでいいから、静かにしててね…」

黒髪幼女「う゛ぅ゛…」ムググ…

男A「ふぅ…びっくりした」

男B「…」ジッ

男A「…どうしたの?」

男B「ちょっと、お前に聞きたい事がある。首を振って答えろ」スッ

黒髪幼女「…っ」

188: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:28:39 ID:YkBZhnNE
男B「お前、さっき”戻りたくない”って言ったな。まさか…元、奴隷か?」

黒髪幼女「…」

男B「答えろっつってんだよ!」グイッ!

黒髪幼女「…」

男B「…無視か。無視なら無視なりに…無理やりでも分かる方法もあるんだが」

男A「ど、どうするの?」

男B「背中こっちに向かせるようにして、地面に倒せ」

男A「わ、わかった」

グイッ…ドサッ!

黒髪幼女「むぐっ!」

189: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:29:19 ID:YkBZhnNE
男B「…」

ビリッ…ビリビリビリッ!!

黒髪幼女「!」

男A「ちょっ、何してるの!」

男B「…やっぱり奴隷じゃねえか。っち…値下がるなこりゃ」

男A「え?どうしてわかるのさ」

男B「背中の傷だ。見ろ。これは鞭の傷跡だ」

男A「あ…」

黒髪幼女「…う…うぅ…」

190: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:30:06 ID:YkBZhnNE
男B「傷薬が塗ってあるか…、よっぽど大事にされる人間に”飼われた”らしいな」

男A「買われたって…」

男B「買われたじゃねえ、飼われただ」

男A「飼われた?」

男B「そうだ。よっぽどな物好きが、高値で買って一等客室で遊んでたんじゃないのか?」ハハハ!

男A「な、なるほど…こんな、いたいけな子を…」

男B「奴隷の存在意義なんて、女も、子供も全部そんなもんだ。若い男は主に労働用だがな」

男A「ま、まぁそうだけど…」

黒髪幼女(騎士長に買ってもらった…お洋服が…)グスッ…

男B「あ?何で泣いてるんだ」

191: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:31:05 ID:YkBZhnNE
男A「そりゃ、俺らが怖いからでしょう」

男B「今まで色々されてきたくせに、まだメンタルは弱いらしいな」ハハハ

男A「そりゃ子供だし…」

男B「だがまぁ…これでちょっと楽しめるな」ニヤ

男A「どういうこと?」

男B「俺らも遊ばせてもらおうぜ」

男A「え…」

黒髪幼女「…」グスグスッ…

男A「遊ぶって…」

男B「たまには趣向を変えてどうだ?どうせ何度も遊ばれてるんだろうよ」

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