騎士長「王宮をクビになってしまった」

192: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:31:35 ID:YkBZhnNE
男A「で、でもさ!」

男B「明日の夕方まで船はつかねぇ、目の前に遊び道具があるのに遊ばないで暇もつぶせないだろう」

男A「そ…そういうことじゃなくて…」

男B「まぁ、お前がやらないなら俺が遊ぶ。お前は見張りでもやってろ」

男A「…俺は遠慮しとくよ。見張りに回る」

男B「ちっ、根性なしめ。だがここじゃ声も漏れる。もう少し奥に運んでから…楽しく遊ぼうぜ…砂漠の子よ」ニタァ…

グイッ…トコトコ…

黒髪幼女「むぐ…むぐぅ~…!」ポロポロ

男B「別に泣く事じゃないだろうが。さ~て、どうやって遊ぼうかね~」ハハハハ

カツーンカツーン…カツーン…

………

193: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:32:39 ID:YkBZhnNE
男A「…はぁ」

男A「あの男の口車に乗せられて、加担はしたけどどうにも馬が合わないや…」

男A「お金を受け取ったらドロンして、新しい人生を歩もう…」

タッタッタッタ…ガヤガヤ…

男A「って…おや?外がやけに騒がしい…整備室の前に誰かいるのかなー…」

…ダァンッ!!!!ドゴォンッ!!

男A「ぬがっ!!」

騎士長「うおらああっ!!ココが整備室かコラァ!!」ハァハァ

194: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:33:29 ID:YkBZhnNE
サポーター「そうですが、こんなところに人なんか…」ハッ

男A「」グデン

騎士長「いたようだな。…こいつは、船員か?」

サポーター「いえ、見たことないですが…」

お客「そ、そいつですよ!さっき言ってた男!あと一人いるはずですが…」

騎士長「って事はビンゴだったか。奥にいやがるのか…?」ダッ

サポーター「あ、一人じゃ危険ですよ!」

騎士長「心配すんな!俺は王国のエース戦士、きし…元騎士長だ!」

サポーター「は…はぁ…」

騎士長「…っと、これは…」ズザザ…スッ

騎士長「黒髪幼女にプレゼントした服の切れ端じゃねえか…」

騎士長「…急がねえと、やべぇな…」ダッ!

195: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:34:53 ID:YkBZhnNE
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ダダダダダダッ…

騎士長「くっそ、どこだ…。無駄に整備室も広くしやがって…!」

騎士長「…」キョロキョロ

騎士長「…むっ」ピクッ

男B「…」

黒髪幼女「…」

騎士長「いやがった…!黒髪幼女もまだ無事のようだな…よかった…」ハァハァ

騎士長「だけど…あんな下に…。遠すぎて道がわかんねぇ!くそ…どうするか…」

196: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:35:24 ID:YkBZhnNE
タタタタッ…ドテッ!!

サポーター「あいたっ!はぁ…はぁ…、騎士長さん…早いですよ…」

騎士長「いいところに。おい、あそこのでっけぇパイプの下の通路に、うちの連れと犯人がいるんだが、どうしたら行ける!?」

サポーター「あそこまではこの通路じゃ無理ですよ。戻って、別の通路を行かないと」

騎士長「…それじゃ、だめだ!」

サポーター「で、ですが…」

男B「…」ニタッ

黒髪幼女「…っ!」

騎士長「くそが…えぇい!なるように…なる!!」グッ

サポーター「え…ちょ、ちょっと!!」

ダッ…ダダダダダダダッ!!タァンッ……!!

サポーター「と、飛んだー!?」

197: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:36:25 ID:YkBZhnNE
男B「ははは…さぁて…」コキコキ

黒髪幼女(殴られる訳じゃないの…何するの…)ブンブン

男B「何、暴れているんだ。俺にも少し遊ばせてくれって事だろうがよ!」

黒髪幼女「?…??」

男B「さてと…楽しく遊ぼうか!」

ヒュウウウウウッ…

黒髪幼女「!」

騎士長「黒髪幼女ぉぉぉぉっ!!」

男B「ん?」チラッ

騎士長「ふんっ!!」ブンッ

…バキィッ!!!!…ドゴォン!!!

198: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:37:32 ID:YkBZhnNE
男B「ぐがっ!!」

ガコォン!!…ドシャアッ…

騎士長「っしゃあ!!」

ズザザザザ…クルクル…

騎士長「っと、あら…あららら…」

ドゴォン!!…パラパラ…

騎士長「あいてて…ててて…着地失敗…」

黒髪幼女「…むぐっ…!」

騎士長「おっと…黒髪幼女!」ダッ

騎士長「…縄で縛られてひでぇ事するぜ…」

タタタタッ…ギュッギュッ…

199: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:38:14 ID:YkBZhnNE
騎士長「よし…これで大丈夫だ。しゃべれるか?」

黒髪幼女「き…騎士長…」

騎士長「…すまなかったな。俺のせいで、こんな目に…」

黒髪幼女「騎士長っ!!」ダッ

ギュウウウッ…

騎士長「…」

黒髪幼女「うぅ…うううう…」ポロポロ

騎士長「本当に…悪かった」

騎士長(何もされちゃいないようか…良かった…本当に)

200: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:39:03 ID:YkBZhnNE
タッタッタッタッ…

サポーター「はぁ…はぁ…」

騎士長「おせぇぞ」

サポーター「貴方がおかしすぎるんですっ!」

騎士長「はは、そうか。つーか…これは一応さ、そっち側の不祥事…だよな?」

騎士長「確かに目を離してはしまったが、予定外の人を乗船させた罪は重いぞ」

サポーター「う…」

騎士長「それ相応のこと…頼んだからな」

サポーター「は、はい…。あと上司に相談致しますので、何卒内密に…」

騎士長「さあ~な。それは君たち次第…と、一ついいか?」

サポーター「は、はい」

騎士長「あとで、子供用の服…俺らの部屋までもってこいよ」

サポーター「かしこまりました…」

201: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:39:39 ID:YkBZhnNE
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 騎士長の客室 】

ジャー…ゴシゴシ…

黒髪幼女「…」

騎士長「…ったく、本当に悪かったな。泥だらけになっちまって…体、しっかり洗おうな」

黒髪幼女「…」コクン

騎士長「…」

ジャアア…

202: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:40:13 ID:YkBZhnNE
騎士長(くそっ…いい感じに打ち解けてきたと思ってたのに…)

騎士長(これからって時に、こんな事…。俺せいだ…、何をやってるんだ俺は…!)

ゴシゴシ…!

黒髪幼女「き…騎士長、痛い…」

騎士長「あ、あぁ…すまん…」

黒髪幼女「…」

騎士長「…」

黒髪幼女「…騎士長」

騎士長「な…なんだ…?」

203: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:40:48 ID:YkBZhnNE
黒髪幼女「迷惑かけて…ごめんなさい…」

騎士長「…お前が謝る事じゃない。悪いのはあいつらなんだから」

黒髪幼女「でも、私が一人で外に出なかったら…こんなことに…」

騎士長「そ、それは…」

黒髪幼女「それと…お…お、洋服…ごめんなさい…」ブルッ

騎士長「えっ?」

黒髪幼女「折角買ってくれた…褒めてくれた…お洋服…破かれちゃった…」

騎士長「よ…洋服…?」

黒髪幼女「うん…」グスッ

204: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:41:45 ID:YkBZhnNE
騎士長「まさか…服を破かれた事も、怒ってるとか思ってたのか?」

黒髪幼女「う…うん…。それに…色々…」ポロッ…

騎士長「…」

黒髪幼女「あう、う…うぇぇん…。ごめんなさい…ごめんなさい…」ポロポロ

騎士長「…黒髪幼女」

黒髪幼女「…」グスグス

騎士長「俺はそんな事は気にしないし、迷惑だなんて思っちゃいないさ」

黒髪幼女「…」

騎士長「それより、可愛い顔が台無しだ。ほれっ!」ジャバッ

黒髪幼女「あうっ」バシャッ

騎士長「どんだけお前はいい子なんだよ!」ハハハ

205: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:42:35 ID:YkBZhnNE
黒髪幼女「き…騎士長?笑ってるの?」

騎士長「あぁ。俺は何も気にしちゃいないって言っただろ?」

黒髪幼女「で、でも…」

騎士長「あとで、船の中にレストランがあるらしいし…チョコレートパフェがあるかもしれんぞ!?」

黒髪幼女「…」

騎士長「一緒に食べようぜ。甘いモン食って、海眺めて…な?」

黒髪幼女「…」コクン

騎士長「はははっ!それでいいさ」

騎士長「だから…俺からは離れるなよ。俺も、お前を守ってやるからな」

黒髪幼女「…うん」

206: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:43:27 ID:YkBZhnNE
騎士長「よっしゃ、じゃあさっさと体も頭も洗って…船を冒険だ!」

黒髪幼女「冒険…?」

騎士長「そうさ。俺とおまえで、小さなパーティを組んで…船に宝物がないか探索しようじゃないか!」

黒髪幼女「宝物…!」

騎士長「ほら、ワクワクするだろ!早くしないと、誰かに宝が取られちまうかもしれん!」

黒髪幼女「!」

騎士長「目をつむるんだ!黒髪幼女隊員、頭からしっかりと洗って戦いに備えるぞ!」

黒髪幼女「う、うんっ」

…ジャアアッ!ザバァンッ!

騎士長(…どうしたもんか)ハァ

207: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:44:10 ID:YkBZhnNE
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 1時間後 】

サポーター「本当に、失礼致しました。今回の事、今後の課題として重く見させて頂きます」

重役「本当に申し訳ありませんでしたっ!」

騎士長「いいよ。で、俺が言ってたのは?」

サポーター「お連れ様の服…でしたよね。当船内のショップにある、サイズ…すべてご用意させて頂きました」

サポーター「…入ってください」

208: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:44:55 ID:YkBZhnNE
ガチャッ…

店員「こちらでございます。お好きな物を、お好きな数だけ…」

パァァァッ…!!

黒髪幼女「!」

騎士長「…へぇ。黒髪幼女、好きな服、好きなだけ取っていいってさ」

黒髪幼女「い…いいの?」

騎士長「あぁ。好きなモン全部取っていい。全部貰って、あとから何着るか考えるか?」ハハ

黒髪幼女「ま、待って。ちょっと見てみる」

トトトト…

騎士長「はは、やっぱり女の子だね」

サポーター「お気に召すのがあればいいんですが」

209: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:45:31 ID:YkBZhnNE
黒髪幼女「…」キョロキョロ

…スッ

黒髪幼女「…」パサッ

トトトト…スッ

黒髪幼女「…」スッ

黒髪幼女「…」パサッ

騎士長「どうだ?気に入るのはありそうか?」

黒髪幼女「…」キョロキョロ

騎士長「欲しくなりそうなのあったら、全部キープしといてもいいんだぞ~」

黒髪幼女「え…えっとね…」

210: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:46:10 ID:YkBZhnNE
騎士長「…」

黒髪幼女「あっ」

騎士長「お?あったか?」

タタタタタッ…スッ

黒髪幼女「…これがいい」

騎士長「…へ?」

サポーター「え?」

重役「え?」

店員「そ、それでございますか…?」

黒髪幼女「うん」

211: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:46:41 ID:YkBZhnNE
騎士長「何でそんな一番地味目な…」

黒髪幼女「…騎士長が買ってくれた服に、一番似てるから」

騎士長「何?」

黒髪幼女「だから…これがいい」

騎士長「…ははっ」

黒髪幼女「…ダメ?」

サポーター「し、しかし。自分たちとしては全部渡すつもりで…」

重役「そ…そうです。受け取ってもらっても宜しいのですよ?」

騎士長「こいつがいいって言ってるんだから、これでいい」

重役「左様でございますか…」

212: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:47:11 ID:YkBZhnNE
黒髪幼女「♪」

騎士長「じゃあ、みんな…撤収撤収!俺らはあと、船の冒険やらをするんだからな!」グイッグイッ

重役「おとと…、ちょ、ちょっと退散する前に…もう1つお話がありまして!」

騎士長「何だ?」

重役「これだけでは自分たちの気が済みませんので…」

騎士長「まだ何かしてくれるのか?」

重役「本船内に1つだけのVIPルームへの案内と、そのルームコースのお食事のご用意…させて頂きます」ペコッ 

騎士長「…へぇ、案内してもらおうか」

213: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:47:48 ID:YkBZhnNE
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 VIPルーム 】

重役「…こちらでございます」

ギィィ…

黒髪幼女「!!」

騎士長「おぉ…」

黒髪幼女「水槽にお魚が泳いでる…お菓子がいっぱい…!」

騎士長「黒の調和で、いかにもVIPらしい部屋だな」

重役「お気に召しましたら、非常に嬉しく思います」

騎士長「うんむ」

214: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:48:31 ID:YkBZhnNE
重役「それと…こちらを…」ペラッ

騎士長「何だこれは」

重役「我がワールドボートグループの、VIPルーム3年分の無料ご優待チケットです…」

騎士長「いいのか?」

重役「…何卒、ご内密にお願いします…っ」ペコッ

騎士長「有り難く受け取っておくよ。別に口外する気はないしな」

重役「誠に…感謝致します…」

騎士長「あとで、料理も運んでくれ。えーと…今は何時だ?」

重役「17時前になります」

騎士長「甲板から夕陽は綺麗に見えるか?」

重役「そりゃもちろん!」

騎士長「飲み物を2つ。甲板に頼む」

重役「…わかりました」ペコッ

215: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:49:23 ID:YkBZhnNE
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ボォォォッ!!ザバァン!!

…ミャア、ミャア…ミャア…

黒髪幼女「わぁ~!」

騎士長「うおぉ、何て綺麗な夕焼けだ…。地平線にまるで絵が描いてあるようだ…」

黒髪幼女「凄い…」

騎士長「ほれ、黒髪幼女」

黒髪幼女「…ジュース?」

騎士長「俺のはワインだがな。夕焼けを見ながら、のんびり休もうか」

黒髪幼女「うんっ」

216: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:50:16 ID:YkBZhnNE
騎士長「そこの椅子に座って、海でも眺めてようぜ」

トコトコトコ…ストンッ

黒髪幼女「…」クピッ

黒髪幼女「ジュース、美味しい…」

騎士長「花より団子かお前は」

黒髪幼女「?」

騎士長「ははは、子供だもんな」

黒髪幼女「??」

騎士長「お前が少しでも楽しけりゃ、それでいいさ」

黒髪幼女「うん…ありがとう、騎士長」

217: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:51:10 ID:YkBZhnNE
…ザバァンッ…サァァッ…

騎士長「…」

黒髪幼女「…」

騎士長「…そういや、黒髪幼女」

黒髪幼女「何?」

騎士長「ずっと聞かなかったが…、お前、母さんはいるのか?」

黒髪幼女「ううん。会ったことないよ」

騎士長「会った事がない?」

218: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:52:08 ID:YkBZhnNE
黒髪幼女「うん。私が小さい頃に、死んじゃったんだって」

騎士長「…そうか、悪い事を聞いた」

黒髪幼女「何で謝るの?」

騎士長「いや…そりゃ…」

黒髪幼女「私は気にしてないよ。なるようになったから…そうなったんでしょ?」

騎士長「へ?」

黒髪幼女「騎士長の口癖」

騎士長「…そう、だが」

黒髪幼女「いいんだ。いいの…」

219: ◆qqtckwRIh. 2014/03/05(水) 19:53:37 ID:YkBZhnNE
騎士長「…」

黒髪幼女「…」

騎士長「…よしっ。黒髪幼女、あとは中で豪華なディナーといこうか!?」

黒髪幼女「豪華なディナー?」

騎士長「そうだ、美味いものいっぱいあるぞ!」

黒髪幼女「!」

騎士長「さぁ、食べたら今度こそ冒険だ!行くぞぉ!」

黒髪幼女「あ、待って!」

タッタッタッタッタッ…

…………
……

231: ◆qqtckwRIh. 2014/03/06(木) 19:19:21 ID:dPkXQcL6
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 夜 】

スヤスヤ…

黒髪幼女「…」

騎士長「…」 

…ムクッ

騎士長「…」ハァ

232: ◆qqtckwRIh. 2014/03/06(木) 19:19:55 ID:dPkXQcL6
トコトコトコ…キュッキュッ…グビッ

騎士長「…ぷはっ」

騎士長(…)

騎士長(今日の事は、俺の人生の中で最も恥じるべきだろうな)

騎士長(だけど、改めて分かった。俺一人という限界が…)チラッ

黒髪幼女「…」クゥクゥ

騎士長(助けられて、本当に良かった。もしもの事があったら…一生の傷になったな)

騎士長(俺にとっても、お前にとっても…)

233: ◆qqtckwRIh. 2014/03/06(木) 19:20:29 ID:dPkXQcL6
黒髪幼女「むにゃ…」

モゾモゾ…

騎士長「…」

トコトコ…パサッ

騎士長「風邪、ひくぞ」

黒髪幼女「んん…」

黒髪幼女「…」スヤスヤ

234: ◆qqtckwRIh. 2014/03/06(木) 19:21:03 ID:dPkXQcL6
騎士長「…もう一杯だけ水を飲んで寝るか」

トコトコトコ…グビグビッ…

黒髪幼女「…」

黒髪幼女「…あれ」パチッ

騎士長「…お?」

黒髪幼女「…騎士長?どこ…?」ムクッ

騎士長「あ、あぁすまん。ちょっと水飲んでたんだ」

黒髪幼女「そこにいたんだぁ…」

騎士長「いるぞ、どうした…大丈夫か?」

235: ◆qqtckwRIh. 2014/03/06(木) 19:21:34 ID:dPkXQcL6
黒髪幼女「うん…」ムニャッ

騎士長「起こして悪かったな、寝ようか」

黒髪幼女「…うん」スヤッ

スヤスヤ…

騎士長(俺も、色々と疲れてきた。ほんの少しの…楽しみとか、ないもんかな…)

騎士長(でも今は…とにかく…黒髪幼女を…)

騎士長(…まも…って…)

………
……

236: ◆qqtckwRIh. 2014/03/06(木) 19:22:12 ID:dPkXQcL6
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・
237: ◆qqtckwRIh. 2014/03/06(木) 19:22:44 ID:dPkXQcL6
それから、船は順調に航海を続けた。

予定外の天候の悪化で、多少の遅れになったものの

無事に砂漠港へと着港し―…

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 砂漠港 】

ザッバァン…!!ザザーン…

騎士長「足元気をつけろよ」

黒髪幼女「うん」

ユラユラ…ストンッ

騎士長「やっと…、砂漠港についたぁぁ!」

黒髪幼女「ここが…砂漠地方の港なんだ」

騎士長「あぁ。お前の村も近いぞ」

黒髪幼女「…」

238: ◆qqtckwRIh. 2014/03/06(木) 19:23:30 ID:dPkXQcL6
ジリジリジリ…

騎士長「そして…暑いな」タラッ

黒髪幼女「今日は涼しいほう」

騎士長「…うそだろ?」

黒髪幼女「まだまだ暑くなるよ。午前中だし、まだお日様も強くないから」

騎士長「…」

黒髪幼女「?」

騎士長「水だとか、この辺でしっかり備蓄して村を目指したほうがよさそうだな」

黒髪幼女「大事だと思う。村でも、たまに、その…倒れちゃう人がいたから…」

騎士長「地元の人間でもやられるのか。本気で気をつけないと危ないか」

黒髪幼女「うん」

239: ◆qqtckwRIh. 2014/03/06(木) 19:24:11 ID:dPkXQcL6
騎士長「…さて、どうするかな。ここからどう行けばいいのやら」キョロキョロ

黒髪幼女「…普通ならラクダの乗り場があると思う」

騎士長「ラクダの乗り場?」

黒髪幼女「少し前に乗った、馬車みたいなやつ」

騎士長「へぇ、そんなのがあるのか」

黒髪幼女「少し遠いけど、あっち側にある旗…見える?」

騎士長「青とか、緑とか…随分遠くまで立ってるな」

黒髪幼女「あれがそれぞれの村とか町につながってる道標」

騎士長「…確かに、アレがなかったら砂漠で道に迷いそうだ」

黒髪幼女「あとやっぱり…ラクダを借りないと、遠くに行くときは倒れちゃうから…」

騎士長「港だし、乗り場ならあるだろ…適当に探すか。こっちとか行ってみようぜ」

黒髪幼女「うん」

240: ◆qqtckwRIh. 2014/03/06(木) 19:25:09 ID:dPkXQcL6
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

トコトコトコ…ピタッ

黒髪幼女「…あ、騎士長。ここ」

騎士長「看板に”ラクダステーション”…ここか!!雰囲気とか、王都でいう馬車乗り場にそっくりだな!」

騎士長「だけど…お客は少ないな。やっぱりこの辺はそんな旅人もいないのかねェ」

黒髪幼女「そうなのかな?」

騎士長「入りたいけど、なんか静かすぎて不安になるんだが…どうするかな」

241: ◆qqtckwRIh. 2014/03/06(木) 19:25:55 ID:dPkXQcL6
…ガラッ

騎士長「お、ドアが勝手に開いた…」

ラクダ商人「いらっしゃい。人影が見えたから顔出ししたが…客かね?」ヌッ

騎士長「ま、まぁそうかな」

ラクダ商人「どこまでの希望だい?それによって貸し出し賃も変わるよ」

騎士長「随分とサクサク話が進むな」

ラクダ商人「そのほうが良いだろう?」

騎士長「そりゃそうなんだが…忙しいのか?」

ラクダ商人「忙しいように見えるか?」

騎士長「…見えないな」

ラクダ商人「単にせっかちなだけさ。早く、行き先を言いなよ」

242: ◆qqtckwRIh. 2014/03/06(木) 19:26:33 ID:dPkXQcL6
騎士長「あ、えーと…黒髪幼女。お前の住んでた村の名前はなんだっけか」

黒髪幼女「砂漠地方村」

騎士長「だってさ、いくらだ?」

ラクダ商人「…へぇ、珍しい所に行くね。そんなお客…久しぶりだよ」

騎士長「久しぶりだって?やっぱり、地方だと行く人も少ないのか」

ラクダ商人「だねぇ。それに、あんまオープンな村じゃないんだよそこは」

騎士長「…どういうことだ?」

ラクダ商人「…まぁ、あまり気にしなくていいさ」

騎士長「気になるような言い方じゃないか。あんたも、この砂漠で長いんだろ?聞かせてくれよ」

243: ◆qqtckwRIh. 2014/03/06(木) 19:27:17 ID:dPkXQcL6
ラクダ商人「別に面白い話じゃないしな。それに俺は他の出身者は嫌いなんだよ」

騎士長「ハッキリ言いやがるな…。情報はあって損はしないんだ。教えてくれ」

ラクダ商人「…ラクダは貸す。それ以外は話すことはない」

騎士長「…」

ゴソゴソ…スッ…キラッ

騎士長「王都の純正の金貨だ。…どうだ?」

ラクダ商人「…中に入りな。知ってる事しか話せないが、ちょっとした話になる」クイッ

騎士長「すまないな」

244: ◆qqtckwRIh. 2014/03/06(木) 19:27:51 ID:dPkXQcL6
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…トンッ

ラクダ商人「冷たいお茶だ。お嬢ちゃんにはジュースでいいな」

騎士長「…」

黒髪幼女「ありがとう」

ラクダ商人「で…何について聞きたいんだったかな」

騎士長「さっき言ってた、砂漠地方村がオープンじゃない村ってことだ」

ラクダ商人「あぁ…そうだった」

騎士長「知ってる情報によっては、まだ”積む”からな」

245: ◆qqtckwRIh. 2014/03/06(木) 19:28:30 ID:dPkXQcL6
ラクダ商人「…あそこの村が出来たのは今から数十年前」

ラクダ商人「まだ、街とかの概念がなかった…当時の俺らがまだ移牧民だった頃だ」

騎士長「昔は移牧民だったのか?…定住につかなかったってことだよな」

ラクダ商人「つかなかったんじゃなく、つけなかったんだ。砂嵐がひどくてなぁ」

騎士長「なるほど。それで?」

ラクダ商人「やがて、外部の技術が入ってきて、砂嵐に対抗しうる術を得た我々は…」

ラクダ商人「小さな、町、村、そして都市となる砂漠街を作り上げた」

騎士長「じゃあ、砂漠地方村もその1つだったのか」

ラクダ商人「そうだ。だが、あそこはちょっと変わっていてな…」

騎士長「何がだ?」

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