男(「お前はナンパとかしたことないだろwwwまあお前には無理だろうなwww」とか言われた)
男(今まで俺と同じモテない男子連合の一員だった癖に)
男(許せないな)
男(俺もナンパで彼女が欲しい)
男(ナンパしてみたい)
女(「昨日もナンパされちゃったーwww女はそういうのなさそうだし、楽でいいねーwww」とか言われた)
女(お前モテてるのどうせ後ろ姿だけだろ)
女(別にモテなくてもいいけどなんか悔しい)
女(ナンパされてみたい)
※ギャグ漫画
男(朝だからサラリーマンばっかりだ)
男(これ間違えたな)
男(そういえば参考文献は夜だったわ)
男(そもそも俺ってば人見知りじゃん)
男(盲点だった)
女(ナンパってどうしたらされるんだ)
女(わかんねえ)
女(適当にうろうろしてよ)
女(ていうか朝だからサラリーマンしかいねえ)
女(そもそも私人見知りじゃん)
女(盲点だった)
男(あんまり怖くなさそうな人を探そう)
男(……周りの女性、OLか清掃のおばさんくらいじゃん)
男(通勤中のOLに声かけるのはやっぱり迷惑だよな)
男(おばさんは……清掃中だから無理だね、うん。仕方ないよね、うん。年齢とかじゃなくてね、うん)
男(あんまり怖くなさそうで忙しくなさそうな人を探そう)
男(って平日の朝っからそんな女の人いるわけ──
女「……」ウロウロ
男(いたー)
女(おいそこのサラリーマン声かけてこいよ)
女(そこのおっさんでもいいよ、「へーいそこの彼女、お茶しない?」とか言ってこいよ)
女(人多いのになぜか私の周りすごい空間空いてる)
女(そしてみんなチラチラ見てる)
女(見せもんじゃねーぞコラ)
男(でもちょっと怖そうだ)
男(でもなんだか険があるんだよなあ)
男(だけど他に声かけられそうな人いないしなあ)
男(いやでも)
男(うーんどうしよ)
女(いい加減ウロウロするのも飽きたし帰ろうかな)
女(でもナンパされてみたいし)
女(とはいえサラリーマンもチラチラ見て立ち去るだけだし、声かけて来そうなのなんているわけ──
男「……」ジー
女(……あいつさっきからこっち見てんな)
女(かー、モテる女はツライわー!)
女(……)
女(いや、早く声かけてこいよ)
女(……)
女(見せもんじゃねーぞオラ)
男(どうしようかな)
男(やめておこうか)
女「……はー暇だわー」
女(こっちが我慢できなくて思わずアピールしちゃったよ!)
男(暇らしいぞ)
男(こんなチャンスもう無い気がするぞ)
女(ドン引きだよこれ)
男(よし、声かけるぞ!)
女(泣きそう)
男「へい彼女~」
女(釣 れ た)
男「よかったら俺とお茶しない?」
女(ナンパってマジでこういう風に誘って来るのな。ちょっと感動した)
女「いいよ!」
男「やった!」
女(テンション上がりすぎてちょっと声のボリュームミスった恥ずかしい)
男(テンション上がりすぎて思わず声に出しちゃった恥ずかしい)
男(これでお茶飲みに行けばいいはず。参考書※通りだ)
※ギャグ漫画
男「……」
女「……」
男「あ、ここの喫茶店でいい?」
女「うん」
男(ここまでは順調だな)
女(会話とかしないもんなのかな)
男「えーと、ランチセットBで」
女(お茶飲むっていうかがっつり食うもんなのか)
女「あ、同じので」
店員「かしこまり」
男「……」
女「……」
店員(カップル……にしては気まずい雰囲気だな……)
女(私朝食食べてきたんだった)ゲフ
男(スープも美味しいー)ズズ
女(こいつに食べてもらおう)
女「ねぇ」
男「あ、なに?」
女「サンドウィッチ、私のも食べて貰えない?」
男「え? あ、うん。いいよ」
男(少食なのかな。なんか可愛いな)
女「ごちそうさまでした」
男「……」
女「……」
男「ふー……」
女「んん……」
男(これなにが楽しいんだ)
女(これどこが楽しいんだ)
男(まず失敗するけど成功したら天国って聞いてたんだけど)
男(これで本当に彼女とかできんのかよ)
男(楽しくねえ)
女(ナンパってこんななのかよ)
女(こんなん嬉しそうに自慢してたのかあいつは)
女(アホだなあいつは)
女(楽しくねえ)
女「あ、いえこちらこそ?」
男「……」
女「……」
男(なんか気まずいぞ)
女(なんか気まずいな)
店員(なんか気まずい)
男(しかし、俺に電流走る)
女(なんか光ったぞこいつ)
男(あれは昨日のこと──)
――――――――――――――――――――――――――――
男「ナンパって何すんの」
友「お、おお? えっと、まずお茶して……その後……っ、あ、遊ぶんだよ! 楽しく!」
――――――――――――――――――――――――――――
男(こ れ だ)
女「えっ」
男「えっ」
女「ああ、いや、行こっか」
男「う、うん」
女(なるほど、遊びに行くのか)
男(正解っぽいぞ)
男「……」バンバンッ
女「……」ババババッ
男「……」スッ
女「……」スッ
ドドンッ!!
<GAME CLEAR!! Congratulations!!
男「……!」
女「……!」
パンッ!!
男(スラムダンクばりの、ハイタッチをした)
女「……」クイクイッ
男「……」コクン
女「……」ジー
女「……!」チャリンッ
シャーッ
ガシャガシャン
ピロロピロピロロ
キュイーン!!
<JACK POD!! Congratulations!!
男「……!」
女「……!」
女(店内を、ザワつかせた)
女「……」カチャチャ
男「……!」カカカッ!
女「……!」カカチャッ!
男「……!!」カカカカッ!!
女「……!!」ガチャガチャッ!!
<DOUBLE K.O.!!
男「……!」
女「……!」
ガシッ!!
女(熱い握手を交わし、隣の台の客が驚いてラーメンを食べに行った)
<139kg!!
男「……」
女「ふー……」
女「……!」ブンッ!!
<216kg!!!!
男「!?」
女「……!?」
男(ビビった)
男(ここまで息が合ってなんでもかんでも上手くいくの初めてだな)
男(すごく気分がいいぞ)
男(ナンパって楽しいな)
女(普通に楽しい)
女(めっちゃ息合ってるしゲームの腕も同じくらいだし)
女(何やってても気持ち良くなる)
女(ナンパって楽しい)
女「撮る?」
男「うん、撮ろうか」
男(なんかリア充っぽいし)
女「うん」
女(やべえな。リア充っぽいじゃねえか)
女「……」
パシャ
男「……」
女「……」
パシャ
男「なんかポーズとか取ってみる?」
女「うん、やってみよっk
パシャ
男「うん」
女「どんなポーズがいいかn
パシャ
男「……」
女「……」スッ
男「……」シャキッ
パシャ
女「……あ」ヨロッ
男「……!」ガシッ
女「……っ」
パシャ
女「……」
男「あの、これ、プリクラ」
女「うん」
女「……っ」
男「……」
男「……よく撮れてるね」
女「……うん」
男(顔合わせられないぞ……)
女(顔合わせられねえ……)
女「うん、こちらこそ?」
女(楽しかったな)
男(楽しかった)
男「じゃあ、また」
女「……!」
女(しかし、私に電流走る)
男(なんか光ったぞこの人)
女(あれは昨日のこと)
店員(うわさっきのカップル居た)
女「ナンパって何すんの」
女友「え? あ、えっとねぇ、お茶してからぁ、……っとぉ……遊ぶのよ」
女「うん」
女友「そゆことよ」
女「そんだけ?」
女友「……! ホテル! ホテルに行くのよ」
女「ほう」
女友「そこでアレするわけよ、アレ」
女「なに」
女友「え?」
女「なにすんの」
女友「いやそれはちょっと」
女「なにすんだ」
女友「え、えっと! ええっと! うえええっとぉ……」
女「なにすんだよオラさっさと教えr
――――――――――――――――――――――――――――
男(急に思案顔になったけどどうしたんだろ)
女(どう誘ったらいいんだ?)
女(直球だとなんか子供っぽいよな)
男(なんか気まずいぞ)
女(うーん)
店員(相変わらず気まずいなあいつら)
女「……終電逃しちゃった」
男「!?」
店員「!?」
女「どうしようかなー」
女(私完璧すぎる)
店員(……! さてはこれ、誘ってるのか!)
店員(いかんせんヘッタクソだが、ここは男を見せろ彼氏!)
男「まだ16時だよ?」
店員(こいつ駄目だ!)
男「……?」
女(誤算だった)
女(どうすんだよこれ)
女(待て待て考えるんだ私)
女(藍色の脳細胞を駆使して)
女(ん? 藍色でいいのか? 藍色ってどんな色だっけか)
女(あー、濃い青か。あれ、群青色も確か濃い青だよな)
女(群青色の脳細胞とかもありなのか)
男(歯の間にサンドウィッチのキャベツが挟まってるぞ)モニョモニョ
店員(と、時が止まってる……)
女(確か昔見たドラマでこんなセリフがあった……!)
女(これだ!)
男(お、取れた)シャキシャキ
女「……今日は、帰りたくないな」
男「!?」
店員「!?」
女「どうしようかなー」
女(私無敵すぎる、最強すぎる)
店員(直球キタコレ! 日も暮れない内から言うセリフでもないが、これは男に効果抜群!)
店員(彼氏、どう出る!?)
女「……!」
店員(ファッキン彼氏!!)
女「いや、えっと、そういうわけじゃ……」オロオロ
男「本当に? 大丈夫?」オロオロ
女「うん、本当に大丈夫だよ」オロオロ
女(余計な心配させてしまった)オロオロ
男「……」オロオロ
女「……」オロオロ
店員(なんだこれ)オロオロ
女(なんか泣けてきた……)
女「ううぅ……」ポロポロ
男「!?」
店員「!?」
男「!! ちょちょちょ! ど、どうしたの? お腹痛い? さっきのランチセット食べたから!?」オロオロ
店員(マジかよ! ウチの料理のせいかよ!?)オロオロオロオロ
男「えっと、ちょっと休もうか? どっか座れる場所……」
女「ホテルぅ……」
男「!?」
男「横になりたいの!?」
女「うぇぇ……」
男「ちょ、ちょっと待ってね!」
店員(ウチの店で食中毒とかシャレにならないよー!)ポロポロ
男「あ、あの、号泣中のところすいません。この辺にホテルってありますか?」
店員「おおぅうぇっうぇっほぉ、んほぉおうふぅえぐえぐふぇぇ!」ドバー
(訳:駅の裏の通りを進んで三つ目の角のコンビニを左に曲がって二つ目の交差点のすぐ先にあります)
男「号泣中のところありがとうこざいました!」
男「ホテルの場所わかったから行こっか? 大丈夫? 歩ける?」
女「ふぅぅ……」コクコク
男「すぐだから頑張ってね!」
店員「だうあうおうぅひぎぃふぉかぬぽぅあぉぅ……」ズビズバー
男「着いたよ、大丈夫?」
女「うぅ……」
男「今受付済ませるからね!」
男(? 人いないぞ?)
男(なんだこれ、ここで部屋選ぶのか?)
男(お? ん? おや?)
男「たぶんオッケー! よし、行こうね!」
女「ひっく……」
女「……ひっく」
男(薄暗いし照明が赤いぞ)
男「とりあえず座ろうか」
女「……うん」
男(この椅子──はなんか手枷とか足枷みたいなのついてるな……)
男(天井からジャラジャラぶら下がってて邪魔だなあ)
男「ベッドに座ってね。横になってもいいよ」
女「うん」
男(ベッドでかくてフカフカだ!)
男(とりあえず大丈夫みたいだな)
男(しっかし変な部屋だ)
男(鏡貼りで落ち着かないぞ)
男(あの『X』みたいな形の赤くてでっかいオブジェ?はなんなんだ)
男(ホテルってどこもこんな感じなのかな……)
女(泣いてたらいつの間にかホテルに着いてたんだけど)
女(なにこの変な部屋)
女(ホテルってこれが普通なのかな)
男「うん? 落ち着いた?」
女「うん。その」
男「?」
女「ありがと」
男「!」
男(あれ)
男「どういたしまして」
女「!」
女(なんか)
男(ドキドキするぞ)
女(ドキドキするな)
※ギャグ漫画
男(ど、どうすればいいんだ)
女(なんとなくさっきまでと違う気まずさが漂ってる)
女(!)
女(さっき泣いたから、目とか酷いことになってるんじゃ……)
女(考えたら急に恥ずかしくなってきた!)
女(こんなの気にしたことないのに……)
女(なんか見られたくない!)
女「! 私、シャワー浴びてきていい?」
男「え? うん、いいよ」
女「行ってくるね」
女(とりあえずめっちゃ顔洗ってこよう)
男(なぜかまたドキドキしてきた)
女(お風呂広ーい!)
女(とりあえずシャワー浴びよ)
女(あー気持ちいいー)
男(!!)
男(お風呂場の壁が曇りガラスになってる!)
男(なんでだろ)
男(……スタイルいいなあ)
女(この椅子なんでこんな形なんだろ)
男(変な椅子)パシャ
男(変なオブジェ)パシャ
男(檻)パシャ
男(ベッド)パシャ
男(鏡貼りも撮っとこ)
男(いえーいピース)パシャ
男(こんなとこかな)
男(友達に自慢してやろ)
男「うん」
男(あれ、元からすっぴんだったのか)
男(! バスローブってやつだ!)
男(俺も着てみたいぞ)
男「俺も入ってくるね」
女「うん」
女(お風呂入ったら眠くなってきちゃった)
男(でも広くて豪華だ!)
男(あれ、曇りガラスってことは俺もシルエットが見えちゃうのか)
男(なんか恥ずかしいぞ)
女(! こっちの方が暗いから曇りガラスの向こうがシルエットで見える!)
女(なんか恥ずかしいな)
男(変な形の椅子だ)
女「おかえりー……ふぁふ……」
男「ただいま。眠いの?」
女「ちょっと」
男「結構泣いてたもんね」
女「お恥ずかしい」
男「じゃあもう寝よっか」
女「うん」
女「……」
男(ベッド一つしかないぞ)
女(ベッド一つしかない)
男(どうするかなこれ)
女(眠いしもういいや)ボフッ
男「あ、じゃ俺向こうのソファで寝るね」
男(目の前に檻があるのが気になるけど)
――――――――――――――――――――――――――――
女「とっとと教えろよオラ」
女友「だから! その、……寝るのよ」
女「寝る」
女友「そうよ」
女「二人で?」
女友「っ、当たり前でしょ!? 三人とか言い出すつもり!?」
女「三人目どっから出てきた」
女友「あ、うん、違う、気にしないで」
女「どっから出てきた?」
女友「ちょっとやめ
――――――――――――――――――――――――――――
男「うん?」
女「ベッド大きいから」
男「?」
女「一緒に寝よ?」
男「!?」
男(ちょっと待って、なんか今ドキッて)
男「不整脈かな」
女「え?」
男「あ、いやなんでもない。そうしよっか」
女「……うん!」
女「?」
男「二人で記念撮影しない?」
女「いいね。こんな豪華?な部屋に泊まるんだもんね」
男「うん。じゃあ撮るよー」パシャ
女(眠い)
男「そろそろ寝よっか」
女「うん」
女「……」
男(なんだかドキドキして眠れないぞ)
女(一緒にベッドに入ったら眠気覚めちゃった)
男(静かすぎて耳が痛い)
女(たぶん向こうも起きてるよね)
男(でもこの感じ)
女(なんか気持ちいいな)
女「起きてるよ」
男「今日、楽しかったね」
女「うん」
男「俺、こんなに楽しかったの初めてだ」
女「私も」
男「君と一緒ならいつまでも幸せでいられる気がするんだ」
女「……うん」
男「うん」
女「今日が人生で一番幸せだったよ」
男「うん」
女「迷惑もかけちゃったけど」
女「でも、君と会えて良かったなあって」
女「なんて言うか、こう……君じゃなきゃダメって感じです」
男「……うん」
女「うん」
男「ほんと」
女「うん」
男「最高の友達になれそうだなって!」
女「うん!」
男「これからも一緒に遊ぼうね!」
女「もちろん!」
男「話したら眠くなっちゃった?」
女「うん……」
男「ふふ、おやすみ」
女「うん、おやすみ」
女「……」
男「……」
女「……」ギュゥ
男「!?」
男「ああ、そうなんだ」
女「いい?」
男「うん、いいよ」
女「ありがとっ」ギュッ
男「どういたしまして」
女「……」
男「……」
男(落ち着く)
女(落ち着く)
女「んむ……」
男「あ、起きた?」
女「うん、おはよう」
男「結構寝相悪いね」
女「えっ」
男「抱きついたまま体擦り付けて来るから体痛くなっちゃった」
女「あっ、えっ、ごめんね?」オロオロ
男「いいよ。ほら、汗かいてたし頭も擦り付けてたから髪ボサボサ。えい」パシャ
女「っ、写真恥ずかしい!」
男「あはは、記念にね」
女「シャワー浴びてくる!」
男「じゃあ帰ろっか」
女「うん……」
男「どうしたの?」
女「帰りたくない」
男「なんで?」
女「……もっと一緒にいたい」
男「……」
ギュッ
男「また」
男「また会えるよ」
女「うん」
男「またすぐ会おう」
女「うん」
男「二人でご飯食べて、二人で遊んで、二人で寝よう」
女「……うん、うん!」
男「うん」
女「じゃあ、私向こうだから」
男「……うん」
女「楽しかった。ありがと!」
女「また会おうね!」
男「うん、またね!」
男「……」
女「……」
男(ナンパって悪くないな)
女(ナンパって悪くねえな)
男「おはよう」
友「おっす」
男「そうそう、昨日ナンパしてみたよ」
友「!?」
友「お、おう!? そ、そうか! まあ、どどどどうせ失敗しただろ?」
男「成功したよ」
友「!?」
友「な、何回目で?」
男「一回」
友「!?」
男「あ、プリクラ撮ったんだ。これ」
友「ど、どれどれ……!!?」
友「かわっ!! めっちゃ可愛い!!」
男「可愛いよね」
友「しかしなんで真顔なんだ……」
男「あ、これ他のね」
友「おう……なんだこれ」
男「ポーズ取ろうかって言ってる間に撮られちゃって」
友「はしゃいでやがる……!」
男「急いでポーズ取ったんだ」
友「……!? こ、これ! だ、抱き、抱きつい抱きききき!?」
男「落ち着けよ」
友「なんだこれ!?」
男「(彼女がよろめいたから)反射的に?」
友「っ!!」
友(こいつ、チャラすぎる!)
男「うん、楽しかった」
友「しかし! お前は理解していない!」
男「?」
友「ナンパはなあ、ラブホに連れ込んでこそ成功だということをな!!」
男「ラブホ?」
友「あー、まあ、いわゆる一つの……ホテルよ」
男「ホテルなら行ったよ」
友「!!?」
男「? うん」
友「ちょっと待って、吐きそう」
男「え、大丈夫?」オロオロ
友「あ、うん、ありがとう。お前ってほんといい奴な」
男「へへ」テレテレ
友「ところで、どんな部屋に泊まったんだ?」
男「あ、写真撮ってきたよ」
友「どれ……!!?」
男「手枷とか付いてるやつね」
友「こ、この『X』」
男「オブジェなのかな」
友「こ、この檻」
男「これはほんとわかんない」
友「こ、このベッド」
男「フカフカだったよ」
友「こ、この鏡貼り」
男「なんだろうね」
友(こいつ、アブノーマルすぎる!)
男「したくなるじゃん?」
友「ちょっとわかるけど……!!?」
男「さっきから表情変わりまくりだね」
友(この写真、こいつのドヤ顔ピースに目を奪われがちだが)
友(鏡に映ったこいつの後ろ、曇りガラスに映るこのシルエット……!)
友(シャワーを浴びる女のシルエットの前でドヤ顔ピースで写真……!)
友(こいつ、アウトローすぎる!)
男「あ、俺も不整脈っぽいんだよね」
友「お前は大丈夫かよ……」
友「で、この後は……やっぱり?」
男「うん、寝た」
友「おうふ……」
男「気持ちよかった」
友「言うな! やめろ!」
男「あ、寝る前の写真もあるよ」
友「うっ、体が勝手に見てしまう……!!?」
男「(眠そうで)目がトロンとしてて可愛いよね」
友「リアルなトロ顔だよこれ……!」
男「可愛いなあ」
友「メスの顔してやがる……!」
男「メス……(女性だし)まあそうなるね」
友(こいつ、慣れてやがる!)
友「泣きそう」
男「あ、朝の写真もあるよ」
友「これはたぶん泣く」
男「恥ずかしがってたけど撮っちゃった」
友(やだ、強引)
男「はいこれ」
友「!!??」
友(①恥ずかしそうにはにかんでる)
友(②汗だく)
友(③乱れたシーツと髪)
友(④蕩けた顔)
友(こいつ、デキる)ドパー
友「そんなもの今はどうでもいい!」
友「もっと、もっと燃料をくれ!」
男「え?」
友「く わ し く」
男「えーと、二人で朝まで絡み合ってた(抱き枕的な意味で)から、腰痛くなっちゃった」
男「彼女もすごく(髪が)乱れてたよ」
友「オーケー、トイレ行って来るわ」
男「あ、うん」
友(これで2ヶ月は困らないな……)
男(あれ、なんか忘れてるような)
女友「おはよー」
女「あ、そうそう、私昨日ナンパされた」
女友「!?」
女友「ななな、なんで!」
女「なんでっていうか、駅前ウロウロしてたら声かけられた」
女友「へ、へー……断ったの?」
女「着いてった」
女友「!?」
女「? うん、普通に遊んで寝ただけ」
女友「!!?」
女友「ね、寝た!? ナンパしてきた男と!?」
女「うん」
女友「頭くらくらしてきた……」
女「え、大丈夫?」オロオロ
女友「あ、うん、大丈夫。ほんといい子ねあなた」
女「えへへ」テレテレ
女友(かわいい)
女「?」
女友「昨日のこと詳しく教えなさいよ」
女「ああ、うん。駅前で声かけられて、お茶して、遊んで、ホテル行って終わり」
女友「オーケー、最後のところ詳しくね」
女「うん、(泣いてて)気づいたらホテルに居たよ」
女友「気づいたら!?」
女友(まさか、酔わせて連れ込んだってこと!?)
女「えっと、ベッドが大きくて」
女友「……」ドキドキ
女「変な椅子があって」
女友「……」ドキドキ
女「『X』型のオブジェがあって」
女友「……?」ドキドキ
女「檻があって」
女友「……!」ドキドキ
女「鏡貼りだったよ」
女友「!!」
女友(ハイレベルすぎる!)
女「?」
女友「だから! 寝たんでしょ?」
女「うん」
女友「どんな感じだった?」
女「気持ちよかったよ」
女友「!?」
女「朝までぎゅーってしてた(抱き枕的な意味で)から、いっぱい汗かいて(髪が)すっごく乱れちゃった」
女友「!!?」
女友「!!??」
女友「!!!??」
女友「ちょっ、撮影とかされて大丈夫なの!?」
女「? うん、ちょっと恥ずかしかったけど、思い出だし」
女友(この子チョロすぎる!)
女「(息)ぴったりだったし、また(ゲーム)したいな」
女友(ぴったり!? またしたい!?)
女友「ちょっと、私トイレ行って来るね……」
女「うん」
女友(大変なことになっちゃった……女が”女”になっちゃった……)
女(あ、そういえば)
男(連絡先聞いてないじゃん)
女(名前聞いてないじゃん)
男(あの子とまた会いたいな)
男(とりあえず駅前まで来たけど)
男(さすがにいないかなあ)
男(もう会えないのかな……)
男(はぁ、やっぱりこんなところにいるわけ──
女「……」ウロウロ
男(いたー)
女(とりあえず駅前まで来たけど)
女(やっぱりいないよね)
女(もう会えないのかな……)
女(もう帰ろうかな……)
男「……」ジー
女(いたー)
女「……」
男「よかったら俺とお茶しない?」
女「……うん!」ニコ
男(ナンパしてよかった)
女(ナンパされてよかった)
おわり
めっちゃよかった
最初っから最後までずっとにやにやさしてもらったよ
ありがとう!
はよはよ
あと店員にも
ちょっとナンパしてくる