ぼく「はい!」
ザワザワ ガヤガヤ クスクス
先生「こら!みんなしずかにしなさい! いいのよ(ぼく)君、作文読んで」
ぼく「ぼくのしょうらいの夢は、死ぬことです」
…シーン
お兄ちゃんにきいてみても、じぶんでやれといわれました。
だから、いちばんなりたくないものをかんがえてみようとおもいました。
さいしょに、なりたくないとおもったのは先生でした。
先生は、いつもぼくらのことをしかります。しかるのがお仕事だってお母さんが言ってました。
でも、ぼくはひとにおこることはできません。ぼくはひとをしかるのがこわいからです
だから、さいしょに先生にはなりたくないなと思いました。
おとうさんもぼくを叱ります。たくさんたくさんしかって、それからたくさんたくさん心配します。
おとうさんに「ぼくの事で怒ったり心配したりして疲れない?」ってきいたら、
「お父さんもお母さんも、そのためにいるんだよ」って言いました。」
…ヒソヒソ…
ぼく「ぼくにはよく分かりません。お父さんもなってみないとわからないよと言いました。
それからもたくさん考えましたが、笑っているだけの人って実はいないんだって気づきました。
ゆいいつおもいついたのが、おじいちゃんでした」
人に怒るのが苦手な僕も、にこにこ笑ってくれるおじいちゃんにならなれるとおもいました。
でも、おじいちゃんになるには長い長い時間がひつようです。ぼくは、いつまでも生き続けられるじしんがありません。
よくよくかんがえたら、悲しい顔をせずにわらいつづけているじしんもありません
だから、ぼくのいまの夢はしぬことです。
ずっとわらっていられるひとになれないなら、死にたいなと思いました。おしまい」
……シーン
先生「……と、とても変わった内容でしたね!でもできれば笑えるひとになってね!それじゃあ次の子…」
女子1「は、はい… えと、その、私の将来の夢は、おねえみたいなひとになることです……」
先生「起立、礼」
生徒「ありがとうございました」
わーっ!! ガタガタ ガヤガヤ
トントン
ぼく「…なに?」
女子1「ねえ…しにたいってほんとう?」
ぼく「うん。ほかに思いつかなかった」
女子1「生きてた方がいいよ。絶対そっちのほうがいいよ」
ぼく「今すぐにじゃないよ!わらえなくなったら!」
女子1「そう?」
ぼく「ずっと生きるのは一番いやだな」
女子1「なんで?」
ぼく「うーん…ながくなるから、お手紙にしていい?」
女子1「うん、わかった。まってるね」
ワイワイ あー!(ぼく)が女子と話してるー! ヒューヒュー
女子1「ち、ちがうもん!」
ぼく「(女子1ちゃんならかわいいから別にいいや)」
ガタガタ…
男子1「机運ぶのおみー!!きょうかしょ入れてるやつだれだよー!?」
ぼく「……」
ガタガタ
男子1「せんせーおわったー!!」
先生「机動かしただけで掃除したとは言いません」
男子1「ちぇー」
ぼく「(……なんでずっと生きるのがいやって思ったのか、よくわかんないかも)」
掃除当番s「おつかれさまでしたー」
先生「そうだ、(ぼく)君はちょっと残って」
ぼく「はい」
先生「今日の国語の作文だけど、おうちの人には読んでもらった?」
ぼく「ううん、みんないそがしいからダメって」
先生「…そう…。あ、あのね、先生不器用だからあまりしっかりとは言えないんだけど…
いきなり死んじゃうって結論は、あまり良くないと思うな。とりあえず生きて良いこと見つけていきましょ?ね?」
ぼく「(今すぐ死にたいわけじゃないんだけど)はい、先生」
先生「分かってくれてうれしいわ。じゃ、今日はもう帰っていいわよ」
ぼく「はい」
ピンポーン
ぼく「ただいまー」
ピポピポピポピポピンポーン
ぼく「(みんなおでかけしてるのかな?)」
ドサ パカッ ゴソゴソゴソ… カチャッ
ぼく「ただいまー(やっぱりおでかけしてた)」
ぼく「おかえりなさーい」
ぼく「……今日は作文のはっぴょうがあったんだよ」
ぼく「……そっかー……」
ぼく「………みんな、おでかけしてるんだよね」
ぼく「おとうさんはおしごと おかあさんはお買いもの おにいちゃんは中学校、…おじいちゃんは……」
シーン…
ぼく「女子1ちゃんへのお手紙かこーっと。…どの紙つかおうかな?」
ぼく「そうだ、お手紙セット、お兄ちゃんの借りちゃおう。2かいにあったよね?」
トントン…
ぼく「……やっぱりやめた。勝手にお部屋に入ったら、お兄ちゃん怒るもん」
ぼく「コピー機用の白い紙ならいいよね?絵もかけるし」
かきかきかき…
ぼく「こ・ん・に・ち・は、女子1ちゃんへ、(ぼく)です。」
(ぼく)です。ずっと生き続けるのがなんでこわいのか、実はぼくもよく分かってません。
でも、たぶんきっとこわいことだとおもいます。おもいついたじゅんにかきます
さいしょに、まわりの人は死んじゃいます。まわりの人もずっと一緒に生きても、たぶんこわいです
ぼく「…そうだ、おじいちゃんやおばあちゃんばっかりの世界になっちゃう」
だれもしなずにずっといきてたら、おじいちゃんやおばあちゃんだけの世界になっちゃいます。
それに、後からおじいちゃんやおばあちゃんになった人の役目も、まえのおじいちゃんやおばあちゃんがいるからありません。
なんの役目もない人がたくさんできてしまいます。意味が無いことはこわいです。
ぼく「…んーと…」
意味が無いことはこわいです。
たぶん、よく分からないのに目の前にずっと「1+1=」って式がうかんでたらこわいと思います。
「2」ってこたえても、いみがないからたぶんその式はずっとうかんだままです。
ぼくはそういうのはとてもとてもこわいとおもいます。だから、みんながずっと生きるのには反対です。
ぼく「…えーっと…えーっと…きょうはこれでいいかな。空白に絵をいれとこ」
ヽ 2 /
ノノノノノノノノヽ
ノノ ● ●| 1+1
|; ▽ノ
> < 答えてもどうにもならないものはこわいです
きょうはこれしかうかびませんでした。またりゆうができたら書きます。
ぼく「おやすみなさい」
ぼく「(ぼくのへやは2かいだけど、つかれてるからソファーでいいや)」
(翌日)
ぼく「女子1ちゃん、これ」
女子1「昨日言ってたお手紙?ありがとう。」
ぼく「うん。」
女子1「読むね。…………うーん…みんなおじいちゃんやおばあちゃんになっても、意味はあるよ」
ぼく「そうかな?」
女子1「どんなにお年寄りになるまで生きてても、いきてたらいっしょにいられるよ?」
ぼく「いっしょにいるだけだよ」
女子1「……それは大事だもん。じゃあ、休み時間の間にお返事書くから」
ぼく「うん(…なんでぼくたちはりあってるんだろう)」
女子1「(ぼく)くん!これ!!」
ぐいっ!
ぼく「お手紙?」
女子1「うん、ちがうって思う理由かいた!」
ぼく「…じゃあ、読んで、お返事はまた明日ね」
女子1「うん、またあした!」
ぼく「(かわいい紙だな。ぼくもこんなのに書けばよかったかも)」
女子1「あ」
ぼく「どうしたの?」
女子1「おねえがおむかえに来てる… じゃあね!」
ぼく「うん、じゃあね」
ぼく「ただいま」
ぼく「おかえりなさい」
ぼく「今日はね、女子1ちゃんにお手紙の返事貰ったんだ」
ぼく「どうするの?」
ぼく「お返事書くよ。まだよんでないから、よみおわってから。」
ぼく「(……ぼくの部屋にはお手紙ようのかみないから、やっぱり白い紙にかこう。その前に読まなきゃ)」
女子1です。お手紙のお返事です。
わたしは、おじいちゃんやおばあちゃんになってもずっと生きてることは、悪くないと思います。
そうしていればずっと好きな人といられるからです。
わたしも好きな人たちも、みんな年をとっちゃうかもしれないけど、それは大事だと思います。
好きな人や、そこまで行かなくても知ってる人が死んだら悲しいです。
私は、作文で「おねえみたいなひとになりたい」って書きました。でも、そのまえに本当のおねえは死んでいます。
おねえが死んだときにすごくさみしくてかなしくて、頭がおかしくなりました。
いまも、まだちょっとおかしいです。
でも、そのときとても悲しかったから少なくとも私は周りにそんな思いさせたくないと思っています。
いっしょにいることは、それだけでもだいじなことです。いなくなったらその人を大事な人はおかしくなっちゃいます。
だから、死なずにずっと生きてることの方が大事だと思います。
私は、こういう考えです。(ぼく)くんが違うと思うなら、その理由がしりたいです
女子1より
o
0 もやんもやん
~~〇~~~~~~~~~~~
女子1「私の将来の夢は、おねえみたいなひとになることです
おねえは、わたしの本当のおねえではありません。
それでも、本当の妹みたいにやさしくしてくれます。
それに、とても強い人です。悪口を言われても、「それがなんだ」って跳ね返します。
おねえは、わたしのあこがれです。
おねえそのものになれなくっても、おねえみたいなつよいひとになりたいです。
~~~~〇~~~~~~~~~~~
0 もやもや
o
ぼく「そうだったそうだった」
ぼく「おとうさんはおしごと おかあさんはおかいもの おにいちゃんは…」
チラッ(外は暗くなってきている)
ぼく「きっと、部活 おじいちゃんは、おさんぽ」
ぼく「お返事、かかないと……えーっと…でも…でも…うーんと」
ぼく「そうだ、しなないのは”ふしぜん”なんだ。だから女子1ちゃんのいうようにはできないんだ」
生きてた方がいい理由は、読みました。でも、ずっといきてるわけにはいかないとおもいます。
たぶん、ずっと生きているのがふしぜんだからです。
おじいちゃんがずっと前にそういうことを言っていました。
ぼく「なんていってたっけ…えーっと…」
おじいちゃん「死んで、新しい命が生まれて、めぐるっていくのが普通なんじゃよ」
ぼく「…めぐっていくのがふつう…」
おじいちゃんは、死んで、新しい命が生まれていくのがふつうって言ってました。
だからきっと、死ぬのがふつうで生き続けるのはおかしいと思います。
女子1ちゃんのおねえちゃんみたいに、途中で止まるのはヘンかもしれないけど、
それでも、死ぬのがあたりまえだとおもいます
ぼく「うまくまとまんない…」
だから、ぼくは笑顔でいきられなくなったときに、きちんと死ぬのが将来の夢で、それはかわりません
きっと、女子1ちゃんがずっと生きたいって思うのは、ずっと笑っていられるからだと思います。
女子1ちゃんは、おねえちゃんたちといっしょなら笑っていられるから、生きていたいと思って、
ぼくにはそのじしんが無いから、いつかきちんとしにたいとおもうんだとおもいます。
これが、ぼくのだせるぜんぶのこたえです。
おたがいのみえかたのちがいだとおもいます。
(ぼく)より
ぼく「できたー!」
ぼく「……おかあさん、おそいなー」
ぼく「(おとうさんもおかあさんもおにいちゃんもおじいちゃんも朝早いんだ。だから会えなかっただけ)」
てくてく
ぼく「(…あ、女子1ちゃんがいる)」
ぼく「おはよー!はい、お返事」
女子1「あ、(ぼく)くん…ありがと」
女子2「だれ?!女子1のおともだち?!やほー!!はっじめましてーーー!!」
女子1「この子ね、女子2っていって、私の家族」
女子1「うん。…児童ようご施設の、家族」
ぼく「それってなに?」
女子1「みんなで集まって生きてくところだよ」
女子2「そう!だから大家族!ぐろーばーる!!」
女子1「ヒソヒソ ちょっと声、おとそうね」
女子2「ヒソヒソ ごめんなさーい…」
ぼく「(よくわかんないけど、がっしゅくみたいなものかな?)」
ぼく「わかった」
女子2「ラブレター?」
女子1「ちがうよ」
ぼく「うん、ちがうよ。」
(昼休み)
ぼく「(にんじん嫌いだな…)」
コロコロ
ぼく「(にんじんのこすと、お父さんにおこられちゃうや)」
コロコロ
ぼく「(…………)おとうさんはおしごと おかあさんはおかいもの…」
男子1「どうしたー?はやくたべてドッジしようぜドッジ!!」
ぼく「にんじんきらい」
男子1「ピーマンでたときにたべてくれるならたべてやらんでもない」
ぼく「ピーマンもきらい」
ぼく「うん、ごめんね」
男子1「明日ははやくたべろよー!」
ころころ ころころ
ぼく「(………おとうさんは…)」
先生「…(ぼく)くん?給食のこしちゃってもいいと思うよ。もうおかわりする人いないし、ね?」
ぼく「う、うん…ごめんなさい先生」
先生「いいのよ、無理して食べてもっとニンジン嫌いになったらそっちの方が悲しいもの」
ぼく「ありがとう、先生」
先生「おうちで食べれるようにちょっとずつ慣れてった方がいいかもね」
ぼく「(おうちで…)……おとうさんは…」
先生「どうしたの?」
ぼく「だいじょうぶ」
ガチャ…ガチャ
ぼく「あれ?」
母「あら、おかえりなさい」
ぼく「………!ただいま!!」
母「おかえりなさい、ごめんなさいね、ここ最近ちょっと顔合わせられなくて」
ぼく「ううん!だいじょうぶ!」
兄「お、(ぼく)お帰りー。」
父「おかえり」
ぼく「ただいまー!!」
母「あらあら、もう、この子ったらはしゃいじゃって…」
ぼく「……おじいちゃんは?」
父 兄 母「お散歩に、いってるんだよ」
ぼく「そっかー」
兄「今日は創立記念日で朝連だけだったんだ」
父「パパも仕事がはやくあがってね」
ぼく「そっか、じゃあいっしょにゲームしよー!」
父「よーし、何する?パパ負けないぞー」
兄「オヤジがゲームにはりきんなよwww」
ぼく「(……あれ?………まぁ、いいや)」
ぼく「ばんごはん、どうするの?」
母「えーっと、今日は外食にしましょう。折角家族4人そろっているわけだし」
父「良いな、回転ずしにでも行くか」
兄「焼き肉いこうぜ焼き肉!育ち盛りだもんな、な、(ぼく)も沢山食おうぜ!」
ぼく「どっちでもうれしいな」
父「じゃ、兄ちゃんのリクエストにこたえて焼き肉にするか?」
母「そうね、お寿司はまた明日にしましょう」
ぼく「明日もお出かけするの?」
父「ああ、しばらく贅沢するぞー」
ぼく「(焼き肉おいしかったな、お父さん、にんじん食べろって言わなかったし)」
ぼく「(なぜかずっとソファーでねてたけど、ふつうにベッドでねていいよね)」
ぼく「……あ…れ?」
ぼく「………なんだろ…?なんかぐるぐるする………なんだろ?」
ぼく「…ねたら、忘れるよね」
兄「ちぇ、いいところなのにー…父さんのケチー」
母「お父さんの言う通りよ、ほら、セーブしてちょっと休んでいなさい」
ぼく「…ねえおじいちゃん、なんで目の毒なの?」
祖父「テレビは目に光を入れる装置だからねぇ、ほら、太陽みてたら目がくらくらするだろ?」
ぼく「うん」
祖父「ずっと光を見てると目に悪いから、休みなさいって言ってるんだよ」
兄「爺ちゃんぐらい柔く言ってくれればいいのに」
父「厳しめに言うのが父親の役目だからな」
……おかしい…
ジリリリリリ
ぼく「うぅ…う…あれ?朝…ふあぁぁ…」
兄「お、おはよう(ぼく)はやくメシ食った方がいいぞ」
ぼく「うん……」
(登校中)
女子1「おはよう、(ぼく)くん」
ぼく「おはよ…」
女子1「…お返事、書けなかったよ」
ぼく「どうして?」
女子1「ないようになっとくしたから。…でも、きいていい?」
ぼく「何?」
女子1「その前にかくにん、わたしは私の家族たちといたら笑えるからずっと生きたいって思う、それはあってると思う
…でも、(ぼく)くんはそうじゃないんだよね?」
ぼく「…うん。たぶん」
ぼく「大好きだよ!」
女子1「…じゃあ、なんでその家族たちと一緒に、ずっと生きたいって…」
男子1「(ぼく)が女子1に大好きだって言ったぞ?!」
男子2「ヒューヒュー♪」
女子1「えっ?!」
男子1「らっぶらぶー♪(ぼく)と女子1はらっぶらぶ~」
男子2「あっつあつですなー」
女子1「ち、ちが、ちがうよ?!」
男子1「いいふらそうぜ!」
男子2「OK!」
女子1「ま、まって!こらー!!」
ぼく「……え、えーと…」
ガラガラ
ぼく「おはようございまーす」
男子1「よーぎしゃ2ごうかくほー!」
ぼく「ちがうよ?」
男子1「うっそだー、だって女子1と席ちけーじゃん」
ぼく「席近いとお話しするだけだよ」
女子1「うん、そうなの。席が近かったからお話するだけなの」
ぼく「……(ちょっと残念かも…)」
男子2「そうかー?でも、席替えのあとぐらいから(ぼく)おかしくなったじゃん」
男子2「だって、まえからおとなしいけどここ最近ゼンゼンおれらと遊ばないし」
男子1「女子1ふだんくらいから女子1のせいだとおもってたんだけどなー」
女子1「……(じとっ)」
男子1「おー、こわいこわい」
男子2「(ぼく)がちがうっていうんならちがうだろうけど、ヘンだぞー」
ぼく「…そう…なの?」
女子1「……あ、でも…たしかに作文発表の前からぐらいから…」
ぼく「(自分で分かんなかったけど、ぼく変わってきてたんだ…)」
男子2「女子1が呪っててもおれらがどうにかしてやるからな!」
女子1「……のろってなんかないもん…むしろしんぱいしてたんだもん…グスッ」
男子s「?!」
女子1「(ぼく)くん…ちょっと…よ、ようすが…グスッ」
男子1「な、なくな!」
男子2「そうだ、なくな!」
女子1「だ、だから…しんぱ…えぐっ…ぐすっ…」
男子1「ティッシュ!男子2、ティッシュだ!」
男子2「もってない!」
男子1「ハンカチ!!」
男子2「わすれた!!」
男子2「お前もだろー?!」
ぼく「…はい、ティッシュ」ふきふき
女子1「うぅ…ぐすっ…あ、ありがと…でもティッシュボロボロする…」
ぼく「…ぼくのこと、しんぱいしてくれてありがとう。男子達も」
男子1「……よかった、こういうところはいつもの(ぼく)だ」
男子2「ちょっと安心だな。でもちょっとだけな」
男子2「それでも(ぼく)が女子1に大好きだといったのはまちがいなしと」
男子1「…かたおもいか!」
男子2「かたおもいだな!?でも女子1も(ぼく)心配してたから…りょうおもい?」
ぼく「ち、ちがうと思うよ?たぶん」
女子1「(ぼく)くんがだいすきっていったのは家族のことだよ。家族の話してたから」
男子1「…それならそうといえよー」
男子2「スクープだとおもったのになー」
ぼく「(…そうじゃないって言っても聞かなかったのに…)」
女子1「………」
男子1「そうらしいな。でもはやく元気になれよー?」
男子2「元気になったらでいいから、またドッジでがいや3にんしゅうやろうぜ」
ぼく「……うん」
ガラガラ おはよー ザワザワ
ぼく「(人ふえてきた…朝早いうちにまとまってよかった…)」
ぼく「なに?」
女子1「かえりのとき、聞こうとしたこともう一度聞くね」
ぼく「……うん」
(4時間目)
先生「起立 気をつけ 礼」
生徒「よろしくおねがいします」
先生「着席」
ガタガタ
先生「今日は、ちょっと難しいけどニュースのビデオを流します。かなり衝撃的な内容もあるから、覚悟してね」
ザワザワ ガヤガヤ
ぼく「(いつものN●Kのやつじゃないんだ…)」
ピッ
アナウンサー「それでは、次のニュースです先日未明、70代の男性の肉体の女性が両親に殺害されるという事件が起きました」
ぼく「(……あれ?)」
アナウンサー「被害者の××さんは精神交代手術を受けており――」
アナウンサー「それでは、次のニュースです」
ピッ プツン
先生「…さて、みんな、まずはこれがどういう内容だったかをプリントにまとめてくださーい」
ぼく「(ええっと…人の中身をいれかえるしゅじゅつをした娘をその親が殺しちゃった事件で…)」
ぼく「(……中身を入れ替える?)」
先生「そろそろかけたかな?それじゃあ、次に”精神交代手術”そのものに対してどう思うか―――」
ぼく「(気のせい、気のせいだよ。だって…あれ?)」
先生「…あれ?どうしたの(ぼく)くん?具合わるい?」
ぼく「…だいじょうぶ」
ふらっ
先生「ちょ、ちょっと?! みんなプリントかいてて、先生ちょっと(ぼく)君保健室につれてくから!」
ザワザワ ガヤガヤ
ぼく「だ、だいじょう…」
先生「無茶しないの、君はためこむ子なんだからちょっとぐらい甘えなさい …よいしょ」
ぼく「(…ちょっとはずかしい…)」
先生「よろしくおねがいします。(ぼく)君、きちんと休んでね。あ、ランドセルは後で持ってきます」
保険医「はい、よろしく先生」
ぼく「……うぅ……めいわくかけてごめんなさい…」
保険医「いいのいいの、ここは具合の悪い人が休むための場所よ」
なでなで
ぼく「……(あ…やっぱりおかしい)せんせい…」
保険医「何?」
ぼく「…あの…(ぐらぐらする…)」
保険医「今は寝てなさい」
ぼく「……はい…」
ぼく「………(チャイムだ……まだ頭が重い…目をつむっておこう…)」
ガララッ
母「失礼します、すみません、うちの子が…」
保険医「いえいえ。貧血のようですから、きちんとホウレンソウとか食べさせてあげてくださいね」
母「は、はい……あ、車で来てますので、起こさなくても大丈夫です」
保険医「そうですか?では…」
ぼく「……(先生が甘えなさいっていってたし、このままねたふりしてあまえちゃおう…)」
保険医「はい、お気をつけて」
バタン ブロロロロ……
ぼく「…くー…(……あ…あれ?おかあさん車のうんてんできたっけ…?)」
母「…………」
ぼく「くー…くー…(ぼくが知らなかっただけかな…)」
母「……」
ぼく「う…うぅ…」
母「気づいた?」
ぼく「……う…ん?」
母「急に倒れたなんて聞いたから、ママびっくりしちゃった」
母「すぐ家につくから、帰ったらまたゆっくり寝なさい」
ぼく「……ねぇ…おかあさん…」
母「何?」
ぼく「………めんきょ、もってたんだね…知らなかった」
母「……そうね、運転下手だからあまり乗らなくって、今まで乗せたことなかったわね」
ぼく「そっかー……(……気のせい?気のせいかな?気のせいだよね、そうだよね?)」
ぼく「おはよう」
母「おはよう、ほら、朝ごはんできてるわよ」
ぼく「うん、いただきます」
兄「なぁ、お前今日学校行くのか?」
ぼく「う、うん…」
母「さすがに、昨日倒れたばかりだから休んだ方がいいと思うわ、大事をとって、ね?」
ぼく「や、やすんじゃっていいの?」
母「むしろ休みなさい、昨日だってお昼も夜もご飯食べず寝っぱなしだったでしょ?」
兄「そうだぞ、ちょっと休んだ方がいい」
母「学校にはママから電話するから、ね?」
ぼく「うん…わかった。」
ぼく「………(いいの…かな?)」
ピンポーン
母「はーい」
ぼく「(…誰だろ…?)」
女子1「すみません、プリント届けに来ました…」
ぼく「(女子1ちゃん?あまり家近くないはず…)」
母「…あの、どちら様?」
女子1「おなじクラスの女子1です…あ、あの…様子みたいので、あがってもよろしいでしょうか…?」
女子1「い、いえ……その…じゃあ、このお手紙わたしてください…」
母「ええ、わかったわ。今日はありがとうね」
女子1「はい、それではしつれいしました」
ぼく「(……別に、ぼくはへいきなんだけどな…)」
パタン
ぼく「……」
ぼく「(手紙をもらったはずなのに、おかあさんがなかなかこない…)」
とん とん とん
ぼく「(あ、2階にあがってきた…)」
ガチャ ドサドサドサ
ガン ガン ガ ン ガン
ガン ガン ガ ン ガ ン
がちゃっ ガンッ
ガン ガン ガン ガン ガン
ぼく「な、なに?!なんなの?! おかあさん?!おかあさん?!!」
ぼく「何の音?ドアあかないよ?!おかあさん!!!おかあさん!!!!」
ガチャガチャガチャ
ガン ガン ガン
ぼく「(そうだ、隙間、すきまからのぞけば……?!)」
ぼく「お、おかあさ…なんで、なんでドア、あかないようにしてるの?」
ドンドン
ぼく「なんで?! おかあさん!!おかあさん!!」
ドンドンドンドン
母?「うるさい」
ぼく「ひぅ…」
母?「いーい?(ぼく)はちょっと疲れてるの、だから無理にでも休ませなきゃいけないの」
ぼく「そ、そんなことないもん…も、もう元気だよ…」
母?「ダメ、時期が来るまでそこでおとなしくしてなさい」
ぼく「へやから出して…」
母?「嫌よ、逃げられたら面倒くさいもの」
ぼく「……おかあさんじゃ…ない…?」
ぼく「…ち、ちがうよ。だって、だっておかあさんはおかいもの あれ?」
ぼく「おかあさんは、おかいものにいって どこに?あれはおかあさん?」
ぼく「まって、まって、まって…あたま、ぐるぐるする…」
ハッ
ぼく「(窓から逃げよう!)」
ガチャッ クンッ
ぼく「あ、あれ?まどあかない…?!うそ、なんで…」
ぼく「ガラス、割れば…」
きょろきょろ
ぼく「ない、なにも、ない?!うそ、だって、だって昨日ランドセルもってあがった…」
コンコン
ぼく「ふぇっ?!」
母?「(にこっ)」
ガラガラガラ…
ぼく「や、やめて?!雨戸しめたらまっくらだよ?!」
母?「電気、つければいいでしょ?」
ぼく「外がみえない!」
母?「いいじゃない、みえなくったって」
ぼく「…うぅ…ぐすっ…うぅ…」
兄?「ただいまー」
ぼく「(一階の声…聞こえる…)」
母?「おかえり、コレ見て」
兄?「なんだこれ?プッ、かーわいーなーモテるんだなアイツ」
母?「そうじゃなくて中身。」
兄?「洗脳不十分だったんだな」
母?「みたい。あまり小さい子供と入れ替えると都合が悪いけど…」
ぼく「(まだしっかりおもいだせないけど、とりあえずぼくの家族は、みんなちがうひとになってた)」
母?「老人は殺してもポックリ逝ったで済むけど、子供はそうはいかないしね」
ぼく「?!」
ぼく「……あ…そっか…ぼく……きづいてたから、ずっといきなくていいやって…」
兄?「あいつが死なないように見張りつつはめんどくさいぞ」
母?「もう、いっそのこと……」
ぼく「……(ぼくを殺す相談をしてる……あまり痛くないなら…それでもいいや…)」
ぼく「ぐすっ(だって、ぼくの本当のかぞく…もう、いないみたいだし……)」
ぼく「………(…心配してくれたみんなには、悪いけど…)」
ぼく「……」
父?「もう外から見えないようにしてるならそのままでいいだろ」
ぼく「……(……もう、みんな死んでるなら、あんまし長くいきたくないな…)」
ぼく「……ねてよ……(どうせ、あの人たちに何かされるまで、なにもできないし…)」
母?「じゃ、引き取り手がつくまで監禁ね」
父?「ああ、死ねばパーツで売ればいい」
兄?「とっとと殺して一家離散演じる方が楽だとおもうけどな。家族ごっごめんどい」
ぼく「……おとうさん…死んだのかな?おかあさんも、おにいちゃんも、おじいちゃんも…」
ぼく「(でも、何もできないのはおんなじだよね、何かして殺されちゃったら、それでおしまいだし…)」
ぼく「……どうすれば、いいんだろ…?……ふぁ………」
ぼく「…くー…くー…」
はじめて見た光景だった。和室の畳の隙間に赤黒いかたまりがこびりついていた
両親はどこを探してもいない。兄の姿もだ。
男子2の家でごはんをたべて、かえってきたらこうなっていた。
ぼくは2かいへとあしをすすめる。なにもかもしんじられなかった。
祖父が2かいに居ることは珍しいがあれは祖父ではないと思い込んでいた。
2かいにあがると、見知らぬ男女が3人いた
「なんだ、このガキ」
兄の部屋から声が聞こえた「逃げろ!!(ぼく)」
ぼく「……うー…うぅ……うぅぅぅ…や、やだ…おじいちゃ…おにいちゃ…うぅぅ…」
ぼく「……………あれ?」
ぼく「(こわい夢を見た気がするけど、あまり思い出せない。思い出しちゃいけない気もする)」
ぼく「(……みんな登校してる…お兄ちゃんも今出たみたい…)」
ぼく「あれは、おにいちゃんじゃない…」
ピンポーン
女子1「おはようございます」
母?「あら、おはよう」
女子1「(ぼく)くんは、まだ体調悪いですか?」
母?「ええ、まだ顔色が……」
ぼく「(…もしかして、今なら助けを呼べる?…で、でも、もし女子1ちゃんに何かあったら…)」
女子1「そうですか…お手紙の返事も、ないですか?」
母?「ええ、それも無理そうで…」
ぼく「(だめ、今やらなきゃホントにぼく死んじゃう!!)たすけてーーーーーーーー!!!!!」
女子1「え?」
母?「あら、うなされているみたい…」
女子1「で、でも私をよんで…」
母?「あなたが遅刻しちゃうわ、気にしないで」
ぼく「おねがい!!おねがいたすけて!!!!気づいて!!!」
女子1「……本当に苦しそうですね。今日は、失礼します」
母?「ええ、いってらっしゃい。ごめんなさいね心配させちゃって…」
ぼく「う…うぅ……」
コンコン
ぼく「ひぅっ」
母?「無駄よ。だって、人当たりのいい母親のフリ練習したんだもの」
ぼく「うぅ………ほ、ほんとうの…ほんとうのお母さんは…そんなつめたくない…」
母?「もういない人のことを言っても、仕方ないでしょ。でも、一旦その口は閉じさせないとね」
ぼく「……(…やっぱり、じっと死ぬのをまったほうがよかったかもしれない…あの口ぶりだと、お母さんは…)」
ぼく「(だって、夕方になったらまた女子1ちゃんがプリントとか届けに来るだろうし)」
ぼく「(そのときまで、体調わるいからだめですとは、言えないよね…今日こそ男子達がくるかもしれないし)」
ぼく「(あの人たちはあったことないからわかんないけど、男子達はかってにうちに上がるもん。それまでこのままならむしろぼくの勝ちだよね?)」
ぼく「(……でも。やっぱりそうはいかないんだろうな……)」
ぼく「…う…ぐすっ…(みんな、しんじゃってるかもしれないけど…)」
ぼく「じ、自分で…ズビッ じぶんで、なんとかするもん…!」
ぼく「(…一度、電気をつけよう。くらいとなにもできないもん)」
ぼく「(逃げる方法は、窓を割るのが一番はやいよね…?でも、音でバレたら怖いな…)」
ぼく「別の道はないかな…?」
ぼく「(たしか、お兄ちゃんのへやからなら、やねうらに行けたはずだけど……)」
ぼく「ぬけみち、ぬけみち…お兄ちゃんの部屋との壁はこっちだから……あれ?」
ぼく「(そういえば、こっちだけ壁紙ちがうんだ、なんでだったっけ…?)」
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~~〇~~~~~
父「そろそろ、(ぼく)も一人で寝れるな?」
ぼく「うん…」
父「ちょっとさみしいかもしれないけどな、こうやってちょっとずついろんなことを一人でやっていくんだ」
ぼく「…うん!」
父「…でだ、こっちのおもちゃ部屋にしてたのがこれからお前の部屋だ。やったな、ひとつお兄ちゃんだぞ!」
ぼく「ほんと?!」
父「ああ、お前は一個大きくなった、レベルアップだ」
ぼく「れ、れうぇる?」
父「強くなったってことだよ。そのまま慣れれば、もっともっと強くなるぞ」
兄「な、なんだよー、オレのは事故じゃん!」
父「いいか、兄みたくバッド振り回してカベに穴開けたりするなよ?」
兄「良いじゃん…自分で直したんだしさ」
父「なおってない。板と壁紙で隠しただけだ」
ぼく「…でも、きれーだよ?おにーちゃんえらいえらい」
兄「父ちゃんもこういう風に言ってくれたらいいのに…」
父「……直そうとした気概は買う」
兄「ツンデレ」
父「何か言ったか」
父「お前もたいがいだがな」
ぼく「(おとうさんとおにいちゃん、なかよしでいいなー…)」
~~〇~~~~~~~
0
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ぼく「……そうだ、そこだけ、もろいはずなんだ…」
ぼく「(たぶんだけど、音がちがうはずだよね?かるくたたいて…)」
コン コン コン コォン コン
ぼく「…ここかな」 コォン コォン
ぼく「…(ばれないように、しずかにはずさないと…)」
ぼく「あ… (道具がない…引き出しの中とか…)」
ガサッ ガサゴソ
ぼく「…だめ…きけんそうなものぜんぶなくなってる はさみも、定規も」
ぼく「……! (じしょ、辞書でたたきわろう!)」
ぼく「(あんなに分厚いし、重いし、かたいからしずかにはむりだけどにげることはできるよね?)」
ぼく「いっかいであながあかなくても、なんどもやれば…」
じっ…
ぼく「(えっと、漢字辞典と…お兄ちゃんのお古のグ口ーブつけとこ、手が痛くなるかもしれないし)」
ぼく「……すー…はー……」
ぼく「(あわてず急がないと)」
ぼく「…えいっ!!」
ブンッ
ベキッ
ベキッ!!!
母?「何?!」
ぼく「(にげてやる、にげてやる、あとちょっと、あとちょっとだから…!)」
ぼく「(この板をひきはがしちゃえば…!)」
ベリ…ベリベリッ
ぼく「くぅぅ…(ちょっときつい…)」
母?「何やってる?!おい!! チッ!!」
ダッダッダッ
ぼく「(工具とりにおりた!!いまのうちに…!)」
ぼく「が、がんばる…もん!」
ベリリッ!!
ぼく「(やった!…お、おにいちゃん…ちょっとめんどうくさがりでありがとう…)」
お兄ちゃんのベッドの上には、何かの染みがあった。ぼくのきおくがちょっとだけ戻る
ぼくたちはみんなおにいちゃんのへやにとじこめられて、おにいちゃんが反抗して、ベッドにしばりつけられて
たくさん、なぐられてた、お兄ちゃんが吐いた黄色い液が、ベッドにちゃりと音をたてて落ちた
ぼく「…う…うぅ…おに、おにいちゃ……」
トントントントン… ガッ ガッ
ぼく「?!(もう戻ってきた?!いそがないと…!)」
ガッ ガッ(カチャ) ガッ!!(パタン) ガッ!!
ぼく「(はしごをかけて…よし、いける…!)」
バタン!!!
母?「どこいった?!」
ぼく「ひぅっ」
母?「…なっ…こんなところに穴…クソ、悪い子ねー?!おうちに穴開けちゃダメでしょー?!」
ぼく「(怖い 怖い 怖い…いそがないと)」
バタン! がしっ!
ぼく「ひゃぅっ?!」
母?「みーつけた……さ、おりてきなさい…いまなら眠たくなるお薬だけですませてあげるわ」
ぼく「……や、やだ!!(な、なにか…クリスマスのかざりのはこ…!)えい!!」
ガラガラガラ パリーン!! ガシャーン!!
ぼく「(で、でんきゅうとかわれた…けど、いまのうちに)」
ぼく「(屋根の上に出て…)たすけてーーーーーーー!!!!だれか!!!!だれかうちにきてー!!!」
ぼく「なんで?!なんで誰もこないの?!」
がしっ
母?「つかまえた」
ぼく「ん?!んーーーー!!!んんーーーーー!!」
母?「…最初閉じ込めた時に根回し済みよ。アンタが実はかんしゃくもちってね。最近ひどくなったってことにしてあるわ」
ぼく「…?(かんしゃくってなに?)」
母?「フン、バカな子ね、今更大人しくしても遅いわよ」
ぼく「……(うぅ……こ、ここまでやったんだもん…ま、まだ…)」
ガブッ!!
母?「いっ…このガキ!!母親にむかって!!」
ぼく「お前はおかーさんじゃない!!!おかあさんの顔した別の人だ!!!」
母?「…このっ…クソガキめ!!折角新しい体を手に入れたのに…!!このまま終わらせるか!!」
ドンッ
ぼく「あっ…!(落ちる…!!)」
ぼく「(どうしよう…落ちたらそのまま助かる気がしない…だって、ご飯ずっと食べてないし、いままでのでくたくたで…)」
ドサッ!!
ぼく「……(…あれ?案外平気…)」
警官「大丈夫、君?!」
ぼく「……あ……あぁっ…」
警官「今、支援と救急車呼ぶから!」
ぼく「なんで…なんで…」
警官「君の友達が、助けてって言ってくれたんだよ」
母?「えっ?な、う、嘘、嘘…?!折角の新しい人生、たった数日で…?!」
ウーーーーーー ウーーーーーーーーー
ぼく「(サイレンが近く…なって…)…うっ…うぅ…うえぇぇぇぇ~~~~ん!!!えーーーーん!!!」
ぼく「(助かった…ぼく、ぼく、助かったんだ…!!)」
母?「嘘、うそうそうそ…だって、だってたったガキ一人…嘘よ…」
母?「夢、あくむ、そうよ悪夢。うまくいってた、全部うまく…!」
母?「…あ、あいつを、最初からジジイみたいに殺してれば…キイィィィィ…」
・
・
・
ぼく「…うぅ…」
看護師「きづいたみたいですね」
ぼく「ここ…」
看護師「病院です。そのまま疲労と栄養失調で寝込んでたんですよ」
ぼく「………ぼく…ぼくの、ほんとのおかあさんたち…は?」
看護師「……現在調査中です。詳しいことは刑事さんが話してくれるので、まだ無理しないでください」
ぼく「うん……」
ぼく「…うん。」
看護師「刑事さんはまだまとめ中だから、別の面会希望者通しますね」
ぼく「別の?」
看護師「どうぞ」
女子1「(ぼく)くん!!」
ぼく「あ、女子1ちゃん……」
女子1「ご、ごめ…ごめんなさい…!!」
ぼく「?な、なんであやまるの??」
女子1「だ、だって、だって、わたしが、わたしがおてがみわたしたから、(ぼく)くんとじこめられて……」
ぼく「大丈夫だよ、泣かないで」
女子1「だ、だって…だって……」
女性「そうだ、泣くな女子1」
ぼく「……(知らない人が増えた…)」
女性「はじめして、こいつの姉です」
女子1「お、おねえ…ぐすっ……」
女性「災難だったな少年、私は労うしかできないけど、とりあえず元気になってくれ。ほら、女子1もアレ渡して」
女子1「う、うん……(ぼく)くん、これ。ずっと寝てたから渡せなかったけど、おみまい…」
ぼく「(おりづる…丁寧につくってある)…ありがとう、女子1ちゃん」
女子1「ううん、ついてきてくれてありがとう、おねえ…」
ぼく「えっと…ぼくも、おみまいありがとうございます…?」
女性「……そうだな。じゃ、女子1は先に帰っておいてくれ」
女子1「な、なんで?」
女性「別にこいつと話すべきことがあるんでな、私は。時間のあるうちに言っときたいことだからさ」
女子1「う、うん…じゃあね、(ぼく)くん。…次は、元気になって、学校で会おうね?」
ぼく「…うん。ありがとう」
女性「……さて、唐突だがな、次女子1と会うのは学校じゃない」
ぼく「…?」
女性「お前の家な、今いろいろ調査で立ち入れない状況だし、親兄弟が見つかるまで一人暮らしも難だろ?」
ぼく「……そう…ですね」
女性「でだ、家族がみつかるまでうちに来ないか?っていうかもうしばらく家に入れるように手配してあるんだわ」
ぼく「……えーと……女子1ちゃんや、お姉さんたちといっしょってこと?」
女性「そ、近場の保護施設うちぐらいのもんだし」
ぼく「……それはよくわかんない…」
女性「じゃ、今は割り切るのは難しいだろうけど家族が見つかるまでよろしくってことで」
ぼく「…ぼくは…ぼくも、それがいい」
女性「そうか、そう言ってもらえるなら嬉しいよ。退院したらよろしく、ニューブラザー」
ぼく「(…ヘンな人だ…こんな人に女子1ちゃんはあこがれてるのか…)」
女性「…今日は、まぁ、そんだけだな。いやになったら嫌と言えばよしっ、それじゃーまた会おう」
ぼく「あ、ありがとうございました?」
女性「おう、ゆっくり休めよ」
看護師「大丈夫?またちょっとねてたほうが良くない?」
ぼく「あの」
看護師「何?」
ぼく「ぼく、どのぐらい寝てたの…?」
看護師「運ばれた時から2日ぐらい熟睡してたわ。だからその間にいろいろあったのよ」
ぼく「そっか…(2日…2日も…その間にみんなは…?)」
そこで、ぼくはいろんな話を聞いた
ぼく「…助けを呼んでくれた友達は…女子1ちゃん?」
刑事「その子もだが、登校途中に一緒になった男の子たちも訴えてきたそうだ」
ぼく「…男子1と男子2?」
刑事「ああ、女子1さんが彼らに話して、それで一斉に君を助けてほしいと交番に行ったんだよ」
ぼく「……みんなが…」
刑事「ああ、良かったな」
ぼく「うん……」
ぼくの作文が、じぶんでは気づいていなかった「たすけて」だったことを
さいしょにきちんと気付けなかったことをずっと謝っていた
……でも、ぼく自身もきづいてなかったんだから、しかたないと思うな
先生「…ホントに、そう思ってくれる?」
ぼく「うん、先生が悪い先生なんて、誰も思わないよ」
……でも、誰の話を聞いても、ぼくはいまいちすっきりしなかった
たぶん、家族の話が出ないからだと思う。
それに……ぼくにかかっていたせんのうも、だいぶとけてきた
ごろ ごろ…
ぼく「………おじいちゃん…おじいちゃんだけは…ほんとうに…もう…」
おじいちゃんが死んでしまっていることだけは、もうしっかりと思い出せていた。
あの時信じられなかったけど、和室で赤黒く染まってたのは、おじいちゃん
いっしょにねっ転がって絵本を呼んでくれた畳にこびりついてたのは血で
ぼくは、ちゃんとおじいちゃんにお別れを言えなかった
ぼく「ぼく……おじいちゃんみたいに…笑っていられる人に…は……なれないよ…」
ぼく「……(おとうさんは、どこにいるんだろう おかあさんは、どこにいるんだろう おにいちゃんはどこにいるんだろう)」
ぼく「おじいちゃんは、もう帰ってこれないおさんぽ」
ぼく「(…廊下、暗くて怖いな…)」
ぼくは、たしかに生きたいと思った。
だから怖くても無茶したんだ、でも、なんで生きたいと思ったのかは忘れちゃった
あの人たちに好き勝手されるのがいやだったから、だけなのかもしれない
ぼく「(でも…少なくとも、こんな悲しい気持ちになるためじゃない)」
ぼく「(ずっと、洗脳されてた方が良かったのかも。だって、つらいし、悲しいよ)」
ぼく「…あいつは…おかあさんを「もういない人」ってゆった…」
待合室のふかふかの椅子にすわる。大きい病院のこういう椅子はなぜかドキドキする
ぼく「(別のところにいこう…どこがいいかな)」
外の空気を吸いたくても、もう玄関は閉まっている
…たしか、屋上が解放されている病院だったはず。鍵しまってるだろうけど、行ってみよう
ぼく「(エレベーター、動くみたい)」
ポーン♪ 「上へ まいります」
ぼく「(いちばんうえのボタンで…)」
ポーン♪ 「下へ まいります」
ぼく「(あのドア開ければ、いいんだよね)」
ガチャガチャ… カチャ
ぼく「あれ?あいてる…?」
ぼく「(でも、星も月もきれいだな…)」
ぼく「……(なんのために、生きようとしたんだろう…ただ、死んだら終わっちゃうからかな?)」
ぼく「死んだら終わるから、生きるために生きるの?」
ぼく「………」
医者「どうでしょうねぇ」
ぼく「ひぅっ?!お、おいしゃさん…」
医者「こんばんは、夜に来る人もいるから人を置くことになってるんだよ。で、私が今の当番」
ぼく「聞かれてないと思ったのに…」
医者「けど、癒す方はそういう気持ちがききたいんだよね」
ぼく「……うん…」
医者「私は君の担当医ではないけど、君の話は良く聞くよ」
ぼく「そうなの?」
医者「……精神交代手術の、執行医としてね。それが救いになる人もいれば、それで不幸になる人もいる」
ぼく「………手術やるひとなら、おとうさんたちのことしってる?」
医者「ああいうのは闇医者の仕事だからね…なんだかんだで、きちんとしたとこだと実験扱いだよ」
ぼく「?」
医者「私は、幸せを探すために生きるんだと思うよ」
ぼく「ただ、いきるためにいきるんじゃなくて?」
医者「それも必要だと思うけどね、とにかく生きてみなきゃ何も見つからないわけだ…だけど、それになにか足せたら素晴らしいと思うよ」
ぼく「……よくわかんない」
医者「私にも、あいまいだからね。あくまで1意見だよ」
ぼく「でも、そうしてみたいとは…思う…かも」
医者「…そう思う人がいると、嬉しくなるよ。そろそろ寝ないと、もっと冷え込むよ」
ぼく「はい。ありがとうおいしゃさん」
医者「ハハハ、こっちこそありがとう、おやすみ」
ぼく「おやすみなさい」
ぼく「…(…生きてみよう。生きなきゃ、何も見つからないっていうなら、生きてみよう)」
ぼく「……将来の夢、書き直させてもらえるかな…?」
(数日後)
女子1「行ってきます」
ぼく「行ってきます」
女子2「(ぼく)くんも女子1ちゃんもいってらっしゃーーーい!!」
ぼく「いってきます、でもちょっと声小さくね」
女子2「コソコソ はーぃ」
女子1「…(ぼく)くん、おうちで家族待ってなくってよかったの?お掃除終わったって言ってたよ?」
ぼく「うん、一人はさみしいし、また迷っちゃいそうだから」
ぼく「……女子1ちゃん、自分のことこわれてるってお手紙に書いたよね」
女子1「うん…いまも、まだ。ちょっとじかくあるよ」
ぼく「……ぼくも、ちょっとこわれたまんまかもしれない。だからだれかといっしょにいておきたいたいんだ」
女子1「そうなの?私はだれかといっしょにいたいってこわれ方だから、ひとり立ちしないといけないって言われるよ」
ぼく「じゃあ、とりあえずいっしょにがんばろっか」
女子1「うん、ずっと一緒に生きてこ、(ぼく)くんがいるならもっとずっと長生きしたい」
ぼく「…ぼくは、やっぱりずっと生きるのはムリだと思うけど……
そのかわり、生きてる間は、生きることをがんばる。頑張って生きるのが今のしょうらいの夢!」
(おわり)
最後にまだなんかあるかとひやひやしたけど良かった
読んでて常にハラハラしてた
これ呼んでて小学生の頃、やけに死について考え込んでたのを思い出した。
個人的にはあの中盤は嫌いだが、全体を通してすごく楽しめた
稀に見る良作だった