男B「明日の夕方まで船はつかねぇ、目の前に遊び道具があるのに遊ばないで暇もつぶせないだろう」
男A「そ…そういうことじゃなくて…」
男B「まぁ、お前がやらないなら俺が遊ぶ。お前は見張りでもやってろ」
男A「…俺は遠慮しとくよ。見張りに回る」
男B「ちっ、根性なしめ。だがここじゃ声も漏れる。もう少し奥に運んでから…楽しく遊ぼうぜ…砂漠の子よ」ニタァ…
グイッ…トコトコ…
黒髪幼女「むぐ…むぐぅ~…!」ポロポロ
男B「別に泣く事じゃないだろうが。さ~て、どうやって遊ぼうかね~」ハハハハ
カツーンカツーン…カツーン…
………
…
男A「あの男の口車に乗せられて、加担はしたけどどうにも馬が合わないや…」
男A「お金を受け取ったらドロンして、新しい人生を歩もう…」
タッタッタッタ…ガヤガヤ…
男A「って…おや?外がやけに騒がしい…整備室の前に誰かいるのかなー…」
…ダァンッ!!!!ドゴォンッ!!
男A「ぬがっ!!」
騎士長「うおらああっ!!ココが整備室かコラァ!!」ハァハァ
男A「」グデン
騎士長「いたようだな。…こいつは、船員か?」
サポーター「いえ、見たことないですが…」
お客「そ、そいつですよ!さっき言ってた男!あと一人いるはずですが…」
騎士長「って事はビンゴだったか。奥にいやがるのか…?」ダッ
サポーター「あ、一人じゃ危険ですよ!」
騎士長「心配すんな!俺は王国のエース戦士、きし…元騎士長だ!」
サポーター「は…はぁ…」
騎士長「…っと、これは…」ズザザ…スッ
騎士長「黒髪幼女にプレゼントした服の切れ端じゃねえか…」
騎士長「…急がねえと、やべぇな…」ダッ!
ダダダダダダッ…
騎士長「くっそ、どこだ…。無駄に整備室も広くしやがって…!」
騎士長「…」キョロキョロ
騎士長「…むっ」ピクッ
男B「…」
黒髪幼女「…」
騎士長「いやがった…!黒髪幼女もまだ無事のようだな…よかった…」ハァハァ
騎士長「だけど…あんな下に…。遠すぎて道がわかんねぇ!くそ…どうするか…」
サポーター「あいたっ!はぁ…はぁ…、騎士長さん…早いですよ…」
騎士長「いいところに。おい、あそこのでっけぇパイプの下の通路に、うちの連れと犯人がいるんだが、どうしたら行ける!?」
サポーター「あそこまではこの通路じゃ無理ですよ。戻って、別の通路を行かないと」
騎士長「…それじゃ、だめだ!」
サポーター「で、ですが…」
男B「…」ニタッ
黒髪幼女「…っ!」
騎士長「くそが…えぇい!なるように…なる!!」グッ
サポーター「え…ちょ、ちょっと!!」
ダッ…ダダダダダダダッ!!タァンッ……!!
サポーター「と、飛んだー!?」
黒髪幼女(殴られる訳じゃないの…何するの…)ブンブン
男B「何、暴れているんだ。俺にも少し遊ばせてくれって事だろうがよ!」
黒髪幼女「?…??」
男B「さてと…楽しく遊ぼうか!」
ヒュウウウウウッ…
黒髪幼女「!」
騎士長「黒髪幼女ぉぉぉぉっ!!」
男B「ん?」チラッ
騎士長「ふんっ!!」ブンッ
…バキィッ!!!!…ドゴォン!!!
ガコォン!!…ドシャアッ…
騎士長「っしゃあ!!」
ズザザザザ…クルクル…
騎士長「っと、あら…あららら…」
ドゴォン!!…パラパラ…
騎士長「あいてて…ててて…着地失敗…」
黒髪幼女「…むぐっ…!」
騎士長「おっと…黒髪幼女!」ダッ
騎士長「…縄で縛られてひでぇ事するぜ…」
タタタタッ…ギュッギュッ…
黒髪幼女「き…騎士長…」
騎士長「…すまなかったな。俺のせいで、こんな目に…」
黒髪幼女「騎士長っ!!」ダッ
ギュウウウッ…
騎士長「…」
黒髪幼女「うぅ…うううう…」ポロポロ
騎士長「本当に…悪かった」
騎士長(何もされちゃいないようか…良かった…本当に)
サポーター「はぁ…はぁ…」
騎士長「おせぇぞ」
サポーター「貴方がおかしすぎるんですっ!」
騎士長「はは、そうか。つーか…これは一応さ、そっち側の不祥事…だよな?」
騎士長「確かに目を離してはしまったが、予定外の人を乗船させた罪は重いぞ」
サポーター「う…」
騎士長「それ相応のこと…頼んだからな」
サポーター「は、はい…。あと上司に相談致しますので、何卒内密に…」
騎士長「さあ~な。それは君たち次第…と、一ついいか?」
サポーター「は、はい」
騎士長「あとで、子供用の服…俺らの部屋までもってこいよ」
サポーター「かしこまりました…」
――――【 騎士長の客室 】
ジャー…ゴシゴシ…
黒髪幼女「…」
騎士長「…ったく、本当に悪かったな。泥だらけになっちまって…体、しっかり洗おうな」
黒髪幼女「…」コクン
騎士長「…」
ジャアア…
騎士長(これからって時に、こんな事…。俺せいだ…、何をやってるんだ俺は…!)
ゴシゴシ…!
黒髪幼女「き…騎士長、痛い…」
騎士長「あ、あぁ…すまん…」
黒髪幼女「…」
騎士長「…」
黒髪幼女「…騎士長」
騎士長「な…なんだ…?」
騎士長「…お前が謝る事じゃない。悪いのはあいつらなんだから」
黒髪幼女「でも、私が一人で外に出なかったら…こんなことに…」
騎士長「そ、それは…」
黒髪幼女「それと…お…お、洋服…ごめんなさい…」ブルッ
騎士長「えっ?」
黒髪幼女「折角買ってくれた…褒めてくれた…お洋服…破かれちゃった…」
騎士長「よ…洋服…?」
黒髪幼女「うん…」グスッ
黒髪幼女「う…うん…。それに…色々…」ポロッ…
騎士長「…」
黒髪幼女「あう、う…うぇぇん…。ごめんなさい…ごめんなさい…」ポロポロ
騎士長「…黒髪幼女」
黒髪幼女「…」グスグス
騎士長「俺はそんな事は気にしないし、迷惑だなんて思っちゃいないさ」
黒髪幼女「…」
騎士長「それより、可愛い顔が台無しだ。ほれっ!」ジャバッ
黒髪幼女「あうっ」バシャッ
騎士長「どんだけお前はいい子なんだよ!」ハハハ
騎士長「あぁ。俺は何も気にしちゃいないって言っただろ?」
黒髪幼女「で、でも…」
騎士長「あとで、船の中にレストランがあるらしいし…チョコレートパフェがあるかもしれんぞ!?」
黒髪幼女「…」
騎士長「一緒に食べようぜ。甘いモン食って、海眺めて…な?」
黒髪幼女「…」コクン
騎士長「はははっ!それでいいさ」
騎士長「だから…俺からは離れるなよ。俺も、お前を守ってやるからな」
黒髪幼女「…うん」
黒髪幼女「冒険…?」
騎士長「そうさ。俺とおまえで、小さなパーティを組んで…船に宝物がないか探索しようじゃないか!」
黒髪幼女「宝物…!」
騎士長「ほら、ワクワクするだろ!早くしないと、誰かに宝が取られちまうかもしれん!」
黒髪幼女「!」
騎士長「目をつむるんだ!黒髪幼女隊員、頭からしっかりと洗って戦いに備えるぞ!」
黒髪幼女「う、うんっ」
…ジャアアッ!ザバァンッ!
騎士長(…どうしたもんか)ハァ
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 1時間後 】
サポーター「本当に、失礼致しました。今回の事、今後の課題として重く見させて頂きます」
重役「本当に申し訳ありませんでしたっ!」
騎士長「いいよ。で、俺が言ってたのは?」
サポーター「お連れ様の服…でしたよね。当船内のショップにある、サイズ…すべてご用意させて頂きました」
サポーター「…入ってください」
店員「こちらでございます。お好きな物を、お好きな数だけ…」
パァァァッ…!!
黒髪幼女「!」
騎士長「…へぇ。黒髪幼女、好きな服、好きなだけ取っていいってさ」
黒髪幼女「い…いいの?」
騎士長「あぁ。好きなモン全部取っていい。全部貰って、あとから何着るか考えるか?」ハハ
黒髪幼女「ま、待って。ちょっと見てみる」
トトトト…
騎士長「はは、やっぱり女の子だね」
サポーター「お気に召すのがあればいいんですが」
…スッ
黒髪幼女「…」パサッ
トトトト…スッ
黒髪幼女「…」スッ
黒髪幼女「…」パサッ
騎士長「どうだ?気に入るのはありそうか?」
黒髪幼女「…」キョロキョロ
騎士長「欲しくなりそうなのあったら、全部キープしといてもいいんだぞ~」
黒髪幼女「え…えっとね…」
黒髪幼女「あっ」
騎士長「お?あったか?」
タタタタタッ…スッ
黒髪幼女「…これがいい」
騎士長「…へ?」
サポーター「え?」
重役「え?」
店員「そ、それでございますか…?」
黒髪幼女「うん」
黒髪幼女「…騎士長が買ってくれた服に、一番似てるから」
騎士長「何?」
黒髪幼女「だから…これがいい」
騎士長「…ははっ」
黒髪幼女「…ダメ?」
サポーター「し、しかし。自分たちとしては全部渡すつもりで…」
重役「そ…そうです。受け取ってもらっても宜しいのですよ?」
騎士長「こいつがいいって言ってるんだから、これでいい」
重役「左様でございますか…」
騎士長「じゃあ、みんな…撤収撤収!俺らはあと、船の冒険やらをするんだからな!」グイッグイッ
重役「おとと…、ちょ、ちょっと退散する前に…もう1つお話がありまして!」
騎士長「何だ?」
重役「これだけでは自分たちの気が済みませんので…」
騎士長「まだ何かしてくれるのか?」
重役「本船内に1つだけのVIPルームへの案内と、そのルームコースのお食事のご用意…させて頂きます」ペコッ
騎士長「…へぇ、案内してもらおうか」
――――【 VIPルーム 】
重役「…こちらでございます」
ギィィ…
黒髪幼女「!!」
騎士長「おぉ…」
黒髪幼女「水槽にお魚が泳いでる…お菓子がいっぱい…!」
騎士長「黒の調和で、いかにもVIPらしい部屋だな」
重役「お気に召しましたら、非常に嬉しく思います」
騎士長「うんむ」
騎士長「何だこれは」
重役「我がワールドボートグループの、VIPルーム3年分の無料ご優待チケットです…」
騎士長「いいのか?」
重役「…何卒、ご内密にお願いします…っ」ペコッ
騎士長「有り難く受け取っておくよ。別に口外する気はないしな」
重役「誠に…感謝致します…」
騎士長「あとで、料理も運んでくれ。えーと…今は何時だ?」
重役「17時前になります」
騎士長「甲板から夕陽は綺麗に見えるか?」
重役「そりゃもちろん!」
騎士長「飲み物を2つ。甲板に頼む」
重役「…わかりました」ペコッ
ボォォォッ!!ザバァン!!
…ミャア、ミャア…ミャア…
黒髪幼女「わぁ~!」
騎士長「うおぉ、何て綺麗な夕焼けだ…。地平線にまるで絵が描いてあるようだ…」
黒髪幼女「凄い…」
騎士長「ほれ、黒髪幼女」
黒髪幼女「…ジュース?」
騎士長「俺のはワインだがな。夕焼けを見ながら、のんびり休もうか」
黒髪幼女「うんっ」
トコトコトコ…ストンッ
黒髪幼女「…」クピッ
黒髪幼女「ジュース、美味しい…」
騎士長「花より団子かお前は」
黒髪幼女「?」
騎士長「ははは、子供だもんな」
黒髪幼女「??」
騎士長「お前が少しでも楽しけりゃ、それでいいさ」
黒髪幼女「うん…ありがとう、騎士長」
騎士長「…」
黒髪幼女「…」
騎士長「…そういや、黒髪幼女」
黒髪幼女「何?」
騎士長「ずっと聞かなかったが…、お前、母さんはいるのか?」
黒髪幼女「ううん。会ったことないよ」
騎士長「会った事がない?」
騎士長「…そうか、悪い事を聞いた」
黒髪幼女「何で謝るの?」
騎士長「いや…そりゃ…」
黒髪幼女「私は気にしてないよ。なるようになったから…そうなったんでしょ?」
騎士長「へ?」
黒髪幼女「騎士長の口癖」
騎士長「…そう、だが」
黒髪幼女「いいんだ。いいの…」
黒髪幼女「…」
騎士長「…よしっ。黒髪幼女、あとは中で豪華なディナーといこうか!?」
黒髪幼女「豪華なディナー?」
騎士長「そうだ、美味いものいっぱいあるぞ!」
黒髪幼女「!」
騎士長「さぁ、食べたら今度こそ冒険だ!行くぞぉ!」
黒髪幼女「あ、待って!」
タッタッタッタッタッ…
…………
……
――――【 夜 】
スヤスヤ…
黒髪幼女「…」
騎士長「…」
…ムクッ
騎士長「…」ハァ
騎士長「…ぷはっ」
騎士長(…)
騎士長(今日の事は、俺の人生の中で最も恥じるべきだろうな)
騎士長(だけど、改めて分かった。俺一人という限界が…)チラッ
黒髪幼女「…」クゥクゥ
騎士長(助けられて、本当に良かった。もしもの事があったら…一生の傷になったな)
騎士長(俺にとっても、お前にとっても…)
モゾモゾ…
騎士長「…」
トコトコ…パサッ
騎士長「風邪、ひくぞ」
黒髪幼女「んん…」
黒髪幼女「…」スヤスヤ
トコトコトコ…グビグビッ…
黒髪幼女「…」
黒髪幼女「…あれ」パチッ
騎士長「…お?」
黒髪幼女「…騎士長?どこ…?」ムクッ
騎士長「あ、あぁすまん。ちょっと水飲んでたんだ」
黒髪幼女「そこにいたんだぁ…」
騎士長「いるぞ、どうした…大丈夫か?」
騎士長「起こして悪かったな、寝ようか」
黒髪幼女「…うん」スヤッ
スヤスヤ…
騎士長(俺も、色々と疲れてきた。ほんの少しの…楽しみとか、ないもんかな…)
騎士長(でも今は…とにかく…黒髪幼女を…)
騎士長(…まも…って…)
………
……
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・
・
予定外の天候の悪化で、多少の遅れになったものの
無事に砂漠港へと着港し―…
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 砂漠港 】
ザッバァン…!!ザザーン…
騎士長「足元気をつけろよ」
黒髪幼女「うん」
ユラユラ…ストンッ
騎士長「やっと…、砂漠港についたぁぁ!」
黒髪幼女「ここが…砂漠地方の港なんだ」
騎士長「あぁ。お前の村も近いぞ」
黒髪幼女「…」
騎士長「そして…暑いな」タラッ
黒髪幼女「今日は涼しいほう」
騎士長「…うそだろ?」
黒髪幼女「まだまだ暑くなるよ。午前中だし、まだお日様も強くないから」
騎士長「…」
黒髪幼女「?」
騎士長「水だとか、この辺でしっかり備蓄して村を目指したほうがよさそうだな」
黒髪幼女「大事だと思う。村でも、たまに、その…倒れちゃう人がいたから…」
騎士長「地元の人間でもやられるのか。本気で気をつけないと危ないか」
黒髪幼女「うん」
黒髪幼女「…普通ならラクダの乗り場があると思う」
騎士長「ラクダの乗り場?」
黒髪幼女「少し前に乗った、馬車みたいなやつ」
騎士長「へぇ、そんなのがあるのか」
黒髪幼女「少し遠いけど、あっち側にある旗…見える?」
騎士長「青とか、緑とか…随分遠くまで立ってるな」
黒髪幼女「あれがそれぞれの村とか町につながってる道標」
騎士長「…確かに、アレがなかったら砂漠で道に迷いそうだ」
黒髪幼女「あとやっぱり…ラクダを借りないと、遠くに行くときは倒れちゃうから…」
騎士長「港だし、乗り場ならあるだろ…適当に探すか。こっちとか行ってみようぜ」
黒髪幼女「うん」
トコトコトコ…ピタッ
黒髪幼女「…あ、騎士長。ここ」
騎士長「看板に”ラクダステーション”…ここか!!雰囲気とか、王都でいう馬車乗り場にそっくりだな!」
騎士長「だけど…お客は少ないな。やっぱりこの辺はそんな旅人もいないのかねェ」
黒髪幼女「そうなのかな?」
騎士長「入りたいけど、なんか静かすぎて不安になるんだが…どうするかな」
騎士長「お、ドアが勝手に開いた…」
ラクダ商人「いらっしゃい。人影が見えたから顔出ししたが…客かね?」ヌッ
騎士長「ま、まぁそうかな」
ラクダ商人「どこまでの希望だい?それによって貸し出し賃も変わるよ」
騎士長「随分とサクサク話が進むな」
ラクダ商人「そのほうが良いだろう?」
騎士長「そりゃそうなんだが…忙しいのか?」
ラクダ商人「忙しいように見えるか?」
騎士長「…見えないな」
ラクダ商人「単にせっかちなだけさ。早く、行き先を言いなよ」
黒髪幼女「砂漠地方村」
騎士長「だってさ、いくらだ?」
ラクダ商人「…へぇ、珍しい所に行くね。そんなお客…久しぶりだよ」
騎士長「久しぶりだって?やっぱり、地方だと行く人も少ないのか」
ラクダ商人「だねぇ。それに、あんまオープンな村じゃないんだよそこは」
騎士長「…どういうことだ?」
ラクダ商人「…まぁ、あまり気にしなくていいさ」
騎士長「気になるような言い方じゃないか。あんたも、この砂漠で長いんだろ?聞かせてくれよ」
騎士長「ハッキリ言いやがるな…。情報はあって損はしないんだ。教えてくれ」
ラクダ商人「…ラクダは貸す。それ以外は話すことはない」
騎士長「…」
ゴソゴソ…スッ…キラッ
騎士長「王都の純正の金貨だ。…どうだ?」
ラクダ商人「…中に入りな。知ってる事しか話せないが、ちょっとした話になる」クイッ
騎士長「すまないな」
…トンッ
ラクダ商人「冷たいお茶だ。お嬢ちゃんにはジュースでいいな」
騎士長「…」
黒髪幼女「ありがとう」
ラクダ商人「で…何について聞きたいんだったかな」
騎士長「さっき言ってた、砂漠地方村がオープンじゃない村ってことだ」
ラクダ商人「あぁ…そうだった」
騎士長「知ってる情報によっては、まだ”積む”からな」
ラクダ商人「まだ、街とかの概念がなかった…当時の俺らがまだ移牧民だった頃だ」
騎士長「昔は移牧民だったのか?…定住につかなかったってことだよな」
ラクダ商人「つかなかったんじゃなく、つけなかったんだ。砂嵐がひどくてなぁ」
騎士長「なるほど。それで?」
ラクダ商人「やがて、外部の技術が入ってきて、砂嵐に対抗しうる術を得た我々は…」
ラクダ商人「小さな、町、村、そして都市となる砂漠街を作り上げた」
騎士長「じゃあ、砂漠地方村もその1つだったのか」
ラクダ商人「そうだ。だが、あそこはちょっと変わっていてな…」
騎士長「何がだ?」